土地の相続にかかる費用と手続き方法

「相続にかかる費用はどのくらい?」

「相続にかかる費用を抑える方法ってある?」

今回はこのような疑問に回答していきます。相続の予定がある方は参考にしてください。

目次

土地の相続にかかる費用と手続き方法

まずは土地の相続にかかる費用と、その手続き方法を説明します。

土地の相続にかかる費用一覧

土地を相続する際にかかる主な費用は以下の通りです。

  • 登録免許税
  • 書類の取得費用
  • 司法書士への依頼料
    ※相続登記を司法書士に依頼する場合に必要
  • 相続税
    ※相続財産の総額が基礎控除額を超える場合に発生

【登録免許税】
土地を相続する際は登記(名義変更)が必要であり、登記の際に発生するのが「登録免許税」です。

長年、土地相続時の登記は必須でないとされてきました。しかし、2021年4月に民事基本法制の見直しがおこなわれたことで、2024年4月1日から義務化される見通しとなっています。

登録免許税の計算方法は、建物の有無や軽減制度の有無によって異なるため、詳しくは国税庁のサイトを確認してください(※1)。

登録免許税の支払い手続きは、法務局にておこないます。将来的には登記を怠ると罰金が科される可能性があるので注意しましょう。

具体的な民事基本法の改正内容にかんしては、法務省のサイトを確認してください(※2)。

※1「登録免許税の税額表」(国税庁)

※2「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」(法務省)

【書類の取得費用】
相続登記にあたり、各種書類の取得費用が発生します。一般的には以下の費用で取得が可能です。

必要書類取得費用
不動産の登記事項証明書1通480円
住民票の除票1通350円
住民票1通350円
戸籍謄本1通450円
除籍謄本1通750円
固定資産評価証明書1件200〜400円
印鑑証明書(遺産分割協議書添付用)1通350円

トータルで3,000円前後の取得費用がかかります。

【司法書士への依頼料】
司法書士に相続登記の手続きを代行してもらう場合、依頼料が発生します。なお、相続登記の代行サービスは司法書士の独占業務であり、司法書士にしか依頼できません。

日本司法書士会連合会が2018年におこなったアンケートによると、相続登記の手数料の地区別の平均は以下です。

地区全体の平均値
北海道地区60,983円
東北地区60,667円
関東地区65,800円
中部地区63,470円
近畿地区78,326円
中国地区65,670円
九州地区62,281円

なお上記は、相続を原因とする土地1筆または建物1棟(評価額の合計1,000万円)の移転登記手続きを、代理でおこなった場合の相場です。全国的にはおよそ6万円〜7万円が相場と言えるでしょう。

【相続税】
相続財産の総額(土地の評価額を含む)が基礎控除額を超える場合、相続税の支払いが必要です。基礎控除額の計算方法は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で求められます。

また、土地の評価額は路線価方式倍率方式のどちらかで計算されます。路線価が決められているエリアの土地であれば路線価方式、路線価が決められていないエリアの土地であれば倍率方式です。どちらの場合も、時価の80%程度の評価額となるのが一般的です。

それぞれの計算式が以下となります。

路線価方式:

 土地の評価額 = 路線価 × 面積 × 補正率

倍率方式:

 土地の評価額 = 固定資産税評価額 × 国税局長が地域ごとに定める倍率

また相続税の税率は、土地の評価額を含む財産の取得金額によって変わります。以下が取得金額に応じた税率の一覧表です。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

国税庁より引用

土地相続の手続き方法

土地の所有者が亡くなった場合、土地を相続する人物が登記手続をし、所有者の名義を変更する必要があります。

繰り返しになりますが、2021年に民事基本法制の見直しがおこなわれたことで、相続に伴う名義変更は2024年4月1日から義務化される見通しとなっています。登記を怠った場合はペナルティが課される可能性があるので、注意しましょう。

具体的には以下の手順で手続きをおこないます。

  1. 相続発生
  2. 相続税の申告が必要か判断
  3. 書類の収集
  4. 相続登記の申請

以下、詳しく解説します。

⑴相続発生

法律上、土地を所有していた親が亡くなった時点で相続が発生します。遺言書があれば、まずはその内容を確認しましょう。遺言書には主に2つの種類があります。

1つは「自筆証書遺言」で、全文が自筆で書かれた遺言書を指します。こちらを確認できた場合は、封を開けずに家庭裁判所にもちこみましょう。検認手続きによって申し立てが可能です。

もう1つが「公正証書遺言」です。公証役場で2人の証人の立ち会いのもと、公証人が作成した遺言書を指します。

これらの遺言書が確認できる場合は、その内容に則って相続登記の手続きをおこないましょう。遺言書がなく、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議によって土地の所有者を決める必要があります。

⑵相続税の申告が必要か判断

続いて、相続税の申告が必要か否かを判断します。早めの確認が必要な理由は、相続発生時から10ヶ月以内に申告する義務があるためです。

相続する財産の総額が基礎控除額を超えていれば、相続税の支払いが必要です。基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)の式で計算されます。

たとえば、相続する財産の総額が6,000万円で法定相続人数が2人の場合、基礎控除額は4,200万円であるため、6,000万円-4,200万円=1,800万円に対して相続税が課税されます。

法定相続人は2人なので、1人当たり900万円が取得金額となり、1,000万円以下の相続税率は10%であるため、相続人はそれぞれ90万円の相続税支払いが必要です(※3)。

※3「相続税の税率」(国税庁)

⑶書類の収集

続いては、相続登記の手続きに必要な書類を収集します。基本的には以下の書類が必要です。

必要書類取得場所
不動産の登記事項証明書法務局
固定資産評価証明書各市町村役場、各市税務署
住民票の除票(被相続人用)各市町村役場
除籍謄本(被相続人用) 各市町村役場
住民票(相続人用)各市町村役場
戸籍謄本(相続人用)各市町村役場
印鑑証明書(相続人用)各市町村役場

⑷相続登記の申請

遺言書や遺産分割協議をもとに土地の相続人が決定し、必要な書類の収集が完了すれば、登記の申請作業に入ります。

前項で用意した必要書類にくわえ、登記申請書、相続関係説明図、遺産分割協議書または遺言書を揃えて、管轄の法務局に申請します。

法務局から登記識別情報通知が届けば、登記(名義変更)は完了です。一般的には1週間〜2週間ほどかかると言われています。通知書は、土地の売却で必要な書類でもあるので、大事に保管しておきましょう。

マンションの相続による売却をお考えの方は、こちらも参考にしてみてください。
相続した不動産の売却手順とかかる費用・節税対策を徹底解説!|一都三県の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)

土地の相続費用を抑える方法

こちらでは、土地の相続にかかわる費用を抑える方法を紹介します。

書類の取得費用は一律でかかるので節約できませんが、司法書士への依頼料や相続税はやり方次第で節約が可能です。

  • 土地相続の手続きを自分でおこなう
  • 専門家を複数見積もり依頼し、安いところを探す
  • 生前贈与を活用する
  • 小規模宅地の特例を活用する
  • 墓地や仏具を相続前に購入しておく

以上の順番で紹介します。

土地相続の手続きを自分でおこなう

司法書士に依頼すれば、必要書類の収集や法務局への申請作業など、土地相続に関する手続きを基本的に代行してもらえます。

全国平均で6万円〜7万円ほどの依頼料がかかりますが、それらの作業を自分でおこなえば依頼料をカットできます。司法書士に依頼する金銭的な余裕がない場合は、自分でおこないましょう。

専門家を複数見積もり依頼し、安いところを探す

土地相続手続きの代行費用は、司法書士によってさまざまです。また、調査内容や業務の負担度合いによっても前後します。

そのため、少しでも安く依頼したいのであれば、できるだけ複数の司法書士に見積もりを依頼し、安いところを探してみましょう。

生前贈与を活用する

生前贈与は、相続発生前に第三者に財産を贈与する制度です。贈与した財産には原則として相続税が課されないため、相続税対策として活用されています。

受贈者は配偶者や親族だけでなく、血縁関係のない他人でも問題ありません。基礎控除額である「年間110万円以内」であれば、毎年贈与が可能です。

たとえば、父親が3人の息子に年間110万円の生前贈与を10年間おこなうと、110万円×3人×10年=3,300万円分の財産を非課税で贈与できます。ただし、贈与する金額が年間110万円を超えると、超えた部分に対して「贈与税」が発生するため注意しましょう。

贈与税の税率は、相続税の税率よりも高めに設定されているため、土地の評価額次第では生前贈与より相続で引き継いだほうが節税になるケースがあります。

土地を分筆して、110万円分ごとに毎年贈与することもできなくはないですが、その都度登記の手続きや不動産取得税、不動産登録税などがかかるため、現実的ではないでしょう。

土地は現金資産のように110万円ごとに分割するのが難しいため、生前贈与は比較的安い土地にオススメの節約方法と言えます。

小規模宅地等の特例を活用する

続いて紹介するのも、相続税の節約方法です。小規模宅地等の特例といい、一定の要件を満たす小規模な宅地に関しては、評価額を最大80%減額できる制度です。

たとえば、被相続人が住んでいた土地や、被相続人が事業をおこなっていた土地に対して、満額で相続税が課せられると、相続人にとって大きな負担となります。

自分が住んでいた土地や住宅、大切な事業を手放さなければ支払えない可能性もあります。

そのような状況を防ぐために作られたのが、小規模宅地等の特例です。

この特例の対象となる土地は、以下の3種類です。

・特定居住用宅地等
被相続人が住んでいた宅地で、かつ配偶者や一定の条件を満たす親族が取得した場合、特定居住用宅地等に該当します。

・特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等
被相続人や、その生計を一にする親族が事業をおこなっていた土地で、かつ一定の要件を満たしている場合に該当します。

・貸付事業用宅地等
被相続人や、その生計を一にする親族が貸付をしていた土地が該当します。具体的には、アパート・マンション賃貸経営や駐車場経営などです。

強力な節税効果があるだけに、適用条件がかなり細かく複雑になっています。詳しくは国税庁のサイトを確認してください(※4)。

注意点として、「相続時精算課税制度」によって土地を贈与していた場合、小規模宅地等の特例は適用されません。相続時精算課税制度は、2,500万円まで無税で贈与できる制度です。

贈与した財産は、相続時に相続財産としてカウントされ相続税が課されるので、節税効果はほぼありません。そのため、将来的に相続時までに時価が上がりそうな不動産を引き継ぐのに向いています。

こちらの制度に関しても、詳しく知りたい場合は国税庁のサイトを確認してください(※5)。

※4「小規模宅地等の特例」(国税庁)

※5「相続時精算課税の選択」(国税庁)

墓地や仏具を相続前に購入しておく

土地の相続費用を抑えることが難しい場合は、土地以外の財産(現金など)を事前に使うことで、課税対象となる現金資産を減らす手段もあります。

たとえば、墓地や仏具を相続前に購入し、相続するはずだった現金を生前に減らしておくなどです。墓地や仏具、墓跡や仏壇は非課税財産なので、相続財産には含まれません。

土地を含むトータルの相続財産を減らせるため、相続税の節税につながります。

相続した土地で収益を得る方法

土地の相続には費用がかかりますが、その後の使い方次第では収益を生み出すこともできます。そこでこちらでは、相続した土地を用いて収益を得る方法を2つ紹介します。

土地活用をする

1つは、相続した土地を活用して事業をおこなうことです。土地を企業に貸したり、建物を建ててテナントを募集したりして、賃料を得ます。

ただし、どのような活用が向いているかは立地や土地の特性によって異なります。都心なのか地方なのか、敷地面積は広いのか狭いのか、人口が増加しているエリアか否かなど、活用方法の適性を見極めるには、こういった情報を1度整理する必要があるでしょう。

その上で、どの程度まで経済的なリスクを許容できるかによって、活用方法を絞ります。

たとえば、好立地でかつリスクを高めに取れるのであれば、アパート・マンション経営や商業施設経営などがオススメです。また、できるだけリスクを取りたくないのであれば、駐車場経営や資材置き場など、初期投資の比較的少ないものを選ぶといいでしょう。

土地活用の流れや具体的な進め方については、こちらの記事を確認してください。

【初心者必見!】土地活用の進め方と、オススメの活用アイデア/トチカツプロ

土地を売却する

収益化のもう1つの手段は「売却」です。土地を売却する際は、基本的に以下の手順でおこなわれます。

  1. 物件調査、価格の査定
  2. 媒介契約を締結
  3. 買い手候補との交渉
  4. 売買契約を締結
  5. 決済、引き渡し

土地の売却は、不動産会社を通しておこなうのが一般的です。不動産会社を介さずに個人間で売買取引することは、法律上問題ありませんが、トラブルにつながりやすいためあまりオススメしません。

不動産会社に物件調査や価格の査定を依頼し、査定内容に問題がなければ媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産売買を成立させるために、宅建業者に営業を依頼する契約のことです。

買い手の候補が現れたら、販売価格や各条件の交渉に進み、両者の合意が取れたら売買契約の締結します。決済手続きをおこない、土地を買い手に引き渡せば、売却は完了です。

なお、土地を売却して得た利益には各種税金の支払いが発生します。詳しくは以下の表を確認してください。

税金の種類説明税額
登録免許税名義変更にかかる税金国税庁のサイトを参照(※6)
印紙税売買契約書で使う印紙代 取引額に応じて変動
譲渡所得税土地の売却益に対してかかる税金所有期間5年以下:譲渡所得の30%所有期間5年超:譲渡所得の15%
住民税土地の売却益に対してかかる税金 所有期間5年以下:譲渡所得の9%所有期間5年超:譲渡所得の5%
復興特別所得税令和19年まで上乗せされる所得税所有期間5年以下:譲渡所得の0.63%所有期間5年超:譲渡所得の0.315%

※6「登録免許税の税額表」(国税庁)

上記の中で、とくに譲渡所得税や住民税は、所有期間によって税率が大きく変わるため注意が必要です。

ちなみに、今回のように「相続した土地」を売却する場合、譲渡所得税や住民税の負担を軽減できる制度があることも覚えておきましょう。

それが「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」です。売却したのが相続税の申告期限から3年以内であれば、税負担が軽減されます。

相続税の申告期限が相続発生から10ヶ月以内なので、相続発生から3年10ヶ月以内に売却すると、この制度が適用されます。

譲渡所得は、売却益から取得費、仲介費などを差し引いて算出されますが、期間内に売却した場合、取得費に「相続時に支払った相続税」を加算できる仕組みです。

譲渡所得税や住民税の課税対象である譲渡所得の額を減らせるため、節税につながります。こちらの特例を受ける要件については、国税庁のサイトを確認してください(※7)。

※7「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」(国税庁)

相続した土地の活用をお考えの方はトチカツプロへ

「とりあえず相続したものの、維持し続けていくのが厳しい」

「かといって、自分で土地活用をするのはハードルが高い」

もし、このように悩まれているのなら、思い切って売却を検討してみるのも手です。

トチカツプロでは積極的に事業用地の買取業務をおこなっています。双方の条件がまとまりさえすれば、かなりスピーディーに土地を現金化できる見込みがあります。

今ならキャッシュバックキャンペーンもおこなっていますので、気になる方はぜひトチカツプロまでお問合せください。

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