土地売却を成功させるには、段取りを理解することが重要です。また、費用はどの程度かかるのか、業者はどう選べばいいのか、確定申告は必要なのか、これらの情報も把握しておく必要があるでしょう。
そこで、こちらの記事では土地売却の段取りを徹底解説します。土地売却の際に少しでも高く売りたい方、トラブルに巻き込まれたくない方は参考にしてください。
土地売却前に確認したい4つのこと
土地売却の段取りを理解することは重要ですが、それと同じくらい重要なことは、これから売る土地そのものへの理解を深めておくことです。こちらでは、土地売却前に確認したい4つのことを紹介します。
なぜ土地を売りたいのか?
土地売却の計画を進める際、まず最初に考えたいのが土地を売る目的です。売却の目的は人によって様々であり、主に相続、資金調達、移転などが考えられます。
当たり前のことのように感じるかもしれませんが、売却の目的を明確にすることで、後の段取りや戦略を立てやすくなるでしょう。また、相続なら行政書士や弁護士、資金調達なら不動産業者など、目的によって相談相手が変わってくるので、かなり重要な確認事項となります。
売りたい土地の特徴は?
土地の広さ、形状、立地条件など、売りたい土地の特徴を理解しておくことも重要です。なぜなら、それらは売却価格に大きな影響を与える要素だからです。まずは複数の不動産業者に簡易査定をしてもらい、相場を把握しましょう。
用途地域や抵当権などの法的制約を確認しておくことも重要です。売却時のトラブルを避けるためにも、土地の権利関係や法的な制約事項を明確にしておきましょう。
売りたい土地の周辺環境は?
交通機関やショッピング施設があるかどうかなど、売りたい土地の周辺環境を調べておくことも重要です。どのような利便性があるかを知っておくことで、どのような活用に向いているかを理解できるので、販売活動をする際にターゲットを絞りやすくなります。
また、周辺にある似た条件の土地の販売価格をリサーチすることで、価格設定や販売戦略を考えやすくなるでしょう。
売りにくい要因はないか?
最後に土地を売りにくい要因がないかもチェックしましょう。たとえば、
- 立地が悪くないか
- 面積が狭すぎないか(または広すぎないか)
- 地盤が弱くないか
- 地中に埋設物がないか
などです。これらの売りにくい要因を事前に確認し、解決策を考えておくことで、スムーズな売却を実現できます。
土地売却の段取りごとの詳細
こちらでは、上記の早見表に従って土地売却の段取りを解説します。
大まかなプランを練る
先述のように、売却の目的、土地の特徴などから、大まかな売却プランを考えます。売却によって得られる収益、売却にかかるコストを明確にし、収支のシミュレーションもおこないましょう。
査定および仲介業者選定
次に、複数の不動産業者に依頼し、簡易査定をしてもらいましょう。査定時の価格で必ず売却できるわけではないですが、査定価格が安すぎる業者や高すぎる業者は極力避けましょう。
安すぎると売却するメリットが少なくなりますし、高すぎる場合は契約を受注するために良いように見せている可能性があるからです。また査定結果の他にも実績や評判、口コミなどを考慮して、適切な業者を選びましょう。なお、不動産業者と結ぶ契約には以下の3種類があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
これらのうちどれを選ぶかは、売主の状況や土地の売れやすさによって変わります。それぞれの特徴を以下にまとめたので参考にしてください。
契約方法 | 内容 | 向いている人 | 業者の報告義務 |
一般媒介契約 |
・複数の不動産業者と結ぶタイプの契約 ・売主自身が買主を探すことも可能 |
・所有している不動産が好立地である人 ・自分で買主を見つけられる可能性がある人 |
なし |
専任媒介契約 |
・依頼する不動産業者を1社に絞るタイプの契約 ・売主自身が買主を探すことも可能 |
・自分で買主を見つけられる可能性がある人 ・業者を1社に絞りたい人 |
2週間に1回以上 |
専属専任媒介契約 | 依頼する不動産業者を1社に絞り、かつ売主自身が買主を探すことを禁じられているタイプの契約 |
・スピード重視で売却したい人 ・業者を1社に絞りたい人 |
1週間に1回以上 |
売却希望価格の決定および買い手探し
仲介を依頼する不動産業者が決まったら、業者と相談して売却希望価格を決定します。価格は高過ぎても低過ぎても良くないので、近隣エリアの相場を参考にして決めましょう。なお、価格設定の際は買主から値下げ交渉があることを前提に設定するのがセオリーです。
売りたい価格よりもちょっとだけ高く設定しておきましょう。売却希望価格が決まったら、不動産業者に販売活動をしてもらいます。不動産系のポータルサイトへの掲載や広告、SNS、その他営業活動など、ターゲットに合った方法で不動産業者が買い手を探してくれます。
内覧および交渉
土地に興味を持った方からの問い合わせがあれば、適宜内覧の対応をします。基本的に売主が直接買主とやりとりすることはないので、対応や交渉ごとは不動産業者に任せてください。
買い手から疑問や要望があれば、不動産業者を介してできる限り丁寧に応えましょう。大体の交渉は値下げですので、あらかじめ業者と話し合い、最低価格を決めておくことをオススメします。その都度業者が持ち帰って売主と相談していては、交渉が長引いてしまうためです。
売買契約
売買条件がまとまったら、不動産業者を介して買主と売買契約を結びます。後々トラブルにならないよう、代金の支払い時期や支払い方法、解除条項、所有権移転の時期と引き渡し、抵当権抹消等に関する条項、公租公課の負担などは注意深く確認しましょう。
双方、契約書の確認が済んだら署名捺印をおこない、買主から手付金をもらいます。なお、売買契約が成立したタイミングで、不動産業者に仲介手数料の50%を支払うのが一般的です。念の為、事前に不動産業者に確認しておきましょう。
決済および引き渡しをする
売買契約が完了したら、決済および引き渡しに移ります。手付金以外の残りの代金をもらうと同時に、物件の引き渡しをおこないましょう。また決済のタイミングで、不動産業者には仲介手数料の残りの50%を支払います。決済が完了したら司法書士に所有権移転登記の申請をしてもらいましょう。登記上の所有者が買主に変更されれば、引き渡しは完了です。
確定申告をする
決済と引き渡しが完了しても、まだ作業は残っています。売却益が発生したら確定申告をする必要があります。申告期間は売却した翌年の2月16日〜3月15日です。申告方法は本人がおこなっても、税理士に依頼しても、どちらでも問題ありません。
ただし、税理士に依頼する場合は費用がかかるので注意が必要です。費用相場は10万円〜15万円程度となります。
土地売却を段取り通りに進めるための注意点
土地売却を段取り通りに進めるには、不動産業者との契約方法をよく吟味したり、境界確定を済ませておいたりなど、いくつか注意点があります。それらの作業を怠ると、土地売却のスケジュールが大幅にずれる可能性があるでしょう。
そこで、こちらでは土地売却を段取り通りに進めるための注意点を4つ紹介するので参考にしてください。
不動産業者との契約方法はよく考えて選ぶ
先述のように不動産業者との契約方法は、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つがあります。
それぞれに強みがあり、土地の特徴やポテンシャルによって向き不向きがあるので、契約方法は慎重に選びましょう。3つの契約方法の詳細は以下の通りです。
- 一般媒介契約
複数の不動産業者と同時に結ぶことが可能な契約方法です。不動産業者に買主を探してもらいながら、売主自身が買主を探すこともできます。売る土地が好立地であったり、人気物件であったりすれば、一般媒介契約が向いているでしょう。
競争原理が働きやすく、複数の不動産業者が積極的に販売活動をおこなってくれるためです。なお、こちらの契約では不動産業者が売主に対して定期報告をする義務はありません。
- 専任媒介契約
1社の不動産業者とのみ結ぶ契約方法です。一般媒介契約と同様に、業者に買主を探してもらいながら、売主自身が買主を探すこともできます。一般媒介契約の場合は、せっかく販売活動をしても競合他社に先に成果を奪われる可能性がありますが、専任媒介契約の場合はその心配がいりません。
また、2週間に1回以上の報告が義務であるため、安心して販売活動を任せられるでしょう。複数の業者と連絡を取り合うのが難しい方や、売りにくそうな土地を所有している方に向いている方法と言えます。
- 専属専任媒介契約
専任媒介契約と同様に、1社の不動産業者とのみ結べる契約方法です。ただし、こちらの場合は売主自身が買主を探すことはできません。売主側に対する販売活動の制限がある代わりに、不動産業者に対してはスピード感のある販売活動を期待できます。
なお、こちらの契約は1週間に1回以上の定期報告が義務となっているので、安心して販売活動を任せられるでしょう。スピード優先で土地を売りたい方にオススメの契約方法です。
境界確定を済ませておく
境界確定とは、自分が所有する土地と、隣接する他人の土地との境界線を確定させる作業です。土地家屋調査士に依頼し、測量図を作成してもらうことで作業が完了します。土地売却において、境界確定は必須の作業ではありません。境界標や測量図がすでにある場合、測量をする必要のないことも多いです。
ただし、境界標も測量図もない場合は、隣地所有者とのトラブルを未然に回避するために、きちんと測量をおこなうことをオススメします。測量には30万円〜40万円ほどの費用がかかるため、決して安い出費ではありません。
また、調査士や隣地所有者の立ち会いが必要であるため、スケジュールの調整にも手間がかかります。土地家屋調査士に依頼をしてから、測量図への署名・捺印が完了するまで3〜4ヶ月は見ておいた方がいいでしょう。
特に、所有する土地が公道に面している場合は、行政の合意がないと境界を確定できないため、時間がかかる傾向があります。同様に、隣地の所有者が大企業やグループ企業の支店や支社である場合も、本社や親会社の合意が取れるまでに相応の時間を要するでしょう。
いずれにしても、境界確定が完了していない土地は買主から敬遠されやすく、売れ残ってしまう可能性があるので、早めに測量することをオススメします。
条件交渉の準備をしておく
土地売却において、購入希望者からの条件交渉は必ずと言っていいほど起こることです。
しかし、だからと言って売主と購入希望者が直接交渉をするわけではありません。基本的には不動産業者が間に入り、両者の希望のすり合わせをしてくれます。ここで押さえておきたいのは、購入希望者から交渉される内容は、ある程度決まっているということです。
具体的には、
- 土地の値段を下げて欲しい
- 測量図を共有して欲しい
- 建物の解体費用を負担してくれるなら購入したい
- 引き渡しの時期を早めたい(または遅らせたい)
などです。中でも値段の交渉は、対応し続けているときりがないので、どこまで下げられるかを業者と相談して決めておくといいでしょう。
控除や特例を活用する
土地売却で忘れてはいけないのが、売却益次第で高額な税金支払いが発生する可能性があることです。しかし、仮に土地売却によって多くの利益が出たとしても、控除や特例を活用すれば、納税額を軽減またはゼロにできる可能性があります。例えば、
- 居住用財産の3,000万円特別控除(※1)
- 10年超えの居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例(※2)
- 特例の居住用財産の買い替え特例(※3)
- 相続空き家の3,000万円特別控除(※4)
などです。詳しい内容や要件に関しては、国税庁のサイトを参照してください。
※1「No.3302 マイホームを売ったときの特例」(国税庁)
※2「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」(国税庁)
※3「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」(国税庁)
※4「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(国税庁)
土地売却の段取りに関してよくある質問
最後に土地売却の段取りに関してよくある質問に回答します。
土地の売買で司法書士の費用は誰が払うのですか?
一般的には、売るために発生する登記の費用は売主が、買うために発生する登記の費用は買主が負担します。売るために発生する登記とは、住所の変更登記や担保の抹消登記などです。
また、不動産購入の際に借り入れのローンをし、金融機関が設定する抵当権があれば、所有権を買主に移転する前に抹消する必要があります。次に、買うために発生する登記とは、所有権移転の登記やローンの抵当権設定登記などです。
参考までに、所有権移転の登記費用は3万円〜10万円ほどで、それとは別に登録免許税がかかります。なお、登録免許税の金額は、固定資産税評価額の2%に当たる金額です。
土地売買で登記は誰がするの?
法務局によれば、所有権の移転などの登記申請は、原則として売主と買主とが共同でおこなわなければいけません。ただし、先述のように司法書士に申請手続きを委任することが可能であるため、必ずしも売主や買主がおこなう必要はありません。
土地売却の段取りは近畿住宅流通へご相談ください
近畿住宅流通では、全国を対象に土地の買取を積極的におこなっております。昭和63年の創立以来、100件以上の土地買取をおこなっており、初めて土地売却をする方であっても安心して段取りを任せていただけます。売主様へのキャッシュバックも積極的におこなっていますので、土地売却を検討されている場合はお気軽に近畿住宅流通までご相談ください。