「広い土地を所有しているけど、持て余している」
「広い土地にはどのような活用が向いているの?」
今回の記事では、このような悩みにお答えしていきます。広い土地を活用するメリットや、広い土地ならではの活用方法、田舎でもできる活用方法などを紹介します。参考にしてみてください。
広い土地を活用するメリットは?
こちらでは、広い土地を活用するメリットについて解説します。
- 広い土地を分割して売却できる
- 固定資産税や相続税
- 節税効果が期待できる
以上の3つのメリットについて、順番に説明していきます。
分割して土地の一部を売却できる
広い土地ならではの活用方法として、まずは「土地の分割」について説明します。通常、土地活用は所有している土地全体を活用することが多いです。しかし、広い土地の場合は、土地を分割して部分的に活用することができるのです。このように、土地を分割することを専門用語で「分筆(ぶんぴつ)」と言います。
「分割」と「分筆」は字面が似ているので混同しがちですが、厳密には異なるため、以下の説明を確認してください。
・分筆とは
分筆とは、1つの土地を登記簿上で複数の土地に分ける際に用いられる専門用語です。つまり、分けられた土地はそれぞれ登記簿上で別々の土地となります。ちなみに、元々土地は「筆(ひつ)」という単位でカウントされるため、「筆を分ける」という意味で分筆と呼ばれているのです。
・分割とは
分割とは、登記簿上は1つの土地のまま、建築基準法に則った土地の線引きを行う際に用いられる言葉です。たとえば、親の実家がある敷地内に、新たに子が住居を建てるケースなどです。
分割の場合、登記簿の変更手続きや分筆費用の負担がなくなりますが、その分、建物の適法性については自身でチェックする必要があります。具体的には、建物の容積率や建ぺい率、隣接する建物との距離や道路までの幅などです(ちなみに容積率や建ぺい率は、敷地面積に対する床面積の割合を指定する際に使われます)。
広い土地の一部を売却するには、原則として土地の分筆が必要となります。登記簿上で、土地の所有者を部分的に変更する必要があるためです。
また、分筆によって土地の一部を売却することはあっても、分筆によって一部を借地として活用することはあまり多くありません。なぜなら、土地の価値が下がる可能性があり、分筆には手間も費用もかかるため、メリットが少ないからです。そのため、土地の一部を借地にするのであれば、分筆ではなく分割によって、仮測量などで境界線を明確にするといいでしょう。
固定資産税の節税が期待できる
固定資産税の対策ができるというメリットもあります。固定資産税の支払いは、土地を所有しているだけで発生するため、土地を所有しているだけでは毎年赤字になります。そこで、活用によって固定資産税の支払い以上の利益を出して、黒字化します。
広い土地をうまく活用できれば、それだけ多くの利益を生み出すこともできるのでメリットとしては大きいでしょう。さらに、建てる建物が住宅であれば、より固定資産税の節税効果を期待できます。住宅が建っている土地は住宅用地とみなされるため、固定資産税の軽減措置が適用されることがあるのです。
住人は土地の所有者でも第三者でも問題なく、一定の条件を満たす住宅用地は固定資産税の軽減措置がなされます。軽減措置を受けるための具体的な条件は以下です。
用地の種類 | 固定資産税の課税標準 | 都市計画税の課税標準 |
一般住宅用地(住戸1戸につき200㎡を超える部分) | 3分の1 | 3分の1 |
小規模住宅用地(住居1戸につき200㎡以下の部分) | 6分の1 | 3分の2 |
このように、200㎡を境として固定資産税と都市計画税の課税標準が定められています。中には、こういった措置の存在を知らずに「古くて誰も住まないから」という理由で住宅を解体してしまい、固定資産税が高くなってから気づいて後悔したというケースもあるので、十分に注意してください。
相続税の節税が期待できる
土地に建物を建てることによる節税効果は、固定資産税だけでなく相続税も同様に期待できます。軽減措置の対象となる条件が固定資産税とは異なるため、詳しく紹介します。
・「貸家建付地」であれば、相続税の評価額が下がる
貸家建付地(かしやたてつけち)とは、所有している土地に貸家を建て、第三者に貸している状態の土地のことをいいます。具体的には、一軒家、共同住宅、アパート・マンションの他、商業施設やオフィスビルなども該当します。賃貸用の建物であれば、住居でもオフィスでも店舗でも問題ありません。
ただし、駐車場のように建物が建っていない場合は、原則として対象外となります。一部、賃貸用の建物と同じ敷地内にある駐車場は、建物と駐車場を一括りにして貸家建付地とするケースもあるようです。相続税の評価額が下がる理由としては、建物を貸していることによって、土地所有者による土地の利用が制限されるためです。
・小規模宅地の特例によって、相続税の評価額が下がる
もう1つのケースが、「小規模宅地の特例」に該当する場合です。被相続人の自宅や、事業用に建物を貸して賃料を得ていた土地は、それを相続する親族にとっても生活に直結する重要な資産です。
しかし、相続税の負担が大き過ぎて払えない場合、やむを得ずそれらの資産を売却することになるでしょう。残された収入源を失うことは、遺族にとっては由々しき事態です。そこで、一定の条件を満たしている宅地に関しては、相続税の評価額を大幅に下げて負担を軽減するという目的のもと、「小規模宅地等の特例」があるのです。
小規模宅地には以下の3つのタイプがあります。
⑴特定居住用宅地
被相続人の住宅が建っている土地で、一定の要件に該当する宅地を親族や配偶者が相続した場合、特定居住用宅地となり、「敷地面積330㎡までは課税価格が80%減額」が可能です。詳しい要件は以下の国税庁のサイトを確認してみてください。(※1)
※1:「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
⑵特定事業用宅地
被相続人が個人事業(不動産貸付事業以外)をおこなっていた場合の事業用の土地は特定事業用宅地となります。特定事業用宅地を相続した場合、「敷地面積400㎡までは課税価格が80%減額」が可能です。ただし、被相続人が事業を開始してから3年以内の場合は、特定事業用宅地には該当しません。
また、この特例を受けるには、相続の申告期限までに事業を継承し、継続していること、そしてその土地の所有者となっていることが条件となります。
⑶貸付事業用宅地
貸付事業用宅地とは、相続直前まで不動産貸付事業用に供されていた土地のことです。貸付事業とは、建物・土地を第三者に貸し出して賃料を得るもののことで、アパート・マンションなどの賃貸業、駐車場、店舗やオフィスビルの経営も該当します。
これらの貸付事業用地は、「敷地面積200㎡までは課税価格が50%減額」となります。ちなみに、特定事業用宅地と同様に、相続した時点で事業開始から3年以内の場合は、貸付事業用地とはみなされません。特例を受けるための条件も特定事業用宅地と同様で、相続の申告期限までに事業を継承・継続していること、かつその土地の所有権を持っていることが必要です。(※2)
※2:「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2015/taxanswer/sozoku/4124.htm
広い土地は何の活用がおすすめ?
こちらでは、広い土地ならではの活用方法を3つ紹介します。
駐車場経営
1つ目が駐車場経営です。少ない初期投資で始めることができ、管理の手間も少ないため、土地活用初心者の方にはオススメの活用方法と言えます。普通の駐車場と比べて敷地面積が広い場合は、「ゲート式」による運営が向いているでしょう。ゲート式とは、出入り口にゲートが設置された駐車場の管理システムのことです。
広めのコインパーキングによく用いられており、入庫や出庫の管理や精算を自動でおこなうことができます。駐車場の経営スタイルとしては、以下の3つのタイプがあります。
【土地のみを貸すタイプ】
オーナーの負担が最も少ないのがこのタイプです。駐車場を運営する業者に対し、更地の状態で土地を貸して毎月固定の賃料を得ることがでます。土地の整備や設備の導入はすべて業者の負担でおこなうため、初期投資ゼロで活用スタート可能です。
駐車場の運営や管理も業者がおこなうため、極端に言えば、オーナー自身は何もせずに安定した収益を確保できます。他の2つのタイプと比べて費用や手間の負担が少ない分、収益性は最も低くなります。土地を貸すだけなので、建物を貸すよりも賃料は低くなり、駐車場の売上がよくてもオーナーの収入は変わらないのがデメリットとも言えるでしょう。
【建物を貸すタイプ】
このタイプは、オーナー側が土地の整備や建物の建築をおこない、建物を駐車場の運営会社に貸すことで、毎月賃料として収益を得る方法です。専用の設備導入などは、すべて運営会社がおこないます。オーナー側が初期投資の負担をしている分、土地のみを貸すタイプと比べて、賃料を高く設定しやすいのがメリットです。
デメリットとしては、アスファルト舗装や建物の建築費用が発生する点です。土地のみを貸す場合と違い、それなりの費用がかかるため、自身でしっかり収支のシミュレーションをしたり、金融機関からの融資を引いたりする必要があるでしょう。
【管理のみを委託するタイプ】
収益性が最も高くなるのが管理のみを委託するタイプです。こちらは、オーナー側が土地の整備や建物の建設、専用設備の導入などをすべておこない、
駐車場の管理業務のみを運営会社に委託するという方法です。
多くの初期投資を必要とするタイプですが、稼働状況によっては高い収益を得られる可能性が高いでしょう。しかし、同時に浮き沈みの影響を受けやすいといったデメリットもあります。他の2つのタイプと違い、オーナー自身が事業の手綱を握ることになるので、経営者としての能力が一番求められる方法とも言えるでしょう。
ショールームや展示場
暫定的な活用方法としては、「ショールーム」や「展示場」として活用するという手段もあります。
主にハウスメーカーと契約し、土地を貸して賃料を得るのです。メーカーは借りた土地にモデルハウスを建設し、展示場として活用します。建物の造成・撤去工事の費用はすべてメーカーが負担し、運営・管理もメーカー側がおこなう場合が多いです。ちなみにモデルハウスは住居ではないため、借地権や居住権等を巡るトラブルも発生しにくいでしょう。
契約終了時には更地の状態で土地が返還されるため、次の活用にも着手しやすいといったメリットがあります。短期・中期での暫定的な活用方法としては非常に有効です。。このような活用方法は、準備期間は2〜3ヶ月、契約期間が5年以上となるケースが多いです。参考までに、以下がショールームや展示場を運営するまでの流れとなりますので、確認してみてください。
【ショールーム・展示場開設までの流れ】
- メーカーから活用方法について提案を受ける
- 土地を貸し出すにあたり、土地一時使用の承諾書を書く
- 展示場の企画、準備(メーカー側がおこないます)
- 「一時使用のための土地賃貸借契約」を結ぶ
- 土地の造成工事・建物の建築工事
- 展示場のオープン
一時使用目的の賃貸借契約とは、借主が一時的な目的で借りる際に契約できる形式の賃貸借契約です。一時使用目的の借地権については、借地借家法の第25条で確認できます。(※3)
※3:「e-Gov法令検索 借地借家法」(デジタル庁)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000090
土地貸し
土地貸しとしての活用は、スーパーやホームセンターなどが多いです。売り場面積の大きな小売業などは、出店先として基本的に広い土地を求める傾向があります。そういったテナントを招致して、土地貸しをおこなうのも手です。一般的に建物の建設費用はテナント側が負担するため、オーナー側が初期投資をする必要はない場合が多いです。
つまり、オーナーは「土地の賃料=地代」のみで収益を得ることになります。建物を建てて貸し出すよりは収益性が低くなりますが、知名度が高く安定した集客力をもつテナントと契約できれば、長期にわたって安定した収益を得ることができます。
また、契約満期には更地の状態で土地が返還されるため、原状回復を巡ってトラブルが発生することもありません。
土地貸しについては、「借地権」の種類によってメリットやデメリットが異なるため、詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。
広い土地の多い田舎での活用方法について紹介
こちらでは、比較的広い土地が多い田舎で活用方法について解説します。
貸し農園
田舎で遊休地となっていることが多い農地は、貸し農園として活用ができます。第三者に農地を貸し出し、賃料や利用料を得るというビジネスモデルです。貸し農園には以下の3つの方法があります。
・方法1:近隣の農家に貸し出す
最も手軽に活用できる方法が、農家への貸し出しです。行政とのやりとりをする必要がなく、各自治体や農業委員会から許可が得られれば、すぐにでも始められます。
・方法2:専門業者と契約し、市民農園を運営する
市民農園とは、主に子供の体験学習の場や高齢者の健康や生きがいのために、自家用の野菜や植物の栽培などを通して、地域住民同士が交流できる場を提供するものです。
専門業者と契約して農地を貸し出すため、農園の整備や清掃作業、面倒な管理業務はすべて業者がおこなってくれます。
・方法3:観光客向けの体験型農園を運営する
業者を介さずに、自ら観光客向けの体験型農園を運営するという方法もあります。
いちご狩りやぶどう狩り、じゃがいも掘りや玉ねぎ掘りなど、収穫体験をできる場を提供し、利用料を得るというものです。旅行ツアーを企画する企業などと提携すれば、安定した収益を得られる可能性があります。
農地を活用するデメリットとしては、「税制面での優遇措置がない」という点があります。貸家建付地でもなく、住宅用地でもないため、固定資産税や相続税の節税効果は期待できないでしょう。
太陽光発電
広い敷地を有効活用するという点では、太陽光発電もオススメです。
太陽光パネルによって、太陽光を電気エネルギーに変換する発電方式で、発電した電力を電力会社に買い取ってもらえるのです。
一般住宅では屋根の上にパネルを設置されていることが多いですが、周囲に太陽光を遮るものがなければ、広い土地を最大限活用して太陽光発電を運営できます。
また、一般住宅の太陽光発電より発電量が多い(容量10kw以上)発電システムは、産業用太陽光発電に分類されます。
発電に必要な敷地面積は「1kwあたり4.5坪程度」であるため、45坪以上の土地を活用する場合は、産業用太陽光発電に該当するでしょう。
産業用太陽光発電は、別名全量買取型太陽光発電とも呼ばれていて、基本的に発電した電気はすべて売却に回すことになっています。
それを取り締まっているのが「固定価格買取制度(FIT)」という法律で、20年間固定価格で電力会社に電気を買い取ってもらえるのです。具体的な買取価格はこちらのサイトを参考にしてください。(※4)
※4:「固定価格買取制度」(経済産業省/資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html
以下、太陽光発電をおこなうメリットとデメリットについて解説します。
【太陽光発電のメリット】
- ローリスクで安定した収益を期待できる
事業の安定性という意味では、アパート・マンションの賃貸経営よりも高いといえます。部屋が空室になって、収益が極端に減るようなリスクはありません。
システムの定期点検や簡単な清掃作業は必要ですが、基本的には一度システムを設置すれば、あとは手を動かさずとも発電し続けてくれるのがメリットでしょう。
天候の変化の影響は避けられませんが、日照量が年間を通してそこまで大きく変わるわけではありません。
また、売電価格が20年間固定であり、太陽光パネルの平均寿命も25年〜30年と言われていますので、安定した収益を狙いやすい活用方法といえるでしょう。(※5)
※5:「2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題」(経済産業省 資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/taiyoukouhaiki.html
2.初期費用が少ない
アパート・マンションのように大規模な建物を建てるわけではないため、初期費用は比較的少なくてすみます。
集合住宅の建設に数千万円〜数億円の費用がかかるのに対し、太陽光発電のシステム導入費は数百万円〜1千万円台程度です。
なお、この初期費用はオーナー自身がシステムを導入した場合の話であるため、専門業者に土地を貸し出し、完全に委託するのであれば、初期費用ゼロで活用をスタートすることもできます。
3.維持費がほとんどかからない
アパート・マンションや商業施設などの場合、定期的な建物の修繕は避けられません。時には巨額の予算を割いてリノベーションをすることもあります。
つまり、建物の賃貸業には相応の維持費がかかるのです。
しかし、それに比べて太陽光発電は圧倒的に維持費が少ないといえます。主な出費は設備の定期点検や、発電効率を保つための清掃・除草くらいで、施工会社によっては無料で定期点検をしてくれるところもあるのでそこもメリットの1つでしょう。
【太陽光発電のデメリット】
1.月ごとの売上が天候に左右される
太陽光発電は太陽光をエネルギーに換える仕組みですので、雨や雪など、天候の変化の影響はダイレクトに受けることになります。
年間の日照量自体が大きく変わる可能性は低いですが、やはり月ごとに発電量のばらつきは出てしまうでしょう。それにより、毎月売上の浮き沈みが激しくなる可能性があります。
2.節税効果がない
太陽光発電は、建築物とはみなされないため、固定資産税の軽減措置がありません。同様に、相続税の評価額が下がることもとくになく、節税目的でおこなうには不向きな活用方法といえます。
太陽光発電は建築物ではないため、アパート・マンションを建てたときのような固定資産税の軽減措置や、相続税の評価減の効果を得ることはできません。節税効果を得たいのであれば、太陽光発電は避けることをオススメします。
3.固定価格が安くなっているため、年々利回りが低下している
まず、FITによる電力の買取価格が年々低下しています。収益性が下がるのでそれだけでもデメリットと言えますが、一方でシステムの導入費用はさほど安くなっていません。
つまり、初期投資の金額は変わらないのにもかかわらず、収益性が下がることによって、年々利回りが低くなっているということです。(※6)
※6:「固定価格買取制度」(経済産業省 資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html
木材などの資材置き場
広い土地の有効的な活用方法として、「資材置き場」があります。土地の近隣で工事をしている業者に対して、木材などの資材を保管する場所を貸し出すのです。
オーナー側が何か建物を建てたり、土地を整備する必要はないため、次のテナントを見つけるまでの「つなぎ」として活用するのに向いています。
実際に弊社でも、現在所有している土地の一部を資材置き場として貸し出しています。
【資材置き場のメリット】
1.初期投資が少なくて済む
資材置き場は資材の保管が主な用途なので、特に倉庫を建てる必要がなければ、初期投資はほぼかからないと言っていいでしょう。オーナー側は特に何もせず、土地をただ貸すだけで賃料を得られます。
2.土地の整地が不要
資材置き場の場合、明らかな変形地や狭小地でもない限り、土地の整備は基本的に不要です。
3.用途変更が容易である
契約時に「退去時に借主が原状回復をする」と定めておけば、期間満了時に土地は元の更地の状態で返還されます。次の活用に向けて、用途変更がしやすい点も、資材置き場の大きなメリットです。
4.契約期間中は土地の管理を借主に任せられる
完全な空き地である場合、定期的な草刈りや違法投棄のチェックなど、最低限の管理が必要なケースがあります。土地の場所がオーナーの居住地と離れていると、これが意外と負担になるでしょう。
その点、資材置き場として貸している間は、借主が管理をすることになります。賃料が得られる上、一時的に管理作業から解放されるのです。
【資材置き場のデメリット】
1.収益性が低い
資材置き場は、建物を貸し出したり、コインパーキングやトランクルームのように専用設備を貸し出すわけではありません。そのため、一般的に賃料は安いです。
あくまで一時的な活用方法としては優れていますが、収益性の高い活用を求めている方にはオススメできません。
2.固定資産税や都市計画税の軽減措置がない
駐車場と同様に、資材置き場には土地の上に建物がないため、固定資産税や都市計画税の軽減措置がありません。
3.相続税の節税効果もない
貸家建付地でもなければ、小規模宅地でもないため、相続税の評価額が下がることもありません。そのため、資材置き場として活用するなら、そもそも土地の価値が高くない場所でおこなうのが妥当と言えます。
4.トラブルが発生する可能性がある
資材置き場では、資材の出し入れがおこなわれるため、少なからず騒音が発生したり、木屑や粉塵が舞ったりする可能性があります。土地周辺に住宅地があると、それがクレームにつながり、トラブルに発展することがあるのです。
借主に対して配慮をもった利用を心がけてもらうのはもちろん、できれば事前に近隣住民への挨拶まわりもしておくと良いでしょう。
近年流行しているキャンプ場としての活用もおすすめ
一般社団法人日本オートキャンプ協会(国土交通省の認可団体)が毎年発行している「オートキャンプ白書2021」によると、ここ数年はキャンプ利用者が増加傾向にあります。
2020年は、新型コロナウイルス感染症への対策の一環として、臨時休業せざるを得ないキャンプ場が多かったですが、それを除けば、過去9年間利用者数が増え続けているのです。
昨今のトレンドという意味では、「キャンプ場経営」も広い土地を活用する選択肢の1つと言えます。
キャンプ場を始めるためには?
キャンプ場を始めるには、「旅館業や飲食店業の許可が必要なのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、一言にキャンプ場と言っても様々な形態があり、やり方次第ではそれらの許可を取ることなく、キャンプ場を始めることができます。利用者がテントを建てて宿泊するタイプのものであれば、旅館業法の許可が必要ない場合もあります(宿泊施設を建てる場合は必ず旅館業法の許可が必要です)。
同様に、運営側が食事を提供せず、利用者が調理するために焼き場を提供するのであれば、
飲食店業の許可等も必要ないケースも多いのです。
このように、営業形態にこだわらなければ、比較的始めやすい活用方法といえるでしょう。
周りに自然が溢れている方が利用者にも好まれやすいので、田舎にある土地の方がより適性はあると言えます。
キャンプ場開設のための許可申請等
以下、ケース別にキャンプ場を開設のための許可申請等について紹介します。
・林地を開発するなら
キャンプ場をつくるために、1ヘクタール以上の森林を伐採するなら、知事による許可が必要となります。
また、1ヘクタール以下の森林を伐採する場合も、各市町村の長に対し、小規模林地開発届けや造林報告届など、複数の届け出が必要ですので押さえておきましょう。伐採前に必ず役所の窓口に相談するようにしてください。
・宿泊施設を建てるなら
それなりの規模でキャンプ場を運営するのであれば、宿泊施設やスタッフのための管理棟などが必要となります。キャンプ場に建物を建てる場合は、役所による建築確認が必須ですので、必ず事前に相談するようにしましょう。
また、前述のように、宿泊施設を設置するのであれば、「旅館業営業許可」が必要となります。建物の設計図等を持参して、事前に保健所や保健福祉事務所に相談するようにしましょう。
・食材を提供するなら
キャンプ場の中には、バーベキュー用の食材を提供してくれる施設もあります。この場合は、飲食店業の許可が必要です。
・バーベキュー用の設備を用意するなら
バーベキュー用に火を使う設備(グリルやコンロなど)を提供するのであれば、消防署への届け出が必要です。ただし、利用者自身が焼き場で火起こしをして、自分で調理をする場合は不要となります。
・酒類を提供するなら
食材だけでなく、酒類の販売も行う場合は酒類販売業の免許が必要となります。また、販売だけでなく「コップに注いで提供する」などのサービスを行う場合も、やはり飲食店営業許可が必要です。
さらに、深夜0時以降に同様のサービスを行う場合は、深夜酒類提供飲食店営業届けが必要となるので注意しましょう。
広い土地の活用をする上での注意点
ここまで様々な活用方法を紹介してきましたが、一言に広い土地と言っても、土地の特徴や立地、地域性などによって、各活用方法の適性は異なります。
そこで、こちらでは広い土地を活用する上での注意点について解説していきます。
用途地域を確認する
土地活用に着手する前に、確認が必要な最重要項目が「用途地域」です。用途地域とは、同じ地域内で用途の混在を防ぐために、用途や目的ごとに全13種類に分割された地域のことです。
地域によって建ててはいけない建物があったり、建物の高さや面積に制限が設けられていたりするので、土地活用をする前に必ずチェックしておく必要があります。
全国の土地の用途地域に関する情報は、国土交通省のサイトで確認ができます。(※7)
※7:「用途地域データ」(国土交通省)https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-A29.html
建ぺい率や容積率を確認する
前述の用途地域ごとに細かく定められているのが、建ぺい率や容積率です。新たに建物を建設する際は、用途地域ごとに定められた建ぺい率や容積率を守って設計する必要があります。
・建ぺい率
建ぺい率とは、敷地面積に対する建物の建築面積の割合のことです。建物の建築面積とは、建物を真上から見たときに建物の表面積が占めているエリアを指します。式で表すと以下のようになります。
建ぺい率=建物面積÷敷地面積×100
たとえば、敷地面積が100㎡であり、「建ぺい率は50%以下」という制限がある場合、建物面積は50㎡以下にしなければならないということです。
・容積率
容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合のことです。延べ床面積とは、建物内の各階の床面積の合計を指します。式で表すと以下のようになります。
容積率=延べ床面積÷敷地面積×100
たとえば、敷地面積が100㎡であり、「容積率は80%以下」という制限がある場合、延べ床面積を80㎡以下にしなければなりません。
2階建の建物であれば、1階と2階の床面積を合計して80㎡以下になればいいので、「1階の床面積が50㎡、2階の床面積が30㎡」「1階の床面積が40㎡、2階の床面積も40㎡」などのパターンが考えられます。
ニーズを把握する
駐車場経営、貸し農園、資材置き場など、様々な活用方法を紹介しましたが、その活用方法を選択するにしても、ニーズがなければ事業は成立しません。
たとえば、所有している土地が駐車場に向いているとしても、すでに近隣で競合がひしめき合うような状況であれば、駐車場のニーズはないかもしれません。
また「日中のニーズは少ないが、深夜のニーズは高い」という場合もあるでしょう。そういった場合は、日中の料金を安く設定して集客力を高め、ニーズのある夜は料金を高く設定して収益性を高める、といった施策が必要になってくるでしょう。
このように、駐車場1つとっても、ニーズの有無やニーズ程度は変わるため、的確にニーズを見極めて、ビジネスモデルを構築する必要があります。オーナー自身がどのような活用をしたいかも大事ですが、それ以上にその活用によって生まれる事業の需要を、徹底的に把握しておきましょう。
広い土地の活用は選択肢が豊富なので悩んだらプロに相談
最後に、広い土地を活用する上で、オススメの相談先を紹介していきます。
相談できる業者
土地活用の相談先は、オーナーの知識レベルや状況次第で変わってきます。
用途地域や市場調査などの下調べが済んでいて、自身で事業計画を立てられる人は、最初から住宅メーカーや工務店に相談するのもオススメです。「あとは金融機関からの融資さえおりれば活用を始められる」という人は、金融機関に融資の相談をすると良いでしょう。
まだほとんど何も決まっていないという人や、事業をするか、それとも売却するかなどまだ何も決まっていない人もいるでしょう。そういった人は、土地活用の専門業者に相談することをオススメします。当サイトを運営している近畿住宅流通は、全国からご相談を受け付けています。一度お問い合わせください。
以下、相談内容ごとに相談先をまとめたので参考にしてみてください。
相談内容 | 相談先 |
土地活用の必要性など | ファイナンシャルプランナー |
融資について | 金融機関 |
売却について | 売買を専門とする不動産会社 |
建築について | 工務店、住宅メーカー |
節税について | 土地活用に詳しい税理士 |
土地活用全般 | 専門業者、コンサルタント |
近畿住宅流通でできること
土地活用を成功させるには、
- どのような事業にいくらの投資をすれば、何年で回収できるかという投資家としてのスキル
- どのようなビジネスモデルを構築するか、また要所要所でどのような経営判断を下すかという経営者としてのスキル
- 資金調達はどのようにおこなうか、追加投資はすべきかなどの財務としてのスキル
など、様々なスキルが必要となります。
知識面においても、不動産業界、建築業界、税制面など、幅広い知識が求められます。世の中のニーズやトレンドを敏感に察知しながら、臨機応変に対応する能力も必要でしょう。
そのため、過去に自身でビジネスを経営したことがない個人オーナーにとっては、土地活用で成果をあげることはハードルは高めでしょう。
とくに、広い土地は活用の選択肢も多いため、所有している土地にとって何が適切な活用方法なのか答えを出すだけでも苦労します。
弊社は昭和63年の創業以降土地活用一筋で取り組んできました。賃貸住宅、店舗、商業施設、ガソリンスタンド、医療モール、オフィスビル、宿泊施設など、現在も多くの土地活用に取り組んでおり、広い土地での活用事例も多くあります。数多くの実績と独自のノウハウをもとに、活用面、財務面、資金調達面など、総合的なアドバイスが可能です。土地活用に関してお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。