ベストな土地活用はアパート以外にもある!おすすめの方法をプロが解説

土地活用と言えば、「アパート経営が真っ先に頭に浮かぶ」という方も多いと思います。

確かに、アパート経営は土地活用の選択肢としてオススメできますが、他にも選択肢は数多くあります。

そこで、こちらの記事では「アパート経営をオススメできる理由」や、「アパート以外の土地活用アイデア」について解説していきます。

目次

土地活用でアパート経営がオススメの理由|デメリットはある?

こちらでは、土地活用でアパート経営がオススメである理由を紹介します。最後にデメリットも紹介しますので、参考にしてみてください。 

長期で安定した収益を得られる可能性が高い

アパート経営は、入居者が途切れない限り、長期で安定した収益を得られる可能性があります。

仮に、6部屋あるアパートで1部屋の家賃が6万円だとして、満室で稼働し続ければ、毎月36万円、年間で432万円の家賃収入を得られます(実際には支出もあるので、正確な利益ではありません)。

複数の部屋を貸し出して空室リスクを分散できるため、急に家賃収入がゼロになるといった事態も防ぎやすいです。長期的かつ安定的に収益を得られる土地活用の1つと言えます。

資産としての価値がある

収益が発生しているアパートは、収益物件として売却が可能です。つまり、賃貸アパートには資産としての価値があります。

では、収益物件の価格が何を基準に決められるかというと、主に「土地値」「家賃収入」「期待利回り」の3つです。

まず、収益物件の資産価値は、土地値に依存する部分が大きいと言えます。

建物は時間の経過と共に老朽化するため価値が目減りしていきますが、土地の価値は基本的には目減りしません。

現に、国土交通省が作成した『変動率及び平均価格の時系列推移表』(※1)によると、住宅地の全国平均価格はここ10年横ばいか微増の状態にあり、2014年以降は7年連続で上昇しています。

つまり、収益物件の価格のうち、土地値の占める割合が大きいものほど、資産価値が落ちにくく、価格が下がりにくいということです。

加えて、いま現在どれくらいの家賃収入を得られていて、今後どのくらいの利回りを期待できるのかも、収益物件の資産価値を決める重要な指標となります。

物件を購入する側からすれば、家賃収入が多く、利回りが良い方が魅力的ですから、資産価値を維持するためには、家賃を下落させないような工夫が必要です。

そのためには、アパートの定期的な点検やメンテナンス、リノベーションなどをすることで、住み心地の水準を一定以上に維持し続けることが肝要でしょう。

※1 「地価・不動産鑑定」(国土交通省) https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html

節税対策ができる

アパート経営は、固定資産税や都市計画税、相続税、所得税などの節税対策に効果的です。順番に解説します。

・固定資産税、都市計画税
固定資産税や都市計画税の支払い額は「評価額」によって決まり、評価額は通常、下の計算式によって算出されます。

固定資産税額:課税標準額×1.4%(標準税率)

都市計画税額:課税標準額×0.3%(標準税率)

更地や駐車場などの評価額はこの計算式で完結するのですが、アパートのような賃貸住宅が建っている場合は、そこからさらに軽減される仕組みになっています。

固定資産税の評価額は6分の1、都市計画税の評価額は3分の1まで軽減されるのです(1戸につき200㎡の部分まで)。これを「住宅用地の特例」と言います。

・相続税
通常、相続税の支払い額は、相続税評価額によって決まります。

たとえば、現金1000万円を相続しようとすれば、評価額はそのまま1000万円です。しかし、不動産においては、1000万円で取得した土地(または建物)の評価額が、そのまま1000万円となるわけではありません。

国税庁が定める評価方式で評価額が計算されるのですが、ポイントは「時価よりも低くなる」という点です。

土地の取得費用よりも低い評価額となるため、現金資産で相続するよりも、土地や建物に替えて相続した方が節税につながるでしょう。一般的には、土地に替えると評価額が2割減、建物に替えると3〜4割減になると言われています。

また、相続する土地に賃貸住宅が建っている場合は「貸家建付地」とみなされ、土地の評価額はさらに8割程度まで軽減されます。

自己で所有している土地を、所有者が自由に利用できない状況にあるため、賃貸住宅の稼働具合などに応じて、評価額が下がるという仕組みです。

・所得税
アパート経営者が、賃貸収入以外にも収入源がある場合、オーナーの所得税は両方の所得を合算して算出されます。

例えば、アパート経営の収入が50万円の赤字で、もう一方の収入が500万円の黒字だった時、オーナーの収入は450万円ということです(控除などの計算は省略します)。

このように、利益と損失を相殺することで所得額が減るため、所得税の節税につながります。これを「損益通算」と言います。

「アパート経営が赤字になったら節税どころではない」と思う人もいるかもしれませんが、不動産投資においては、会計上赤字の状態でも手元にお金を残しておくことが可能です。

「減価償却」と言って、建物の取得費用を数年に分割して経費計上する仕組みがあり、毎年経費として精算するため、あくまで会計上、赤字になることがあるのです。減価償却に関する詳しい情報は、こちらの記事を参照してみてください。

【徹底解説!】個人・法人での不動産投資の節税について|トチカツプロ

都心部に土地を持っている場合は有利

アパート経営がオススメな条件として、「都心部に土地を持っていること」があげられます。

中でも東京は、群を抜いて賃貸物件が豊富な地域です。進学や就職をきっかけに上京する人が多く、賃貸需要はいまだに健在です(※2)。

一時的に空室になることがあっても、基本的に賃貸需要が高いので、早々に新規の入居希望者が現れる可能性があります。

もちろん、入居率は立地の影響を大きく受けますが、あくまで賃貸需要だけを考えるなら、都心は圧倒的に有利といえるでしょう。都心部は土地値も高いので、収益物件としての資産価値も目減りしにくいです。

※2:「住民基本台帳人口移動報告」(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/data/idou/2018np/kihon/youyaku/index.html

デメリットは初期費用と修繕費用がかかること

最後に、アパート経営のデメリットについても簡単に紹介します。

まず、アパート経営で大きな負担となるのが「初期費用」です。集合住宅をいちから建築するわけですから、少なく見積もっても数千万円単位の費用がかかります。

融資を活用できるとはいえ、大きな借金を抱えることになるので、投資分を回収して利益を出せるような、入念な事業計画が必要です。

もう1つ負担となるのが「修繕費用」です。

アパートは複数の人が最短2年単位で、入れ替わりで住むことになるので、何も対処しなければ部屋は傷んでいきます。共用部分や外壁なども、定期的なメンテナンスを怠れば、どんどん老朽化が進んでいくでしょう。

老朽化自体を止めることはできませんが、日々のケアによって延命させることはできます。

定期的な清掃や点検、メンテナンスをおこなう必要があるでしょう。

アパートの場合、一般的には10年前後を目安に、大規模修繕が必要だと言われています。

大規模修繕は数百万円単位の費用がかかりますので、日頃から家賃収入の一部を積み立てておくのがおすすめです。

修繕工事はコスト的に大きな負担ですが、長くアパート経営を続けるためには欠かせない作業です。

事前に収支計画を立てる際も、修繕のタイミングやおおよその費用を決めて、計画に組み込んでおきましょう。

アパート経営以外で儲かる土地活用のアイデア

こちらでは、今土地を所有している方向けに、アパート経営以外の土地活用アイデアを紹介していきます。メリット・デメリットも合わせて紹介しますので、参考にしてみてください。

駐車場

土地活用の中でも、とくに初心者向きと言えるのが「駐車場経営」です。

アパートのように高額な初期費用もかからず、管理の負担も小さいです。主なビジネスモデルとしては、「月極駐車場」と「コインパーキング」の2つがあります。

月極駐車場は、利用者ごとに契約を結び、毎月固定の賃料を得るというものです。住宅街に土地を所有している方、あるいは駐車場がないアパート・マンションの近くに土地を所有している方に向いているでしょう。

コインパーキングは、いわゆる「時間貸し」で、利用時間の分だけ賃料を得ることができます。駐車場がないオフィスビルの近くや、飲食店街近隣の土地に需要があるでしょう。

・メリット
立地的に需要があれば、安定した売上を立てられる可能性が高いです。

月極駐車場に関しては、すでに土地がある程度整備されているなら、初期費用はほとんどかかりません。

コインパーキングに関しても、専門業者への土地貸しによって全面的に業務を委託するのであれば、設備投資も業者がおこなうため、初期費用をかけずに活用をスタートできます。

駐車場経営は、建物を建てる必要がないので、後から他の活用に転用しやすいのもメリットです。

・デメリット
一般的に、駐車場経営で「高い収益を狙うのは難しい」と言われています。

建物を貸すわけではなく、土地を貸すだけなので、高い賃料を設定しにくいためです。とくに、月極駐車場は駐車可能台数に制限があるため、初めから売上の天井が決まっています。

その点、コインパーキングは稼働した分だけ売上が増えるので、比較的売上を伸ばしやすいビジネスモデルです。ただし、専門業者に委託する場合は、賃料が固定であるケースが一般的なので、どれだけ売上が増えても、オーナーには還元されません。

業者に委託せず、オーナー自身がコインパーキングを経営すれば、収益性は高まります。

しかし、精算機や監視カメラ、ロック装置など、数百万円規模の設備投資が必要です。

また、アパート経営との違いとして、「節税効果を期待できない」ということがあります。

建物のない駐車場は「更地」と同じ扱いとなり、住宅用地の特例が適用されないためです。

駐車場経営は、高い収益や節税を目的とする人には向いていませんが、活用方法が決まるまでの暫定措置としておこなうには、オススメできる活用方法です。

オフィスビル

オフィスビルを建て、企業や事業主に対して部屋を貸すことで、賃料を得る活用方法です。

・メリット
オフィスビルは、アパートと比べて「高い賃料を設定しやすい」という特徴があります。

アパートの場合、地域ごとに賃料相場が出来上がっているため、賃料を高く設定し過ぎると、入居者の募集に支障をきたします。

その点、オフィスビルの場合、少々賃料を高く設定しても入居してもらえる可能性があります。

なぜなら、企業や事業主は「賃料相場」よりも「費用対効果」を基準にして、賃料を検討する傾向が強いからです。

借主側からすれば、支払う家賃以上のリターンが見込めるのであれば、高い賃料でも検討する価値があります。

もう1つの大きな特徴が、「長期契約を結びやすいということです。

アパートのような賃貸住宅の場合、一般的に契約期間は「2年」なので、借主が契約更新を望まなければ、2年で退去します。

しかし、オフィスビルの場合は、10年以上の長期契約となることも少なくありません。

事務所や店舗の引越しは、コストも労力もかかるため、相応の理由や目的がない限り、頻繁におこなわれるものではないからです。

・デメリット
1つ目のデメリットとして、オフィスビルのような事業用不動産は「融資の審査に通りにくい」と言われています。

賃貸住宅ほどの需要があるわけではないので、融資をする金融機関としても、事業計画の信頼性やオーナーの返済能力を厳しく精査する必要があるためです。

もう1つのデメリットは、「景気に左右されやすい」点です。

オフィスビルに入居するのは企業や事業主であり、借主は事業を健全におこなえてはじめて賃料を支払えます。そのため、間接的に景気の影響を受けやすいのです。

たとえば、借主が経営不振に陥って、賃料の値下げを要求してきたり、期間満了前に中途解約を要求してきたり、といったケースが考えられるでしょう。

オフィスビルは、アパートと比べて1部屋の賃料が高いので、空室時の損失ダメージは大きくなりやすいです。

ただし、このような空室リスクを軽減してくれるサービスもあります。

いわゆる「サブリース」と呼ばれるもので、手数料を支払う代わりに家賃保証をしてもらえるものです。

業者選びさえ慎重におこなえば、サブリース会社と契約をして、空室リスクを抑えた状態で経営を続けることもできるでしょう。

商業施設

商業施設を企業に貸し出して、賃料を得るという活用方法です。

飲食店やコンビニ、ドラッグストアやヘアサロン、ネイルサロンのほか、クリニックや歯医者などの医療系テナントに特化した施設もあります。

具体的な方法としては、「土地のみを貸す方法」と「建物を建てて、建物を貸す方法」の2つです。

・土地のみを貸す方法
土地のみを貸す方法は、一般的に「事業用定期借地」と呼ばれています。建物は、オーナーではなく借主である企業が建てます。

借主側としても、巨額の費用を負担して建物を建てるため、きちんと投資分を回収しなければなりません。そのため、基本的には長期契約となるケースが多いです。

また、事業用定期借地は、期間満了時に建物を解体しなければならないため、オーナーは更地の状態で土地を返還してもらえます。

解体費用などを負担する必要もなく、スムーズに次の活用を始められるのです。

土地貸しのため、建物貸しほどの賃料は望めませんが、少ないリスクで長期的に活用する方法としてはオススメです。

・建物を建てて、建物を貸す方法
オーナーが建物を建て、企業とテナント契約を結ぶことで賃料を得る方法です。

オフィスビルと同様に、賃料を高めに設定しやすいのがメリットと言えます。ただし、その分空室時のダメージは大きくなるので、注意が必要です。

太陽光発電

広めの土地を所有している方にオススメなのが、「太陽光発電」です。発電設備を導入することで、電気を売却して収益化する活用方法です。

  • 敷地面積が広い
  • 日当たりが良い
  • 地盤が頑丈である
  • 近隣に電柱がある

このような土地が、太陽光発電に向いているでしょう。

初期費用は、設備の規模によって異なります。10〜50kw(キロワット)未満の容量であれば、高くても1千万円台の金額で始められるでしょう。少なくともアパートを建てるよりは、初期費用の負担は小さいはずです。

・メリット
一番のメリットは、電気の価格が20年間固定されていることで、「長期的に収益が安定しやすい」という点です(*3)。

激しい気候変動などがない限り、安定して発電し続けることができます。

管理の手間もそこまで大きな負担はなく、専門的な点検作業は業者がおこなってくれます。

オーナーがする作業は定期的な清掃くらいですので、かなり手離れの良い活用方法と言えるでしょう。

・デメリット
太陽光発電ですので、どうしても天候の影響を受けてしまいます。

夜間の稼働はほぼ難しいですし、太陽光が遮られるような曇天の日は、発電量が落ちます。

あるいは、積雪量が多い地域も太陽光発電には不向きです。雪が太陽光パネル上に積もってしまうと、光を受け取る面積が狭まってしまうためです。

もう1つ、太陽光発電の懸念点は、売電価格が年々安くなり続けていることです。

売電価格は毎年改定されており、太陽光発電を開始した時点での価格が、その先20年固定となります。

常に需要があり、価格が固定であるのは大きなメリットですが、始めるタイミングは慎重に見極めましょう。

※3:「過去の買取価格」(資源エネルギー庁)https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html#h24

土地貸し

土地を貸して地代を得るという、シンプルな活用方法です。先述の「商業施設」で紹介した「土地のみを貸す方法」もこれにあたります。

建物は一般的に借主が費用を負担して建てるため、オーナーの金銭的な負担はほとんどありません。

土地貸しは、厳密には多くの定義があるので、詳しくはこちらの記事を参照してみてください。

土地活用の借地権について|メリットとデメリットについて解説|トチカツプロ

・メリット
土地貸しのメリットは、オーナー自身が金銭的に大きな負担をすることなく、それなりの収益を得られるということです。

建物を貸すよりは収益性が落ちてしまいますが、立地次第ではそこそこ高い賃料を得ることもできます。

また、アパートのように管理の手間や修繕費用の負担がない点もメリットです。土地や建物の管理は基本的に借主がおこなってくれるので、オーナー自身が手を動かす必要はほとんどありません。

・デメリット
土地貸しのデメリットは、「長期間土地を自由に利用できなくなる」点です。

貸主の都合で簡単に返却してもらえませんし、土地の売却もしにくくなります。

思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあるでしょう。

たとえば、借り主が建てた建物が地域の景観を崩しているなどの理由で、近隣住民から苦情がくるというケースが考えられます。最悪、裁判にまで発展してしまう可能性もゼロではありません。

もちろん、事前にしっかり契約相手と話し合いを重ね、契約時に細かくルールを決めることで、そういった事態は防げます。

いずれにしても、長期的な契約は高収入を見込めるため、慎重にことを運ぶ必要があります。

売却

土地を利用して事業をするわけではなく、売却するのも活用手段の1つです。

・メリット
土地を売却することで得られるメリットは、まず土地の管理や維持コストの出費から解放されるということです。

草木の手入れは意外と手間ですし、更地を所有している人の中には、不法投棄に悩まされる人も少なくありません。毎年発生する固定資産税の支払いからも解放されます。

もう1つのメリットは、まとまった現金が手に入るということです。売却によって不動産を現金資産に替え、貯蓄にまわしたり、他の事業や投資案件に資金を使ったりできることです。

・デメリット
デメリットは、「相続税の節税効果がなくなる」ということです。

先述のように、土地の評価額は時価より低い金額となるのが通例なので、本来は現金ではなく、土地や建物に替えて相続した方が節税につながります。なので、売却すると相続税の節税効果はなくなってしまうというデメリットがあります。

また、売却に関して1つ注意が必要なのは、売却によって得た利益には「譲渡所得税」が発生する点です。土地の所有期間が5年以内の場合は39.63%、5年を超える場合は20.315%の納税義務が発生します。所有期間が5年を超えるか超えないかの違いで、税負担が倍くらい変わるので、注意が必要です。

戸建賃貸

戸建住宅を貸し出して、賃料を得るという活用方法です。

アパートのように戸数がたくさんあるわけではないので、収益性は劣りますが、戸建はファミリー層から人気で、一度入居すれば長期的に住み続けてもらえる可能性があります。

・メリット
アパートと違い、「好立地でなくとも賃貸経営が成立しやすい」という特徴があります。

そもそも戸建はファミリー層からのニーズが強く、ゆっくり子育てをしたい人々にとっては、街中よりも郊外や静かな住宅街のほうが何かと都合がいいのです。

敷地に駐車場があれば車を使えるので、移動にも困りません。このような理由から、戸建賃貸は駅近や街中の物件でなくとも成立しやすいと言えます。

また、「初期費用を抑えやすい」のもメリットです。アパートと比べると建物の規模が小さく、建設費用を抑えやすいです。

金融機関から借りる融資額も最小限に抑えられるので、月々の返済負担が軽くなり、アパートよりもリスクを抑えた経営ができます。

節税効果に関しては、アパートと同様に効果があります。賃貸住宅がある土地は「住宅用地の特例」が適用されるため、固定資産税や都市計画税の節税効果を期待できるでしょう。

・デメリット
戸建賃貸のデメリットは、まず、「修繕費用が高くなりがち」という点です。

アパートの場合、居住期間は最短で2年なので、室内の劣化は抑えられるでしょう。そのため、退去後に発生する修繕費用はそこまで高額にならないのです。

しかし、戸建賃貸の場合、一般的に居住期間が長いため、修繕箇所も多くなりがちです。

延べ床面積が広く、部屋数も多いため、原状回復をするにはそれなりのコストがかかります。

賃料収入の一部を積み立てるなど、余裕のある資金繰りを心がけましょう。

もう1つのデメリットは、都心部のように「地価が高い土地との相性が良くない」ということです。

都心部はそもそも地価が高いので、土地の取得費用を加味した時、集合住宅にして収益を増やさないと採算が取れないでしょう。地価が高い都心部で戸建賃貸をおこなうのは、大きな機会損失となる可能性があります。

高齢者施設

高齢者施設を建てて、介護業者に貸し出すという方法があります。

世界トップクラスの高齢化社会である日本では、介護業界の市場拡大が期待されているため、ニーズに応えられるような建物ができれば、長期的に安定した収益を得られる可能性があるでしょう。

・メリット
「高い収益を得られる可能性がある」「節税効果がある」「補助金や助成金も活用できる」というのが、高齢者施設の主なメリットです。

高齢者施設は、アパートのように戸数が限られていません。収容人数の制限はありますが、基本的には利用者数が増えれば増えるほど、収益が増えていきます。

また、更地の状態と比べると、税制面でのメリットが大きいです。

建物があり、第三者に貸し出している土地では、土地の所有者が自由に土地を扱えないため、固定資産税や都市計画税の評価額が下がる傾向にあります。

さらに、高齢者向けの介護施設は、一定の条件を満たすことで国の補助金制度や助成金制度を利用できます。うまく活用すれば、資金繰りの負担を軽減することができるでしょう。

・デメリット
デメリットは、「初期費用が高いこと」と「転用が難しいこと」です。

高齢者施設を建てるには、基本的に広い敷地が必要となります。土地の価格は広さに比例しやすいので、相応の土地取得費用がかかると思っておきましょう。建物と同等の費用がかかる可能性もあります。

土地の購入のみを目的として融資を受けるのは一般的に難しいため、ある程度の自己資金が必要です。

また、国土交通省の調査によると、福祉介護施設の建設費用は全国的に上昇しているようです。東京にいたっては、7年連続で上昇しています(※4)。

このように比較的リスクが高い活用方法ですので、入念な事業計画を建てることはもちろん、借主となる業者選びも慎重におこなう必要があるでしょう。

※4:「建築着工統計調査」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/statistics/details/jutaku_list.html

トランクルーム

トランクルーム経営とは、トランクルームを設置し、貨物の保管用に貸し出して賃料を得る活用方法です。

具体的な方法としては、「一括借り上げ」と「業務委託」の2つがあります。

一括借り上げとは、トランクルームの専門業者と契約し、全てのトランクルームを一括で借りてもらう方法です。売上の増減にかかわらず、業者から毎月固定の賃料をもらいます。

集客や契約業務、管理など、経営をすべて業者に任せることになるので、オーナー自身はとくに何もせずに活用ができます。いわゆる「転貸」と同様であり、オーナーの負担が減る分、収益性は低くなります。

一方、業務委託は、集客や契約業務をオーナーがおこない、管理のみを専門業者に委託するという方法です。収益性を重視する方は、業務委託の方がオススメでしょう。

・メリット
アパートのように人が住むわけではないので、立地の良し悪しや日当たり、騒音などを気にする必要がありません。

立地を気にせず始められるので、比較的始めるハードルが低い活用方法と言えます。

業者をうまく活用すれば、オーナーの業務負担を減らすこともできるので、手離れの良い活用を検討している方にオススメかもしれません。

・デメリット
デメリットは、「金融機関からの融資を受けにくい」という点です。

トランクルームは住宅よりも担保価値が低いため、審査時に他に担保になりそうなものを求められる可能性が高いです。

また、「相続税の節税効果が薄い」点もデメリットと言えるでしょう。

アパートの場合は、借家借家法が適用されるため、不動産所有者に権利の制約が生まれ、

相続税評価額が低くなる傾向があります。

その点、トランクルームに適用されるのは借家借家法ではなく「民法」です。民法では、貸主の都合で賃貸借契約を解約できる代わりに、不動産所有者の権利に制約が生じないと判断されます。

そのため、原則として相続税評価額の軽減措置が適用されないことになっているのです。ただし、相続をする予定がない場合は、特段気にする必要はないでしょう。

シェアハウス・シェアオフィス

シェアハウス
シェアハウスは、複数の人が共同生活を送るための賃貸住宅です。

相場よりも賃料が安いところが人気であり、東京ではとくに需要があります。国土交通省の調べによると、全国のシェアハウスの6割強が東京の物件とのことです。

シェアハウスは、トイレや浴室、キッチンなどは共用になることが多く、最小限の面積で多くの人を入居させることができます。

そのため、1人分の賃料は少なくても賃料総額は多くなり、「利回りはアパートより高くなりやすい」と言われています。

ただし、シェアハウスは「管理委託費用が割高になりやすい」のがデメリットです。

アパートの管理委託費用は賃料の5%が相場ですが、シェアハウスの場合、7〜9%ほどが相場と言われています。

また、管理の質は管理会社によってまちまちです。「一括借り上げ」を謳う管理会社が経営不振に陥り、トラブルになる事例も起きているので、委託先は慎重に選ぶようにしましょう。

シェアオフィス
シェアオフィスは、個人や会社が、複数で1つのオフィスを共同利用するというものです。「コワーキングスペース」や「フレキシブルオフィス」などと呼ばれることもあります。

具体的には、

  • 大部屋にフリーアドレス式の長机があるタイプ
  • 集中して作業をしやすいようにブースが複数あるタイプ
  • 複数人で利用するための会議室があるタイプ
  • それぞれ個室が用意されているタイプ
  • 上記のタイプを混合したタイプ

さまざまなタイプのシェアオフィスが存在します。

ザイマックス不動産総合研究所によると、2021年1月の時点で東京都のシェアオフィオス数は762件であり、現在も市場規模は拡大を続けているようです(※5)。

大まかなビジネスモデルはシェアハウスと似ており、建物内の空間を分割して、賃料単価を上げるというものです。

ここ数年でテレワークが浸透し、シェアオフィスの利用者が増えているので、ニーズが高まっている時に参入できるのは1つのメリットと言えるでしょう。

デメリットとしては、「立地条件のハードルが高い」ことがあります。ビジネスマンがターゲットなので、駅前周辺などのアクセスしやすい場所が好まれるでしょう。

※5:「フレキシブルオフィス市場調査2021」(ザイマックス総研)https://soken.xymax.co.jp/2021/02/17/2102-flexible_office_survey_2021/

土地活用は事前準備と計画が重要! 

土地活用を始めるなら、事前準備が重要です。収支計画などを立てておくと不安なくスムーズに始めることができます。

収支についてシミュレーションしておく

土地活用は、駐車場や簡易的な活用を除けば、融資を受けて始めるのが一般的です。

多額の借金を抱えることになるため、きちんと投資分を回収して利益を出せるように、入念に収支計画を練っておく必要があります。

例えば、アパート経営をするのであれば、

  • 月々の家賃収入はいくらか
  • 空室率はどれくらいを想定しておくか
  • 諸経費率は賃料収入のうち何%になるか
  • 修繕費用やリフォーム費用はいつ、いくらくらいかかるのか
  • 借入金の返済期間は何年か
  • 実質利回りは何%になりそうか

この辺りのシミュレーションが重要です。

とくに、表面利回りと実質利回りの違いはしっかり理解しておきましょう。

・表面利回り
表面利回りとは、単純に家賃収入を投資金額で割り、パーセンテージで表したものです。

・実質利回り
実質利回りとは、家賃収入から諸経費などを差し引いて計算された、より現実的な利回りです。

不動産会社やハウスメーカから提案されるシミュレーションの中には、実質利回りが含まれていないこともあるので、十分に注意してください。

相談する業者をしっかりと選ぶ

土地活用を成功させるには、相談する業者をしっかり選ぶことが重要です。

不動産、法律、建築、条例など、それぞれの分野にプロフェッショナルがいますので、

  • 建築に関する相談は、工務店やハウスメーカーへ
  • 融資に関する相談は、金融機関の事業融資担当へ
  • 地域ごとの条例に関する相談は、各自治体の窓口へ
  • 節税に関する相談は、土地活用に強い税理士へ
  • 土地活用全般に関する相談は、土地活用の専門業者やコンサルタントへ

という具合に、相談内容に応じて相談相手を選ぶようにしましょう。

立地や人口を見て活用方法を見極める

事前に土地の調査やマーケットリサーチをするのも大切です。所有している土地の長所や短所、周辺地域の特性をきちんと理解しておきましょう。

そもそも、自分の土地だからといって、何でも好きな建物を建てられるわけではありません。都市計画法によって、区域や用途地域が決められているので、建てて良いものとそうでないものが決まっています。

用途地域に関する詳しい情報は、国土交通省の資料を確認してみてください(※6)。

また、土地周辺に住んでいる人の傾向や人口の増減についても調べておきましょう。

  • ここ数年の人口数の推移はどうなっているか
  • 学生や若者が多いか、高齢者が多いか、ファミリーが多いか
  • 単身世帯が多いのか、家族世帯が多いのか
  • どのようなライフスタイルが主流なのか

等々、実際に現場に足を運んで情報を集めてみてください。そこで得た生の情報が、事業計画を作り込む際の重要な材料となるはずです。

※6:「用途地域」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/common/000234474.pdf

土地活用を成功させる近道は専門家に相談しよう 

土地活用を成功させるための近道は、積極的に専門家の意見を取り入れることが重要です。

土地活用に取り組んでいると、マーケティングや不動産の知識のほか、法律や条例などの、

普段触れる機会のないような知識を求められることが多々あります。契約内容を企業に提案・交渉をしたり、各自治体に建築確認の依頼や許可申請をしたりなど、不慣れで地道な作業が意外と多いものです。経営者として、何がベストな選択なのか1人では判断できない時もあるでしょう。土地活用で何か困ったら土地活用の専門家に相談して見るようにしましょう。

弊社は昭和60年の創業以来、北は北海道から南は沖縄まで、数多くの土地活用に取り組んできました。その経験と知識、ノウハウを総動員して、最適な提案をさせていただきます。

どうぞお気軽に近畿住宅流通までお問い合わせください。

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