駐車場用地を売却する手順とは?3つの注意点と売却費用も紹介

「駐車場用地を売りたいのだが、やり方がよくわからない」

「駐車場がある土地を売却する上で注意点があったら知りたい」

今回はこのような疑問に答えていきます。

目次

駐車場がある土地を売却する際の手順

駐車場がある土地の売却方法はおおまかに2つあるため、まずはそちらを紹介します。次の項目で具体的な売却の手順を紹介しますので、あわせてご覧ください。

駐車場がある土地の売却方法は大きく2つ

駐車場がある土地の売却方法は、

・駐車場を残したまま売却する

・更地にして売却する

大きくこの2つです。それぞれのメリット・デメリットが以下となります。

方法メリットデメリット
駐車場を残したまま売却手続きがシンプル更地と比べて売れにくい
更地にして売却比較的売れやすい手続きが面倒・解体費用が発生する

このように、更地にするか否かでコストや手間の度合いが異なります。立地や使いやすさなどの土地のポテンシャル、予算などに応じてどちらが良いか検討しましょう。以下、それぞれの方法を詳しく解説します。

・駐車場を残したまま売却する

駐車場を残したまま売却する際は、買主との間で賃借契約の継承が必要です。こちらは売却の契約内でおこなえるので、別途手続きをする必要はありません。

また、所有権移転登記がされている限り、現利用者による承諾や利用者への通知は不要とする考え方が、判例実務上確立しています。詳しくは以下の判決内容を確認してください。

【最高裁昭和33年9月18日判決】

【最高裁昭和49年3月19日判決】

・更地にして売却する

更地にすると買主側にとって用途の選択肢が増えるため、売れやすくなる傾向があります。しかし、利用者との契約解除や駐車場の解体など、売主側の手間が増えてしまいます。

押さえておきたいポイントとして、「駐車場の契約解除はオーナー側の一方的な都合で可能である」点です。なぜなら、駐車場の契約は借地借家法の適用外だからです。

仮に利用者から代わりの駐車場の紹介や立退料を要求されたとしても、法的な拘束力はありません。賃借契約書に記載されている契約解除告知の期間に則って、事前に告知をおこないましょう。

利用者側もすぐに立ち退くのは難しいことが予想されるため、できれば1〜2ヶ月程度の猶予をもたせるのが理想的です。

駐車場を残したまま土地を売却する手順

こちらでは、駐車場を残したまま土地を売却する手順を具体的に解説します。査定を依頼してから引き渡しが完了するまで、長くて4ヶ月程度はかかると思っておきましょう。以下が土地を売却する際の、おおまかなスケジュールです。

手順所要期間
所有している土地の相場価格を調べる1週間〜2週間
複数の不動産業者に査定依頼・比較検討約1週間
不動産業者と媒介契約を締結する約1週間
交渉〜売買契約締結〜引き渡し2〜3ヶ月

以下、手順の中で特に重要な「相場価格の調べ方」「不動産業者への査定依頼」について詳しく解説します。

・相場価格の調べ方

駐車場がある土地を売却する前に、まずやっておきたいのが相場価格の調査です。不動産業者に査定依頼をして査定額を出された際、金額の妥当性を見極めるためには相場観が必要だからです。また、相場価格を知っておくことで、販売価格を決める際の指針にもなります。

相場を調べるには、国土交通省が運営している『土地総合システム』や、資産評価システム研究センターが運営する『全国地価マップ』などを活用するといいでしょう。以下が各サイトのリンクとなります。

土地総合情報システム(国土交通省)

全国地価マップ(一般財団法人資産評価システム研究センター)

・不動産業者への査定依頼、比較検討

駐車場がある土地の査定方法は、主に以下の2つです。

査定方法特徴
机上査定現地で調査をせず、データや資料などから算出する査定方法で、別名「簡易査定」とも呼ばれます。精度は決して高くないですが、数日で結果を知ることが可能です。
訪問査定不動産業者の担当者が現地に行き、土地の状態をチェックした上で査定する方法です。机上査定と比べて精度は上がりますが、1〜2週間ほどの期間を要します。

また、査定の具体的な流れが以下です。

⑴複数の不動産業者に机上査定を依頼

⑵査定価格を比較検討する

⑶正式に依頼する業者を決め、訪問査定を依頼

⑷改めて査定価格を提示してもらう

なお、⑵で査定価格を比較検討する際は、金額だけで判断しないよう心がけましょう。担当者の対応や説明内容など、細かな点も含めて業者を見極めることをオススメします。

駐車場がある土地を売却する際の注意点

パーキングの看板

こちらでは、駐車場がある土地を売却する際の注意点を

・売却は長期間を要する

・売却方法をきちんと検討する

・住宅街にある駐車場の契約解除は早めがオススメ

の順で紹介します。

売却は長期間を要する

駐車場用地に限らず、土地は基本的に一朝一夕で売れるものではありません。現状の利用者がいるのなら立ち退きには1〜2ヶ月を要しますし、更地にする場合も解体、整地、測量などの作業には数日から数週間を要します。また、販売を開始してすぐに買い手がつくとも限らないので、できるだけ長期的なスパンで取り組むことをオススメします。

買主にとって魅力的な情報を訴求する

迅速かつできるだけ高値で売却するのであれば、売り方をきちんと工夫する必要があります。

例えば、所有している土地が駐車場以外の用途にも使えるのであれば、「居住用や商業用としての使用も可」と訴求することをオススメします。駐車場としてしか活用できない土地だと思われると、買い手がつきにくくなる可能性があるためです。

このように、買主側にとって魅力的な情報があれば、担当の業者に依頼して必ず物件情報に記載してもらいましょう。

住宅街にある駐車場の契約解除は早めがオススメ

何らかの理由で駐車場利用者に契約解除を求める場合、特に住宅街にある駐車場の利用者には早めの告知をオススメします。

もしも周辺エリアに代わりとなる駐車場がなければ、利用者が次の駐車場を見つけるまで時間が必要だからです。一応法的には貸主側が一方的に解除できるとはいえ、あまりに配慮に欠けた対応を取ると、トラブルに発展する可能性があります。

駐車場がある土地を売却する際にかかる費用と税金

お金とスマホと電卓

続いて、駐車場がある土地を売却する際に発生する費用や税金について解説します。

駐車場がある土地を売却する際にかかる費用一覧

土地を売却する際に、基本的に例外なく発生する費用や税金が以下です。ただし、あくまでも一例であり、状況次第で下記以外の支払いが発生する可能性もあります。

費用項目費用の内容
仲介手数料不動産業者への成功報酬
印紙代売買契約時に契約書の作成にかかる収入印紙代
測量費売却時に必要となる測量計測の依頼費用
登録免許税買主へ所有権を移行する際の費用
その他必要書類を取り寄せる費用

以下、各項目を詳しく解説します。

・仲介手数料

売買契約が成立した際、不動産業者に対して払う成功報酬です。売買契約締結時と土地の引き渡しの2回に分けて支払うのが一般的です。なお、仲介手数料の金額は国土交通大臣の告示により、物件価格の3%+ 6万円が上限であると定められています。(取引物件価格が400万円超の場合)

・印紙代

印紙代は、不動産売買時の契約書作成に必要な税金です。取引金額によって金額が異なっており、以下がその一覧となります。

契約書に記載された金額印紙代
1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1千円
100万円を超え500万円以下2千円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

ただし、平成9年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が一定額を超えるものには税率の軽減があります。税率の軽減に関する詳しい情報は以下のサイトを確認してください。

「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」(国税庁)

・測量費

測量とは、所有している土地と周囲の土地との境界を明確にするための調査です。引き渡し後に、買主と周辺の土地オーナーとの間に行き違いやトラブルが生まれるのを防ぐためにおこないます。相場は35万〜80万円と言われており、土地の面積や形状などによって開きがあります。

・登録免許税

所有権移転登記をおこなう際は、登録免許税の支払いが必要です。一般的には買主側が負担するケースが多いですが、売主側が払う可能性もゼロではないので覚えておきましょう。

登録免許税の税率に関しては、以下の国税庁のサイトで確認してください。

「No.7191 登録免許税の税額表」(国税庁)

・その他の費用

自治体の窓口や公共機関などから必要書類を取り寄せる際、発行手数料が発生します。

譲渡所得税

売却によって利益が発生した場合に限り、利益が譲渡所得とみなされ、譲渡所得に対して税金の支払いが発生します。譲渡所得の計算方法は以下の通りです。

 譲渡所得額 = 販売価格 ー (取得費 + 譲渡費用)

取得費とは、土地や建物の購入費用及び仲介手数料などの合計額です。

また譲渡費用とは、売買時の仲介手数料や測量費など、売却のために要した費用を言います。駐車場を解体して更地にした場合は、解体費用もまた譲渡費用に含まれます。

課税対象となる譲渡所得額を少しでも減らすためには、どのような出費が譲渡費用に該当するのかを押さえておくことが重要です。譲渡費用に該当する項目は、以下の国税庁のサイトで確認できます。

「No.3255 譲渡費用となるもの」(国税庁)

・譲渡所得にかかる税金の算出方法

譲渡所得税とは、正確には所得税と住民税を言います。なお、これらの税率は「長期譲渡所得」か「短期譲渡所得」か、どちらの区分に該当するかによって異なります(※1)。

以下が区分ごとの税率の一覧表です。

区分所有期間所得税住民税
長期譲渡所得5年を超える15.315%5%
短期譲渡所得5年以下30.63%9%

売買取引が成立した年の1月1日の時点で、所有期間が5年を超えていた場合は「長期」、5年以下の場合は「短期」とみなされます。

※1「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」(国税庁)

・譲渡所得税に利用できる控除

譲渡所得が発生した際、例外的に控除を受けられる場合が稀にあります。ただし、一般的な宅地を売却する場合の控除と比べ、要件が細かいので注意が必要です。

たとえば、譲渡所得から最高5,000万円までの特別控除を差し引く特例は、以下の要件すべてに該当している必要があります。

⑴売った土地建物は固定資産であること

⑵その年に公共事業のために売った資産の全部について収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例を受けていないこと

⑶最初に買取り等の申出があった日から6ヶ月を経過した日までに土地建物を売っていること

⑷公共事業の施行者から最初に買取り等の申し出を受けた者(その者の死亡に伴い相続又は

遺贈により当該資産を取得した者を含みます。)が譲渡していること

詳しくは以下の国税庁のサイトを確認してください。

「No.3223 譲渡所得の特別控除の種類」(国税庁)

「No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例」(国税庁)

消費税

通常、一般的な宅地の売却取引で消費税は発生しません。しかし、駐車場を残したまま売却する場合、事業用設備の譲渡とみなされるため消費税が発生します。

ただし、課税されるのは2年前の売上高が1,000万円を超えている場合のみです。なお、駐車場を解体して更地にして売却するのであれば、消費税は発生しません。消費税額の計算方法は以下です。

 消費税額 = 販売価格 ー(取得費 + 売却費用)×  消費税率(10%)

土地の規模によってはそれなりに大きな出費になる可能性があるので、駐車場を残したまま土地の売却を検討している方は覚えておきましょう。

固定資産税

固定資産税は、1月1日の時点で固定資産を所有している人に支払う義務があります。そのため、期の途中で売却できたとしても、売主側には固定資産税の納税通知書が届きます。

ただし、売主側が固定資産税を満額を支払う必要はありません。買主側が引き渡し後の固定資産税を日割りで計算し、固定資産税の一部を負担するのが一般的です。なお、不動産業者が仲介で入っている場合は、こうした精算処理も対応してもらえることが多いです。

後々面倒なトラブルに発展しないよう、売却時の納付残高はいくらなのか、支払い方法は一括なのか分割なのかなど、買主側ときちんと擦り合わせておくといいでしょう。

駐車場がある土地を売却する際の業者の選び方

業者選び

最後に、駐車場がある土地を売却する際の業者の選び方を4つ説明します。

事業用地の売却経験が豊富な不動産業者を選ぶ

一言に不動産業者と言っても、「売買」「賃貸」「管理」など会社によって強みは異なります。また同じ「売買」という括りでも、戸建の売買をメインでおこなっている会社もいれば、駐車場を含む事業用地の売買をメインでおこなっている会社もあります。

そのため、可能であればきちんと駐車場用地の販売実績がある業者を選びましょう。過去にきちんと売却実績があれば、相応のノウハウや販路をもっているはずです。

あるいは、売却したい駐車場の周囲の駐車場を管理している業者に相談するのもありでしょう。駐車場の管理を数多くこなしている業者は、駐車場のニーズや相場感に詳しい可能性が高いからです。より正確な相場感をもっていれば、利回りを計算して売却額を予想するのにも役立ちます。

そういう意味では、三井のリパークやタイムズなど、駐車場を数多く取り扱う大手の業者に相談するのも手です。駐車場を欲しいと考える人や、駐車場を購入して自社ビルを建てたい人など、買主側のニーズが自然と集まっている可能性があります。

囲い込みをしない不動産業者を選ぶ

囲い込みとは、不動産業者が「両手仲介」を狙う行為を言います。両手仲介とは、1つの不動産業者が売主と買主の両方から仲介手数料を取る方法です。

たとえば、他の不動産業者からの内覧・購入依頼を意図的に断ったり、レインズ(不動産業者の専用サイト)に物件情報を登録せず、自社で買主を見つけるまで他の方に買われないようにしたりなどです。

このような囲い込みが起きる可能性が高いのが、不動産業者と「専任媒介契約」をした場合です。買い手探しを1社に託しているにもかかわらず、不動産業者に有利に働くような売却活動しかしないので、早期売却や好条件での売却が困難となります。巷では売主側がこうした囲い込みの状況を知らずに、延々と売れるのを待たされ続けることも珍しくありません。

しかし、両手仲介ではなく片手仲介(売主のみとの契約)であれば、業者は売主のために最大限努力せざるを得なくなります。

売主側は少しでも高く売りたいですし、仲介業者としても高く売れてくれた方が仲介手数料が増えるためです。共通の目的があるので、足並みを揃えて取り組むことができるでしょう。

なお、囲い込みを未然に防止する方法として無難なのは、複数の仲介業者と「一般媒介契約」を結ぶことです。一般媒介契約であれば、仮に1つの業者が囲い込みをおこなったとしても、他の業者が売却活動をおこなってくれる可能性が高いでしょう。

ただし、仲介業者にとって一般媒介契約は競合が増えることになるので、専任媒介契約と比べて売却活動への積極性が下がる可能性もあります。リスクヘッジを優先して一般媒介契約にするか、効率を優先して専任媒介契約にするか、判断が難しいところです。

行政処分などのペナルティを受けていない不動産業者を選ぶ

信頼できる不動産業者か否かを判断する1つの基準として、行政処分などのペナルティを受けたことがあるか、履歴をチェックするのは有効です。

宅建業者が免許取消処分や業務停止処分などを受けた場合、基本的にその事実は各都道府県の広報やウェブサイトで公告されます。またこれらの処分履歴は宅地建物取引業者名簿の登載事項であるため、一般の方でも情報を確認可能です。以下、過去の処分の有無を調べる方法を2つ説明します。

・調べ方⑴国土交通省ネガティブ情報等検索システムを使う

国土交通省ネガティブ情報等検索システムとは国土交通省が運営するサイトで、各都道府県が宅建業者に対しておこなった処分情報を確認できます。該当する都道府県のリンク先に飛び、法人名で検索をかけてみましょう。

国土交通省ネガティブ情報等検索サイト

・調べ方⑵役所の窓口で「宅地建物取引業者名簿」を確認する

2つ目の方法は、役所の窓口で宅地建物取引業者名簿を確認することです。こちらの名簿を見れば、該当する会社の過去の処分履歴の有無を調べることができます。

名簿を閲覧できる場所は、国土交通大臣の免許業者であれば所管の地方整備局、都道府県知事の免許業者であれば各自治体の部署となります。

駐車場がある土地を売却するなら近畿住宅流通へ 

元々駐車場として利用されていた土地は、立地や面積次第では大きなポテンシャルをもっている可能性があります。つまり、高値だとしても多くの買い手候補が集まるかもしれないということです。

そこで、仲介業者に依頼して買い手を探してもらうのも1つの手ですが、場合によってはそれよりも迅速かつ高値で売却できる方法もあります。それは、弊社のような『土地活用の専門業者に直接売却する』という方法です。

特に弊社のように少数精鋭の業者は、フットワークが軽いことが強みです。場所次第では、お問合せをいただいた日から最短で翌日には現地視察に伺うこともできます。また、仲介業者を挟まずに直接専門業者に売却できれば仲介手数料が浮きますので、金銭的にも大きなメリットがあります。

もし、駐車場がある土地の売却を検討していらっしゃるのでしたら、どうぞお気軽にトチカツプロを運営する近畿住宅流通までお問合せください。

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