事業用地で住宅を建てたい!NGな条件や地目変更について詳しく紹介

「事業用地に住宅を建てても問題ない?」
「事業用地に住宅を建てる際の、注意点を教えて欲しい」

今回は、このような疑問に回答します。所有している事業用地で住宅の建設を検討している方は、参考にしてください。

目次

事業用地に住宅は建てられる?

住宅の建設に関わる法律は、主に都市計画法建築基準法の2つです。

そのため、原則としてこれらの法律に沿っていれば、問題なく住宅を建てられます。ただし、地目(土地の用途区分)が定められている場合、住宅を建設できないケースもあるので注意しましょう。

事業用地と住宅用地の違い

こちらでは、事業用地と住宅用地とで、具体的に何が違うのか解説します。

事業用地

事業用地とは、事業によって収益を得ることを目的とし、所有・投資する土地をいいます。

一般的には工場や倉庫、配送センター、研究所など、流通や生産に関わる産業施設用地を指す場合が多いです。

広義では、商用ビルや店舗、賃貸アパート・マンションなどが建っている土地も含まれます。事業用地についてより詳しく知るには、こちらの記事を参照してください。

事業用地の定義とは?活用する際の注意点や相談先についても解説/トチカツプロ

住宅用地

住宅用地とは、居住を目的として建物が建てられている土地をいいます。すでに住宅が建っていることが前提のため、住宅を建設予定の土地や建設中の土地は、一般的に該当しません。

事業用地に住宅を建てる際の法的な基準

所有している土地に住宅を建てていいか判断する際、「事業用地か否か」を基準とするのは少々不十分です。

なぜなら、国土は基本的にすべて、都市計画法によって用途を定義されているからです。一括りに「事業用地」と言っても、住宅を建てていいかどうかは用途によって異なります。

そこで、こちらでは住宅建設が可能かを判断する基準として、「都市計画法」や「用途地域」の2つを解説します。

都市計画法とは?

都市計画法とは、都市を健全に発展させるために定められた法律です。各都道府県知事は、この法律に基づいて都市計画を立てています。

同法では、まず土地を2つの区域に分けて定義しています。

・都市計画区域 
計画的に都市の整備・開発・保全をおこなうエリアです。住みやすい都市づくりを実現するため、建物の建設に制限を設けています。

・都市計画区域外 
建物を建てる上で、都市計画法の制限を受けないエリアです。都市計画区域より自由度は高いですが、各自治体の条例や建築基準法の制限があるため注意しましょう。市街化の進行が見込まれる「準都市計画区域」はこちらに含まれます。

上記のうち、都市計画区域はさらに3つの区域に分けられます。

・市街化区域 
すでに市街地となっているエリアや、今後優先的に市街化を図るエリアです。

・市街化調整区域
農地や森林などの環境保全のために、無秩序な市街化を抑制するエリアです。

・非線引き区域
都市計画区域のうち、市街化区域にも市街化調整区域にも該当しないエリアです。
さらに、市街化区域は21種類の「地域地区」に分けられ、そのうちの1つである「用途地域」は全部で13種類あります。これらを図で表すと、以下のようになります。

都市計画法に基づく土地分類

※厳密には、用途地域は市街化区域、非線引き区域、準都市計画区域の3つが対象であり、市街化調整区域のみ対象外です。

用途地域とは?

用途地域とは、都市計画法で定める21種類の地域地区の1つで、用途の混在防止を目的としています。

全部で13種類の地域に分けられており、地域ごとに建築可能な建物の種類や大きさなどが細かく定められています。

【住居系】

・第1種低層住居専用地域
低層住居の住環境を守ることを目的とする地域で、用途地域の中でも特に規制が厳しいとされています。

建設可能なものは、小規模な住宅のほか、学校や診療所、寺院などです。コンビニやドラッグストアなどの店舗は建築できません(一部、店舗兼住宅は例外があります)。

また、建築物の高さに制限があり、最長でも10mまたは12m以下とされています。さらに、条例で指定するエリアに建てる建物は、日影規制の適用対象となります。

・第2種低層住居専用地域
第1種低層住居専用地域と同様に、低層住居の住環境保護を目的とした地域です。

基本的な用途は第1種と同様ですが、店舗を建築できる点が大きな違いです。150平米までであれば、小規模な店舗(コンビニ含む)や飲食店の建設が可能となります。

・第1種中高層住居専用地域
3階以上の中高層マンションをはじめとする、共同住宅の住環境保護を目的とした地域です。住宅、病院、大学、中規模の店舗や飲食店などが建築可能です。

建築物の高さに制限はないですが、容積率(敷地面積に対する床面積の割合)の制限があります。なお、パチンコ店やカラオケボックスなどの遊戯施設、工場などは建設不可となっています。

・第2種中高層住居専用地域
第1種中高層住居専用地域と同様、中高層の共同住宅の住環境保護を目的とした地域です。

第1種の用途にくわえ、床面積が1500平米以下で、2階以下の事務所や店舗、飲食店などが建築可能です。なお、パチンコ店やカラオケボックスなどの遊戯施設、工場、倉庫、ホテルなどは建築不可となります。

・第1種住居地域
良好な住環境の保護を目的とする地域です。住宅、共同住宅、病院、大学、寄宿舎、下宿、3000㎡以下の店舗や事務所、ホテルなどが建築可能です。

建築物の高さに制限がなく、容積率の制限も第1種中高層住居専用地域より緩和されます。

日当たりなどの制限が厳しくないため、集合住宅や商業施設などが密集しやすい特徴があります。なお、パチンコ屋、カラオケボックスなどの遊戯施設は建設不可です。

・第2種住居地域
住宅と店舗・オフィスなどとの共存を図りつつ、住環境の保護を目的としています。

そのため、第1種住居地域の用途にくわえ、パチンコやカラオケボックスなどの遊戯施設の建設も可能です。また、環境への悪影響や危険が非常に少ない場合に限り、工場や作業場を建てることもできます。

・田園住居地域
農業の利便性の増進を図りつつ、農業文化と調和した低層住宅の環境保護を目的とする地域です。

ほかの12の用途区分が定められた1992年以来、25年ぶりに追加されました(2018年当時)。なお、建築物に対する制限内容は、基本的に低層住居専用地域と同様です。

・準住居地域
住居との調和をはかりつつ、幹線道路沿いの利便性の増進を目的とする地域です。第1種住居地域の用途にくわえ、パチンコ店やカラオケボックスなどの遊戯施設、小規模な工場、自動車修理工場も建設可能です。

【商業系】

・近隣商業地域
近隣の住民が日用品の買物をするなど、業務の利便増進を目的とする地域です。

危険性の高い工場、住環境悪化の可能性がある工場以外であれば、住宅から学校、病院、店舗や遊戯施設まで、あらゆる建築が可能です。ただし、風俗営業店の建築は認められていません。

・商業地域
主に商業と、その他の業務の利便性を図ることを目的とした地域です。大都市の都心部やターミナル駅周辺が指定されることが多く、オフィス街を形成しやすい特徴があります。

近隣商業地域と同様、危険性の高い工場、住環境悪化の可能性がある工場以外であれば、あらゆる建築が可能です。近隣商業地域との違いは、風俗営業店の建築が認められている点です。

【工業系】

・準工業地域
中小企業の振興・育成等を目的とした地域で、住宅や商業施設、中小規模の工場が混在しています。

危険性が大きいまたは著しく環境悪化の恐れがある工場、風俗営業店以外は、基本的に建築可能です。

・工業地域
住宅や工場が混在する地域のうち、主に工業の利便性を考慮して指定された地域です。

他の用途地域では禁止されているような、環境悪化の恐れがある工場や危険物の貯蔵・処理の量が多い施設の建設が認められています。工業の利便性が優先されるため、学校や病院、劇場、映画館、ホテル、風俗営業店の建設はできません。

・工業専用地域
工業の促進を図るために指定された地域です。そのため、工業地域以上に用途が制限されています。どのような工場でも建てられますが、住宅、店舗、学校や病院、老人ホーム、劇場、映画館、ホテル、風俗営業店などは建てられません。

以上が用途地域の内容です。

このように、所有している事業用地がどの用途地域に該当するかによって、住宅建設に関する制限内容は異なります。

例えば「第一種住居地域」では、店舗やオフィスビルなどの事業用の建物も、マンションなどの住宅も両方建設可能です。用途地域を確認するには、国土交通省のサイトか各市区町村のサイトを活用するといいでしょう(※1)。

※1「国土数値情報ダウンロードサービス」(国土交通省)

事業用地で住宅を建てる場合、地目の変更は必要?

事業用地に住宅を建てる際に知っておきたいのが「地目」です。なぜなら、住宅を建てるために、地目の登記変更が必要なケースがあるからです。以下、詳しく解説します。

地目とは

地目とは、不動産登記法に基づき、登記官が土地を総合的に判別し認定した「用途」のことです。全部で23の用途区分がありますが、主な5つは以下となります。

・宅地
建物が建っている土地、および建物の維持・効用を果たすために必要な土地です。

・田
農耕地で、用水を利用して耕作する土地です。

・畑
農耕地で、用水を利用しないで耕作する土地です。なお、牧草栽培地は畑とされています。

・山林
耕作の方法にかかわらず、竹木が生育する土地です。

・雑種地
どの地目にも該当しない土地のことです。

なお、登記上の地目と実際の用途は必ずしも一致しません。あくまでも登記上の情報となります。

地目の登記変更が必要なタイミング

市街化区域でも、市街化調整区域でも、都市計画法に則ってさえいれば、原則として住宅の建設は可能です。ただし、それは地目が「宅地」だった場合に限ります。

地目が「宅地」ではなく「田畑」や「山林」だった場合、住宅を建てるには地目の変更(転用)が必要です。

なぜなら、田畑や山林の活用には農地法による制限があるため、そのままでは住宅を建設できないからです。

ただし、全ての田畑や山林の地目を自由に変更できるわけではありません。市街地化の見込みがある農地や、鉄道の駅が300m以内にある農地などは、宅地に変更できる可能性が高いですが、農業復興地域に指定されている農地は、宅地に変更できない可能性があります。

地目の登記変更の手続き方法

こちらでは、地目の登記変更の手続き方法を解説します。

・地目の変更先
地目の登記変更は、管轄の法務局に必要書類を提出することでおこないます。

オーナー自身が自分で手続きすることもできますが、専門知識を要することが多く大変です。予算を割ける場合は、土地家屋調査士に依頼して、代理で申請してもらうといいでしょう。

土地家屋調査士とは、不動産登記の専門家です。土地や建物の形状・所在・利用状況などを調査し、資料作成や手続きを代行してくれます。

通常、オーナーが自分で申請をした場合、法務局が現地を見にくる必要がありますが、調査士が代行した場合はその工程が省略されます。時短にもつながるので、早めに地目を変更したい方は、調査士への依頼を検討してみてください。

・地目の登記変更にかかる費用
不動産の売買時におこなわれる所有権の移転登記では、登録免許税がかかりますが、地目を登記変更するだけであれば、基本的に費用はかかりません。

かかるとすれば、土地家屋調査士に代行を依頼する際の委託報酬くらいです。報酬の相場は、1件につき5万円前後と言われています。

・地目の登記変更に必要な書類
必要な書類は、主に「土地地目変更登記申請書」「土地の案内図」の2つです。土地の案内図は、所在地を示すものであれば、民間サービスの地図情報を基にしたものでも問題ありません。

また、申請書には申請者の個人情報の他、土地を特定できる情報なども記載します。地目変更前に登記事項証明書を取得しておけば、スムーズに対応できるでしょう。

なお、田畑や山林などの農地から地目変更をおこなう場合は、農業委員会による許可書や届出書も必要ですので注意してください。

事業用地など土地でお悩みの方は近畿住宅流通にご相談ください

ここまでお伝えしたように、事業用地の活用には幅広い知識が必要とされます。今回は「住宅を建てる」ことを前提として解説しましたが、事業用地の中にはそもそも居住に向いていないものもあります。

中には、売却して得た利益で他の土地を買ったり、別の住宅を購入したりした方がメリットが大きいケースもあるかもしれません。重要なのは、良くも悪くも土地の価値を見誤らないことです。

だからこそ、事業用地を活用するのなら、弊社のような土地活用の専門業者に一度相談してみてください。

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