「土地活用で賃貸経営をしようと思っているんだけど、入居者募集ってどうやるの?」
今回はこのような疑問に回答します。効率的かつ少ないコストで入居者を募集するためにはどうすればいいのか、コツを解説しますので参考にしてください。
土地活用している賃貸物件の入居者募集方法
まずは、賃貸物件の入居者募集方法にはどのような種類があるのか、
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
の順番で紹介します。
一般媒介契約
最もメジャーと言える募集方法が一般媒介契約です。一般媒介契約とは、同時に複数の不動産会社に賃貸募集を依頼するものです。
契約の有効期間について法律上の制約はありませんが、一般的には3ヶ月が目安と言われています。委託先である不動産会社に、募集活動の定期報告義務はありません。
たとえば、1つの賃貸マンションを経営していたとします。
管理を委託している管理会社に賃貸募集を委託しつつ、最寄り駅の近くに店舗を構える不動産会社Aにも賃貸募集を委託し、同時に知人が経営する不動産会社Bにも募集の委託をする、このような方法を一般媒介契約と言います。
・メリット
複数の不動産会社が同時に募集をおこなってくれるため、露出が増え、より多くの入居希望者に物件情報を届けやすいのがメリットです。
また、オーナーとしては複数の不動産会社の中から、長期的に付き合う特定の不動産会社を選ぶ際に、力量を比較できる点もメリットと言えます。
・デメリット
複数の不動産会社が同時に募集活動をおこなっていることは、各々の不動産会社が理解しています。
そのため、「必死に募集活動をしても他社で契約が決まってしまうかもしれない」という意識が生じ、精力的に募集活動をしてもらえない可能性があります。
オーナーへの定期的な報告義務がないため、きちんと募集活動がおこなわれているか、正確に状況を把握しにくい点も難点です。
また、状況を把握しにくいのは不動産会社も同様で、不動産会社は逐一オーナーに募集状況を確認する必要があります。オーナーと不動産会社、双方にとって確認の手間が発生する点もデメリットと言えるでしょう。
専任媒介契約
専任媒介契約とは、1社限定で不動産会社に入居者の募集活動を依頼するものです。
宅建業法34法にて、
- オーナーは他の不動産会社に入居者募集を依頼してはいけない
- 2週間に1回以上の報告義務がある
- 契約期間の上限は3ヶ月である
などのルールが定められています。
ただし、専任媒介契約中にオーナーが自ら入居者を見つけられた場合は、契約中の不動産会社を介さずに賃貸契約が可能であり、仲介手数料も発生しません。
・メリット
早めに入居者が見つかりやすい点がメリットです。専任媒介契約は、不動産会社にとって「必死に募集活動をしても結局他社に契約を取られる」という心配がありません。
入居者を獲得できれば、確実に仲介手数料を受け取れるため、積極的かつ優先して募集活動をおこなってくれる傾向があります。そのため、結果的に早めに入居者が見つかりやすいのです。
次に、定期的に活動報告を受けられる点もメリットです。2週に1回以上の報告が義務とされているため、きちんと募集活動をおこなっているかどうか状況を把握できます。
また、一般媒介契約と比べて手間が減る点もメリットでしょう。一般媒介契約では複数の不動産会社と連携を取るため、各担当者とその都度連絡を取り合う必要があります。
その点、専任媒介契約は窓口となる不動産会社が1社なので、連絡の手間が圧倒的に減ります。
・デメリット
1度専任媒介契約を結ぶと、契約期間が満了となるまで他の不動産会社に変更できない点がデメリットです。
入居者募集がうまくいっていない状況でも、契約期間中は他の不動産会社に委託先を変更できません。最後まで結果がでなければ、ただの機会損失となる可能性も十分にあります。
そのため、専任媒介契約を結ぶ際は、事前に不動産会社の力量をきちんと見極めておく必要があるでしょう。
専属専任媒介契約
専任媒介契約同様、1社限定で不動産会社に入居者の募集活動を依頼するものです。基本的には専任媒介契約と同様ですが、一部異なる点があります。
たとえば、専任媒介契約ではオーナーが委託先の不動産会社を介さずに、賃貸契約を結ぶことが可能でした。
しかし、専属専任媒介契約の場合はそれができません。オーナーが入居者を見つけた場合も、必ず委託先を介して賃貸契約を結ぶ必要があり、仲介手数料が発生します。
また、専任媒介契約ではオーナーへの定期報告の頻度が「2週間に1回以上」ですが、専属専任媒介契約の場合は「1週間に1回以上」です。
オーナーと委託先である不動産会社、双方にとってより制約の多い契約形態と言えます。
・メリット
他の2つの契約形態と比べて、募集活動の状況を把握しやすいのがメリットです。専属専任媒介契約は、宅建業法34条で「1週間に1回以上の活動報告をおこなわなければならない」とされています。こうした制約により、より積極的な募集活動を期待できるでしょう。
・デメリット
オーナー自身が入居者を見つけた場合も、仲介手数料を支払わなければならない点がデメリットです。
また専任媒介契約と同様に、契約期間中は他の不動産会社に変更はできません。結果がでなければ大きな機会損失となるため、委託先は慎重に選ぶ必要があるでしょう。
土地活用している賃貸物件の入居者募集をする際のコツ
続いて入居者募集の際のコツを、
- オンラインをうまく活用する
- 独自のサービスを取り入れて差別化する
- 競合や周辺の物件を調査する
の順番で解説します。
オンラインをうまく活用する
日本賃貸住宅管理協会の調査によると、賃貸物件探しのインターネット利用割合は年々増加傾向にあるようです。また、近年は店舗での接触回避を望む声もあり、メールによる問い合わせや調整が全国的に増加しました(※1)。
より多くの入居者を募集するためには、今後もオンラインの活用は欠かせないと言えるでしょう。ポータルサイトへの掲載やweb広告のほか、近年はSNSの活用も注目されています。
InstagramやYouTubeなど、視覚で訴えやすいSNSと相性が良いようです。参考までにいくつか事例を紹介します。
【Instagram】
・グッドルーム | おしゃれなお部屋探し フォロワー16.8万人
リノベーションやデザイナーズ中心の賃貸物件を紹介する会社のInstagramアカウントです。
大阪を中心に賃貸物件や売買物件を紹介する会社のInstagramアカウントです。
名古屋を中心に賃貸物件を紹介する会社のInstagramアカウントです。
【Youtube】
個性的な物件・住宅を紹介するYouTubeチャンネルです。
・アパートメントラボ – Apartment Labo. 登録者数7.16万人
アパートからタワーマンションまで、幅広い賃貸物件を紹介するYouTubeチャンネルです。
※1「賃貸住宅市場景況感調査」(日本賃貸住宅管理協会)
https://www.jpm.jp/marketdata/pdf/tankan25.pdf
独自のサービスを取り入れて差別化する
入居希望者に選んでもらうためには、独自のサービスを取り入れて、競合物件との差別化することも大切です。
たとえば、一定期間家賃を無料にするフリーレントを導入したり、入居者へのキャッシュバックキャンペーンを開催したり、宅配ボックスを導入したりなどです。
また、サービスの内容ではなく対応スピードで差別化を図れる可能性もあります。不動産会社との連携力を高めておいて、家賃交渉にすばやく対応したり、入居希望者への対応を迅速におこなえるようにしておくなどです。
競合や周辺の物件を調査する
自分の物件の強みや弱みを客観的に把握するために、競合の物件を調査することは有効です。実際に競合物件に内見へ行けば、さまざまな比較材料が手に入るでしょう。
また、周辺の物件の家賃相場に関してリサーチも重要です。賃貸物件を探す人の多くは住みたいエリアを決めた上で、複数の物件を比較します。そのため、相場家賃からかけ離れた家賃設定にすると、それだけで候補から除外されかねません。
立地やデザイン、設備など、よほどの強みや特色があれば別ですが、そうでない場合はきちんと相場に合わせることをおすすめします。
土地活用している賃貸物件の入居者募集にかかる費用
最後に入居者募集にかかる費用について、
- 不動産会社への仲介手数料
- 入居者募集の広告費
- 部屋や設備の改修費
の順番で解説します。
不動産会社への仲介手数料
不動産会社に賃貸の仲介をしてもらう場合、仲介手数料の支払いが発生します。金額の上限は家賃1ヶ月分と宅建業法で決められており、支払いにはいくつかパターンがあります。
- 借主が仲介手数料の50%を支払う場合、オーナーが支払う仲介手数料は50%です
- 借主が仲介手数料の100%を支払う場合、オーナーは仲介手数料を支払う必要がありません
- 借主が仲介手数料を支払わない場合、オーナーは仲介手数料を100%支払います
借主としては当然仲介手数料がかからないほうが初期費用は下がるため、入居が決まりやすくなりますが、その場合はオーナーが仲介手数料を全額負担する必要があります。
逆に、仲介手数料を負担したくない場合は借主負担にできますが、借主の初期費用が増える分、契約は決まりにくくなるでしょう。
目先の利益を優先するか、長期的な利益を優先するか、オーナーの腕が試されるところです。
入居者募集の広告費
不動産業界には仲介手数料とは別に、慣習として「広告費(通称AD)」が存在します。オーナー側が不動産会社に対し、追加で広告費を支払うケースがあるのです。
相場は仲介料と同様に、家賃1ヶ月分とされていますが、オーナーによっては2ヶ月分または3ヶ月分を支払うケースもあります。
オーナーとしては通常の仲介手数料だけで済ませたいところです。しかし、空室状態のほうがリスクがあると判断するオーナーが一定数いるため、このような仕組みが慣習化しています。
部屋の改修費や設備導入費
賃貸物件を探す者の多くは、自分の求める条件に合う物件を探しています。
だからこそ、円滑に入居者募集をおこなうためには、それらのニーズを把握し、部屋を改修したり設備を導入したりすることで、より魅力的な物件にすることが大切です。
参考までに、全国賃貸住宅新聞の調査によると、2020年の人気設備ランキングの上位は以下のようになっています(※2)。
<単身者向け>
1位:インターネット無料
2位:エントランスのオートロック
3位:宅配ボックス
<ファミリー向け>
1位:インターネット無料
2位:宅配ボックス
3位:エントランスのオートロック
快適なインターネット環境や、暮らしの安全性の優先度が高いことがわかります。このようなニーズに応えられるように部屋の改修や設備導入をするとなれば、相応の費用がかかります。
費用感は物件の規模によってさまざまですが、決して小さな出費ではありません。修繕積立金や余剰金など、あらかじめまとまった資金を用意しておく必要があるでしょう。
※2「2020 人気設備ランキング発表」(全国賃貸住宅新聞)
土地活用している賃貸物件の入居者募集でお悩みの方は近畿住宅流通へ
土地活用の相談は、目的に合わせて相手を選ぶのがポイントです。アパート・マンションの賃貸経営をすると決めていて、「具体的な予算感を知りたい」という相談であれば、ハウスメーカーや工務店を頼るといいでしょう。
融資可能額に関する相談なら金融機関へ、自由度の高い設計を希望であれば設計事務所に相談するのがおすすめです。
もし、まだ具体的な活用方法が決まっておらず、「土地の活用プランを決めるところから相談したい」という場合は、弊社のような土地活用の専門業者に相談することをおすすめします。
最初からハウスメーカーに相談したい方もいるかもしれませんが、ハウスメーカーは商品ありきの企業ですので、活用プランが定まっていない方が相談するには少々ハードルが高いでしょう。
弊社のような土地活用の専門業者であれば、オーナーと同じ目線に立って、その土地に合った最適な活用方法をご提案できます。
建物を建てた方がいいのか、土地貸しがいいのか、それとも売却した方がいいのか、30年以上の経験と知識、ノウハウを総動員して活用をお手伝いします。ぜひお気軽に近畿住宅流通までお問い合わせください。