遊休地を活用してビジネスに!どのような活用方法がある?

遊休地を活用してビジネスに!どのような活用方法がある?

長い間放置され続けている土地を「遊休地」と言いますが、今回はそんな遊休地を活用して、どのようなビジネスができるのか解説していきます。

目次

遊休地とは 

遊休地とは

「遊休地」と呼ばれる土地

遊休地とは、簡単に言えば「利用されずに放置されている土地」です。

「遊休土地」と同義で扱われることも多く、主に「取得してから2年以上使われていない状態の土地」をいいます。

また、限りある国土が適正に利用されていない状態は、国益を損なう可能性があるため、遊休地は「国土利用計画法」によって「国」に管理されています。

これを「遊休土地制度」と言います。一定の条件を満たす遊休地に対して、積極的な利用を促すようにしているのです。

では一定の条件とはどのようなものかというと、その説明をするには「土地取引規制制度」について触れる必要があります。

土地取引制度とは、同じく国土利用計画法において、土地の投機的取引及び地価の高騰を防ぐことを目的に存在する制度です。

土地取引制度の管轄は「各都道府県の知事」であり、「規制区域」や「監視区域」として指定された区域は、土地取引の際に事前の許可や届出を義務化して厳しく規制しています。

さらに細かく説明するなら、土地の分類には「土地取引制度」に基づくものだけでなく、「市街化区域」や「都市計画区域」のような、「都市計画法」に基づく分類も存在するのです。

つまり、それら2つの分類の組み合わせごとに、「遊休地となる条件」が定められているということです。それをまとめた表が以下となります。

遊休地となる条件
市街化区域 都市計画区域 都市計画区域外
規制区域 1,000㎡以上 3,000㎡以上 5,000㎡以上
監視区域 各自治体が定めた面積
※規制区域で定めた面積未満の場合は、規制区域の条件が適用される

上記の面積の条件に当てはまり、かつ2年以上未使用である場合、「遊休地」と指定されるのです。

遊休地とみなされた土地は、自治体から通知を受け取ることになります。通知を受け取ったオーナーは、通知から6週間以内に土地の利用計画か処分計画を担当区役所に届け出る必要があるのです。

遊休地の種類によって、できるビジネスは変わる

では、具体的に遊休地にはどのような種類があるのか、紹介していきます。土地の種類によって、はじめられるビジネスの選択肢が異なるため、以下を参考にしてみてください。
「遊休土地制度」の条件を満たす土地でなくとも、長年活用していない土地をお持ちであれば参考にしていただけます。

・宅地
宅地とは、「建物の建設が認められている土地」のことを言います。アパート・マンションのような「住宅」しか建てられないような印象を受けがちですが、実際はさまざまな種類の建物を建てることができるのです。

たとえば、駐車場や幼稚園、診療所や老人ホームなどがあります。ただし、地域によって「建築条件付き宅地」のように、建物の面積や高さに制限が設けられていることもあるので注意が必要です。

・農地
農地は、「農業のみを目的として活用することが許可されている土地」です。とくに田舎では、使われなくなって放置された農地が多い傾向にあります。

ビジネスとして農業をはじめる場合はそのまま活用できますが、農業以外のビジネスをはじめたい場合は、転用のための申請作業が必要です。

・商業地、工業地
商業地や工業地は、厳密には宅地の一部ですが、用途が限定的です。主に「店舗や事務所などの、商業活動を目的とした土地」となります。

アパート・マンションのような住宅経営ができない代わりに、建物から発せられる音や光に関する制限が比較的緩く、多様なビジネスをはじめられるのです。

たとえば、カラオケボックス、パチンコ店、自動車教習所や倉庫のほか、オフィスビルや飲食店、ホテルや旅館などが該当します。

遊休地を活用せずに放置するデメリット

・固定資産税の支払いが発生する
土地は、所有しているだけで出費がかさむものです。まず、年に1回、固定資産税を支払う必要があります。さらに、区域によってはさらに都市計画税も上乗せされるのです。

・近隣住民から苦情がくる可能性がある
放置された土地は雑草が伸び放題のため、土地が廃れるスピードを早めます。

また、誰の目も行き届いていない土地は不法投棄の温床となることもあり、投棄を放置すればゴミから異臭が発生したり、害虫が発生するなどの被害も考えられます。

そうならないためには、オーナー自身が定期的に土地を管理するか、第三者に管理を任せる必要があり、少なからず管理費用が発生してしまうでしょう。

・土地の評価額が下がってしまう可能性がある
土地を放置している理由として、「自分でビジネスをするつもりはないが、将来的に土地の価値が上がるかもしれないから、とりあえずまだ所有しておこう」という人もいると思います。

確かに、都市開発によって土地の近くに新しい幹線道路や新幹線ができれば、土地の価値が上がるケースはゼロではありません。あるいは、一等地であれば後々価値が上がる可能性はあります。

しかし、そういったケースは非常にまれであり、多くの遊休地は価値が上がる可能性が低いと言っていいでしょう。

なぜなら、そもそも将来的に富を生んでくれるような土地であれば、遊休地にはならずに有効的に活用されていておかしくないからです。

遊休地でビジネスをする上での「方針」の決め方

遊休地でビジネスをする上での「方針」の決め方

遊休地でビジネスをする上での方針は、大きく3つあると言えます。

「一般的な活用方法を一通り検討したけど、目処が立たなかったという人」は1つ目を、「まだ何も検討しておらず、初めて活用をしようと思っている人」は、残りの2つを参考にしてみてください。

方針1「遊休地を売却して現金化する」

一通りの活用方法を検討したものの、どれも難しいということであれば、いっそのこと売却して現金化するのも手です。

固定資産税の支払いや管理の手間がなくなりますし、何よりまとまった現金を手に入れることができます。

相続を考慮した際、分割が難しい土地より現金のほうが相続しやすいこともメリットです。

方針2「遊休地を賃して、賃料を得る」

自分自身で何か事業を展開するのではなく、第三者に貸し出すことで賃料を得るという手段もあります。この方法なら、オーナーの労力を最小限に抑えつつ、安定した賃料を毎月得ることができます。

ちなみに、土地だけでなく、すでに建っている住宅やアパートを貸し出すのなら、税制面での軽減措置を受けられる可能性もあるのです。

第三者に貸し出すことで、オーナー自身が土地の利用を制限されることから、特例措置として固定資産税がある程度軽減されます。

方針3「用途変更をして活用方法を変える」

3つ目のポイントは、遊休地の「用途変更」をするということです。

用途を変更すれば、ビジネスの選択肢が広がります。たとえば、農地を用途変更し、賃貸住宅や宿泊施設を建てたり、その逆もしかりです。

ただし、区域によっては希望する用途に変更できないこともありますし、土地の状態によっては造成工事が必要で、予期せぬ出費が発生する場合もあるので注意してください。

遊休地を活用してビジネスをしたい!何ができる?

遊休地を活用してビジネスをしたい!何ができる?

一言に「遊休地」と言っても、立地や土地の形状、管理状態などによって特徴は様々です。
つまり、どのようなビジネスが向いているかという適性は、土地次第ということになります。

そのため、本章で紹介する活用案はあくまで「適性がある場合に限りオススメ」ということです。各活用案について、どのような遊休地が向いているかも解説しますので、参考にしてみてください。

駐車場経営

駐車場経営に向いている遊休地の特徴は以下です。

  • 一定以上の交通量が見込める
  • 狭小地や変形地である
  • 大型のオフィスビルや商業施設など、人が集まりやすい地域にある

駐車場経営は、アパート・マンション経営と比較して、初期費用を抑えやすく、維持費用も低めなのがポイントです。

収益面では賃貸住宅よりも劣りますが、その分管理の手間がかかりにくいというメリットがあります。

「活用方法を決めるにはまだ時間が必要」ということであれば、ひとまず駐車場にして、赤字を垂れ流す状態から脱却するのもありでしょう。

また、駐車場経営には月単位で賃料を得る「月極駐車場」と、利用時間ごとに課金される「コインパーキング」とがあります。どちらの方が需要があるかは、土地周辺を調査することである程度把握できるでしょう。

傾向としては、駐車場を完備していないアパート・マンション周辺では月極駐車場が、大型のオフィスビルや商業施設周辺ではコインパーキングの需要があります。

アパートやマンション経営

アパート・マンション経営に向いている遊休地の特徴は以下です。

  • 人口が増加中の地域
  • 最寄り駅から近い(徒歩10分以内が理想)
  • 各公共交通機関へのアクセスがよい

アパート・マンション経営のメリットとしては、まずは節税面です。

賃貸住宅がある土地は、特例措置として固定資産税が軽減されやすいですし、相続においても貸家があれば相続税評価額は下がりやすい傾向にあります。

一番のメリットは、やはり収入面でしょう。空室リスクを抱えることにはなりますが、うまくいけば長期的に安定した家賃収入を得ることができます。

ちなみに、おそらく遊休地であったと思われる狭小地かつ変形地にアパートを建てた事例がこちらです。

一級建築士デザイン事務所ビーフンデザイン

こちらの土地は、敷地面積が25.76坪と狭い上に、敷地の形状が三角形であり、さらに敷地と対面する道路との高低差が激しい、という特徴があります。

このように一見建築に不利と思われるような土地でも、アイデア次第で個性的かつ魅力的な物件を作れるという良い例でしょう。

貸農園

貸農園に向いているのはもちろん農地です。方法としては大きく2つあります。

・近隣の農家へ貸し出す
貸農園として貸し出す場合は、農業委員会や都道府県の知事による許可を得る必要があります。手続きは比較的簡単です。

許可が出れば、農地を必要としている農家へ貸し出し、賃料を得ることができます。

この方法であれば初期費用もかからず、オーナーが自分自身で管理をする必要もないため、ローリスクで手離れが良い活用方法といえるでしょう。

・市民農園として活用する
もう1つは、「市民農園」として活用するという方法です。

市民農園とは、農業を本職としない人々が主に農業体験の場として、非営利目的で野菜や果物、花などを育てるための農園のことを言います。

市民農園を開設することで、利用者から賃料を得るというやり方です。遊休土地を所有している個人が市民農園をはじめる場合、どの法律や方式が適用されるかで、開設方法が変わります。

  • 市民農園整備促進法
  • 特定農地貸付法
  • 農園利用方式

これらのうち、最もハードルが高いのが「市民農園整備促進法」に基づく開設です。

同法の場合、開設するには農機具を収納するための施設や休憩施設、その他トイレなどの附帯施設の設置が求められます。遊休土地を「とりあえず活用したい」という人にとっては、少々ハードルが高いといえるでしょう。

開設手続きの方法に関しても、適用される法律や方式によって異なるため、詳しくは農林水産省の資料を参考にしてみてください。

農林水産省「地方公共団体及び農業協同組合以外で農地を所有する者が開設する場合」

市民農園の特徴としては、「農業初心者には運営が難しい」ということがあります。

すでに苗や肥料、農具などを所有していて、かつ農業の知識があるという人でない限り、オーナー自身が運営するのは現実的ではないでしょう。

一定の利用者数が見込めれば、収益化は十分に可能ですが、一般的に利用料の相場が低い傾向にあるため、大きな利益は見込めません。「とりあえず遊休地として放置している状態から脱したい」という人にはオススメです。

商業施設の賃貸経営

商業施設に向いている土地の特徴は以下です。

  • 比較的人通りが多い
  • 自動車によるアクセスが見込める

土地の上に建物を造り、テナントを募集し、契約相手である企業から毎月賃料を得るというビジネスモデルになります。いわゆる「好立地」でなければ、基本的には成立しない活用方法です。

商業施設といってもその業態はさまざまで、飲食店やコンビニ、ドラッグストアやジム、医療施設など、立地や建物の規模によって業種の向き不向きは変わります。

ビジネスモデルとしては、大きく2種類です。

「月々の売上額に応じて賃料を得る方法」と、「毎月固定の賃料を得る方法」との2つになります。

商業施設を賃貸経営するメリットとしては、通常のアパート・マンションよりも賃料の水準が高いという点です。

ただし、その代わりに住宅の賃貸と違うのは、賃料を支払うテナント側の売上が、市場に左右されやすいというところです。テナント側の売上が低迷し、賃料を払えない状況になれば、契約満期前に契約解除を打診される可能性は十分にあります。

1部屋の賃料の額が大きな分、空室になった時のダメージが大きいのは、デメリットと言えるでしょう。

遊休地の活用でビジネスとして成功するには

遊休地の活用でビジネスとして成功するには

最後に、遊休地を活用してビジネスで成功するためのポイントについて解説します。

「遊休地となった原因」について理解する

遊休地には、それぞれ「遊休地となった原因」があります。

仮に、オーナー自身が土地活用に対して消極的だったとしても、その土地に収益を生み出せるポテンシャルがあるのなら、第三者から土地の売買・賃貸の打診があってもおかしくないでしょう。

しかし、そういったアプローチがないということは、遊休地には高い確率で「何らかの弱点がある」と考えられるのです。まずはその弱点をオーナー自身が理解することが、遊休地でビジネスを始めるうえでの第一歩と言えるでしょう。

例えば、極端に敷地面積が小さな狭小地であれば、いわゆる一般的な建物は建てにくいため、設計士に依頼してゼロから建物を設計する必要があるかもしれません。

あるいは、中心街から離れていて賃貸需要が見込めなければ、賃貸住宅や商業施設、オフィスビルの経営は難しいでしょう。

このように、所有している遊休地の弱点を理解した上で、できることとできないことを明確にすることが肝要です。

用途地域について理解しておく

「遊休地となった原因」と並んで重要なのが、「都市計画法」です。

都市計画法では、地域の特徴ごとに土地を「3つの区域」に分けており、さらに用途に応じて土地を「13の用途地域」に分けて管理しています。地域ごとに用途を限定することで、用途の混在を防ぐためです。

そのため、所有している遊休地がどの用途地域に属しているかによって、どのような建物を建てられるのか事情が異なるのです。以下、順番に「区域」と「用途地域」について紹介します。

・区域について

市街化区域:すでに市街地となっている地域や、今後も優先的に市街化を図るべきとされている地域。

市街化調整区域:市街化を抑制し、農地や山林などの保全を重視した地域。

非線引区域:市街化区域でもなく、市街化調整区域でもない地域。暫定的な位置付けであり、現状維持の対象となっています。

これら3つの区域のうち、とくに市街化区域には多くの人が行き交います。そのため、エリアごとに主たる用途を定めており、建物の種類や大きさに対する制限を設けているのです。

・用途地域について

用途地域には、住居系、商業系、工業系の3つのジャンルがあり、さらに細かく13種類の地域が定められています。

用途地域次第では、住宅を建ててはいけない地域や、商業施設を建ててはいけない地域もあるので、所有する遊休地がどの地域に属しているのか、しっかりとチェックしておきましょう。

詳しくは国土交通省の資料を確認してみてください。
https://www.mlit.go.jp/common/000234474.pdf

遊休地の活用でお悩みの方は近畿住宅流通へ 

ここまで解説してきたように、遊休地の活用は通常の土地活用と比べて難易度が高めと言えます。

そもそも遊休地と相性の良いビジネスの選択肢は多くないですし、きちんと収益化を目指すなら、土地の特性を生かした戦略をゼロから考える必要があるのです。

さらに、マーケティング面、建築面、法律面など、多様な知識がなければ、満足に事業計画を立てることすら難しいでしょう。

第三者に貸し出すだけならハードルは低いと思われるかもしれませんが、借り手となる企業との交渉や契約内容の考案、各自治体への確認作業や申請作業など、意外とやるべきことは多いのです。

だからこそ、遊休地の活用の際はぜひ弊社のような土地活用の専門業者を頼ってみてください。長年の経験と知識・ノウハウがありますので、土地の特性やオーナー様のご要望に沿って、適切なアドバイスやご提案が可能です。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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