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土地の相続するならどのタイミングがおすすめ?手続きのタイミングも解説

「親の土地を引き継ぐ予定だけど、生前と死後、どちらのタイミングがいいの?」

「相続の手続きをするのに期限はある?」

今回はこのような疑問に回答します。土地を引き継ぐ予定がある方は参考にしてください。

目次

土地の相続のタイミングはいつがオススメ?生前と死後に分けて紹介

土地を引き継ぐタイミングはおおまかに、被相続人が生きている間におこなう「生前贈与」と、被相続人の死後におこなう「相続」とに分けられます。

では、土地を引き渡す際はどちらのタイミングがオススメなのかを解説します。

土地を引き継ぐなら生前と死後、どちらがオススメ?

生前に財産を引き渡すことを「生前贈与」、死後に引き渡すことを「相続」と言います。これらのうち、土地の引き渡しをするならどちらがオススメなのか、一概に断定はできません。

その理由の1つに、まず土地のもつ性質があります。

程度の差こそあれ、土地は年月の経過とともに価値が変動します。仮に、所有している土地の評価額が将来的に高額になる可能性があれば、まだ評価額が安いうちに生前贈与しておいた方が得をするケースもあり得るでしょう。

しかし、生前贈与で控除額を超える部分に関しては贈与税が発生します。土地の評価額が控除額を超え過ぎた場合、贈与税の負担が大きくなり、むしろ損をしてしまう可能性もあるのです。

つまり、所有している土地の評価額やポテンシャルによって、節税戦略が異なってきます

もう1つの理由は、死後(相続)の場合、節税対策には「土地以外の財産」も大きく関わるためです。

相続はすべての遺産を相続するか、すべての遺産相続を放棄するかの2択です。遺産には借金も含まれるため、そもそも相続したほうがいいのか放棄したほうがいいのかといった問題が発生します。

「借金は引き継ぎたくない。でも土地は欲しい。だから相続は放棄するけど、土地だけ生前贈与で引き継ぎたい。でも、土地の評価額が高くて生前贈与だと贈与税が高すぎる」このようなジレンマが起こる可能性もあるでしょう。

そのため、単純に土地のみに焦点を当てて、引き渡すタイミングの良し悪しを見極めるのは中々難しいと言えます。そこで、次項では生前贈与の仕組みをより具体的に掘り下げます。

土地の生前贈与によってメリットを享受できるパターンは、そう多くありません。メリットとデメリットを説明しますので、参考にしてください。

生前贈与とは?

生前贈与とは、相続発生前に財産を第三者に贈与する制度です。

受贈者は配偶者や親族に限らず、他人間でも問題ありません。財産の贈与には通常贈与税が発生しますが、贈与額が年間110万円までであれば非課税となります。

たとえば、父親が2人の子供に年間110万円の生前贈与を10年間おこなうと、110万円×2人×10年=2,200万円となり、総額で2,200万円分の財産を非課税で引き継ぐことが可能です。

このように、年間110万円以内で生前贈与した財産には相続税が課されないため、相続税対策として活用されるのが一般的です。

 

土地を生前贈与で引き継ぐことはできますが、贈与した土地の評価額が110万円を超えると、超えた部分に対して贈与税が発生します。

ちなみに贈与税の税率は、相続税の税率と比べて非常に高いです。仮に課税価額が4,500万円を超えると、税率は最大55%となり、負担はかなり大きくなります。

そのため、土地を生前贈与する際には、相続税と贈与税とを比較して、どちらが節税につながるかを把握する必要があります。

<土地を生前贈与するメリット>

1つ目のメリットは、被相続人が財産を渡したい特定の相手を決められる点です。

被相続人が生前贈与をしなかったり、遺言書を残していなかったりする場合、法定相続や遺産分割協議に則って、配偶者や親族などが財産を受け取ります。

その際、被相続人が財産を分けたいと思っている人物が該当していないことがあるのです。

しかし、生前贈与であれば、被相続人が生きている間に希望する人物に財産を贈与できます。

2つ目のメリットは、将来的に相続する財産を減らすことで、相続人の相続税の負担を軽減できる点です。

ただし、土地の場合は評価額が110万円以下でないと、むしろ贈与税のほうが高くつく可能性があります。評価額が110万円以下の土地であり、かつ土地以外を含む総資産の合計が相続税の基礎控除額以下である場合、土地を生前贈与するメリットはあるでしょう。

<土地を生前贈与するデメリット>

1つ目のデメリットは、贈与税が発生する場合、相続税よりも高額になる可能性が高い点です。生前贈与で税金が控除されるのは年間110万円までなので、それを超える部分には贈与税が発生します。

もう1つのデメリットは、不動産取得税が発生する点です。相続人が土地を相続した場合、原則として不動産取得税は発生しません。しかし、生前贈与によって土地を引き渡す際、土地の名義変更をするためには不動産取得税の支払いが必要です。

なお、不動産取得税の支払い額は「課税評価額×税率」の式で算出されます。まず土地の課税評価額は、およそ時価の7割程度と言われています。

次に税率は、本則として土地も家屋も「4%」ですが、令和6年3月31日までは特例措置により「3%」となるようです(※1)。

※1「土地の取得に係る税制の概要」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000072.html

贈与税率と相続税率を比較

生前贈与が相続税対策になりえることはすでに述べた通りです。では、土地の贈与額が年間110万円を超えて贈与税が発生する場合、それでも節税につながるのでしょうか。

贈与税と相続税、それぞれの税率を比較します。

贈与税率(特例税率:20歳以上の子や孫への贈与)

基礎控除後の課税価格

税率

控除額

200万円以下

10%

400万円以下

15%

10万円

600万円以下

20%

30万円

1,000万円以下

30%

90万円

1,500万円以下

40%

190万円

3,000万円以下

45%

265万円

4,500万円以下

50%

415万円

4,500万円超

55%

640万円

相続税率

法定相続分に応ずる取得金額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

このように、同じ価格帯で比較すると、贈与税の税率がかなり高いことがわかります。

仮に評価額が2,000万円の土地があったとして、相続であれば税率は15%ですが、生前贈与の場合は45%となり、倍以上の税金を支払わなければなりません。

「110万円以上の土地だったとしても、分割して時間をかけて110万円ずつ生前贈与すればいいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、それはあまり現実的ではありません。

土地を分割して生前贈与するには、土地の分筆作業(部分的な名義変更)が必要であり、その都度登録免許税や不動産取得税が発生するからです。司法書士に作業を依頼するなら、その依頼料も毎回発生します。

特に登録免許税に関しては、普通に相続する場合は固定資産評価額の0.4%が税率ですが、

生前贈与による所有者移転登記をすると、固定資産評価額の2%が税率となります。つまり、生前贈与の登録免許税の税率は、相続時の5倍もあるのです(※2)。

労力的にも、またトータルでかかるコストを想定しても、土地を分割して生前贈与するのは損をする可能性が高いでしょう。

※2「登録免許税の税額表」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm

土地の生前贈与をする際に注意したいこと

やり方次第では節税対策につながる生前贈与ですが、いくつか注意点があります。今回は3つの注意点を紹介します。

・注意点1「相続税の基礎控除額を事前に把握しておく」

相続税の節税対策として生前贈与をおこなう人が多いですが、そもそも相続税には基礎控除額が存在します。

基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求められますが、相続する財産の総額が控除額以下であれば、相続税は発生しないため、わざわざ生前贈与をする必要がありません。

むしろ、年間110万円を超えてしまうと贈与税が発生するので、損をする可能性があります。生前贈与を検討する前に、相続税の基礎控除額をしっかり確認しましょう。

・注意点2「相続発生から遡って3年以内の贈与は相続財産に加算される」

相続発生(被葬相続人の死亡日)から遡って3年以内におこなわれた生前贈与は、相続財産に加算される決まりになっています。つまり、生前贈与が無効になるのです。

なお、生前贈与時に贈与税を支払っていた場合は、支払い済みの贈与税分が相続税から控除される仕組みになっています。つまり、相続税をただ先払いするのと同義なので、節税効果はありません。

被相続人の死期が迫っているとわかってから焦って贈与をおこなっても、遡って3年以内であれば相続と同じ扱いになるので注意しましょう。

・注意点3「贈与契約書を作成する」

土地に限った話ではないですが、親子間であっても、生前贈与をおこなう場合はできるだけ贈与契約書を作成しましょう。

被相続人の配偶者や子供、その他直系存続には「遺留分(強制相続分)」があります。そのため、生前贈与を受贈した人物に対して「遺留分を侵害した」として金銭を請求するケースがあるのです。

そのようなトラブルを未然に防ぐため、贈与契約書をきちんと作成し、贈与する側とされる側の両方に合意があった証拠を残しておきましょう。

土地の相続について話し合うタイミングは?生前と死後に分けて紹介

土地の相続は人の生死が関わる出来事ですので、当事者同士で話し合うのは少しハードルが高いと感じるでしょう。

そこで、こちらでは土地の相続に関して話し合うタイミングについて説明します。

相続について話し合うタイミング(生前の場合)

被相続人の子供が多く、それぞれが別々の生活を送っている場合、家族が一同に会する機会はそう多くないでしょう。年末年始やお盆であれば集まりやすいかもしれませんが、被相続人が相続の話をするのに必ずしも前向きとは限りません。

きっかけを見つけて、できるだけ自然な形で話をするのをオススメします。たとえば、親族が相続関連でもめていたり、何かしら動きがあったりした時です。

同様に、被相続人や親族が怪我や病気をした時、介護施設に入る時なども、相続の話題を出すきっかけとしてはちょうどいいでしょう。ただし、気持ちが沈んでいるような場合は、極力相続の話題は避けることをオススメします。

いざ、本格的に話し合うタイミングが来たら、できるだけ相続人全員で話し合うようにしましょう。

とくに、親と同居中の子供とそうでない子供がいる場合は注意が必要です。同居中の子供が家を相続できるものと思い込んでいたために、別居中の子供と意見が衝突するなどのトラブルが起こりがちだからです。

そのようなすれ違いが起きないよう、相続人全員で出席し、話し合った内容を書面で残しておきましょう。当事者だけだと不安な場合は、税理士や司法書士、ファイナンシャルプランナーなど、第三者とともに話し合いを進めるのも有効です。

相続について話し合うタイミング(死後の場合)

被相続人の死後、財産の分割方法について相続人全員で話し合うことを「遺産分割協議」と言います。

告別式のときはまだ気持ちが落ち着かない人も多いでしょうから、協議をおこなうタイミングとしては四十九日法要の時期が頃合いと言えます。

協議を主導する人物は、配偶者や同居していた子供など、故人と身近な存在だった人物がいいでしょう。少しでも遺産の状況を詳しく知る人物のほうが、協議をスムーズに進める上で都合が良いはずです。

なお、相続する土地の評価額次第では、10ヶ月以内に相続税の申告が必要です。緊急性の高い議題ですので、それを理由に各相続人に声をかければ、耳を傾けてもらいやすいでしょう。

生前贈与と同様に、節税対策などのより専門的なアドバイスが欲しい場合は、税理士や司法書士などに相談することをオススメします。

土地の相続には期限がある?相続の手続きのタイミングについて

相続税の申告、土地の名義変更(相続登記)、相続放棄、遺留分侵害額請求、これらにはそれぞれ申請期限があります。

期限を守らないとペナルティが課せられたり、経済的に損失を被る可能性があるので注意が必要です。こちらでは、それらの制度の期限について解説します。

相続税の申告期限

土地を含む遺産の総額が相続税の基礎控除額を超えると、超えた部分に対して相続税が課せられます。相続税の申告期限は、相続した日から10ヶ月以内と短めですので、早めに着手しましょう。

ちなみに相続税の基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で算出されます。

仮に相続する遺産が土地のみ、評価額が4,000万円、法定相続人が1人だとすると、控除額は3,600万円ですので、4,000万円ー3,600万円=400万円が課税対象額です。

相続税の申告は義務ですので、申告期限を過ぎると延滞金などの罰則を受けます。なお、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減制度などの減税制度を利用する場合は、相続から10ヶ月以内でなければ適用されない可能性があるので注意が必要です。

名義変更(相続登記)の期限

土地を相続した場合、「名義変更(相続登記)は必須ではない」と長い間言われてきました。しかし、将来的に相続時の名義変更は義務化される見通しとなっています。

原因は名義変更をしない人が増えたことで、所有者不明の土地が急増したためです。所有者不明土地問題研究会の調査によると、2016年の時点で所有者不明土地の面積は約410万haもありました(※3)。

所有者不明の土地が増え続けると、課税漏れや土地利用の停滞につながる恐れがあるため、2021年4月に民事基本法制の見直しがおこなわれたのです。

法務省の発表によれば、2024年4月1日から相続登記が義務化される見通しとなっています(※4)。将来的には、登記を怠ると何らかのペナルティを課せられる可能性があるので、十分注意しましょう。

※3「所有者不明土地問題研究会」(国土計画協会)
https://www.kok.or.jp/project/fumei.html

※4「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」(法務省)https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html

相続放棄の期限

相続は財産だけでなく、被相続人の借金も引き継ぐことになります。財産を相続して、借金の相続だけを拒否することはできませんが、相続放棄をすれば借金を含むすべての相続を放棄することは可能です。

具体的には、家庭裁判所に相続放棄の申述書や必要書類を提出することで、放棄できます。

ただし、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から「3ヶ月以内」が期限です。

相続放棄に関するより詳しい情報は、こちらの記事を確認してください。

遺留分侵害額請求の期限

被相続人が遺留分権利者以外に財産を贈与または遺贈し、遺留分権利者が相当の財産を受け取れなかった場合、権利者は贈与または遺贈された者に対して金銭の支払いを請求できます。これを「遺留分侵害額の請求」と言います。

遺留分とは、法定相続権をもつ近親者などに認められている、最低限の財産取得割合です。

また遺留分侵害請求の期限は、「被相続人の死亡や遺言書の存在、遺留分侵害を認知してから1年以内」とされています。

なお、それらを認知せずに被相続人の死亡日から10年が経過した場合、請求の権利は消失します。遺留分を侵害され、それに不服がある場合は早めに請求手続きをおこないましょう。

当事者同士の話し合いで決着がつかないときは、裁判で調停をおこなう必要があります。

調停でも不成立となった場合は、訴訟を起こすことも可能です。

土地の相続でお悩みの方は近畿住宅流通へご相談ください

土地をどのように相続するかは、税理士や司法書士に相談するといいでしょう。しかし、相続した土地をどのように活用するかについては、税理士や司法書士の専門外です。

  • 売却して現金に変えたほうがいいのか
  • 何かしらの土地活用をおこなったほうがいいのか
  • 土地活用をするならどのような事業が向いているのか

このような相談に乗れるのは、弊社のような土地活用を専門とする会社です。

弊社は昭和63年の創業以降、全国各地で土地活用に取り組んできました。賃貸用住居や駐車場はもちろん、医療モールやガソリンスタンド、コンビニ、オフィスビルや宿泊施設など、多様な土地活用を成功させてきた実績があります。

今後、土地の相続を経て活用をおこなう予定であれば、きっと多くの場面でお役に立てるでしょう。土地活用に関して何かお困りのことがあれば、ぜひお気軽に近畿住宅流通までお問い合わせください。

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