工場・倉庫の気になる耐用年数は?メンテナンスについても紹介

工場・倉庫の気になる耐用年数は?メンテナンスについても紹介

こちらの記事では、現在工場や倉庫を所有している方向けに、工場・倉庫の耐用年数やメンテナンスをする適切なタイミングについて解説していきます。

耐用年数には「建築方法を基準にした耐用年数」と税法で定められた「法定耐用年数」の2つがありますので、順番に紹介していきましょう。

いまメンテナンスをしたほうがいいのか迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

工場・倉庫の耐用年数は建築方法で変わる

まず先に紹介するのは、「建築方法を基準にした耐用年数」です。

こちらの耐用年数は、あくまで一般的な基準であり、公的に定められたものではありません。建築方法ごとにおおまかな耐用年数の傾向があるので、そちらを紹介します。

工場の建築方法を種類別で紹介 

以下が、工場の建築方法の一覧です。

工場の建築方法一覧
建築方法 プレハブ工法 システム建築 在来工法
耐用年数 20年以上 30年以上 30年以上
耐久性 外壁の耐久性が高いが、屋根材の耐久度は低い

耐久性の高い部材を一貫生産するため、品質が安定しやすい

風土や気候に沿って造るため、気候変動にも強い

メンテナンス次第で長寿化

プレハブ工法
プレハブ工法とは、事前に工場で加工された部材を現場に搬入し、組み立てるという建築方法です。

すでに形成された壁や床を扱うため、現場で大工や職人が部材の加工をおこなうことは少なくなります。

システム建築
システム建築とは、基礎や鉄骨、屋根や外壁などの部材を標準化することで、ローコストかつ短い工期で高品質な建築を目指すものです。

在来工法
柱や梁、筋交いなど、木の軸を組み立てることで建物を支える、日本の伝統的な工法です。大工や左官といった専門技術者に引き継がれています。

倉庫の構造を種類別で紹介

続いて、以下が倉庫の建築方法の一覧となります。

倉庫の建築方法一覧
建築方法 テント倉庫 プレハブ工法 システム建築 在来工法
耐用年数 6~8年 20年以上 30年以上 30年以上
耐久性 部材が劣化しやすく、耐久性は低め 外壁の耐久性が高いが、屋根材の耐久度は低い

耐久性の高い部材を一貫生産するため、品質が安定しやすい

風土や気候に沿って造るため、気候変動にも強い

メンテナンス次第で長寿化

テント倉庫
鉄骨を骨組みとして、シート膜が貼られた建物になります。耐久性は高くないですが、ローコストかつ短期間で建てられるのがメリットです。

工場・倉庫の法定耐用年数

続いて紹介するのは、税法で定められた「法定耐用年数」です。

法定耐用年数とは、建物や車、機械や装置などの減価償却資産について、課税の公平性を保つために設けられた基準となります。以下、建物の構造別に耐用年数を紹介します。

木造の工場・倉庫の耐用年数

構造 耐用年数
木造・合成樹脂のもの 15年
木骨モルタル造のもの 14年

鉄筋コンクリート造の工場・倉庫の耐用年数

構造 耐用年数
鉄骨鉄筋コンクリート造のもの 38年
れんが造・石造・ブロック造のもの 34年

金属造の工場・倉庫の耐用年数

構造 耐用年数
金属造のもの(4㎜を超えるもの) 31年
金属造のもの(3㎜を超え、4㎜以下のもの) 24年
金属造のもの(3㎜以下のもの) 17年

ご覧のように、木造のような耐久性の低い部材を使用した建物の耐用年数は短く、鉄骨や金属、れんがなどの頑丈な部材を使用した建物の耐用年数は高い傾向にあります。

工場・倉庫の建物は定期的にメンテナンスを

ここまで、工場・倉庫の耐用年数について見てきましたが、耐用年数はあくまで1つの基準です。

「耐用年数に達するのはまだ先だから、メンテナンスが必要ない」ということではなく、長く工場や倉庫を活用するには、定期的なメンテナンスが重要となります。

そこでこちらでは、どれくらいの頻度でメンテナンスをした方がいいのか、またメンテナンスをするとどのようなメリットがあるのかについて、解説していきます。

10年くらいで1度は修繕・メンテナンスが必要

工場・倉庫の法定耐用年数は、短いものだと15年前後、長いものだと35〜40年前後です。

冒頭でもお伝えしたように、建築方法や使う部材によっても異なりますが、概ね「10年に1度」の頻度でメンテナンスや修繕をすることをオススメします。

適切なタイミングで修繕をしなければ、劣化が進行してしまい、状態が悪化すれば、その分無駄な修繕費用が増えてしまうからです。

では、定期的なメンテナンスにはどのようなメリットがあるのか紹介します。

・メリット1「雨漏りを防げる」
メンテナンスを怠ることで「雨漏り」が生じる可能性があります。

とくに木造の建物の場合は注意が必要です。直接雨水を浴びていなくても、雨水が入ってきた箇所は湿気が多くなります。

そういった湿気の多い場所では、木材腐朽菌(もくざいふきゅうきん)という菌が繁殖しやすく、木材の腐食現象が起きる可能性が高いのです。これを放置しておくと、当然建物の寿命は短くなってしまいます。

また、工場や倉庫内で精密機械を扱っていたり、製品を保管したりしている場合も注意が必要です。

機械が壊れてしまったり、製品が廃品扱いになったりなど、事業自体に大きな損害を与える可能性があります。

常に屋根の状態を管理するのは現実的に難しいと思いますので、専門業者に依頼し、定期的に点検してもらうといいでしょう。

・メリット2「資産価値を維持する」
建物の資産価値を維持しやすいのも、メリットの1つです。

外壁や屋根の塗装、防水工事などを定期的におこなっている建物と、長期間使い続けて老朽化した建物とでは、どちらの方が資産価値が高いかは明白でしょう。

きちんと管理が行き届いていて資産価値を維持できている建物は、貸し出す時の家賃交渉でも有利にはたらきやすいですし、売却時にも印象が良いです。

オーナー自身が工場や倉庫を活用するのではなく、第三者に貸し出すのであれば、定期的なメンテナンスをすることの恩恵はより大きくなるでしょう。

・メリット3「建物への印象や企業イメージが良くなる」
屋根や外壁の色が錆びて剥げていたり、カビが繁殖していたりなど、建物の老朽化は見た目の印象が悪くなるという側面もあります。

あまりに酷い場合は建物一帯の景観を損ねかねないですし、近隣住民からの印象も悪くなってしまうでしょう。

また、倉庫や工場に事務所を併設している場合は、来客者への配慮も必要です。

建物の外観は、その会社へのイメージに少なからず影響しますから、不要な悪印象を与えてしまう可能性があります。

このように、工場・倉庫の定期的なメンテナンスは、建物の資産価値の向上や機能性の保持だけでなく、企業イメージの向上に貢献できるというメリットもあるのです。

メンテナンス時期は耐用年数をアテにしないこと

メンテナンス時期は耐用年数をアテにしないこと

耐用年数は確かにメンテナンス時期の参考にはなりますが、実際には耐用年数よりも、建物の劣化具合を鑑みて判断するようにしましょう。

たとえば、耐用年数が30年以上の金属造の工場・倉庫だとしても油断はできません。

自然災害によって破損が生じていたり、外壁や天井の塗料が剥がれて、防水性や遮熱性が低下していたりする可能性は十分にあります。

室内で人が働いている場合は、労働環境の悪化につながる恐れもあるでしょう。
劣化具合をチェックして、適宜メンテナンスをする必要があります。

ちなみに、塗装費用は依頼する業者や塗料の種類によって変わります。安いものだと1坪あたり1万円台、高いものだと1坪3万円以上するので、規模によってはそれなりに費用がかかるでしょう。

とはいえ、メンテナンスを先延ばしにすれば劣化は進行する一方なので、必要性を感じたら早めに着手することをオススメします。

耐用年数より重要なのは状態!チェック項目を紹介  

耐用年数より重要なのは状態!チェック項目を紹介

工場や倉庫の劣化具合を確認するには、ぜひ文部科学省が出している『点検チェックリスト』を活用してみてください。

こちらのチェックリストでは、部材ごとに点検項目と劣化状況の判断基準が設けられており、建築に詳しくない方でも容易に建物の状態をチェックすることができます。

今回はその中から、「屋根」「外壁」の部分を抜粋して紹介します。

点検項目

  • 屋根ー陸屋根
  • 屋根ーかわら
  • 屋根ー金属屋根
  • 壁ータイル
  • 壁ー外壁仕上塗材

劣化状況

劣化状況 変形 剥離 ひび・破損 変質
・脱落
・落ちそう
・ぶらさがっている
・垂れている
・ずれている
・凹んでいる
・傾いている
・たわんでいる
・ゆがんでいる
・まがっている
・ガタついている
・剥がれている
・ふかふかする
・膨らんでいる
・ひび割れている
・割れている
・折れている
・破れている
・切れている
・腐っている
・錆びている
・シミがある

このようなチェックシートを使い、各部材の劣化状況を細かくチェックします。最後はチェック内容を確認し、以下の3つの中から選んで総合的な評価をするという流れです。

A : 異常は認められない、または対策済み
B : 異常かどうか判断がつかない、わからない
C : 異常が認められる

点検チェックリストには、他にも「内装材」や照明・空調といった「設備」など、多くの点検項目があります。劣化具合をチェックするにはこれ1つで十分と言えますので、ぜひ積極的に活用してみてください。(※1)

参考:「点検チェックリスト」(文部科学省)

工場・倉庫の賃貸・売買は近畿住宅流通へ 

ここまでお伝えした通り、工場・倉庫は耐用年数にかかわらず、チェックリストを活用しつつ、10年に一度くらいの頻度で定期的なメンテナンスをおこないましょう。

そうすることで、不要な事故やトラブルを未然に防ぎ、長期的に活用し続けられるのです。

ちなみに弊社では、工場・倉庫の賃貸・売買に積極的に取り組んでいます。「企業向けに貸し出したいけど、管理や契約のやり方がよくわからない」という方がいましたら、弊社との賃貸契約を介して間接的に貸し出すことも可能です。

また、売買に関しても、過去の売買経験や自社の資本力を活かしたスピード感のある取引ができます。

もし、工場・倉庫の賃貸・売買でお困りのことがありましたら、お気軽に近畿住宅流通までお問い合わせください。

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