使っていない倉庫は何に使う?有効活用の方法を紹介

「倉庫を相続したけど使わずに放置していて、固定資産税がもったいない」
「何か倉庫で事業を始めたいけど、何がオススメなの?」

このような悩みに答えるため、今回こちらの記事では、空き倉庫の有効的な活用方法について解説していきます。

目次

倉庫を活用する上でのメリット

こちらでは倉庫という建物がもつ特徴やポテンシャル、メリットについて解説します。

活用方法によっては初期費用を抑えられる

活用方法によっては初期費用を抑えられる

そもそも倉庫の運営は、ほかの土地活用のビジネスモデルと比べて初期費用を抑えやすいです。

たとえば、アパート・マンション経営では建物の建築費用だけで、少なく見積もっても数千万円〜億単位の費用がかかります。しかし、倉庫は規模によっては数百万円からはじめられるのです。

建物の構造がシンプルなので建築費用を抑えやすく、電気・水道・ガスなどのインフラ環境がなくても運営できるため、ランニングコストも抑えやすい傾向があります。

このように、ローリスクではじめられるのが倉庫経営の大きなメリットと言えるでしょう。

何にでも用途変更がしやすい

もう1つの大きなメリットは「用途変更がしやすい」という点です。用途変更がしやすい主な理由として「倉庫の造り」があげられます。

たとえば、アパートやマンションは、人が生活することを目的に造られています。同じくオフィスビルや商業施設も、人が利用することを目的に造られているのです。

それに対して、倉庫は「貨物」を保管するための建物です。保管効率を高めるために、床や天井には工夫がほどこされています。

・床の特徴
一般的な住居やオフィスの床荷重はおよそ300kg/㎡が標準ですが、それに対して、倉庫の床荷重はおよそ1.5トン/㎡が標準となっているのです。重い貨物に耐えられるように、頑丈な造りになっています。

・天井の高さの特徴
天井の高さに関しては、住居やオフィスの標準がおよそ3~3mであるのに対し、倉庫の標準はその倍ほどの5〜7mです。より多くの貨物を積めるようになっています。

このように、頑丈な床や開放的な空間を特徴とする倉庫は、そもそも建物としてのスペックが高いのです。そして、この高いスペックを活かせるビジネスモデルは、倉庫経営だけではないというのがポイントです。

駐車場経営や店舗経営、賃貸オフィス、貸家など、さまざまな用途に転用できます。リノベーションをすることで、倉庫としての強みを生かしつつ、全く別の活用ができるのです。

使っていない倉庫をリノベーション!有効活用するなら?

こちらでは、倉庫をリノベーションすることでどのような活用が可能なのか、5つの例を紹介します。

駐車場

駐車場

1つ目は「駐車場」です。オフィス周辺や住宅街にある土地であれば「月極駐車場」、繁華街近辺であれば「コインパーキング」がオススメでしょう。

・月極駐車場
月極駐車場は、利用者と契約を結び、毎月賃料を得るというビジネスモデルです。

初期費用は土地の整備が主で、10台前後の面積であれば100万円台〜200万円台で舗装工事が可能です。

もちろん舗装費用は業者によって異なりますし、未舗装か、アスファルトタイプか、コンクリートタイプか、舗装素材のタイプによっても費用は異なります。

ちなみに、必ずしも舗装しなければいけないわけではありません。ですが、舗装をしておくとそれが構築物とみなされ、土地の相続時に「小規模宅地の特例」を受けられる可能性があります。

特例を受ければ、構築物や建物がない状態の土地と比べて、相続税の評価額が50%減額されるのです(200㎡まで)。

また、月極駐車場はコインパーキングのように専用機器を導入する必要もないため、少ない初期投資で始められるのが魅力と言えます。

懸念としては、自力で集客するのが難しいという点です。チラシを貼ったり、不動産会社に協力を依頼したりといった地道な努力が必要でしょう。

また、不正駐車の可能性があるのも忘れてはいけません。違反時の罰則を記載した看板を設置したり、不動産会社に管理を依頼したりなどの対策が必要となります。

・コインパーキング
コインパーキングは、利用者の駐車時間に応じて、利用料を得るといビジネスモデルです。初期費用は、「自営タイプ」か「一括借り上げタイプ」かによって変わります。

自営タイプの場合、土地の整備はもちろん、専用機材も自分で準備する必要があり、手間も費用もかかります。

専用機材は精算機やロック板、照明板など、諸々を合わせておよそ300万円前後で(車10台分の場合)、業者によって価格は異なります。中古の機材を利用すれば、費用を抑えることも可能です。※倉庫の解体、撤去費用は含まれていません

一方、一括借り上げタイプは、コインパーキング経営では割と主流な方法です。

一括借り上げとは、コインパーキングの運営会社が土地をまるごと借りて、土地の整備から機材の準備、運営まですべてを請け負ってくれる方法になります。オーナー側は、運営会社から毎月安定した賃料を得ることができるのです。

つまり、土地オーナーは初期費用ゼロ、ランニングコストゼロで経営ができます。土地を貸すだけでいいので、駐車場経営というよりは土地貸しに近いでしょう。

ただし、運営会社は借りた土地でコインパーキングを経営し、土地の賃料以上の利益を出すことを目的としています。そのため、高い賃料を得られる可能性は低いでしょう。収益性の面では、自営タイプのほうがメリットが大きいと言えます。(※1)

※1:「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

賃貸オフィス

2つ目は「賃貸オフィス」です。リノベーションをすることでオフィス物件として貸し出すことができます。オススメできる理由は主に4つです。

理由1:設計の自由度が高い
倉庫の特徴である広さや高さを活かして、空間を柔軟にデザインできます。部屋数や間取りなど、通常のオフィスでは実現の難しいクリエイティブな空間を作れるのが魅力です。

理由2:賃料を高めに設定しやすい
借り手は事業主ですので、事業活動によって賃料を回収できる見込みがあれば、多少相場より高い家賃でも必要経費としてみなします。そのため、アパート・マンションと比べて賃料を高めに設定しやすい傾向があるのです。

理由3:長期利用を期待できる
オフィスの移転は、敷金や引っ越し費用などのまとまったコストが発生するので、あまり頻繁におこなわれるものではありません。そのため、アパート・マンションの賃貸契約と比べて、長期的に利用してもらえる可能性が高いと言えます。

理由4:用途変更の申請が必要ない
通常、用途変更をする際、床面積が200㎡以上で「特殊建築物」に該当する建物は、各自治体へ用途変更の手続きが必要です。たとえば、店舗や工場などは特殊建築物に該当します。
その点、オフィスや住宅は特殊建築物に該当しないため、申請手続きが不要なのです。

以上が、オフィスへの用途変更をオススメできる理由となります。

ただし、注意点もあります。

倉庫には、電気やガスや水道などのインフラが整備されていないことが多いです。オフィスとして活用するには、そういったインフラ環境の整備のほか、トイレや給湯室などの増設工事が必要となるでしょう。

また、倉庫は元々人が長時間滞在することを想定して造られていないため、防音性や断熱性、採光性や通気性に弱い傾向があるのです。

オフィスとして快適な空間を実現させるなら、リノベーションによってそういった弱点を克服する必要があります。

貸家

リノベーションによって倉庫を住宅に変え、貸家にするという方法もあります。

オフィスと同様に、広くて開放的な空間を活かして、変わったレイアウトやデザインを実現できるのが魅力です。住宅もまた特殊建築物に該当しないため、用途変更の申請をする必要がありません。

注意点もオフィスの場合と同様で、電気・ガス水道などのインフラ環境の整備のほか、トイレや風呂場などの工事が別途必要になります。

オフィスとの違いとしては、「固定資産税の軽減措置」を活用できる点です。

一般的に住宅は「小規模住宅用地」に該当するため、200㎡以下の部分は評価額が6分の1まで減額されます。なお、200㎡を超える部分に関しては「一般住宅用地」とみなされるため、評価額が3分の1まで減額されるのです。

長期的に活用するのであれば、こうした軽減措置を活用できるのは大きなメリットになるでしょう。

店舗

店舗

倉庫は、レストランやカフェなどの飲食店との相性も良いです。

むき出しの配管やダクト、鉄筋の筋交い(柱と柱の間でクロスしている補強用の部材)など、倉庫ならではの素材を活かしたオシャレなインテリアを実現できます。

そのため、近年は使わなくなった倉庫をリノベーションして、店舗として活用する事例が全国的に増えているのです。ただし、こちらもオフィスや住宅に転用する場合と同様に、電気・ガス・水道、Wi-Fiなどのインフラ整備が必要となります。

貸し倉庫

大きなコストをかけてリノベーションするつもりもないという方には「貸し倉庫」がオススメです。

貸し倉庫とは、第三者に倉庫を貸すことで毎月賃料を得る方法です。すでに倉庫を所有している場合、主に3つの運営方法があります。

・運営方法1「自営」
収益性を最優先にするのなら、自身で運営するといいでしょう。しかし、利用者の集客や倉庫の管理もすべて自分でおこなう必要があるため、手間がかかります。

・運営方法2「フランチャイズ」
フランチャイズとは、運営会社への加盟料やロイヤリティの支払いと引き換えに、運営会社の商号や商標を使用してビジネスをする方法です。

自身で運営することには変わりないですが、知名度のある親会社の名前や運営会社の管理システムを利用することができるため、集客や管理の負担がかなり軽減されます。

「自分で運営したいが、集客や管理には自信がない」という方にはオススメです。

・運営方法3「サブリース」
サブリースは、倉庫を専門業者に一括で貸し出し、毎月賃料を得るという方法です。

専門業者は第三者に転貸することで利益を出すため、オーナーが集客や管理業務をおこなう必要はありません。倉庫の売上状況に関係なく、毎月安定した賃料を得ることができます。

しかし、転貸することが前提のビジネスモデルなので、オーナーが業者から受け取る賃料は相場よりも安くなってしまうでしょう。

手離れがよく、安定して利益を得やすい方法ですが、自身で運営するよりも利回りは低くなってしまいます。

倉庫を活用する際の注意点

ここまで紹介してきたように、倉庫はさまざまな用途に変更できる可能性を秘めています。使っていない倉庫をうまく活用すれば、収益化も夢ではないでしょう。

ただし、倉庫ならではの注意点もありますので、今後倉庫を活用したビジネスをするなら、ぜひチェックしてください。今回は3つの注意点を紹介します。

認知されるまでに時間を要する場合がある

倉庫を活用する際の注意点

「貸し倉庫」としてオーナー自身が運営をする場合、見込み客に認知されるまでには、ある程度の時間を要する可能性が高いです。

たとえば、通常の賃貸アパート・マンションで入居者を募る際は、専用の情報検索サイトがたくさんあるため、見込み客の目にとまりやすいです。

貸し倉庫に関しては、物件情報を掲載するサイトはそこまで多くありません。また、目立った広告の方法も確立されていないのが実情です。

そのため、オーナー自身が運営する場合は、近所へのビラ配りをしたり、不動産会社に集客を依頼したりといった努力が必要になります。

用途変更には申請が必要なケースがある

倉庫はさまざまな用途変更が可能ですが、変更内容次第では自治体に対して用途変更の確認申請をする必要があります。

条件は大きくわけて、

  • 用途変更をする面積が200㎡を超える場合
  • 用途変更後の建物が「特殊建築物」に該当する場合

の2点です。

特殊建築物とは、建築基準法によって定められた用語で、「特殊な用途がある建築物」のことを言います。具体的には、飲食店、遊技場、演芸場、体育館、スポーツ施設などです。

ちなみに、用途変更の申請は建築士でなければならないと、建築基準法第21条で決められています。そのため、建築士に申請を依頼し、物件の調査や書類作成をしてもらう必要があります。建築士を探すなら、内装工事を依頼する工務店に問い合わせるのが早いでしょう。

確認申請の必要があるのに、もしもそれを怠った場合は、建築基準法第99条により、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科せられるので注意してください。

経営の知識をつけておく必要がある

倉庫の活用は立派なビジネスですので、過去に自身で事業を立ち上げたり、経営した経験がなければ、経営について最低限の知識をつけることをオススメします。

これは、どのような用途に変更する場合でも共通して言えることです。事業計画の立て方や、集客の方法、顧客管理の方法のほか、用途変更をするのであれば、都市計画法や建築基準法にも多少は触れておきましょう。

また、経理の知識も重要です。経理についての理解がないと、現実的な収支のシミュレーションをつくることが難しいからです。

しっかりと初期投資分を回収し、長期的に繁栄する事業を構築するには、経営の知識は不可欠と言ってもいいでしょう。

まとめ

倉庫を所有している状態で事業をスタートさせるのは、土地も倉庫も所有していない状態と比べ、かなりハードルが低くなります。

しかし、それはあくまで初期投資における金銭的なハードルが下がっているだけの話です。

本当に大変なのは、所有している倉庫に最適な活用方法を見つけ、きちんと収益化できるような事業計画を立て、それを実現することなのです。

だからこそ、先述のような「一括借り上げ」や「フランチャイズ」といった方法があります。これらの方法であれば、収益性が下がる代わりに、集客や管理などの業務からは解放されるでしょう。

それでもなお、倉庫による土地活用に不安を感じる方、「ビジネス経験がない自分にはハードルが高い」と感じる方は、無理に活用しようとせずに売却するのも手です。

うまく売却できればまとまった資金が手に入りますし、その資金を使ってまったく違う分野に挑戦するという選択もできます。

倉庫活用の選択肢はたくさんありますので、ぜひ焦らずに検討してみてください。

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