土地の購入や建物を建てようとしたときに、地盤調査が必要だと言われて疑問に思った方も多いのではないでしょうか。地盤調査には費用がかかるため、建物を建てるときにかかる費用はできるだけ抑えたいものです。
自分の土地は地盤の心配がないからといって、地盤調査を行わないことはできません。なぜなら地盤調査は建築基準法で義務付けられているため、建物を新しく建てるときや建て替えの際には地盤調査はをおこなわなければなりません。
建物を建てるときになぜ地盤調査が必要なのか、さまざまな地盤調査の方法などを解説します。地盤調査の方法が分かれば、どのような地盤調査方法が最適か分かり、無駄な費用を抑えることができます。
地盤調査の必要性
地盤調査の必要性を理解するためには、地盤調査とはそもそも何なのかを理解する必要があるでしょう。
地盤調査とは簡単にいうと、建物を建てるのに安全な土地なのか地盤の強度を調査することです。地盤調査の結果、安全な地盤ではない場合には地盤改良工事を行い、建物を安全に建てられるように工事をおこないます。
地盤調査を行う必要性は下記の通りです。
- 地盤調査は建築基準法で義務付けられている
- 地盤が軟弱だと地盤沈下の恐れがある
- 建物を建てるのに必要な予算を把握するため
- 建物を建てた後の瑕疵(かし)を補償してもらうため
それぞれの必要性について詳しく解説します。
瑕疵(かし)とは「欠陥」のこと。土地購入時や建物建築時には見つからなかったなんらかの不具合。 |
建築基準法で義務付けられている
地盤調査は建物を安全に建てられるために、建築基準法施行令第38条及び第4項、建築基準法施行令第93条の規定で定められています。
”(基礎)
第三十八条 建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない。
3 建築物の基礎の構造は、建築物の構造、形態及び地盤の状況を考慮して国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。この場合において、高さ十三メートル又は延べ面積三千平方メートルを超える建築物で、当該建築物に作用する荷重が最下階の床面積一平方メートルにつき百キロニュートンを超えるものにあつては、基礎の底部(基礎ぐいを使用する場合にあつては、当該基礎ぐいの先端)を良好な地盤に達することとしなければならない。
4 前二項の規定は、建築物の基礎について国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、適用しない。
(地盤及び基礎ぐい)
第九十三条 地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によつて、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない。ただし、次の表に掲げる地盤の許容応力度については、地盤の種類に応じて、それぞれ次の表の数値によることができる。”
建築基準法の内容は、建物を安全に建てるために地盤が軟弱であった場合には、地盤改良や杭を用いて、建物を安全に建てられる様にしなければならないということが記載されています。
地盤沈下を防ぐ
建物を建てる場所が軟弱な地盤の場合、地盤改良工事を行うことにより安全な地盤にできます。しかし、軟弱な地盤の土地に地盤調査をおこなわずにそのまま建物を建ててしまうと、地盤沈下や建物倒壊の恐れがあります。
地盤調査は法律で義務付けられているだけではなく、地盤調査を行うことにより建物を安全に建てることができます。
土地・建物の予算を把握する
建物を建てるために土地を購入するときには、ある程度土地代と建物にかかる費用を把握しているでしょう。地盤調査の結果によっては、地盤改良工事が必要だったり建物の設計を変更したりする必要があります。
建物を建てる前に地盤調査を行うことにより、地盤改良工事の費用や建物を安全に建てるための建築費が分かるので、あらかじめ必要な予算を把握することが可能です。
万が一の補償のために
不動産取引においては、土地を購入した後や建物を建てた後に、売買契約時には見つからなかった土地や建物に瑕疵が見つかる場合があります。
そういった瑕疵を売主や請負業者が責任を負う(10年間)ことを「瑕疵担保責任」と言います。この瑕疵担保責任を果たすために、「住宅瑕疵担保履行法」という法律が存在しており、建物を建てた後に見つかった瑕疵を請負業者が負担してくれる制度になります。
この瑕疵担保責任を負うためには、地盤調査が必要となり、地盤調査を行わないと土地や建物に瑕疵が見つかったとしても補償を受けることができません。そのため、地盤調査をすることが推奨されています。
地盤調査の方法を種類別に解説
地盤調査の方法は主に建てられる建物の規模によって異なります。地盤調査の種類によってかかる費用や期間も異なるため、地盤調査をおこなう際に、あらかじめ不動産業者や施工業者に確認しておくといいでしょう。
また、地盤調査の結果によっては、地盤改良が必要になり別途費用がかかることもあるため、余裕のある資金計画が必要になります。
スクリューウエイト貫入試験
スクリューウエイト貫入試験 |
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費用 |
5〜10万円程度 |
調査期間 |
半日程度 |
※規模によって異なる
スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)は戸建住宅などの小規模建築物の地盤調査で用いられる地盤調査の方法です。
スクリューウエイト貫入試験では、ロッドと呼ばれる鉄の棒を地面に突き刺して回転させることにより地盤の固さを調べます。一定以上固い地層は貫通できない、土質を採取できないなどのデメリットもありますが、安価で手軽に地盤調査をおこなえる方法です。
ボーリング調査
ボーリング調査 |
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費用 |
数十万円程度 |
調査期間 |
1日〜数日 |
※規模によって異なる
ボーリング調査はマンションなどの大規模な建築物を建てる際の地盤調査で用いられる地盤調査方法です。
ボーリング調査では専用の機械で地面に穴を開け、一定の深さごとの土質を採取することにより、地盤の強度を調査することができます。
マンションなどの規模が大きい建物では建物を支える杭(くい)を地中深くまで打つため、一定の深さまで地盤調査をおこなう必要があります。ボーリング調査では深い層の地盤まで調べることができるため、マンションなどの大規模な建築物を建てる際の地盤調査に用いられます。
表面波探査法
表面波探査法 |
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費用 |
10〜15万円程度 |
調査期間 |
2〜3時間程度 |
表面波探査法とは、地面に穴を開けたりせずに振動機と受信機を使い、振動の伝わり方で地盤の強度を測る調査方法です。
表面波探査法はスクリューウエイト貫入試験よりも調査費用は高くなりますが、敷地全体の地盤を正確に計測できるため、不必要な地盤改良工事をおこなわなくて済むため、結果的にトータルコストを抑えやすいという特徴があります。
その他の地盤調査方法
これまで紹介した地盤調査の方法は、主に戸建住宅やマンションなどの建物を建てるときにおこなう地盤調査の方法です。
その他の地盤調査の方法として、人力で行える簡易的な調査方法のHO(ハンドオーガーボーリング)や浅い地盤面の調査ができる平板載荷試験などもあります。
これらの方法だけでは建物を建てるための地盤調査としては不十分ですので、建物を安全に建てるためには、スクリューウエイト貫入試験やボーリング調査での地盤調査が必要になります。
地盤調査の依頼をするタイミング
建物を安全に建てるためや万が一の事態に備えて地盤調査をおこなうことは理解できました。次に地盤調査のタイミングはいつなのかを見ていきましょう。
地盤調査や地盤改良にかかる費用は高額になる場合もあるので、地盤調査を依頼できる適切なタイミングを知っておく必要があります。
また専門的な地盤調査は業者に依頼する必要がありますが、近隣の方への聞き込みやハザードマップの確認などは個人でもおこなえます。土地購入前に自分で調べられることは調べておくのをおすすめします。
土地の売買契約後におこなうケースが多い
地盤調査をおこなうタイミングは、土地の売買契約後にであるケースが一般的です。地盤調査をするには、土地内に機材を搬入したり掘削が必要になるため、売買契約が締結した後におこなわれることが多いです。
しかし、売主や不動産業者に事前に地盤調査をおこないたい旨を説明し、了承してもらった場合には売買契約前でも地盤調査は可能です。
また、建てる建物が決まっていないとどのような地盤調査が必要かもわからないため、ある程度計画が決まっている土地の売買契約後に地盤調査をします。購入申込書を提出する前に専門業者に相談する
購入する土地が元々畑や田んぼだった場合には、地盤調査の結果によっては地盤改良で高額な費用がかかる場合もあります。
地盤調査を実際におこなわないとわからないことも多いですが、不動産業者や地盤調査専門の業者であれば、ある程度の事前情報を入手することもできますので、購入申込書を提出する前に専門業者にあらかじめ相談する方がいいでしょう。
土地活用や購入でお悩みの方は近畿住宅流通へ
戸建住宅の地盤調査であれば10万円程度でも行えるため資金計画に大きなズレは生じることはあまりないでしょう。
しかし、マンションや店舗などの大規模な建物であれば、地盤調査にかかる費用も高く、地盤改良が必要だった場合にはさらに高額な費用がかかる可能性があります。
地盤調査の費用で土地活用の収支計画に支障をきたすことがない様にするためにも事前の調査や準備が必要になります。
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