岡山県は「晴れの国」とも呼ばれ降水量1mm未満の日が全国で最も多く、年間を通して快適な天候で過ごせることが多い場所です。また田園など自然豊かな場所が多く、夏は海水浴、冬はスキーと年間を通して様々なレジャーを楽しむことができます。
しかし自然が多いということは市街地と郊外地がはっきりしているということでもあり、土地活用をする際にはその土地に適した活用方法をしっかりと見極めることが重要です。
岡山県でできる土地活用の方法や今後の土地価格の予想や活用に向いているエリアなどをまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。
岡山県でできる土地活用の方法
岡山県の総人口は1,864,432人(令和4年4月1日時点)と全国で20番目に人口が多い都道府県です。岡山県の特徴として市街地と郊外地の差が激しく、総人口の約4割が岡山市に在住しています。また2番目に人口が多い倉敷市(471,298人)と併せると、岡山県全体の6割以上が岡山市と倉敷市に在住しています。
そのため岡山県ではエリアによってできる土地活用の方法が大きく異なります。岡山県では年々総人口が減少しているので、土地活用を検討する際は慎重な判断が必要になってきます。
共同住宅経営
共同住宅経営には、主にアパートなどの木造住宅や鉄骨造やRC造のマンション住宅などがあります。アパートなどの木造住宅の場合は、用途地域による制限を受けにくいという点やマンションなどに比べ建築費を比較的抑えることができます。
一方鉄骨造やRC造のマンションは一定の土地面積が必要であることや、建物完成までに工事期間や費用が多くかかります。しかし、その分建物全体での収入が増えたり、借入額が大きくなると節税効果も大きく見込めるというメリットがあります。
土地活用でまず始めに検討される共同住宅経営ですが、岡山県では総人口の6割以上が岡山市と倉敷市に集中している点や総人口が減少傾向にあることから、岡山県での共同住宅経営にはエリアの見極めが重要になってきます。
ロードサイド型店舗
ロードサイド型店舗とは国道や県道などの広い道路に面した土地に、ドラッグストアやコンビニエンスストアなどの店舗を誘致し収益をあげる土地活用方法です。
活用には主に土地の所有者が建物を建てて貸し出す「建て貸し」と、土地を貸し出してテナント側に建物を建ててもらう「事業用の定期借地権」などの方法があります。
建て貸しは土地と建物が土地所有者名義になる為、税金面での控除が大きい点や賃料が高くなりやすい点がメリットとなりますが、反対にデメリットとしてテナントが撤退した際に建物が残ってしまうというデメリットがあります。
一方事業用の定期借地権では契約期間満了後は更地で返還されるため、オーナー側のリスクが少ない点がメリットですが、税金面での控除が建て貸しに比べて、少ないのがデメリットです。
ロードサイド型店舗はある程度の土地の面積が必要な点や、契約期間途中での賃料の減額があること、テナントの途中撤退リスクもある点に注意してください。またテナントによって賃料が大きく異なることもあるため、ロードサイド型店舗の活用には専門家のアドバイスが必要です。
駐車場・コインパーキング
建物を建てても収益が見込みにくい土地や建物を建てられないような土地では、駐車場やコインパーキングで収益をあげることも可能です。建物を建てる活用に比べて収益性が劣る点や固定資産税や都市計画税などは高くなりますが、借入などのリスクを負わずに活用できます。
しかしご自身で駐車場経営を行う場合は、駐車場をコンクリートなのか砂利敷きの駐車場なのかで工事費用は大きく異なってきますし、管理を外部に委託する際には管理費なども発生します。
一方運営を外部に依頼すれば収益性は劣りますが、コインパーキングを運営する会社が一括借り上げしてくれる場合もあり、初期費用なしで土地活用を始められます。
駐車場経営は立地や前面の道路状況などによって収益性は大きく異なります。駅から距離が近いという理由だけで始めるのは危険ですので注意しましょう。
高齢者施設経営
岡山県では総人口が減少傾向にありますが、65歳以上の高齢者の割合は年々増加しています。そこでおすすめな活用方法が老人ホームやサービス付き高齢者住宅などの高齢者向けの施設経営です。
特別養護老人ホームなどでは一定の条件をクリアすることにより、行政から補助金を受け取ることもできます。高齢者向け施設は市街化調整区域でも建築可能(行政の条件あり)な点や市街地から離れていても収益をあげることができますので、立地条件が悪い土地でも活用が可能です。
岡山県の土地価格や土地貸しの賃料相場
岡山県での土地活用を検討する際には、主要都市での土地価格や土地貸しの際の賃料相場についても把握することが重要です。土地価格は同じ市内でも土地の面積や立地条件、周辺環境によっても大きく異なってきます。
売却の際には複数業者の見積もりや相談が必須ですが、岡山県全体や各市町村の目安価格を知ることでご自身でもある程度の土地の目利きが可能です。
土地貸しの賃料相場は使用目的(住宅・店舗など)によっても大きく異なりますが、ここでは住宅の場合は取引価格の3%、店舗の場合は取引価格の6%で概算を計算しています。
岡山市北区の土地価格や土地貸しの賃料相場
平均値 | 中央値 | 最大値 | 最小値 | |
取引価格 | 3,300.1万円 | 1,400.0万円 | 63,000.0万円 | 20.0万円 |
坪単価 | 32.3万円 | 24.0万円 | 470.0万円 | 0.25万円 |
㎡単価 | 9.8万円 | 7.3万円 | 140.0万円 | 0.074万円 |
坪数 | 106.5坪 | 68.4坪 | 555.6坪 | 10.0坪 |
面積 | 351㎡ | 220㎡ | 1,800㎡ | 35㎡ |
賃料相場(住宅) | 99.0万円 | 42.0万円 | 1890.0万円 | 0.6万円 |
賃料相場(店舗) | 198.0万円 | 84.0万円 | 3780.0万円 | 1.2万円 |
引用:岡山市北区の土地価格相場・坪単価(土地価格検索トチカ)
岡山市北区は4区の中でも最大規模で県庁所在区でもあります。岡山市北区は範囲が広いため、飲食店や商業施設が立ち並ぶ中心街から郊外のゴルフ場まで様々な特性があります。
そのため土地価格の最小値や最大値に大きな違いも見られましたが、岡山市北区全体としては2017年から2019年にかけて取引価格は上昇傾向でした。
岡山市中区の土地価格や土地貸しの賃料相場
平均値 | 中央値 | 最大値 | 最小値 | |
取引価格 | 1,998.6万円 | 1,400.0万円 | 15,000.0万円 | 26.0万円 |
坪単価 | 19.1万円 | 19.0万円 | 61.0万円 | 0.70万円 |
㎡単価 | 5.8万円 | 5.6万円 | 19.0万円 | 0.21万円 |
坪数 | 120.7坪 | 70.7坪 | 563.6坪 | 10.8坪 |
面積 | 400㎡ | 230㎡ | 1,900㎡ | 35㎡ |
賃料相場(住宅) | 59.9万円 | 42.0万円 | 450.0万円 | 0.78万円 |
賃料相場(店舗) | 119.8万円 | 84.0万円 | 900.0万円 | 1.56万円 |
引用:岡山市中区の土地価格相場・坪単価(土地価格検索トチカ)
岡山市中区は4区の中でも最も面積が狭く人口密度が高い区です。神社や寺院などがある情緒あふれる街並みで、春には桜並木、夏にはホタルが見られる場所などが観光地として人気です。
中区に比べ坪単価は低い傾向にありましたが、2018年から2019年にかけて取引価格は上昇傾向にありました。
岡山市東区の土地価格や土地貸しの賃料相場
平均値 | 中央値 | 最大値 | 最小値 | |
取引価格 | 1,050.8万円 | 830.0万円 | 5,500.0万円 | 1.0万円 |
坪単価 | 10.8万円 | 10.0万円 | 27.0万円 | 0.021万円 |
㎡単価 | 3.3万円 | 3.1万円 | 8.1万円 | 0.0065万円 |
坪数 | 120.3坪 | 72.2坪 | 439.6坪 | 10.0坪 |
面積 | 397㎡ | 240㎡ | 1,500㎡ | 35㎡ |
賃料相場(住宅) | 31.5万円 | 24.9万円 | 165.0万円 | 0.03万円 |
賃料相場(店舗) | 62.0万円 | 49.8万円 | 330.0万円 | 0.06万円 |
引用:岡山市東区の土地価格相場・坪単価(土地価格検索トチカ)
岡山市東区の西大寺地区は古くから門前町として栄え、現在は住宅地として多くの人々が住んでいます。また、日本三大奇祭の一つ西大寺会陽(はだか祭り)があり、冬には多くの観光客が訪れます。
岡山市東区の取引価格は2017年から2019年にかけて減少傾向にありました。
岡山市南区の土地価格や土地貸しの賃料相場
平均値 | 中央値 | 最大値 | 最小値 | |
取引価格 | 1,668.3万円 | 1,100.0万円 | 17,000.0万円 | 5.0万円 |
坪単価 | 16.3万円 | 16.5万円 | 36.0万円 | 0.15万円 |
㎡単価 | 4.9万円 | 5.0万円 | 11.0万円 | 0.045万円 |
坪数 | 110.2坪 | 63.7坪 | 619.0坪 | 11.4坪 |
面積 | 362㎡ | 210㎡ | 1,900㎡ | 35㎡ |
賃料相場(住宅) | 50.0万円 | 33.0万円 | 510.0万円 | 0.15万円 |
賃料相場(店舗) | 100.0万円 | 66.0万円 | 1,020.0万円 | 0.3万円 |
引用:岡山市南区の土地価格相場・坪単価(土地価格検索トチカ)
岡山市南区は江戸時代から昭和にかけて造成された干拓地であり、中国地方有数の穀倉地帯です。農業や工業が盛んで、区内には多くの工場がありますが、国道沿線を中心に住宅地が増えており、岡山市内で最も若年層の比率が高いという特徴があります。
岡山市南区の土地の取引価格は2017年から2019年にかけてやや減少傾向にありました。
倉敷市の土地価格や土地貸しの賃料相場
平均値 | 中央値 | 最大値 | 最小値 | |
取引価格 | 1,369.3万円 | 1,000.0万円 | 9,600.0万円 | 5.0万円 |
坪単価 | 15.1万円 | 14.0万円 | 160.0万円 | 0.033万円 |
㎡単価 | 4.6万円 | 4.2万円 | 48.0万円 | 0.010万円 |
坪数 | 111.0坪 | 62.8坪 | 578.9坪 | 9.0坪 |
面積 | 366㎡ | 210㎡ | 1,900㎡ | 30㎡ |
賃料相場(住宅) | 41.0万円 | 30.0万円 | 288.0万円 | 0.15万円 |
賃料相場(店舗) | 82.1万円 | 60.0万円 | 576.0万円 | 0.3万円 |
引用:倉敷市の土地価格相場・坪単価(土地価格検索トチカ)
倉敷市は岡山市に次ぐ規模の行政区で、人口は約47万人です。倉敷市には倉敷美観地区があり伝統的建造物が多く立ち並んでいます。
倉敷市の土地取引価格は2017年から2019年にかけて減少傾向にありました。
岡山県の今後の土地価格はどうなる?
岡山県では今後土地価格はどうなるのでしょうか。岡山県は岡山市北区を中心とした中心地から岡山市、倉敷市などを除いた郊外地では人口や商業施設の需要が大きく異なります。
地域ごとの特性と市街地を中心とした土地活用方法について見てみましょう。
地域ごとに土地価格の上昇が見込める
岡山県全体として公示地価は直近9年間で下落傾向にあります。特に住宅地では5.8%程度の下落であり、これは岡山県全体として人口が減少していることや日銀の異次元緩和が原因であると言えるでしょう。
しかし岡山県全体としては公示地価は下落していますが、岡山市単体では公示地価は上昇傾向にあります。そのため今後も岡山県では中心地と郊外地での需要の二極化が進んでいくと言えるでしょう。
また岡山市単体では2013年から2020年にかけて人口も増加しているので、岡山市内でも北区を中心とした市街地では今後も土地価格の上昇が見込まれます。
中心市街地活性化施策を活用した土地活用方法
倉敷市では「倉敷市中心市街地活性化基本計画」を挙げています。これは倉敷市の特徴でもある倉敷美観地区などの伝統的風景を残しつつも、同市への転入者や観光客増加へ向けた施策です。
現在倉敷市では岡山市や市外への転入者が増えていることや、若年層や1世帯あたりの人数が減少していく中、高齢者の割合が増えています。
郊外地の人口減少を止めることは困難であることから、倉敷駅や倉敷美観地区を中心としたエリアの交通機関や商業施設を活性化させ、市の財政を活性化させることを目標としています。
具体的には空き家や古民家を再生(ゲストハウスやコワーキングスペースなどに変更)させたり、交通が不便な道路や地区を区画整理事業で住みやすい街並みに変更したりなど市街地を中心とした再開発を予定しています。
倉敷市中心市街地活性化基本計画には複数の計画がありますが、当計画が進んでいくにあたり倉敷駅周辺を中心とした土地の資産価値向上や共同住宅や商業施設の収益性向上が見込めます。
しかし所有地が区画整理事業予定地に含まれている場合などは、建築計画が変更になる場合もありますので、行政への確認が必要です。
岡山県で土地の価格が下がりにくいエリア
岡山県ではこれまでも説明したように中心地と郊外地の二極化が進んでいます。しかし、岡山駅を中心とした市街地では、開発により資産価値の向上や商業施設の需要が回復しつつあります。
岡山県全体としては土地価格の下落や人口減少が目立ちますが、市街地では土地価格の上昇や賃貸住宅の需要が増えています。岡山駅周辺の中古マンションの価格は2011年ごろから上昇しており、直近3年間では21.31%の上昇と大きく資産価値が向上しています。
そのため今後も岡山県内では岡山駅周辺の市街地や再開発が予定されている倉敷駅周辺などでは土地の価格が下がりにくいエリアと予想できます。
岡山県で土地活用するならトチカツプロをご利用ください
岡山県は中心街と郊外地の差が激しく活用が難しいエリアもあります。また中心街以外でも高齢者向け施設やゲストハウスなど様々な活用方法がありますが、経営にはノウハウが必要です。そういった場合には所有している不動産を売却し、より資産価値の高い不動産への買い替えも有効な方法です。
トチカツプロを運営する近畿住宅流通では大阪府吹田市を中心にこれまで、住宅用地の開発から土地有効活用のご提案、収益不動産の売買など幅広く不動産事業に関わってきました。トチカツプロでは全国の不動産のお悩みや相談を受け付けておりますので、岡山県の土地で悩み事がありましたら、ぜひトチカツプロにご相談ください。