今回の記事は、東京都で土地活用をしたい方を対象に、オススメの活用方法やエリアごとの賃料相場、成功のポイントなどを解説します。東京都に土地を所有している方は、参考にしてみてください。
東京でおすすめの土地活用
東京都は、人口1,398万人を擁する世界有数の大都市です。コロナ禍の影響で26年ぶりに人口が微減したものの、今でも巨大な経済圏であることに変わりはありません。
都内総生産は100兆円以上で(平成30年度)、オランダの国内総生産に匹敵することもあります。交通網が整備され、治安が良く、衛生的であるため、世界からの評価も高いです。
そんな東京でオススメの土地活用について、
- 都心部
- 住宅地
- 狭い土地
- 郊外
の4つに分けて解説していきます。
都心部での土地活用
東京の都心部における活発な経済活動を支えているのが、インフラ環境です。たとえば、幅広いエリアに電気を供給可能な「配電システム」はその1つです。送配電網は全長40万kmほどあり、大規模な災害時以外はほとんど停電することがないと言われています。
また、モノや人を運ぶ「鉄道」や「道路」も充実しています。羽田空港から鉄道やバスで30分圏内のところに、品川、新宿、渋谷、池袋、東京などの主要な駅があり、交通の便はかなり良いと言えるでしょう。
このような特徴をもつ都心部では、以下のような土地活用がおすすめです。
東京の都心部での土地活用
- オフィスビルや貸店舗
- テナント兼賃貸住宅
- ホテル経営
- コインパーキング
それぞれの活用方法のメリット、デメリットについて説明します。
・オフィスビルや貸し店舗
東京には、高いセキュリティ機能をもったオフィスビルが数多くあります。
万が一災害が起きたとしても、24時間365日ビジネスを続けられるように、高度な耐震機能や自立型発電機能などを備えているのです。
さらに、東京は交通の利便性も高いです。JRや私鉄の鉄道網、13路線の地下鉄が張り巡らされており、容易に都内の移動ができます。
ビジネスをおこなうには十分すぎる環境が整っており、国内で東京都が最も事業所数が多いのも納得です(※1)。
とくに、中央区、港区、千代田区、渋谷区、新宿区などのエリアは、オフィス街としてのイメージが定着している印象があります。
新型コロナ感染症の影響で、地方に本社を移す企業も登場しましたが、依然として、東京を本拠地とする企業は多いです。オフィスビルや貸し店舗の需要は、今後も継続する可能性が高いでしょう。
・メリット
オフィスビルや貸し店舗を経営するメリットとしては、賃貸住宅と比べて、高い賃料を設定しやすいことがあげられます。
とくに東京は、他県と比べて家賃相場が高めですので、好立地の物件であれば、大きな収益を生める可能性があります。
・デメリット
最大のデメリットは、初期投資の負担が大きいということでしょう。
オフィスビルや店舗は、建物の大きさや構造次第で、建築費がかなり高額になります。東京の都心部は地価が高いので、土地の取得費用も基本的には高額です。
また、1戸の賃料が高い分、空室時の損失が大きくなるのも懸念点です。敷金を多めに請求するなど、余裕をもった資金繰りが求められるでしょう。
さらに東京では、エリアごとに地価の傾向が異なる点にも注意が必要です。
たとえば、中央区は2000年以降右肩上がりで地価が高騰してきましたが、同時期に、八王子市は緩やかに地価が下落し続けています(※2)。
このように、同じ東京都内にある土地でも、エリアによって地価傾向が全く異なるのです。
オフィスビルや店舗を構える際は、エリアごとに地価傾向や人口動態を分析するなど、ミクロな視点が重要と言えるでしょう。
※1:「地価公示価格」(東京都財務局)https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/kijunchi/chikakouji.html
※2:「都道府県別の事業所数」(経済産業省)https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syougyo/result-2/h16/pdf/niji/richi5.pdf
・テナント兼賃貸住宅
「テナント兼賃貸住宅」という活用方法もあります。建物の1階部分をテナントとして貸し出し、2階以上を賃貸住宅として貸し出すという、ハイブリッド型の活用方法です。
一般的に、賃貸住宅の低層階は日当たりや景観が悪い傾向があります。防犯対策にも限界があるので、上層階と比べて条件が悪いと思われがちです。そのため、上層階と同等の家賃では入居者がつきにくいのです。
そこで、「賃貸住宅として不人気になりがちな1階を、テナントとして貸し出す」というのが、「テナント兼賃貸住宅」という活用方法になります。
・メリット
「テナントの募集がしやすく、賃料を高く設定しやすい」のがメリットになります。
募集がしやすい理由として、低層階は通行人の目に触れやすいため、新規顧客の流入を期待できるという利点があります。広告費をかけなくても、ある程度まとまった人数に対して、店舗の存在をPRすることが可能です。
飲食店やコンビニなどであれば、通行人だけでなく、上層階の住民に対しても効果的に宣伝できるでしょう。
このように、テナント側にとってメリットが大きい物件ですので、少々高めの家賃設定でも、納得して入居してもらえる可能性はあるでしょう。
・デメリット
デメリットとしては、飲食店がテナントになった場合、匂いや騒音、マナーの悪い行列客などに対して、上層階の住民から苦情がくる可能性があります。
飲食店がテナントとして入る際は、そういったトラブルが起こらないよう、事業内容をしっかり確認したり、利用方法を徹底させたりする必要があるでしょう。
・ホテル経営
続いて紹介するのは、ホテル経営です。
新型コロナウィルス感染症の影響で、海外からの客足が少ない状況下では、小規模なホテルや宿泊施設の撤退は続いていくと思います。
一方で、需要の回復を見越して、続々と新しいホテルが建設されている現状もあります。
東京ではアパホテルやホテルリブマックス、東横イン、リッチモンドホテル、ラビスタ東京ベイ、ブルガリホテル東京など、多くのホテルが2022年に開業予定です。
中には「インバウンドが回復していないのに大丈夫なのか?」と思う人もいるかもしれません。しかし、観光庁の過去の統計をみる限り、東京を訪れる観光客のうち、外国人の割合は2割以下です。
つまり、国内の需要が回復すれば、ホテル経営が成功する可能性はまだ十分あると言えます。
具体的に、ホテル経営をする方法は大きく2つあります。
1つは、「建物を建てて、ホテル事業者に貸し出す方法」です。収益性を最大限に高めるならこの方法が良いですが、巨額の初期投資を必要とします。
立地や部屋数によって見積りは変わりますが、少なくとも数億円の建設費用がかかるでしょう。金銭的なリスクが大きいので、入念な市場調査や事業計画が欠かせません。
もう1つの方法が、「土地のみをホテル事業者に貸し出す方法」です。
この方法の場合、建物の建設はホテル事業者がおこなうため、オーナーが大きな金銭的リスクを背負う必要はありません。
ホテル経営も事業者がおこなうため、実務的な負担はほぼないと言えます。建物を貸すより収益性は下がりますが、安定性を重視する方にはオススメです。
・メリット
ホテル経営のメリットは、立地やコンセプトが観光需要やビジネス需要にマッチすると、利用者が増え、長期的に安定した収益につながるということです。
東京は、観光もビジネスも共に需要が高めです。とくに観光は、国内需要が回復すれば大きな集客を見込めるでしょう。
また、副次的なメリットとして「相続税の節税効果」があげられます。
現金のまま相続をすると、相続額に対してそのまま税率がかけられますが、不動産で相続をすると、固定資産税評価額をもとに税額が計算されます。
固定資産税評価額は、不動産の取得金額の7〜8割程度になることが多く、現金で相続するよりも納税額が軽減されるのです。
・デメリット
一般的に、ホテルの建設には数億円単位の建設費用がかかります。
金融機関から巨額の融資を受けることで建設費用をまかない、時間をかけてローンを返済していくことになります。それとは別に土地の取得費用もかかりますが、土地は建物のようにローンを利用することが原則として難しいです。
自己資金に頼るのが通例ですが、東京は地価が高いため、ホテルを建設できるような広い土地を取得するには、それだけで億単位の費用がかかるでしょう。
そのため、ある程度自己資金に余裕がないと、ホテル業界への参入は難しいといえます。
初期投資が必要なのは、土地や建物だけではありません。競合との差別化を図るためのアイデアの実現にもコストがかかります。
たとえば、朝ご飯のビュッフェに力を入れるのであれば、仕入れに大きなコストを要するかもしれません。睡眠環境で差別化を図るのであれば、枕やベッドなどの寝具にコストを割く必要があるでしょう。
また、仮にこのような資金的な条件をクリアできたとしても、全く未経験の人間が急に成功できるほどホテル経営は甘くありません。
明確なコンセプト、適切な価格設定、コストカットの細かな戦略、SEO対策や広告戦略、日々の売り上げデータの分析や社員教育など、膨大なタスクを抱えることになります。
ホテル経営未経験の人がこのようなタスクを自分で処理したり、第三者に采配するのはあまり現実的とは言えないでしょう。経験的にも金銭的にも、未経験者が取り組むには、ホテル経営は非常にハードルが高いと言えます。
そのため、もしローリスクな活用を望むのであれば、自分でホテル経営をすることは避け、
サブリース形式や定期借地方式をとり、専門業者に経営を任せることをオススメします。
収益性は下がりますが、初期投資や経営の重圧を背負うことなく、毎月安定した地代を得ることが可能です。
・コインパーキング
東京都内に住む人の自動車の所有率は、他県と比べてかなり低い方です。
しかし、だからと言って、コインパーキングの需要がないということではありません。東京都内でも人が集まるエリアには、多くのコインパーキングが存在します。
コインパーキングを始める方法としては、大きく2つあります。
1つは「自営タイプ」です。オーナー自身が専用設備を導入して運営をします。もう1つは「土地貸しタイプ」で、専門業者に土地のみを貸し、地代を受け取るという方法です。
極力初期費用をかけず、手離れのよい活用をするのなら、土地貸しタイプがオススメです。専用設備の導入やコインパーキングの経営も、すべて専門業者がおこなってくれます。
都心に土地を持っているが、金銭的なリスクは避けたいという方、建物を建てられるほどの敷地面積がないという方は、ぜひコインパーキングを検討してみてください。
・メリット
コインパーキングのメリットは、初期投資ゼロでも始められるという点です。
自分自身で専用機械を購入し、事業を運営することもできますが、金銭的な負担や運営の労力を考慮すれば、専門の運営会社に一括借上げをしてもらうのが妥当と言えます。
そうすれば、土地を貸すだけでいいので、初期投資や運営の負担を負うことなく、安定した賃貸収入を得ることができます。
・デメリット
コインパーキングは、どこでも勝手に始められるわけではありません。
立地は好条件でも、安全性に問題があれば警察から交通規制をされる可能性もあります。たとえば、交通量の多い交差点近辺に、土地の出入り口があるケースなどです。
また、すでにコインパーキングが供給過多となっているエリアでは、最終的に激しい価格競争に陥る可能性があります。事前にしっかり競合をチェックしておきましょう。
住宅地での土地活用
東京都は、全国で最もオフィスや事業所が多い都市であり、住宅地には多くの従業員が暮らしています。
そんな東京の住宅地では、以下の活用方法が考えられます。
東京の住宅地での土地活用方法
- マンションやアパートなどの賃貸住宅
- 戸建賃貸
- 資産買い替え
- 店舗運営
それぞれの活用方法のメリット・デメリットについて見てみましょう。
・アパート・マンションなどの賃貸住宅
土地活用の中でも、メジャーな活用の1つと言えるのが「アパート・マンション経営」です。
そもそも賃貸需要の高い都市なので、好立地な場所で賃貸経営ができれば、長期的に安定した収益を得られる可能性があります。
以下、東京でアパート・マンション経営をおこなう場合のメリットとデメリットをまとめたので、参考にしてみてください。
・メリット
・地価が下落するリスクが低い
新型コロナウィルス感染症が蔓延するまで、東京都の住宅地の地価は、8年間で14.5%も上昇していました(※3)。
郊外にある不便な土地の地価は下落傾向にありますが、一方で千代田区や港区、中央区などを中心として地価が上昇し続けています。
このようなデータをもとに、きちんとエリア選定をおこなえば、地価が下落するリスクを避けやすくなるでしょう。
・家賃が下落するリスクが低い
賃貸住宅の家賃が下落する主な原因として、「建物の経年劣化」と「周辺地域の賃貸需要の低下」があげられます。
このうち、経年劣化はある程度避けられないですが、賃貸需要の低下に関しては、エリア選定によってリスクを低減することが可能です。
とくに東京都は、全体的に賃貸需要を獲得しやすいので、人口が減少傾向にある他県と比べて家賃下落は起きにくいと言えるでしょう。
・売却しやすい
東京都の不動産は、資産価値のうち地価の占める割合が大きく、金融機関からの評価を得やすいと言われています。
購入希望者の母数が多く、過去の事例も多いことから、流動性が高くて売却しやすいのです。地方にある不動産と比べて、比較的現金化しやすいという特徴があります。
・節税効果がある
アパート・マンション経営の副次的なメリットとして、「節税効果」があります。固定資産税や都市計画税、相続税の節税対策として有効です。
※3:「東京都地価公示」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html
・デメリット
・エリアごとに特徴や傾向が異なる
東京都全体として、人口や地価は上昇傾向にありますが、厳密にはエリアごとに特徴や傾向が異なります。
たとえば、23区のうち最も地価の高い中央区の地価平均は、2020年1月時点で552万5032円/mでした。一方で、最も地価が低い葛飾区の平均は、37万8310円/m2です。同じ東京都内でも、地価に大きな開きがあることがわかります(※4)。
また、人口の割合もエリアごとに偏りが見られます。
たとえば、大企業のオフィスが多い渋谷区、港区、中央区などは人口が少なく、世田谷区や杉並区など、中心街へのアクセスの良さと賃料の折り合いをつけやすいエリアは、人口が多い傾向があるのです。
このように、同じ東京都内といっても、エリアごとに地価傾向や人口動態が異なるため、
アパート・マンション経営をおこなう上で、十分に配慮する必要があります。
「東京都内であれば、とりあえず人口も地価も上昇傾向にあるから問題ない」とは考えず、
対象エリアごとにミクロな視点で精査をすることをオススメします。
※4: 「2020年[令和2年]基準地価」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000431.html
・地方と比べ、利回りが低くなりやすい
東京都の不動産は、高い賃貸需要と引き換えに、土地や建物の取得費用が高くなりがちです。地方の物件と比べて初期費用が高くなるため、その分利回りが低くなるのです。
たとえば、新築区分マンションであれば、地方では表面利回り5%以上で売られている物件がある一方で、23区内の新築区分マンションが、表面利回り3%〜4%で設定されていることがあります。
このように、東京都の賃貸アパート・マンションは、高い賃貸需要のおかげで空室リスクを抑えやすいですが、利回りに関しては地方の物件に軍配が上がることが多いです。
・入退去の回転が早い傾向がある
東京の賃貸アパート・マンションには、入退去の回転が早いというデメリットがあります。
とくに、1人暮らしの学生や単身者、単身赴任者はライフスタイルの変化が起こりやすく、
彼らをターゲットとする都心部のワンルームマンションは、入退去が発生しやすいです。
入退去が頻繁に起こると、その都度クリーニング費や修繕費がかかってしまうため、事業の収益性を圧迫しかねません。このように、間取りによって入退去の傾向が変わることがあるので、賃貸住宅を検討している人はぜひ押さえておいてください。
・戸建賃貸
戸建住宅を貸し出して、賃料を得るという方法もあります。ファミリー層が住みやすいエリアであれば、賃貸需要を取り込めるでしょう。
・メリット
戸建賃貸の主なメリットは、「長期間での入居が見込める点」です。その理由は、ファミリー層の入居が多いことにあります。
アパート・マンションに住むファミリー層は、子供が増えて手狭になったタイミングで引っ越すのが一般的です。
その点、戸建は元々室内が広く、部屋数も充実しているため、人数が増えても住み続ける傾向が強いのです。そのため、戸建賃貸は長期的に収益が安定しやすいと言われています。
また、長期的に住み続けてもらえれば、新たに入居者を探す手間やコストも軽減できます。
・デメリット
デメリットとしては、入居者がいない間、賃料収入がゼロになるということです。
少しでも空室の期間をなくすためには、入居希望者が現れた際に賃料交渉に応じたりなど、柔軟な対応を心がけるといいでしょう。
・資産の買い替え
思い切って土地を売却し、別の資産に買い替えるという手もあります。
・メリット
土地を売却し、売却益を用いて他の土地を購入したり、市街地のアパート・マンションを買ったりできます。
ちなみに、事業用の資産の買い替えをおこなった際は、一定の要件を満たすことで税制の特例措置を受けられる場合があります。詳しくは国税庁のサイトを確認してみてください。
「事業用の資産を買い換えたときの特例」(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3405.htm
・デメリット
メリットで述べた「事業用資産の買換えの特例措置」は、あくまで課税の繰延べであり、非課税となるわけではありません。
そのため、買換え資産が建物の場合、特例によって減価償却費が抑えられるので、事業の利益が大きくなってしまい、将来的な税負担は重くなります。
また、買換え資産が土地の場合も同様です。特例によって土地の取得費用が抑えられるため、将来土地を売却する時に売却益が大きくなり、税負担が重くなります。
・店舗運営
「店舗運営」とは、コンビニやドラッグストアなどのテナントを誘致して、賃貸借契約を結んで地代を得るという活用方法です。
生活必需品を多く取り扱う店舗は、高い確率で需要があるでしょう。
とくに東京は人口密度が国内で最も高く、23区には1km2あたり1万5,411人の人が生活しています(※5)。
2位の神奈川県の人口密度が1km2あたり3821人ですので、単純計算で3倍以上の人が暮らしているのです。立地次第では、大きな収益を生む可能性を秘めているでしょう。
※5:「東京都の人口」(東京都総務局統計部)https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp/jsuikei/2022/js221f0100.pdf
・メリット
建物はテナント側が建ててくれるので、金銭的な負担を背負う必要はありません。経営に関わることも基本的にないので、ローリスクかつ手離れのよい活用と言えます。
「事業用定期借地」として貸し出せば、期間満了時には更地の状態で土地が返ってくるので、次の活用にも取り組みやすいでしょう。
事業用定期借地に関する詳しい情報は、こちらの記事を確認してみてください。
・デメリット
地域によっては店舗の建設が条例で禁止されているケースもあります。
「用途地域」といって、地域ごとに建築許可の出ている建物と、そうでない建物があるのです。所有している土地がどの用途地域に属しているかを知るには、各市町村のホームページを閲覧してみてください。
狭い土地の有効活用方法
土地の敷地面積が狭く、住宅や店舗を建てられないというケースもあるでしょう。そのような場合は、以下の活用方法がオススメです。
東京での狭い土地の有効活用方法
- 月極駐車場、コインパーキング、タワーパーキング
- バイク置き場、駐輪場
狭い土地の有効的な活用として、取り組みやすいのが「月極駐車場」や「バイク置き場」「駐輪場」などです。
また、都心部には「タワーパーキング」という駐車場も多く存在します。タワーパーキングとは、パレットに1台の車を乗せ、動力で上下させることで、立体的に格納する駐車場のことです。
コインパーキングの場合、土地が狭いと駐車可能台数がかなり制限されるので、投資効率が悪くなります。その点、タワーパーキングであれば、複数の車を立体的に駐車できるため、
土地が狭くても売り上げを最大化できる可能性があります。
・メリット
いずれのパーキングも、サブリース形式や専門業者による一括借上げ形式であれば、基本的に初期費用ゼロで始められます。
集客や管理などの手間も発生しません。建物を建てるわけではないので、ローリスクかつハードルの低い活用と言えます。
また、駐車場や駐輪場と併用して、「自動販売機」や「広告看板」を設置するという活用もできます。
収益性は高くないですが、デッドスペースを有効的に活用できるのは、不特定多数の人が利用するパーキングならではの強みと言えるでしょう。
・デメリット
共通するデメリットは、やはり収益性が低いという点です。
とくに、時間貸しができない月極駐車場は、契約台数分しか賃料を得られないので、売上の天井が初めから決まっています。
また、固定資産税や都市計画税など、税制面での軽減措置がないのもデメリットです。理由は、基本的に駐車場は更地と同等扱いとなるためです。節税目的で活用をするのであれば、駐車場関連はあまりオススメできません。
郊外の土地活用
郊外に土地を所有している場合は、以下のような活用方法が考えられます。
・ロードサイド型店舗
一定の交通量を見込める場所で、大きな通りに面している土地であれば、「ロードサイド型の店舗」として活用するのに向いています。
例えば、コンビニ、飲食店、ドラッグストア、紳士服店、ホームセンター、家電量販店などです。このようなテナントを誘致することで、事業用定期借地として貸し出すことができます。
実際に弊社でも、小平市、立川市、東村山市、八王子市などで、ロードサイド物件の活用をしています。
事業用定期借地に関する詳しい情報は、こちらの記事を確認してみてください。
「土地活用の借地権について|メリットとデメリットについて解説」/トチカツプロ
・メリット
ロードサイド型の店舗は、周辺の交通網に大きな変化がない限り、客足が安定しやすいので、長期的に安定した地代を得られる可能性が高いです。
建物の建設はテナント側がおこなうため、金銭的なリスクを負う必要もありません。
・デメリット
デメリットとしては、まずテナントの撤退リスクがあります。テナントが撤退してしまえば、収入がゼロになってしまいます。
また、収入源が「家賃」ではなく「地代」となるので、建物を貸す場合と比べて収益性が低くなるのもデメリットです。
なお、今回紹介した他にも、土地活用のビジネスモデルは数多くあります。気になる方は「土地活用のおすすめは?人気の土地活用ベスト13をご紹介」をご参照ください。
東京での土地活用は安泰?賃料の推移を解説
東京での土地活用は今後も安泰なのか、参考までに賃料相場を紹介します。
東京の賃料相場
東京の賃料相場を「賃貸住宅・戸建賃貸・貸しオフィス・土地貸し」など、それぞれの項目別に見てみましょう。
・賃貸住宅
東京のマンション・アパートの家賃相場(上位5区)
ワンルーム・1K・1DK |
|
千代田区 |
13.5万円 |
中央区 |
10.56万円 |
江東区 |
9.2万円 |
台東区 |
8.94万円 |
豊島区 |
8.04万円 |
1LDK・2K・2DK |
|
港区 |
25万円 |
千代田区 |
18.33万円 |
中央区 |
17.36万円 |
渋谷区 |
17.27万円 |
目黒区 |
16.36万円 |
2LDK・3K・3DK |
|
渋谷区 |
45.83万円 |
中央区 |
26.27万円 |
目黒区 |
23.55万円 |
豊島区 |
23.52万円 |
荒川区 |
23.1万円 |
3LDK・4K以上 |
|
中央区 |
34.33万円 |
文京区 |
33.65万円 |
目黒区 |
30.54万円 |
練馬区 |
30.4万円 |
世田谷区 |
23.58万円 |
引用:「【ホームメイト】東京都の家賃相場から賃貸物件を探す」(東建コーポレーション株式会社)https://www.homemate.co.jp/soba/pr-tokyo/
まずはワンルーム・1K・1DKに関して、最も高い家賃相場となったのが「千代田区」でした。ただ、千代田区は住む街というより、仕事をする街という印象のほうが強いです。
続いて、1LDK・2K・2DKに関して、群を抜いて家賃相場が高かったのが「港区」でした。
高級志向な単身者をターゲットにした戦略が、上手くはまっている印象を受けます。
2LDK・3K・3DKに関しては、2位以下に圧倒的大差をつけて「渋谷区」の家賃相場が最も高いです。とくに恵比寿や代官山は高級感が漂っており、平均的に家賃が高いイメージがあります。
3LDK・4K以上となると、ファミリー層による利用が多いためか、歓楽街が少なく治安のいいイメージが強い「文京区」などがランクインしています。
・賃貸戸建
一戸建ての家賃相場(上位5都市・区)
渋谷区 |
26.45万円 |
世田谷区 |
25.00万円 |
国立市 |
21.00万円 |
豊島区 |
20.00万円 |
武蔵野市 |
20.00万円 |
引用:「東京都の家賃相場:賃貸物件サイト【CHINTAI】」(株式会社CHINTAI)https://www.chintai.net/rent/list/?prefKey=tokyo&b=kodate&o=3
23区からは「渋谷区」「世田谷区」「豊島区」、23区外からは「国立市」「武蔵野市」がランクインしました。
都心へのアクセスがいい渋谷区や世田谷区はやはり家賃相場が高めです。3位の「国立市」に関しては、国立駅から新宿駅までJR中央線の特別快速1本で移動できることが、1つの強みと言えるでしょう。
5位の「武蔵野市」は、元々住宅都市として歴史をスタートさせました。
市の玄関口となる吉祥寺圏、北側に伸びる文化・行政ゾーンの中央圏、文化・福祉施設が豊富な武蔵境圏など、各エリアの個性を活かしながら、緑豊かな住宅都市として発展し続けています。
治安が良く、暮らしやすい都市でありながら、新宿までは電車でおよそ20分で移動でき、交通の便もいいです。ファミリー層から支持を得やすいのも納得と言えるでしょう。
・貸し店舗
貸しオフィスの場合は、オフィスによって広さが異なるので、坪単価ごとに家賃相場を比べてみましょう。
20坪~30坪 |
30坪~50坪 |
50坪~100坪 |
100坪~200坪 |
200坪以上 |
|
大手町・丸の内 |
38,400円 |
45,800円 |
40,900円 |
39,700円 |
41,600円 |
有楽町・霞が関 |
26,800円 |
28,600円 |
32,200円 |
29,800円 |
25,200円 |
虎ノ門・愛宕 |
20,100円 |
20,400円 |
24,500円 |
26,700円 |
32,100円 |
道玄坂・南平台・神南 |
27,600円 |
24,900円 |
27,200円 |
27,200円 |
40,500円 |
恵比寿・代官山 |
19,100円 |
23,900円 |
24,700円 |
24,800円 |
29,100円 |
浜松町・芝公園 |
19,500円 |
21,000円 |
23,000円 |
20,400円 |
25,900円 |
西新宿 |
29,300円 |
25,400円 |
29,500円 |
27,700円 |
25,900円 |
引用:「東京駅の賃貸オフィス賃料相場。全物件仲介手数料無料のofficee」(47株式会社)https://officee.jp/price/station/1264/
・丸の内・大手町・有楽町エリア
最も家賃相場が高いのが、日本の主要企業が軒を連ねる「丸の内・大手町・有楽町エリア」です。
交通の便がよく、地下通路も多いため、移動には苦労しません。新幹線が停まる東京駅からも近いため、出張で滞在するビジネスマンにとっても便利でしょう。
・霞ヶ関・虎ノ門エリア
丸の内エリアと同様に、フォーマルなイメージが強いのが「霞ヶ関」や「虎ノ門」です。
とくに、霞ヶ関は官公庁が集中しており、隣接する虎ノ門には士業関連のオフィスが数多く存在します。
2010年代に入ると、士業以外にも多様な業種が進出しており、虎ノ門ヒルズ森タワーが開業して以降は、さらに拍車がかかっている印象です。
2020年には日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅も開通したので、ますますオフィス街としての期待が高まっていくと思われます。
・渋谷エリア
IT系のベンチャー企業が数多く集まることから、アメリカのシリコンバレーをもじって「ビットバレー」と呼ばれているのが渋谷エリアです。
中小ベンチャーから上場企業まで、幅広い企業が集積しており、今後もオフィス街として発展していくことが期待されます。
・浜松町エリア
浜松町は、元々オフィス街としての需要は高くありませんでした。変化のきっかけとなったのはモノレールの開通です。
元々、新幹線が停まる東京駅と品川駅との中間に位置していたことにくわえ、モノレールによって羽田空港へのアクセスが改善され、オフィス街としての存在感が高まりました。
駅前は再開発によって高層ビルが立ち並んでいるものの、街中には古い庭園や大きな公園も複数残っており、独特な景観を呈しています。
・西新宿エリア
日本で超高層オフィスビル街の先駆けだったと言われているのが、西新宿です。
丸の内エリアに集中しすぎていた大手企業のオフィスを分散させようと、西新宿の開発が始まりました。東京23区外はもちろん、神奈川県や千葉県とのアクセスにも優れたエリアです。
業種としては、保険や金融、商社などのオフィスが多いことからブランド価値が高く、賃料も比較的高めです。一方で、オフィスビル街から少し離れた地域(大久保駅寄りなど)では、賃料が下がる傾向にあり、中小企業も多くいます。
・土地貸し
土地貸しとは、文字通り土地のみを貸し出し、地代を得るという活用方法です。地代の計算方法には、「積算法」と呼ばれる方法や「公租公課倍率法」などがあります。
ただし、地代の相場は、住宅用か事業用かによって異なります。さらに、テナント次第で地代の金額も大きく異なるため、一概に相場を算出するのは困難です。
現在土地貸しを検討していて、地代の相場を調べたいという方は、該当エリアを受け持っている不動産会社やコンサルティング会社に相談することをおすすめします。
東京の賃料の推移
東京都の賃貸マンションの賃料相場の推移は、以下のようになっています。
東京都の賃貸マンションの賃料相場は、2012年以降から新型コロナウィルス感染症の騒動が起きるまでは、右肩上がりに上昇していたようです。
東京で土地活用を成功させるには?
東京で土地活用を成功させるためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか?成功率を高めるためにポイントを3つ紹介しますので、参考にしてみてください。
東京で高収入を得られる土地活用の方法
繰り返しになりますが、東京は経済規模が大きく、賃貸需要も安定して高いです。
アパート・マンション、商業ビルなどを建てて賃貸経営をする場合、空室リスクなどの悩みは地方の物件ほど深刻ではないと思われます。
ただし、その代わりに懸念されるのが「投資効率」です。
地価が高い東京で土地活用をおこなうには、まず巨額の身銭を切って土地を取得するというハードルを越える必要があります。
初期投資での負担が大きいほど、その後の事業の利回りは下がりますから、東京で土地活用を成功させるには「いかに利回りを上げる工夫をするか」が肝と言えます。
つまり、限られた敷地面積の中で「どれだけ収益を最大化できるのか?」が問われるのです。
基本的には、階数の分だけ収益を拡大できるアパート・マンション、商業ビルの経営がオススメです。理屈上は、階数を高くするほど入居者やテナントを増やせるので、収益を伸ばすことができます。
しかし、土地の敷地面積次第では、建物を建てられないケースもあるでしょう。実際、東京都内の土地は小さくてコンパクトな土地が多いようです。
小さい土地の活用方法に関しては、別の記事で解説しているので、参考にしてみてください。
小さい土地の活用アイデア6選!狭小地でもできる土地活用/トチカツプロ
業者選びが重要
土地活用の成功の可否は、不動産業者選びにかかっているとも言えます。土地活用の目的によって相談する業者は変わるので、以下を参考にしてください。
相談内容 | 相談する業者 |
賃貸住宅 | ハウスメーカー、工務店 |
土地貸し | 仲介を得意とする不動産会社 |
売却 | 売買を得意とする不動産会社 |
土地活用全般 | 土地活用の専門業社 |
中には、「何から相談すればいいのかわからない」という方もいるでしょう。
そんな方はぜひ、近畿住宅流通までお問合せください。過去30年以上にわたり、全国各地の土地活用に取り組んできた弊社が力になります。
郊外での土地活用なら市街化調整区域がおすすめ
市街化調整区域とは「都市計画法に基づき、市街化を抑制することを定められた区域」のことです。
原則として建物を建てることはできませんが、稀に土地活用ができる場合もあります。たとえば、自治体の認可を得て建築できる「高齢者向け施設」などです。
ちなみに東京都都市整備局の調査によると、東京の高齢者比率は、2045年には初めて3割を超える見込みだそうです。つまり、東京都民の約3人に1人が高齢者となる時代がやってきます(※6)。
将来的に医療や介護の需要が高まる可能性は、かなり高いと言えるでしょう。市街化調整区域の中でも都心部に近いエリアであれば、ある程度の集客を見込めるはずです。
また、郊外で市街化調整区域の活用をオススメする理由として、地価の低さがあります。
地価が低いと土地の評価額も低くなるため、固定資産税の負担が軽減されやすくなります。
都市計画税にいたっては、市街化調整区域では負担不要とされているのです。
「建物が建てられない」というハンデが目立ち、活用を避けがちな市街化調整区域ですが、
取り組み方次第ではさまざまなメリットを享受できる可能性があります。
市街化調整区域に関する詳しい情報は、以下の記事を参考にしてみてください。
※6:「東京の人口予測」(東京都都市整備局)https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/keikaku_chousa_singikai/grand_design.html
土地活用を成功させるためには、上記の3つのポイントを重視するとともに、いかにリスクを回避するかについても考えなければなりません。リスクの回避方法について知りたい方は、「土地活用で起こりうるリスクを徹底解説!回避方法についても紹介」をご参照ください。
土地活用の相談なら専門家へ相談しよう
不動産業界は、会社ごとに強みが異なる傾向があります。
- 賃貸の仲介に強い会社
- 売買に強い会社
- 賃貸の管理に強い会社
という具合に、1つのジャンルに特化している傾向があるのです。その点、弊社は「土地活用に強い会社」と言えます。
一般的な不動産会社のように、仲介や売買もおこないますが、会社の背骨と言える事業はあくまで「事業用不動産の運用」です。
賃貸マンション経営、オフィスビル経営、ロードサイドでの事業用定期借地、宿泊施設経営のほか、現在も全国各地の土地を仕入れて、あらゆる活用をおこなっています。
30年以上、土地活用のプレイヤーとして邁進してきた弊社だからこそ、お伝えできる知識や経験・ノウハウがあるのです。もちろん、それは「東京の土地」に関しても例外ではありません。
土地活用について何かお困りのことがあれば、どうぞお気軽に近畿住宅流通までご相談ください。