こちらの記事では、これから土地活用をはじめようとしている方へ向けて、13つの土地活用のおすすめアイデアを紹介していきます。
活用方法の選び方や成功ポイントについても解説していますので、合わせて参考にしてみてください。
土地活用は目的別に選択しよう
土地活用をする上でまず明確にしたいのは、土地活用をおこなう「目的」です。
目的次第で、どのような活用方法を選ぶのかは変わりますし、リスクの取り方も変わってきます。こちらでは5つの目的を紹介しますので、自分がどれに該当するか照らし合わせてみてください。
節税対策
土地活用をはじめる理由に、「節税」をあげる人は少なくありません。
土地を貸したり、建物を貸したりすることで、土地・建物の固定資産税や相続税を減らせる可能性があるからです。
具体的には、
- 土地は貸家建付地としての評価額を減らせる可能性がある
- 建物は借家権割合によって評価額を減らせる可能性がある
- 小規模宅地等の特例により、財産評価額を減らすことができる
といった節税効果があげられます。詳しくは以下の記事を確認してみてください。
安定的な収益を得たい
安定的な収益を得るために、土地活用をはじめる人もいます。
ただ土地を所有しているだけでは維持費がかかる一方なので、「とりあえず固定資産税分くらいの利益は出したい」といったケースです。
このような場合は、初期費用や管理コストがあまりかからない活用方法を選ぶといいでしょう。かつ、リピーターをしっかり獲得できるようなビジネスモデルがオススメです。
たとえば、コインパーキングやレンタルサイクルなどは、専門業者と業務提携すれば、初期費用を全て負担してくれます。土地を一括で借り上げて運営してくれるため、管理業務も一切発生しません。
このようなビジネスモデルにおいて、オーナーの作業は基本的に土地を業者に貸す際の契約業務だけでしょう。
契約後は、サービスの売上の増減に関係なく、毎月安定した賃料を得ることができます。契約期間も長いため、安定的な収益を得たい人にはオススメです。
ただし、業者側もビジネスですから、わざわざ利便性の悪い場所でビジネスをしようとは思いません。その土地にある程度の集客力があり、事業への適性があることが大前提となります。
社会貢献をしたい
国土を有効活用してビジネスをおこなうことは経済活性化につながりますし、社会貢献につながる活用方法はいろいろあります。
たとえば、「福祉施設」はその1つです。
超高齢化社会と言われる日本では、高齢者をケアできる施設の拡充が目下の課題です。そのため、福祉施設や老人ホーム、高齢者向け住宅などに対して補助金制度を充実させるなど、国も体制の強化を進めてきました。
「福祉のことにあまり知識がない」という方もいるかもしれませんが、オーナーが福祉業界に特別詳しい必要はありません。
一般的に、土地活用で福祉施設を経営する場合は、介護業者が建物を一括で借り上げて経営してくれるからです。月々の売上状況や利用者間のトラブルに頭を悩ませる必要もなく、毎月安定した賃料を得ることができます。
ちなみに、建物はオーナーが建てるケースもあれば、介護業者が土地のみを借りて借主負担で建てるケースもあります。
オーナー自身が建物を建てるのはコスト面でリスクがありますが、土地のみを貸し出すよりは高い賃料を得られるでしょう。
資金化したい
土地を活用してビジネスをするのではなく、「売却」によって資金を得たいという方もいるでしょう。
売却は至ってシンプルな活用に思えるかもしれませんが、思わぬ落とし穴に落ちることがあります。
たとえば、個人が土地を売却して得た利益は「譲渡所得」に該当するため、譲渡所得に応じた譲渡所得税の支払いが発生します。
譲渡所得税は、その土地を所有していた期間によって、税率が大きく変動するため、売却のタイミングに慎重になる必要があるでしょう。
譲渡所得税に関する詳しい情報は、以下の国税庁のサイトを参照してください。
売却はくれぐれも計画的に、慎重におこなうようにしましょう。
儲かる土地活用がしたい
土地活用で儲かる方法は、立地や土地の広さによっても変わってきます。一概にこうすれば儲かると断言はしにくいですが、可能性としては、以下のような方法が考えられます。では、見ていきましょう。
・駅近の商業ビルの経営
駅近の商業ビルは、立地がよく利便性が高いため、高い家賃を設定しやすいです。
また、契約相手が法人であるため、敷金や保証金などの請求が個人相手よりも比較的おこないやすく、空室や中途解約のリスクも事前に減らせます。
ちなみに、弊社が経営している駅近の商業ビルも、空きが出ればすぐに新しいテナント様から声がかかる状態が続いており、毎年安定して利益を出し続けることができています。
しかしながら駅前の好立地な土地は、大手不動産会社やデベロッパーなどが狙っているので、個人単位ではハードルが高いと言えるでしょう。資本力はもとより、土地、建設、金融各業界の横断的な知識が必要です。
「長期的に儲ける」という意味では、人口の増減にも敏感になっておく必要があるでしょう。
なぜなら、人口が減っている地域(またはこれから減りそうな地域)では、収益性の高いテナントから声がかかる可能性が下がったり、土地の価値が落ちて売却時に不利になったりするからです。
仮に運良くテナントと契約できたとしても、途中で撤退になったり、賃料の値下げ交渉をされる可能性が高まります。儲かる土地活用をおこなうためには、このような「儲からなくなるパターン」を知っておくことも大切です。
土地活用で人気のおすすめ活用方法13選
ここでは、土地活用で人気の活用方法について紹介していきます。土地活用は、立地や土地の広さによって活用方法は変ってきます。自分の持っている土地はどんな活用方法が良いのか悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
アパート・マンション経営
土地活用の中で、最も代表的なものと言ってもいいのが、「アパート・マンション経営」でしょう。
建物の建築費用がかかるため、巨額の初期投資は必要ですが、すでに土地を所有している場合はローンを利用すれば、あまり費用を準備していなくても始めることができます。
・メリット
メリットは、極端に空室が多い場合を除いて、主に建物の減価償却をおこなえることや安定した家賃収入を得やすいということです。
ただし、本格的にメリットを享受できるのはローンの返済後となります。というのも、賃貸アパート・マンションは意外と維持費がかかるものだからです。
固定資産税の支払いや共用部分の電気・水道代、修繕費用、リノベーション代、居住者を募集するための広告費のほか、管理を委託するなら管理会社への委託料もかかります。
さらに、家賃収入からそれらの経費を引いた不動産所得には税金が課せられるため、所得税が上乗せされます。ここに、さらにローンの返済が上乗せされるので、ローンを完済するまでは大きなメリットは感じにくいでしょう。
それでもアパート・マンション経営をする人が多いのには理由があります。会社員のように他に主となる所得がある場合、不動産賃貸業で発生した所得と合算して、「損益通算」ができるからなのです。
損益通算とは、簡単にいうと利益と損失を相殺することです。不動産賃貸業で赤字が出た時、本業の所得額から差し引くことができます。つまり、所得税の節税につながるわけです。損益通算に関する詳しい情報は、国税庁のホームページを確認してみてください。
参考:「損益通算」(国税庁)
・デメリット
主なデメリットとしては、やはり「初期費用が大きい」ことと、「空室リスク」があげられるでしょう。
ローンを利用する場合は大きな借金を背負うことになるため、投資分を回収してその上に利益が上がるようにシミュレーションをしておきましょう。
また、アパート・マンションは立地が重要なので、利便性の悪い場所では高い稼働率を保持できません。きちんとニーズがあるのか、競合はいないか、徹底した市場リサーチが明暗を分けるでしょう。
とくに、人口減によって空き家や空室が増えている地域は要注意です。賃料の値下げ競争になれば、その分収益性は下がってしまうので慎重に進めることをオススメします。。
商業施設経営
商業施設には、飲食店やヘアサロン、コンビニやドラッグストアなど、多様な種類があります。医療系のテナントに特化した施設などもあり、どのようなテナントを招致するかはオーナー次第となるでしょう。
商業施設の経営には大きく2つの方法があります。「土地だけを貸して、借り手が建物を建てる方法」と、「オーナーが建物を建て、賃料を得る方法」です。順番に解説します。
土地だけを貸して、借り手が建物を建てる方法
土地を貸して、借りてが土地を活用する「事業用定期借地」と言われる活用方法があります。土地を利用したい企業を招致し、期間を決めて賃貸契約をすることで、毎月土地代を得ることが可能です。
建物を建てるのは、借り手となる企業です。借り手側の資金で建物を建てて、そこで事業をおこないます。
また、事業用定期借地では、期間満了時に建物を解体し、更地で土地を返還することが義務付けられているため、最終的に土地は更地の状態でオーナーの元に戻ってきます。低コストで活用ができる上、長期にわたって安定した収益が得られるのはメリットといえるでしょう。
オーナーが建物を建て、賃料を得る方法
こちらは、「土地代」で収益を得るのではなく、オーナーが建物を建てて貸すことで「建物の賃料」によって収益を得る方法です。借り手は法人である場合が多いため、賃料を高く設定しやすいのが特徴といえます。
・メリット
一般的な賃貸住宅と違い、長期的な入居を期待できることがメリットでしょう。数十年単位での契約が多く、長期的に安定した収益を得るなら借地がオススメです。また、商業施設の経営ということで、賃料を高めに設定しやすいこともメリットです。個人向けに貸すより、大きな収益が目指せるというメリットもあります。
・デメリット
空室時の損失が大きいデメリットがあります。マンション・アパート経営のように複数に分散されて収益を得るのではなく、1つの企業に貸すことになるので、
トランクルーム経営
トランクルーム経営とは、敷地内にトランクルームや貨物用のコンテナを設置し、企業も貨物や個人の荷物の保管場所として貸し出す活用方法です。
建物に人が住んだり、頻繁に出入りするわけではないので、騒音や日当たり、土地の形状の良し悪しをさほど気にせずに始められるのがメリットでしょう。
主な手段としては、「業務委託」と「一括借り上げ」の2種類です。
まず業務委託は、オーナー自身が建物を建て、利用者の募集や契約をおこない、管理業務を専門業者に委託する方法です。収益性を高めたいのであれば、こちらの方法がオススメでしょう。
一方で一括借り上げは、トランクルーム事業をおこなう専門業者に、建物ごと一括で貸し出す方法です。いわゆる「転貸」であり、オーナーは専門業者から賃料を支払ってもらって収益を得ます。
利用者の募集や契約、管理業務などはすべて業者がおこなうため、オーナーは手間をかけずに毎月安定した賃料を得られるのです。収益の安定性を優先するなら「一括借り上げ」、収益性の高さを優先するなら「業務委託」を選択しましょう。
・メリット
アパート・マンション経営のように巨額の初期投資をせずにはじめられて、手離れがよく安定した収益を見込めるという点がメリットといえます。
・デメリット
1つ目のデメリットは、地域によって「トランクルームを建設してはいけない場所がある」という点です。
「用途地域」と言って、都市計画法によって地域ごとに用途が絞られているため、たとえば第一種低層住居専用地域は、小規模な住宅や学校、寺院、診療所などの建設は可能ですが、
トランクルームは用途の範囲外となり建設できません。
トランクルーム経営をはじめるのなら、必ず事前に用途地域を確認しましょう。
2つ目に、「金融機関からの融資を受けるのが難しい」という点です。住宅と比べてトランクルームは担保としての価値が低いです。どうしても融資を受けるのであれば、他に担保になるものが必要となるケースがあるので注意しましょう。
老人ホーム経営
少子高齢化が進行する現代において、市場拡大が期待されているのが介護業界です。
老人ホームを建てて、介護事業を運営する業者に一括借り上げをしてもらうことで、賃料を得るという活用方法になります。
・メリット
メリットは主に「収益性」と「節税効果」です。
老人ホームと収益性は結びつきにくいかもしれませんが、高い収益性を見込める理由はビジネスモデルにあります。
たとえば、アパート・マンション経営の場合は部屋の数が限られているため、売上の上限は決まっています。一方で老人ホームは、比較的広い敷地内で多くの利用者を収容するため、利用者が増えるほど売上が増えるのです。
もちろん、適正人数があるため売上の上限があることに変わりはないですが、通常のアパート・マンションと比べると売上の拡大はしやすいでしょう。
また、節税効果も期待できます。土地の上にある建物を第三者に貸し出している場合、オーナーが自由に土地を利用できない状況が考慮され、固定資産税や相続税の評価額が下がる可能性が高いのです。
さらに、補助金や助成金の制度を活用できるのも、介護施設を経営するメリットの1つです。国や各自治体の援助を受けることで、よりリスクを抑えた経営ができます。
・デメリット
デメリットとしては、「高額な初期投資」と「転用の難しさ」があげられます。
まず初期投資ですが、老人ホームを建てるためには広い敷地が必要です。、新たに土地から取得するとなると、建物と同等かそれ以上の金額がかかることもあります。
また、福祉介護施設の建設費用自体も全国的に上昇傾向にあり、東京では7年連続で建築費の水準が上昇しているのです。
初期投資が多いと、資金回収にかかる時間も長期化してしまい、経営に失敗すれば、大きな損失を抱えることになります。
もう1つのデメリットは「転用の難しさ」です。
老人ホームのような施設は、高齢者を介護しやすいよう設計されるため、建物が特殊な構造になっています。そのため、途中で他の用途に変更しようとしても転用が難しいでしょう。
仮に、契約満期前に介護業者契約が解除すると、新たに別の介護業者を探さなければいけません。オフィスビルや商業施設と比べると需要は決して高くないでしょう。
最後に、デメリットとまではいえないものの、介護施設というマーケット自体が縮小していく可能性も軽視はできません。
今後も高齢者が増え続ければ、介護業界のマーケットは拡大していくかもしれませんが、一方で、経済的に老人ホームを利用できない人々が増える可能性もあります。
実際、国も「施設から在宅へ」というスローガンを掲げて、在宅医療・介護を勧める方針をとっています。(※1)
介護業界のマーケット自体は拡大していくものの、介護施設ではなく、デイサービスや訪問介護などのサービスがシェアを広げていく可能性を考慮しておいた方がいいでしょう。
駐車場経営
駐車場経営は、土地活用初心者の方にはオススメの活用方法です。アパート・マンション経営ほどの高額な初期投資も必要なく、管理の手間もさほどかからない土地活用です。
具体的な手段としては、毎月固定の賃料を得られる「月極駐車場」と、利用時間ごとに賃料を得られる「コインパーキング」とがあります。
月極駐車場は、住宅街をはじめ、駐車場を完備していないアパート・マンションの近隣に需要を見込むことができるでしょう。
コインパーキングは、同じく駐車場が完備されていない(または台数が少ない)オフィスビルや、飲食店の近隣に需要がありそうです。
・メリット
収益性は高くないものの、需要がある立地であれば、安定した売上を上げやすいのがメリットといえます。初期投資も比較的少なくて済むので、低リスクで活用したい方にはオススメです。
また、建物を新たに建てるわけではないので、後々他の用途に転用しやすいのもメリットでしょう。
・デメリット
デメリットは、高い収益を狙いにくい点です。とくに月極駐車場は契約できる台数に上限があるため、売上の上限もはじめから決まっているので上限より収益をアップさせることはできません。
一方で、コインパーキングは時間貸しのシステムなので、稼働すればするほど売上は伸びます。ただし、精算機やロック装置、照明や監視カメラなど、初期の設備投資で多額の費用がかかります。
その点、専門業者に土地を一括で借り上げてもらい、設備投資も管理もすべて業者がおこなうのであれば、オーナーの負担はほぼなくなります。しかし、土地の賃料のみで売上を立てることになるため、収益性は下がることになるのです。
また、アパート・マンションと違い、節税効果をあまり期待できないのもデメリットといえます。駐車場は「更地」と同等の扱いとなるため、「住宅用地の特例」が適用されないのです。 そのため、固定資産税や都市計画税の節税効果は期待できません。
等価交換
等価交換は活用方法の中でも、比較的特殊な方法といえます。
土地を所有しているオーナーと、大手不動産会社(デベロッパー)が契約をし、土地の一部と建物の一部の権利を交換し合うというものです。建物の建築費用はデベロッパーが負担するため、オーナーは土地の一部の権利を手放す代わりに、建物の権利を得られるのです。
たとえば、2億円の価値がある土地を所有していたとして、その土地の上にデベロッパーが3億円で建物を建てたとします。
この場合、各々の負担は「2億円:3億円=2:3」なので、オーナーは土地と建物の権利を40%ずつ得ることができます。同時に、デベロッパーは土地と建物の権利を60%ずつ得ることができるのです。
・メリット
一番のメリットは、建築費用の負担をする必要がないという点でしょう。
事業計画や設計プラン、市場リサーチやテナントの募集まで、総合的にデベロッパーがプロデュースしてくれるため、オーナー側の負担は減ります。。
大きな資本と盤石な事業計画をもとにおこなわれるため、オーナーが個人で活用した場合と比べて、活用の成功は期待できます。軌道に乗れば、長期間安定した収益を得ることができるのでオススメの方法です。
・デメリット
デメリットとしては、「権利が複雑化しやすい」という点です。
将来的に土地や建物の権利を売りたいと思っても、共同経営者であるデベロッパーの同意がなければ、売却はできません。成功確率を高められる代わりに、活用の自由度は著しく下がるのです。
そのため、いずれ売却するつもりであれば、等価交換は不向きといえます。
土地信託
土地信託とは、土地活用のプロフェッショナルに運用を任せ、運用によって得た利益から信託配当を受け取るというものです。主に信託銀行や信託会社が運用を代行してくれます。
資金の調達から建物の建設、管理など、すべて土地活用のプロがおこなうため、素人が土地活用を何もわからずに始めるより、成功確率は高まるでしょう。
契約方法には、以下のように「賃貸タイプ」と「処分タイプ」があります。
・賃貸タイプ
土地信託において一般的なものが「賃貸タイプ」です。
賃貸タイプでは、契約時に契約期間が決められ、契約満了時には土地がオーナーに変換されます。運用終了後は、建てた建物をそのまま受け取ることができるのです。
ただし、建物のローン返済が未完了である場合は、オーナーがそのままローンを引き継ぐ必要があります。主にアパート・マンションで運用されるケースが多く、10年〜30年程度の長期契約となります。
・処分タイプ
土地を運用して事業をおこなうのではなく、売却によって利益を出すのが処分タイプです。
具体的には、委託された信託会社が土地の整備や分譲開発をすることで、土地の価値を上げ、売却します。売却によって土地の所有権は買主に移るため、当然土地は変換されません。
・メリット
土地信託の一番のメリットは、金銭的なリスクを負わずに活用ができる点です。
通常、建物の建設には多額の初期投資が必要であり、ほとんどの場合は金融機関から借り入れをすることになります。
その点、土地信託では信託会社が建物を建ててくれるため、金融機関との交渉や建設会社への発注業務、すべて信託会社がおこなうのです。
建設後の運用も土地活用のプロがおこなうため、順調に運用ができている間は信託配当を受け取り続けることができるのがメリットでしょう。
・デメリット
デメリットは主に2つあります。1つ目は「配当金がでない可能性もある」ということです。
土地活用のプロといっても百発百中ではないため、プラン通りに利益が出ないこともあります。利益が出なければ、当然信託配当金も入ってきません。
だからこそ、土地信託をおこなう場合は、信託会社選びが重要となります。過去の実績や提示されるプラン、シミュレーションなどをじっくり確認し、検討してみてください。
2つ目のデメリットは「売上によっては売却する可能性がある」ということです。
たとえば、賃貸タイプで運用をしていたものの、景気の変動や環境変化、災害などが原因となり、思うように利益が出ずに赤字になってしまうことがあります。
そして、運用を続けていても回復の兆しがないと判断した場合、オーナーの合意のもとで契約内容を変え、賃貸タイプから処分タイプに変更することがあるのです。
土地や建物を売却することで運用は終了となり、精算後に残った金額だけが支払われます。
貸し農園
貸し農園とは、日常的に農業と触れ合う機会のない人々に対して、農業体験の場を提供するという活用方法です。
利用者は農地を借りることで、植物や野菜などを自ら育て収穫します。非営利的におこなわれることが主であり、収益性は決して高くないですが、社会貢献度が高い活用方法といえるでしょう。
ただし、貸し農園を始めるには良質な土、広い敷地面積、農具などが必要であり、未経験者をサポートするには農業経験や知識も欠かせません。
そのため、本業で農家を営んでいる方や、農業経験者の方に向いている活用方法といえます。
・メリット
空いている農地や農具があり、オーナー自身に農業経験があるならば、「すぐにでも始められる」という点がメリットです。土地を整備したり、新たに建物を建てる必要がないため、初期投資がほぼかからないのも魅力です。
・デメリット
デメリットは、特に「税制面での優遇措置がない」という点です。
建物を建てるわけでもなく、住宅地というわけでもないため、固定資産税や相続税の軽減措置が原則としてありません。そのため、節税対策として取り組むには不向きの活用方法と言えます。
太陽光発電
「太陽光発電」とは、空き地に太陽光の発電設備を導入し、発電した電気を売却することで収益を得る活用方法です。
事業用の太陽光発電は、売電価格が20年間固定されているため、長期的に安定した収益を生む可能性があります。
適性としては、日当たりが良く、地盤がしっかりしていて、近くに電柱があるような郊外の土地が向いているでしょう。
・メリット
まずは「長期的に安定した収入を得やすい」というメリットがあります。
太陽光発電は、事業開始から20年間は固定価格で売却できますし、太陽パネルの平均寿命も25年〜30年と言われています(※2)。
※2:「2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題」(経済産業省 資源エネルギー庁)
大規模な気候変動でも起きない限り、毎年安定した収益を期待できます。
また、管理の手間や維持費の負担が、比較的軽いのもメリットです。定期的な清掃は必要ですが、点検作業は専門業者に委託できます。
アパート・マンション経営と比べて、初期費用が少ないのもメリットでしょう。
集合住宅を建てるには、特にマンションの場合は億単位の建設費用がかかることもあります。階数や部屋数が少ない小規模の建物だとしても、数千万円はかかるでしょう。
しかし、太陽光発電の場合はそこまでの初期投資は必要ありません。初期費用は発電可能なkw(キロワット)数によって変わります。一般的に導入事例の多い10〜50kw未満の容量であれば、およそ数百万円〜1千万円台の金額で始めることができるのです。
なお、オーナー自身が運営せずに、太陽光発電の専門業者に土地を貸すだけであれば、初期費用は業者が負担するため、初期費用なしというのもメリットでしょう。
・デメリット
デメリットは、まず「天候に影響を受けやすい」という点です。
太陽の光がないと発電できないため、夜間はほぼ稼働できず、雨天や曇天の日も発電量が落ちてしまいます。
また、雪国との相性も良くありません。太陽光パネルの上に雪が積もると、太陽光を受け取るパネルの面積が狭まるため、晴れている日でも発電量が落ちる可能性があるのです。
さらに、肝心の売電価格が年々減少傾向にあるのも気になります。
2012年では10kW以上の価格が1kWh当たり40円だったのに対し、2020年では同様の価格が13円まで下がっているのです。安定性があるとはいえ、売電価格は毎年変動するので、開始するタイミングはよく検討した方がいいでしょう(※3)。
※3:「過去の買取価格・期間等|固定価格買取制度|なっとく!再生可能エネルギー(経済産業省 資源エネルギー庁)
売却
活用方法の中でとくにシンプルな方法が「売却」です。
土地を利用して何かビジネスをおこなうのではなく、売却して資金に換えることも立派な活用方法の1つです。
・メリット
売却の大きなメリットは、まとまった現金を得られることです。積極的な土地活用に前向きでない場合、売却によって得た資金で別の事業に投資したり、株や債券に投資したりできます。
また、土地を現金に換えておけば、相続するのに便利です。土地を複数人へ相続する際は、土地をどう分割するかで論争が起きがちですが、現金であればスムーズに分割ができます。
税金面でも、毎年発生する固定資産税の支払いがなくなるため、金銭的な負担が減るでしょう。
・デメリット
デメリットとしては、まず「相続税の節税効果」がなくなるということです。相続において、土地よりも現金のほうが複数人に分割しやすいというメリットは確かにあります。
しかし、相続税の支払い額を少しでも減らしたいのであれば、現金資産よりも土地のほうが有利になることが多いのです。
通常、資産を相続する際、「評価額」という指標を用いて支払額が計算されます。
たとえば、1億円の現金資産があるならば、評価額はそのまま1億円です。しかし、土地の場合は1億円で購入した土地であっても、1億円以下の評価額となるのが一般的なのです。
そのため、税制面においては、現金資産よりも土地の方が節税効果が期待できます。
また、仮に売却に成功したとしても、売却益がそのままオーナーの収益になるわけではありません。
土地の売却によって発生した利益は「譲渡所得」とみなされ、「譲渡所得税」の支払いが発生するからです。
ちなみに税率は、土地の所有期間が5年以内なら39.63%、5年を超える場合は20.315%となります(ただし、相続した土地の場合は前の所有者の所有期間も加算されます)。
土地貸し
土地貸しは、その名の通り、土地のみを貸し出して賃料を得る方法です。より詳しい定義については、こちらの記事を確認してみてください。
トチカツプロ/土地活用の借地権について|メリットとデメリットについて解説
・メリット
土地貸しは、決して収益性の高い活用方法とはいえません。自分で建物を建て、入居者から賃料を得る方が収益性は高くなるでしょう。
しかし、契約期間中は毎月安定した収益が発生するため、固定資産税の支払いには困らなくなりますし、少なくとも収支がマイナスになることはなくなるはずです。
さらに、複数の節税効果も期待できます。
土地の所有者が自由に土地を利用できない状況が考慮されるため、たとえば、固定資産税の課税標準は6分の1〜3分の1に軽減されるのです(課税標準とは、課税対象となるものの価値を数値化したものです)。
同様の理由で、相続税や都市計画税の支払い額も軽減される傾向があり、税制面でのメリットは大きいといえるでしょう。
・デメリット
土地を貸せば、当然オーナー自身は自由に土地を利用できなくなります。土地の利用に関して口を出しにくくなるのです。だからこそ、契約時にしっかりと事業内容を確認することが重要です。
土地貸しでは、トラブルは決して少なくないため、契約相手は慎重に選び、事業内容も十分に確認をとるのがおすすめです。
また、土地を貸している状態では、土地を売りにくくなるというデメリットもあります。仮に売れたとしても、相場以下の価格になる可能性が高いでしょう。
医療施設
医療施設には大きく2種類あります。
医療法ではベッド数によって区別されており、ベッド数が19床以下、もしくはベッドが設置されていない医療施設は「診療所」、ベッド数が20床以上ある医療施設は「病院」となります。
日本は言わずと知れた長寿大国です。内閣府の調査でも高齢化は今後もますます進むと予測されており、医療施設の需要が減少するということは考えにくいでしょう。
とはいえ、医療施設を経営するのであれば、綿密な事業計画が必要です。長期的に継続可能な事業にするためには、ターゲット層、専門分野、立地などを十分に検討することはもちろん、時代の流れに合った経営手腕が求められるでしょう。
・メリット
診療所の場合は、賃貸住宅と比較して「建築費用を抑えやすい」という特徴があります。
各戸に台所や浴室などの衛生機器を設置する必要がないため、配管が簡略化され、坪単価を抑えられるのです。
また、「土地貸し」の紹介で触れたように、第三者に貸し出している土地はオーナーの利用が制限されるため、税制面で軽減措置を受けやすいこともメリットと言えます。
・デメリット
医療施設のデメリットは、ほかの活用方法に変更しにくいということです。理由は2つあります。
1つは、「医療施設と地域住民との密接性が高いから」です。
商業施設と違い、医療施設は地域のコミュニティとして機能している側面があります。経営が順調にいくほど、医療施設と地域住民との関係性は強くなるため、オーナーの都合で簡単に事業転換することは困難でしょう。
もう1つの理由は、「医療施設という建物の特殊性」にあります。
医療施設は診療や医療行為に適した建物であるため、建物の構造上、ほかの用途に転用が難しいのです。
とくに病院は「特殊建築物」に該当するため、構造、立地条件、防火設備など、厳正な基準が設けられています。特殊建築物に関する詳細はこちらを参考にしてください。
トチカツプロ/工場は特殊建築物?特殊建築物について詳しく解説!
そのため、病院を将来的に別の用途として活用することは現実的ではありません。診療所であれば、まだ用途変更できる可能性がありますが、あらかじめ汎用性の高い設計にしておく必要があるでしょう。
ロードサイド型店舗
ロードサイド型店舗とは、幹線道路沿いにある土地や、交通量の多い道路に面した土地にある店舗のことです。先に紹介した「土地貸し」のロードサイド版だとに近いです。
ロードサイドに適したテナントを招致し、土地を貸すことで賃料を得る手法です。
一般的に20年以上の長期契約となることが多いため、長期間にわたって安定した収益を期待できます。
・メリット
ロードサイド型店舗のメリットは、「集客力」です。
一定以上の交通量が確保された立地であるため、新規顧客から店舗の存在を認知されやすく、ほかのロードサイド型店舗からの流入も見込めます。
建物はテナント側が建設費用を負担することが多いため、土地さえ所有していれば、初期投資ゼロで始められるのがメリットです。
「事業用定期借地」として契約すれば、契約満了時には更地の状態で土地が返還されるため、長期的な事業計画を立てやすいという点もメリットとなるでしょう。
・デメリット
オーナー自身が建物を所有しているわけではないため、賃料は土地代のみとなり、高い収益性は期待できません。
また、テナントの撤退リスクもあらかじめ考慮しておいた方がいいでしょう。
契約満了前に中途解約することになれば、賃料が途絶えるのはもちろん、既存の建物の構造に合ったテナントを新たに探す必要が出てきます。場合によっては、大掛かりな改修工事が必要となることもあるので注意しましょう。
このように、土地活用には多くの選択肢があります。しかし、同時にどの活用にも相応のリスクが存在します。土地活用をおこなう上でのリスクやその回避法について知りたい方は、「土地活用で起こりうるリスクを徹底解説!回避方法についても紹介」をご参照ください。
土地活用で成功するためのポイント
最後に、土地活用で成功するためのポイントについて解説します。土地を利用して事業をおこなうのであれば、どの活用方法でも共通するポイントです。ぜひ参考にしてみてください。
複数のスキルが必要であると理解する
一言にオーナーといっても、土地活用を成功させるためにはさまざまなスキルが必要です。
以下、主な3つのスキルについて解説します。
・リサーチスキル
まずは「リサーチスキル」です。どのような土地活用をするにしても、ビジネスとして成立させるには、需要があり、見込み客に認知されていて、「お金を払う価値がある」と思われる必要があります。
たとえば、賃貸マンション経営の場合、どれだけおしゃれで高級なマンションだとしても、立地が悪過ぎれば人は中々寄り付きません。
家賃設定も同様です。どれだけ優良な物件でも、家賃が高過ぎると入居者を見つけるのに苦労するでしょう。
このような失敗を防ぐためにリサーチが必要です。
- いま、どこにを建てたほうがいいのか
- どのような人をターゲットにするのか
- どのような競合がいるのか
- 土地周辺の賃貸状況は?
- 土地一帯の人口の増減は?将来の都市計画は?
- 交通量は?治安は?
など、徹底的にリサーチした上で、ビジネスの構造を考える必要があるのです。
・投資家としてのスキル
土地活用でそれなりに収益をあげようとすれば、大なり小なり初期投資が必要です。大規模な建物を建てるとなれば、億単位の初期投資は覚悟しておいた方がいいでしょう。
自己資金のみで賄うのはハードルが高いため、多くの人は金融機関からの借り入れを利用します。
借りたお金を返済し、金利も払い、その上で利益を出せるような事業計画を立てる必要があるのです。
賃料設定を考え、納税や建物の修繕などの出費を想定し、利回りを計算することで、収支シミュレーションをおこないます。
過去の似た事例を分析するのもいいでしょう。初期投資をいくらかけて、どれくらいの期間で回収できたのか、成功した要因は何だったのか、多くのヒントを得られるます。
・財務スキル
前述の「投資家としてのスキル」にも通ずる話ですが、金融機関からの融資を受けて土地活用をする場合、オーナーにとって「財務」は重要な仕事です。
- 自己資金はいくら出すのか
- 借り入れ金はいくらがベストなのか
- 借り入れ期間はどれくらいがいいのか
- 固定金利と変動金利のどちらを選べばいいのか
融資を受ける時点で、これらを考える必要があります。
あるいは、たとえば空室によって売上にマイナスが生じた際、
- 賃料を下げて間口を広げたほうがいいのか
- 賃料を変えずに広告費を投じて、借主を探した方がいいのか
- 思い切って追加投資をして、リノベーションをするのか
- あるいは、赤字になる前に売却したほうがいいのか
など、事業の方向性や未来を決める重要な判断を下さなければなりません。
これは一般企業にも同様のことが言えます。実際、売上はきちんと立っているのに、資金繰りに失敗して経営破綻してしまう「黒字経営」はその典型です。
大企業のように財務部署があれば話は別ですが、オーナーが1人で経営する土地活用においては、オーナー自身が財務の役割を担う必要があるのです。
所有している土地の特性を徹底的に理解する
すでに土地を所有している場合、各活用方法の適性は、立地や形状、土地周辺の環境など、土地の特性に大きく左右されます。
中でも確実に押さえておきたいポイントが、「用途地域」です。
用途地域とは、1つの地域に複数の用途が混在しないよう、都市計画法によって地域ごとに用途を定めたものです。
地域ごとに用途が決められており、具体的には建物の種類、敷地面積、建物の高さなどを指標として、全13種類の地域が設定されています。
たとえば、「第一種低層住居専用地域」においては、建物の高さは12m以下(およそ3階建まで)とされているため、13m以上の建物を建てることができません。
ほかにも、「工業地域」においては、工場、住宅、店舗などは建設可能ですが、映画館やホテルなどは建築が認められていません。
自分の土地だからといって、好き放題に活用できるわけではないので、用途地域をしっかり確認して、法律に準じた活用をおこないましょう。
国土交通省が管理するサイト内で、全国の用途地域情報を確認できますので、活用してみてください(※5)。
専門家や土地活用のプロに相談する
どれだけ入念にリサーチをし、事業計画を立てて、収支のシミュレーションをしたとしても、土地活用が成功するとは限りません。
まして、はじめて土地活用をするオーナーにとっては、疑問点や不安は多々あると思います。そこで、活用してほしいのが土地活用の専門家や専門業者です。
客観的かつ専門的なアドバイスができる人を頼ってみてください。
といっても、土地活用について詳しい人間はそう多くないといえます。不動産会社は、会社によって専門分野が偏っている傾向があり、「仲介」や「売買」に特化している会社に相談しても、専門的な助言をもらうことはおそらく難しいでしょう。
ですが、弊社のように事業用不動産や土地活用に特化した会社も存在するので、すでに土地活用をおこなうことを決めていて、具体的に話を進めていきたい場合は相談することをオススメします。
ただし、そもそも土地活用をやるべきなのか判断しかねている方や、金融機関から融資を受けられるのかわからないという方は別です。
そういう方は、ファイナンシャルプランナーや金融機関に相談してみましょう。彼らは土地活用のプロではありませんが、土地活用に取り組むことの是非や可否を判断する上では、良き相談相手となるはずです。
以下、相談内容ごとに相談先をリストアップしたので参考にしてください。