土地活用の「利回り」を解説!計算方法や相場、注意点も紹介

土地活用の「利回り」を解説!計算方法や相場、注意点も紹介

「土地活用に興味があるけど、具体的にどのように活用すれば、どれくらい利益が出るのかわからない」

そんな方のために、こちらの記事では土地活用における「利回り」について解説します。

とくに注目して欲しいのは、「利回りにも種類がある」という点です。それらの区別ができていないまま土地活用を進めてしまうと、利益が出るどころか損をする可能性もあります。そうした事態を防ぐために、正しい知識を身につけましょう。

目次

土地活用における利回りとは?

「利回り」とは一定の期間(一般的に1年)において、投資金額に対して得られる利益をパーセンテージで表したものです。計算方法は以下となります。

利回り = (1年間の収益 ÷ 投資金額) × 100(%)

例えば、投資金額が5,000万円で、年間500万円の収益がでるならば、利回りは

(500万円÷5,000万円)×100(%) = 10%

となります。

単純計算すると、10年かけてようやく投資金額を回収できるということです。

しかし、土地活用をおこなう場合、この計算通りの利益が出るかは難しいところでもあります。10年以上かかるケースも容易に考えられます。
なぜ計算通りに回収ができないのか、理由を考えてみましょう。

ここからは「利回りの種類」と「土地活用で発生する収入と支出の詳細」について触れていきます。

利回りの種類、計算方法

利回りの種類、計算方法

土地活用において、利回りには大きく2つの種類があります。「表面利回り」と「実質利回り」の2つです。

・表面利回りとは

表面利回りとは、先に紹介したように、投資金額に対する年間収益の割合を示す数値のことをいいます。

発生した経費や税金の支払いなどを年間収益から引いていないため、利回りは高くなりやすい傾向にあります。計算方法は以下です。

表面利回り= (年間収益 ÷ 投資金額)× 100(%)

土地活用において、比較的目にする機会が多いのは「表面利回り」です。

目にする機会が多い理由は、一般的に不動産会社の営業マンが第三者に投資用物件を紹介する際、便宜上表面利回りをアピールポイントとして使うことがあるからです。

次に紹介する「実質利回り」よりも「表面利回り」のほうがる年間収益の割合を示す数値が高くなるため、投資用物件をアピールするのに都合が良いでしょう。

・実質利回りとは

実質利回りとは、投資金額に対して年間収益から経費や税金の支払いなど、支出を差し引いた金額の割合を示す数値です。計算方法は以下です。

実質利回り = (年間収益-支出) ÷ 投資金額 × 100(%)

表面利回りとの違いは、「収益の数値がより実態に即している」という点です。

支出のマイナス分も加味して年間収益を計算するため、表面利回りの時と比べて収益は下がり、利回りも数値が低くなります。

つまり、限りなく事業の実態に即した利回りを把握できるということです。

不動産会社の営業マンが投資用物件の紹介をする時に、実質利回りではなく表面利回りをPRするのは、そのほうが収益性の高い物件に見えやすいからです。

・「利回り」と「利率」は違う

「利回り」と似た言葉に「利率」という言葉がありますが、これらは異なります。

利率は、投資信託や債券などの金融商品に対して設定される「金利」のことを言います。投資金額に対して毎年何%の利子を受け取るかを定めているのが利率です。

実際に土地の運用をしてみなければ、どれくらいの収入と支出があるかわからないため、正確な数値を出せません。

「利回り」と「利率」は混同されがちな言葉ですので、きちんと区別しておきましょう。

土地活用で発生する収入と支出の詳細

土地活用で発生する収入と支出の詳細

では、利回りの計算に必要な収入と支出(経費含む)には、具体的にどのような項目があるのか紹介します。

<土地活用で発生する収入> ※賃貸マンション経営の場合

・家賃
・礼金
・更新料
・管理費や共益費
・その他(別途設営・設置をした場合)
 駐車場の使用料
 自動販売機の設置料

以上の項目は、全て土地活用における「収入」となります。

<土地活用で発生する支出> ※賃貸マンション経営の場合

・初期費用
 ・建物の建設費用
 ・各種税金の支払い(登録免許税、取得税など)
 ・司法書士などへの委託報酬

・ランニングコスト
 ・保険料
 ・管理費(もしくは管理委託料)
 ・共用部分の水道光熱費
 ・修繕費
 ・リノベーション費用
 ・広告費や仲介手数料
 ・固定資産税、都市計画税など

以上の項目が、土地活用における「支出」となります。

活用方法ごとの利回りの相場

活用方法ごとの利回りの相場

こちらでは、土地活用の方法ごとに「利回りの相場」を紹介していきます。

なお、ここでいう利回りとは「期待利回り」のことを指し、期待利回りとはあくまで「予測」なのでその数値を保証するものではありません。

経費を差し引いた純収益をもとに算出する利回りですので、一般的には「実質利回りに近い数値」と言われています。

また「商業店舗」に関しては、弊社が取り組んできた事例も紹介しますので、合わせて参考にしてみてください。

アパート・マンション

まずは土地活用の方法として代表的な、アパート・マンションの賃貸経営における利回りの相場です。

賃貸住宅一棟の期待利回り(2021年4月)

・ワンルームタイプ

東京札幌仙台横浜名古屋京都大阪神戸広島福岡
4.2%5.5%5.5%4.8%5.0%5.2%4.8%5.1%5.7%5.0%

・ファミリータイプ

東京札幌仙台横浜名古屋京都大阪神戸広島福岡
4.3%5.5%5.5%4.9%5.0%5.2%4.9%5.2%5.8%5.1%

ワンルームタイプ、ファミリータイプ共に、最も利回りが高いのが「広島」、最も低いのが「東京」となっています。

一般的に都心よりも地方のほうが利回りが高い要因は、不動産自体の価格の安さにあります。

地方の家賃は都心と比べて大きな差がないにも関わらず、不動産価格が安いため、初期投資を抑えられ、利回りが高くなる傾向があります。

このように、一見利回りだけで判断すると地方での土地活用のほうがメリットがあるように思えます。しかし、「空室リスクが高い」「大学や企業の撤退による入居率の低下」などのリスクもあるので注意が必要です。

参考:第44回「不動産投資家調査」(2021年4月現在)
https://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2010/10/20210525-kouhyou.pdf

オフィスビル

続いて、オフィスビルの利回り相場が以下となります。

東京札幌仙台横浜名古屋京都大阪広島福岡
3.8%5.3%5.5%4.8%4.8%5.1%4.4%5.%5.1%

オフィスビルの利回り相場もアパート・マンションと同じく、広島が最も高い「5.7%」、東京が最も低い「3.8%」となっています。

参考:第44回「不動産投資家調査」(2021年4月現在)
https://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2010/10/20210525-kouhyou.pdf

物流施設・倉庫

続いて、物流施設・倉庫の利回り相場が以下となります。

東京(江東区)名古屋(名古屋港)大阪(大阪港)福岡(博多港)
4.2%4.8%4.7%5.0%

こちらでも、やはり不動産価格の高い東京は利回りが最も低く、最も利回りが高いのは福岡の「5.0%」となっています。

参考:第44回「不動産投資家調査」(2021年4月現在)
https://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2010/10/20210525-kouhyou.pdf

商業店舗

最後に、商業店舗の利回り相場が以下となります。

東京札幌仙台名古屋京都大阪神戸広島福岡
5.4%6.5%6.5%6.0%6.0%5.7%6.1%6.5%6.0%

やはりこちらも、東京が「5.4%」と最も低い利回りで、札幌、仙台、広島がともに「6.5%」と最も高い利回りとなっています。

ちなみに、弊社が経営している医療モールの表面利回りは、10%〜20%です。

一見高利回りのように見えるかもしれませんが、実際にはさまざまな経費がかかります。テナントが空けば収益は当然下がりますし、新規のテナントを募集するにも別途費用がかかります。

また商業施設のため、清掃やメンテナンス費、エレベーターの点検管理費などの出費も避けられません。毎年一定以上の利回りを維持するためには、多少利回りが下がったとしても、経費を割いて建物を維持管理する必要があります。
参考:第44回「不動産投資家調査」(2021年4月現在)
https://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2010/10/20210525-kouhyou.pdf

土地活用の利回りを高めるコツ

こちらでは、土地活用において「利回りを高める方法」を紹介します。

自己資金の割合を増やす

一般的に、土地活用で用意する自己資金は全体の「1割〜2割」で、残りの資金を金融機関からのローンで補うことが主流です。

また、実質利回りの計算で用いる「収益」は、諸々の経費や税金支払いに加えて「ローン返済+利息の金額」が差し引かれたものとなっています。

そのため、自己資金の割合が多いほどローン返済額は少なくなり、手元に残る収益が増え、利回りは高くなります。

なお、自己資金が多く、借りる金額が少なければ、ローンの金利も大幅に下がりそうに思えますが、実際は微々たるもので、利回りを大きく左右するほどの影響はありません。

建築費を抑える

建築費を抑える

自己資金の上乗せと並んで、利回りを高めるのに効果的な手段の一つが、「建築費の節約」でしょう。自己資金を増やすのは容易ではないですが、建築費を抑えるのは工夫次第で十分可能です。

特にアパート・マンションの場合、建物の構造や設備次第で費用は大きく変わってきます。建物の構造の種類には色々ありますが、最も比較しやすいのが「木造」と「鉄骨造(S造)」です。

国税庁の調査によると、構造別工事費用の全国平均(1m2当たり)は、

・木造 17万2000円
・鉄骨造 25万円

となっています。

鉄骨造で建物を建てた場合、木造の「約1.4倍」の費用がかかります。100m2当たりですと、木造が1720万円、鉄骨造が2500万円なので、「780万円」も差が出るのです。

参考:国税庁「地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和3年分用】」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/h30/0018008-045/07.htm

とはいえ、木造の建物には「耐久性が低く、劣化が早い」というデメリットもあります。

実際、国が定めている建物の耐用年数によると、木造アパートが22年であり、鉄骨造マンションの47年と比べて半分以下の数値です。

外観が劣化したり、構造上の欠陥が出てくれば集客に支障がでるので、長く経営し続けるには修繕やリノベーションなどの出費は避けられないでしょう。

利回りの高さをとるか、建物の耐久性をとるか、事業の目的に合った選択を心がけてみてください。

利回りが高いほど高く売れる

アパート・マンションや事業用不動産など、運用によって利益が出ている土地を売りに出す場合、買手は「想定利回りは何%なのか?」をまず計算し、そこから逆算して、買取価格を決めます。

これを「収益還元法」と言います。

例えば、アパートの賃貸経営をしている土地があるとしましょう。

年間の家賃収入が250万円、想定利回りが10%であれば、以下のように計算できます。

250万円÷10%=2500万円

つまり、投資する金額2500万円を10年かけて回収するということです。

なお、アパート・マンションの利回り相場は、地方に行くほど高い傾向があります。原因は地価が首都圏より地方の方が安いためです。

土地を売却する際は、売り時が肝心です。売るタイミングを見誤ると、大きく損をする可能性があります。土地の売り時について知りたい場合は、以下の記事を参照して下さい。

「土地を売却する時期はいつがいい?見極めポイントや注意点を解説」(トチカツプロ)

土地活用の利回りにおける注意点

こちらでは、土地活用の利回りにおける注意点について解説します。

不動産会社の営業マンなど、第三者から投資用物件を紹介される際は、ぜひ以下のポイントを参考にしてみてください。

表面利回りを鵜呑みにしないこと

表面利回りを鵜呑みにしないこと

ここまでお伝えしてきたように、実質利回りが現実的な数値であるのに対し、表面利回りは工夫次第で高く魅力的に見せることができます。

そのため、不動産会社が投資用物件を紹介する時は、少しでも利回りが高く見えるよう表面利回りを用いる傾向があります。

管理費や修繕費、税金の支払いなど、本来かかるはずの支出を加味せず、単純に投資金額に対してどれくらいの家賃収入が発生するかという点にのみフォーカスされているのです。

そのため、蓋を開けてみたら経費や税金の支払いで利益が相殺され、ほぼ利益が出ないというケースも普通にあり得ます。

そうならないためには、表面利回りを鵜呑みにせず、自分でしっかりと収支のシミュレーションをし、実質利回りを把握しておくことが肝要でしょう。

表面利回りの計算に「利息」は含まれているか?

表面利回りの計算に「利息」は含まれているか?

ひとつ目と合わせて注意すべきなのが、「表面利回りの計算にローンの利息が含まれているか?」です。

土地活用で金融機関からのローンを利用すれば、当然ローンの返済には「利息」が発生します。

この場合、表面利回りの計算をするのなら、投資金額に利息が加味されていなければいけません。そして、もちろん利息を加味して計算すれば、利回りは下がります。

計算式で表すと、

表面利回り = 1年間の収益 ÷ 投資金額(元本+利息) × 100(%)

となります。

不動産営業マンによっては、この辺りの説明が不十分のまま見栄えのよい表面利回りだけを説明するケースもゼロではないので、十分注意してください。

利回りは不変ではない

土地活用における収益は、事業によって得られます。そのため、毎年安定して同じ利回りが保証されるわけではありません。

建物を管理せずに放置し続ければ、外壁や内装は劣化する一方ですし、建物の状態が悪くなれば借主を見つけるのも難航するでしょう。

そのため、収益を安定させるには建物の修繕や定期的な設備のメンテナンス、場合によっては大規模なリノベーションなどをおこなうことで、建物の魅力や信頼性を損なわないよう工夫する必要があります。

そういった出費があることを念頭に置いた上で、長期的に利益が出るよう事業計画を立てるようにしましょう。

まとめ

利回りは、土地活用において事業の良し悪しを見極める、最もわかりやすい指標と言えるでしょう。しかし、だからこそ利回りの数値には「正確さ」や「現実味」が求められます。

表面利回りより実質利回りを注視しましょう。、実質利回りの計算時も、計上すべき経費や税金支払いなどに漏れがないか入念に確認する必要があります。また、実質利回りが高い場合であっても安心はできません。
自力で計算するのは手間がかかるので、専門業者に頼んでみるのも良いでしょう。

土地活用をするのなら、目先の表面利回りに踊らされず、しっかりと実質利回りを把握した上で、出口戦略を含めた綿密な事業計画を立てましょう。

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