コンビニ跡地を相続した方の中には、今後どのように活用すればいいのかわからない方もいるでしょう。再びコンビニを誘致するか、別の業種のテナントを誘致するか、それとも売買するか、選択肢はさまざまです。そこで、こちらでは売却以外の選択肢を紹介すると共に、売買する流れも解説します。
コンビニ跡地を売買する前に知っておきたい業界の将来性
まずはコンビニ跡地の売買をする前に知っておきたいコンビニ業界の将来について解説します。
コンビニは賃料が特に高い
コンビニは、その利便性や24時間営業の特性から、賃料単価が特に高い業種として知られています。賃料は土地の坪数や契約形態によって異なるため、以下の表を参考にしてください。
坪数 | 事業用定期借地 | リースバック |
200坪 | 20万円台前半〜30万円台前半 | 30万円台後半〜50万円台前半 |
300坪 | 30万円台後半〜40万円台前半 | 50万円台前半〜60万円台後半 |
500坪 | 60万円台前半〜70万円台前半 | 70万円台前半〜90万円台後半 |
700坪 | 80万円台前半〜100万円台前半 | 90万円台後半〜120万円台後半 |
このように、コンビニへの土地貸しは賃料の相場が高いため、都心部だけでなく郊外でも土地活用の手段として有力と言われています。
コンビニは現代社会においてインフラの1つと言っても過言ではないので、今後も一定の需要はあり続けるでしょう。また、「24時間営業」という営業スタイルが変わらなければ、今後も高い売上を維持し続ける可能性が高いです。土地の借主としてコンビニと契約できれば、安定して高い賃料を得られる見込みがあります。
コンビニ自体は減る可能性が高い
業界分析を得意とする日本ソフト販売株式会社の調査によると、コンビニ大手の「セブンイレブン」「ファミリーマート」「ローソン」の総店舗数は約5万店舗に達しています。スーパーマーケットの約2万店舗を大きく上回る数字であり、コンビニが日本国内で不可欠なインフラとなっている証拠の1つと言えるでしょう。
しかし、最近ではそんなコンビニでも空き店舗が増加しており、特に郊外地域ではその傾向が顕著です。全盛期に大量に出店した結果、コンビニの出店が過剰になったことが大きな要因と言えます。
特にロードサイド型の店舗では厳しい状況が見受けられ、今後も人口減少の一途を辿る日本では、経営がますます厳しくなる店舗も増えるでしょう。結果として、コンビニの数自体は減る可能性が高いです。
参考:「チェーン別 店舗数ランキング」(日本ソフト販売株式会社)
コンビニ跡地の活用の選択肢
今テナントが入っておらず、収益がゼロだったとしても、過剰に心配する必要はありません。なぜなら、コンビニ跡地はそもそも事業用地としてのポテンシャルが高く、多くの選択肢が残されているからです。そこで、こちらではコンビニ跡地に残された4つの選択肢を紹介します。
選択肢⑴再びコンビニを誘致する
コンビニは賃料単価が高いため、再び誘致できれば理想的ですが、その実現はなかなか難しいと言えます。実際、不動産業界では「コンビニ跡地にコンビニは入らない」が通説であり、コンビニ撤退後は別の業種が入ることが一般的なのです。
再びコンビニを誘致するのが難しい理由は、「コンビニが撤退した」という情報が他のコンビニ業者にも伝わるからです。特に、大手コンビニが撤退したとなれば、他の大手コンビニは出店を避ける傾向にあります。
緻密な市場調査をして出店したにも関わらず、撤退せざるを得なかったわけですから、同じ場所に出店しても二の舞になる可能性が高いと判断されるからです。
選択肢⑵他業種のテナントを誘致する
コンビニ跡地は好立地で商用利用に向いているため、多岐にわたる業種や業態の誘致を期待できます。
例えば、事務所利用では、工務店やリフォーム会社、電気工事会社などが活用するケースがあります。また、焼肉屋や蕎麦屋などの飲食店、学習塾や美容室、携帯ショップなどの店舗・物販店も積極的にコンビニ跡地を利用する傾向があり、最近では葬儀場が活用するケースも増えています。
このように、コンビニ跡地は多くの業種や業態からの需要があるので、借り手探しに苦労する可能性は極めて低いでしょう。しかし、どの業種や業態に土地を貸したとしても、コンビニに貸していたときと比べれば、賃料は大幅に下がることが予想されます。
理由は、単純にコンビニ以外の業種がコンビニよりも売上規模が小さいためです。そのため、コンビニ以外の他業種のテナントに土地を貸す場合、大幅に賃料収入が減ることを覚悟する必要があります。
選択肢⑶自分で活用する
コンビニ跡地を企業に貸し出すのではなく、自ら事業を展開し、収益を得ることも可能です。コンビニ跡地のように広めのスペースを有効活用する活用方法として有名なのは、コインランドリー事業です。跡地の近隣に多くのアパートやマンションがある場合、コインランドリーの需要を期待できます。
特にマンションでは大型の寝具や絨毯の洗濯が難しいため、住民にとって便利な選択肢となります。また、子供の上履きやペットの衣服など、しつこい汚れを洗い流したい需要にも応えられるでしょう。
もちろん、自ら事業を展開する場合、コインランドリー以外にも多くの選択肢が考えられます。自身のスキルや趣味を生かしてワークショップや書道教室、アートスタジオ、フィットネススタジオなどの運営も検討できます。地域のニーズや競合状況などを調べ、勝ち筋がありそうであれば、自分で事業をおこなうのも手です。
選択肢⑷売却する
コンビニ跡地を企業に貸さず、自分で事業をおこなうつもりもないのであれば、あとは売却する手段が残っています。コンビニ跡地は商用利用しやすいことから、不動産開発業者や土地活用の専門業者に好条件で買い取ってもらえる可能性が高いです。売却して資産を現金化できれば、新たな投資に回したり、別の資産に買い替えたりできるでしょう。
ただし、売却には税金や手数料などの諸費用がかかるため、これらのコストを考慮して利益を最大化できるようにプランを練ることが重要です。コンビニ跡地の売却に関してお悩みやご不安がありましたら、以下のボタンからお気軽に弊社までご相談ください。
コンビニ跡地を売買する流れ
最後に、コンビニ跡地を売買する流れを7つのステップに沿って解説します。
- ステップ1:必要書類を用意する
不動産業者に相談する前に、登記簿謄本や購入時の重要事項説明書など、土地の種類に応じた必要書類を用意します。書類の中には取得するまでに時間を要するケースもあるので、早めに準備しましょう。
- ステップ2:複数の不動産業者に査定依頼
査定価格を知るために、複数の不動産業者に査定を依頼します。査定結果を比較検討し、適切な業者を選定しましょう。正式に依頼する業者を選んだら、現地調査を依頼し、より正確な査定をしてもらいます。
- ステップ3:不動産業者と契約を結ぶ
不動産業者との契約方法には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。それぞれの契約方法の違いは以下の通りです。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
・複数の業者と同時に結べる・売主自身が買い手を探すことも可能 | ・1社としか契約を結べない・売主自身が買い手を探すことも可能 | ・1社としか契約を結べない・売主自身が買い手を探すことは不可能 |
- ステップ4:売却活動をおこなう
不動産業者が広告や宣伝を通じて売却活動を開始します。物件情報を不動産流通機構レインズなどに登録し、広く販売活動をおこないます。
- ステップ5:売買契約を結ぶ
買い手が現れたら、不動産業者によって価格交渉がおこなわれます。双方が合意した場合に売買契約を締結し、契約書に署名と捺印をおこないます。
口頭で説明される重要事項説明書には、代金の支払いに関する取り決めや契約解除の条件などが含まれるので、入念に確認しましょう。最後に買い手から手付金を受け取ったら取引は完了です。なお、売買契約の成立時に、不動産業者に仲介手数料の50%を支払うのが一般的です。
- ステップ6:決済&引き渡し
買い手から残代金を受け取り、土地の引き渡しをおこないます。また、決済時には不動産業者への残り50%の仲介手数料や、司法書士への手数料の支払いも発生します。
- ステップ7:確定申告をおこなう
土地の売却によって発生した利益について、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をおこないます。なお、申告作業を税理士に依頼する場合は、別途10万〜20万円ほどの委託報酬を支払う必要があります。
コンビニ跡地を売買する主な流れは以上となります。より詳しい情報を知りたい場合は、こちらの記事を参考にしてください。
コンビニ跡地の買取なら近畿住宅流通へ
繰り返しになりますが、コンビニ跡地は事業用地としてのポテンシャルが非常に高いため、賃貸の募集をかければすぐに借主が現れる可能性があります。しかし、再びコンビニ業者が借りてくれる可能性は低いので、コンビニに貸していた頃と比べて賃料収入は大幅に下がるでしょう。
もし、コンビニ跡地を今後テナントに貸すつもりがなく、自分で活用する予定もない方は、ぜひ売却を検討してみてください。弊社であれば、条件次第では現金での即時買取も可能ですので、お気軽にご相談ください。