「土地の相続はどこに相談すればいいの?」
「相談内容によって相談先は変えた方がいい?」
今回はこのような疑問に回答します。土地を相続する予定がある方はぜひ参考にしてください。
土地を相続する場合の相談先
土地の相続に関する相談は、相談内容によって相手を選ぶことをおすすめします。そこでこちらでは、土地の相続を相談するのに適した相談先を6つ紹介します。
土地活用の専門業者
相続した土地を活用するつもりであれば、弊社のような土地活用の専門業者に相談するといいでしょう。
「土地活用の専門業者」ときいても、イメージが湧かないかもしれませんが、一般的な不動産会社と土地活用の専門業者は、似て非なるものです。
賃貸仲介や売買取引など共通する部分も多いですが、「土地活用の専門業者」に該当する企業は、総じて土地活用を積極的におこなっている傾向があります。
ちなみに弊社の特徴はコンビニやガソリンスタンド、飲食店や商用ビル、医療モールなど、北は北海道から南は沖縄まで、常に90軒弱の土地や物件の運営をおこなっている点です。
弊社に限らず、土地活用の経験が豊富な専門業者は、社会のニーズや時代の流れを敏感に感じとり、土地の適性に合った活用をおこなうことに長けています。だからこそ、これから土地活用をおこなう方への適切な企画提案やサポートが可能です。
土地の特徴、立地、周辺地域の人口増減、住民の行動様式など、さまざまな情報を収集・分析することで、最適な活用プランを提案してもらえるでしょう。
「土地を相続する予定だけど、どう活用するか何も決めていない」、そんな方はぜひ土地活用の専門業者に相談してみてください。
弁護士
土地の相続にあたって、相続人間でトラブルが発生しそうな場合、または発生している場合は、弁護士に相談しましょう。
弁護士がいれば、遺産分割に関するトラブルが起きた際、他の相続人と遺産分割の交渉ができます。なお遺産分割の交渉は、専門家の中でも弁護士にしかできない独占業務です。
相談するタイミングは、相続の前でも後でも問題ありません。明らかに揉めそうなのであれば、早めに弁護士に相談し、トラブルを回避できるよう協力してもらいましょう。
また、弁護士への依頼料は主に着手金、報酬金、手数料の3つからなります。
着手金はサポートによる結果の有無にかかわらず、業務開始時に支払うものです。報酬金はいわゆる成果報酬型のもので、どの程度の結果を達成できたかによって変わります。完全に敗訴した場合、報酬金の支払いは発生しません。
手数料は、契約書や遺言書の作成など、単発の手続きで完了する際に発生する費用です。これらの依頼料のうち、報酬金は業務内容次第で大幅に増える可能性があります。
弁護士は、基本的に各関係者が納得できるよう話をまとめて資料を作成したり、事実経過や法的な見解を書面に残したりなど、円満な合意の形成を目的に活動します。
しかし、トラブルの内容や稼働日数によって、報酬金が跳ね上がる可能性は十分にあるでしょう。
ちなみに、一言に弁護士と言っても業務範囲はかなり広く、弁護士ごとに専門分野は異なります。事前にホームページを確認して、土地の相続に詳しい人物かどうかをチェックしておきましょう。
税理士
土地を相続するにあたり、相続税が発生すると判明した際は税理士に相談しましょう。
税理士に相談する強みは、複雑な計算を要求される相続税の申告について、申告業務のサポートや節税の助言をもらえる点です。
「相続発生前」と「相続発生後」とで相談内容が異なるため、以下に分けて解説します。
相続発生前
相続発生前の主な相談内容は、節税対策が大半と言えるでしょう。相続税は、事前に策を講じることで大きな節税効果を期待できます。
仕組み上は相続人自身が節税対策をおこなうこともできますが、税制に関する幅広い知識が必要であり、あまり現実的ではありません。
たとえば、土地の市場価格によっては相続よりも生前贈与を活用した方が節税につながることもあります。
また、相続する財産が土地だけとは限りません。相続は、被相続人が所有するすべての財産が対象となりますから、未上場株式や債権が含まれることもあるでしょう。
このように幅広い専門知識を必要とするため、相続税の節税対策は、専門家である税理士に相談することをおすすめします。
相談料は内容によってさまざまです。1時間1万円前後の金額で相談を受けている税理士事務所もあれば、節税に成功した金額に応じて報酬を設定する事務所もあります。
相続発生後
相続発生後の主な相談内容は、相続税の申告に関するものでしょう。
申告もまた相続人自身がおこなうことが可能ですが、正確な計算や複数の書類の提出が必要であり、一般の方にはハードルが高いと言えます。
たとえば、納税額を軽減できる特例を利用せずに申告してしまったり、誤って過少申告をして、後々延滞税や加算税を課されたりするリスクがあります。
あるいは、配偶者が存命中の場合、一次相続ですべての財産を相続した方がいいのか、それとも二次相続を考慮して財産の一部のみを相続した方がいいのか、などの問題も発生するでしょう。今回の相続税だけを見れば得をしたように思えても、次代への相続税も加味した時に、トータルで損をしてしまうケースがあるからです。
このようなリスクを回避するためにも、相続の申告はできるだけ税理士に相談のもとでおこないましょう。なお、相続税の申告を税理士に依頼する場合、依頼料の相場は遺産総額の0.5%〜1%と言われています。
司法書士
土地や建物を相続した場合、相続税の発生の有無にかかわらず、相続登記(名義変更)は必要です。
所有者自身が登記をすることもできますが、戸籍収集や遺産分割協議書の作成など、意外と負担が大きいです。
そこで、そのような作業を代行してくれるのが「司法書士」になります。まれに資料収集・作成を代行する税理士もいますが、一般的にそれらの業務は司法書士の領域です。
いずれにしても「不動産の相続登記の代行」は司法書士の独占業務です。相続登記を代行してもらうなら、資料収集や作成も含めてまとめて司法書士に依頼する方が都合が良いでしょう。
他にも、相続人の中に未成年がいて代理人を必要とする場合や、自筆証書遺言の検認手続きが必要な場合も、司法書士が対応してくれます。
司法書士への依頼料は、依頼する土地や建物の数などによって前後しますが、およそ10万円が相場です。
注意点として、司法書士も他の士業と同様にそれぞれ特色があります。「相続登記申請の代行のみ対応します。必要書類はお客様でご用意ください」というサービスもあれば、「必要書類の収集から登記申請まで丸ごとサポートします」というサービスもあります。
他の士業と同様に、事前にホームページでサービス内容をしっかり確認するようにしてください。
FP(ファイナンシャルプランナー)
土地の相続について悩みがある人は、FPに相談する手段もあります。土地活用の専門業者、弁護士、税理士、司法書士とは別の視点で相談に乗ってくれるでしょう。
FPはお金の専門家ですので、現在の収支や資産、保険などの状況を踏まえ、「土地を売却した方がいいか、活用した方がいいか」など、最適なプランを提案してくれるはずです。
たとえば、株式会社FPフローリストが運営する『家計の窓口』というサービスでは、「相続発生前」「相続発生後」「相続手続き後の生活設計の相談」など、状況に合わせたアドバイスをもらえます。
他にも株式会社Wizleapが運営する『マネーキャリア』など、オンラインでFPが相談に乗ってくれるサービスが豊富にあります。気になる方はぜひチェックしてみてください(※1)。
※1「相続相談」(家計の窓口)
※2「マネーキャリア」(株式会社Wizleap)
不動産業者
土地を売却するつもりであれば、売買を得意とする不動産業者に相談するといいでしょう。
なお、売却額の査定サービスには無料と有料のものがありますが、大まかな査定額を知るだけなら無料のもので十分と言えます。
また近年は、税理士や司法書士、弁護士などの専門家と連携してサポートする不動産会社も散見します。そういう不動産業者なら、相続税の節税対策や相続トラブルなど、売却以外の相談にも一緒に乗ってもらえるでしょう。
土地の相続を相談する際の注意点
こちらでは、土地の相続を相談する際の注意点について、
- 目的別に相談するのがおすすめ
- 土地の相続に精通している業者かどうか
- 相続税が発生することは多くない
の3つを解説します。
目的別に相談をするのがおすすめ
先述のように、土地の相続に関する相談先は目的によって様々です。以下、相談内容ごとに適した相談先を一覧表にしたので、参考にしてください。
<相続発生前>
相談内容 | 土地活用の専門業者 | 弁護士 | 税理士 | 司法書士 | FP | 不動産業者 |
相続登記 | ー | ー | ー | ◯ | ー | ー |
相続税申告 | ー | ー | ◯ | ー | ー | ー |
相続トラブル | ー | ◯ | ー | ー | ー | ー |
相続放棄 | ー | ◯ | △ | ー | ー | ー |
<相続発生後>
相談内容 | 土地活用の専門業者 | 弁護士 | 税理士 | 司法書士 | FP | 不動産業者 |
土地活用 | ◎ | ー | ー | ー | △ | ◯ |
売却 | ◯ | ー | ー | ー | △ | ◯ |
遺言作成 | ー | ◯ | △ | ◯ | ー | ー |
相続税対策 | ー | ー | ◯ | ー | ー | ー |
土地の相続に精通している業者かどうか
先述のように、土地の相続について相談に乗ってくれる士業や業者は複数あります。しかし、それらの職業を名乗っていれば、必ず相談に乗ってくれるわけではありません。
土地活用の専門業者や不動産業者は別として、弁護士や税理士、司法書士やFPなどは、各々得意分野が異なります。
たとえば「経営管理や経営指導が得意な税理士」「事業承継が得意な税理士」「自己破産に強い弁護士」「離婚トラブルを得意とする弁護士」などです。
無駄な時間とコストをかけないためにも、相談相手が土地の相続に詳しいかどうか、事前にきちんと確認をとりましょう。
また、過去のお客さんからの評判を確認するのも大事です。口コミやアンケートの内容はもちろん、相談件数や申告数、登記数などがわかれば、業者の信頼性を確認する上で重要な判断材料となるでしょう。
相続税が発生することは多くない
相続の悩みでありがちなのが、相続税に関するものです。しかし、土地に限らず遺産の額が少なければ、そもそも相続税が発生しない可能性があります。
実際、国税庁の調査によると、平成30年に亡くなった50,638人の方のうち、相続税の課税対象となった被相続人の数は3,388人、全体のうちわずか6.7%でした(※3)。
そのため、大半の人は相続税の支払いが発生しない可能性が高いです。
相続税が発生しない場合、相続税の申告代行を依頼する必要がないため、税理士に相談する必要もありません。相続登記だけ代行したいのであれば、司法書士に依頼をするだけで事足ります。
税理士に不要な相談をすれば、それだけで相談料が発生するケースもあるので、相続税が発生するかは事前にきちんと確認しましょう。
簡易的な確認であれば、『SBC相続サポートセンター』のようにシミュレーションができるサイトもあるので、興味がある方は試してみてください(※4)。
※3「平成30年分の相続税の申告状況について」(国税庁)
※4「相続税額シミュレーション」(SBC相続サポートセンター)
土地の相続に関する相談事例
最後に、土地の相続に関する相談事例をいくつか紹介します。相談先を選ぶ際の参考にしてみてください。
・相談内容⑴ 売却先はどう探せばいい?
数十年住み続けてきた家を売り、夫と共に息子の家にお世話になることになりました。相続をせず、今のうちに建物ごと土地を売却したいのですが、売却先はどのように探せばよいですか?
相談先 不動産業者または土地活用の専門業者
不動産業者か土地活用の専門業者がおすすめです。売却を含め、活用する選択肢も残しておくのであれば、土地活用の専門業者に相談するといいでしょう。ただし、敷地面積や立地次第では、買取の対象外となる可能性もあります。
・相談内容⑵ 前回の相続時に名義変更されていない土地の相続はどうする?
数年前に父が他界、そして今回は母が他界しました。母が複数の不動産を所有していたのですが、困ったことに母名義のものと父名義のものが混在していました。
どうやら、父が母に相続する際に、相続登記(名義変更)しなかったものがあったようです。本来おこなわれているはずの名義変更がされていない土地の相続は、どのような手続きを踏めばいいのでしょうか?
相談先 司法書士
相続登記に関する相談ですので、司法書士に相談しましょう。相続人が複数名いて、相続税が発生する場合は、誰がどの不動産を相続するかで税負担が変わるため、合わせて税理士への相談をおすすめします。
・相談内容⑶ 父が昔購入した土地の取得費用を調べたい
相続した土地を売却予定です。不動産業者の無料査定によると4千万円程度で売れそうだと言われました。
また、売却によって発生する譲渡所得税は、売却益から取得費用などを差し引いた金額に対して課税されると教えていただきました。そこで、取得費用を調べようと思ったのですが、随分昔に購入したらしく、領収書が見当たりません。
とりあえず税務署に相談してみると、「売却額の5%程度が購入当時の取得費用にあたる」といわれました。その通りだとすると、取得費用が約200万円ということになり、譲渡所得税がかなり高額になってしまいます。
できるだけ正確な取得費用(市場価格)を調べるにはどうすればいいでしょうか?
相談先 不動産鑑定士または鑑定士が在籍する不動産業者
比較的イレギュラーな相談内容であるため、不動産鑑定士か不動産鑑定士が在籍する不動産業者がおすすめです。
実際、鑑定士による調査で想定の10倍ほどの取得費であることが判明し、それが税務署で認められた事例もあるようです(※5)。
※5「相談事例のご紹介」(日本相続支援士会)
・相談内容⑷ 売却した方がいい?それとも活用した方がいい?
数年後、父親から収益不動産をいくつか相続することになりそうです。相続人は息子である私1人しかおりません。
正直自分は長年会社勤めをしてきたので、自分自身で事業を運営する自信がなく、売却した方がいいのか、それとも売却せずに運営した方がいいのか決めかねています。
あるいは、どこか管理を任せられるような業者があるのであれば、そういう選択もありだと思っています。相続するまでにまだ時間があるので、早めに今後の方針について相談したいです。
相談先 土地活用の専門業者
活用の可能性を踏まえて、土地や建物の相続の相談をするのであれば、土地活用の専門業者がおすすめです。
土地のポテンシャル、事業の将来性などを考慮した上で、どのような方針を取るといいのか相談に乗ってもらえるでしょう。たとえば弊社の場合、弊社自身が土地の買取や賃貸をおこなったり、活用の企画提案をさせていただくことも可能です。
土地の相続のことでお悩みの方は近畿住宅流通へ
土地や建物の相続に関する相談は、相続人が「1人」か「複数」かによって相談内容が大きく異なります。
複数いる場合は、意見が分かれてトラブルに発展するケースも少なくありません。たとえば、被相続人に大きな借金があれば、そもそも相続するか否かで意見が分かれるかもしれません。土地や建物は物理的に分割しにくいので、どのように分配するかで意見が衝突する可能性もあります。
このように複数の相続人がいると議題が多くなりがちなので、早めに当事者同士で話し合っておくことをおすすめします。
一方、相続人が1人の場合は何かと話が早いです。売却するにしても、活用するにしても、他の方の合意を取る必要がないため、比較的スムーズに話を進めやすいでしょう。
「土地を相続する予定だけど、どうするか何も決めていない」
「相続する土地に、どれほどの価値があるのかもわからない」
そんな方はぜひお気軽に近畿住宅流通までお問合せください。創立30年以上の経験と知識、ノウハウを駆使して、最適な売却プランまたは活用プランを提案させていただきます。