最寄り駅から少し離れた土地では、共同住宅を建てても入居率が低くなったり家賃を下げなければいけなかったりなど、不動産オーナー様は活用方法に頭を悩ませることも多いでしょう。
しかし立地条件によってはガレージハウス付きの住宅を建てることにより、空室リスクを下げたり家賃設定を高めることができます。
今回は土地活用にガレージハウスを用いることによって、空室リスクを下げて収益性を上げる方法やガレージハウス経営のメリットやデメリットについて説明します。
ガレージハウスとは?
ガレージハウスとはガレージ(車庫)とハウス(家・住居)が一体となった建物のことをいいます。ガレージ付きの建築物の代表としては、共同住宅や戸建住宅などがあります。
ガレージは主に車やバイクなどの駐車場として使用されることが多いですが、物置として利用したり、作業場として利用したりなどさまざまな用途に使うことが可能でしょう。日本ではあまり多くは見られないガレージハウスですが、ガレージハウスには一般の住宅にはないガレージハウスならではの特徴や種類があります。
ガレージハウスの特徴
建てられたガレージハウスによっても特徴は異なりますが、ガレージハウスには主に以下のような特徴があります。
- 駐車場以外にもさまざまな利用方法がある
- シャッターがあると車が汚れにくい
- 防犯性が高い
- 狭い土地でも駐車スペースを確保できる
ガレージに一定の広さがあれば、車やバイクをいじるための工具やスペースを確保できます。他にもサーフィンやスノーボード、キャンプなどが趣味の方はサーフボードやスノーボードを保管したり手入れをする場所にすることもできるでしょう。
また、ガレージにシャッターがあると雨や風の影響を受けないので車が汚れにくいのが特徴です。また、シャッターがあることで防犯性が高くなるため、車やバイクの盗難リスクを下げることもできます。
その他にも住宅を建てる際に土地が狭い場合には、駐車スペースを確保できない場合もあります。そのようなケースの時は、一階部分をガレージにして、二階から上を居住スペースにすることにより駐車スペースを確保しながらも快適な広さを保つことができるでしょう。
ガレージハウスの種類
共同住宅にガレージを作る場合には、建物の一階部分をガレージにして、二階部分を住居スペースにする場合が多いです。
戸建住宅にガレージを作る場合には、下記のようなガレージハウスの種類があります。
戸建住宅のガレージハウスの種類
- ビルトインガレージ(インナーガレージ)
- 独立型ガレージ
- リフト付きガレージ
ビルトインガレージ(インナーガレージ)とは、戸建住宅の一階部分や半地下にガレージがあるガレージハウスです。居住スペースとつながっているため、雨に濡れることなく車の乗り降りや荷物を運ぶことができるので利便性が高いガレージと言えるでしょう。
独立型ガレージは住宅とは別に敷地内に建てられたガレージです。自宅の敷地面積が広い方であれば大きなガレージを建てることも可能で、駐車以外の用途にも利用できます。独立型ガレージは既製品を設置したり、オリジナルのガレージを建てることもできるので、他よりも自由度が高いです。
リフト付きガレージとは、リフトで車を持ち上げることにより車を2台収納したり、車の整備をしたりできるガレージです。車を持ち上げられるリフトにはさまざまな種類がありますが、ガレージに一定の高さが必要だったり、ガレージとは別にリフト代がかかったりなど費用が発生します。
ガレージハウスの需要はどんな人にある?
ガレージハウスを建てるためには建物の設計時から計画をしなければならなかったり、敷地面積が必要であったりなどガレージハウスを建てたくても建てられなかったという人は多く存在します。
ガレージハウスを用いた住宅や土地活用は、一般的にはあまり馴染みがないかもしれませんが、どういった人に需要があるのでしょうか。
車やバイクが好き
ガレージハウスは防犯性が高く車やバイクなども汚れにくいことから、車やバイクが好きな層から人気があります。車やバイクを趣味にしている人は、複数台所有している場合も多く、駐車スペースがなく困っていることも多いのです。
ガレージハウスなら車やバイクを安全に保管できたり、カスタムや修理をできるスペースもあったりなど車やバイクが好きであれば設けたい場所でしょう。
デザインにこだわりたい
ビルトインガレージがある戸建住宅はおしゃれなデザインが多く、ガレージハウスは住宅のデザインにこだわりたい方にも需要があります。
設計方法によっては、建物の中からガレージ内を眺められる造りにすることもでき、特別な空間を演出できるでしょう。
おしゃれでデザイン性に富んだガレージハウスのある戸建てが理想だけど、注文住宅は建てられないという方は、ガレージの付いている賃貸住宅に需要があります。
営業車を自宅に停めている
現場から直行直帰で営業を回る会社の場合、営業車で通勤している方も多いでしょう。その場合、社名が入っている社有車を自宅に停めています。駐車場が平置きであれば、周りから見てどこで働いているのかすぐにわかってしまったり、車に万が一のことがある可能性もあります。しかし、シャッターのついているガレージハウスなら、駐車している車を不特定多数の人に見られる心配がありません。
ガレージハウスの建築費用・家賃相場
土地活用としてガレージハウスを建てる際には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。また賃貸として貸し出す場合には、賃料の相場がどれくらいなのかも気になる方も多いでしょう。
ガレージハウスの建築費用や賃料の相場は、戸建住宅か共同住宅かで大きく異なってきます。それぞれのケースごとに確認していきましょう。
ガレージハウスの建築費
ガレージ付き戸建住宅の場合は一般的な戸建住宅よりも建築費が高くなります。一方、ガレージ付き共同住宅の場合は、一般的な共同住宅よりも建築費が安くなる傾向にあります。
この違いはどのようにして生まれるのでしょうか。それぞれのケースで比較してみましょう。
ガレージ付き戸建住宅の場合
ビルトインガレージの戸建住宅を建築する際には、一般的に鉄骨造(重量・軽量)や鉄筋コンクリート造(RC)で建てる必要があります。
なぜなら木造で建てた場合、ガレージ内に柱を建てないといけない場合もあるからです。ガレージ内に柱があると、車の駐車スペースが限られたり使い勝手が悪くなるなどのデメリットも多いため、鉄骨造や鉄筋コンクリート造で建築するのが一般的です。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造は木造よりも建築費がかかるため、ガレージ付き戸建住宅は一般的な戸建住宅よりも費用は高くなります。
ビルトインガレージの建築費用は50〜80万円/坪単価が相場で、広さによっても大きく異なります。車1台分(4〜5坪程度)でおおよそ200〜400万円の費用がかかり、3台収納するためには1,000万円以上かかる場合もあります。
使用用途や建築会社によっても費用は異なってくるので、上記の金額はあくまでも目安として捉えておいてください。
ガレージ付き共同住宅の場合
ガレージ付き共同住宅の場合は、反対に建築費用が安くなります。なぜなら、居住部分を建築する際にはキッチンや風呂、トイレなどの設備が必要でそれらを使えるようにするための工事が建物の工事とは別にかかります。
しかし、一階部分の居住スペースを無くして、ガレージにすることで設備費用がかからないため、結果的に建築費を抑えられるのです。
ガレージ付き共同住宅は鉄骨造で建築することが多いため、木造よりは建築費は高くなります。しかし、設備費などがかからない分、一階が居住スペースの共同住宅より建築費を抑えやすくなります。
ガレージハウスの家賃相場
ガレージハウスではガレージがある分、一般的な賃貸住宅より高い家賃設定が可能です。しかし、間取りや地域によっても家賃相場は大きく異なるので、ガレージハウスの家賃相場を調べる際には、近隣の一般的な賃貸住宅と利回りで比較することが重要です。
利回りとは
不動産投資や土地活用で重要な収益を計算する方法。
利回りには表面利回りと実質利回りがあり、表面利回りの計算方法はわかりやすいため物件購入や土地活用の際の指標に用いられる。
表面利回り=(年間家賃収入÷物件購入価格)×100
例:720万円(年間家賃収入)÷1億円(物件購入価格)×100=7.2%
またガレージハウスの賃貸住宅は全国的にもまだ少ないため、一般の方が家賃相場を安易に把握するのは危険です。ガレージハウスの経営を検討している方は、不動産会社やガレージハウスの専門業者に一度相談してみるといいでしょう。
ガレージ付き戸建賃貸の場合
戸建賃貸でガレージが付いている場合は「狭い土地や傾斜地」か「高級住宅」の場合がほとんどで、ガレージが付いているからと言って一概に家賃相場を表すことはできません。
例えば狭い土地であれば、ビルトインガレージを作らないと駐車スペースを確保できないので一階部分をガレージにしますが、ガレージを理由に家賃を上げることは難しいでしょう。
一方高級住宅であれば、土地が広かったり設備が充実している、ガレージのスペースが十分に確保できているなどの理由から家賃設定を高くすることも可能です。
このように戸建賃貸の場合は物件によってガレージの重要性が異なるため、一概に家賃相場だけで判断するのは危険ということがわかります。
ガレージ付き共同住宅の場合
ガレージ付きの共同住宅は様々な物件がありますが、居住スペースだけの間取りで比べた場合、周辺の物件に比べて家賃設定は高い傾向にあります。なぜなら居住スペース+ガレージで専有面積は広くなるからです。
また、ガレージ付き共同住宅は車やバイクが好きな一定層をターゲットにした物件であり、供給も多くありません。多少立地条件が悪くても、車やバイクが好きで自宅にガレージが欲しい層は家賃が高くても借りることでしょう。
ガレージ付き共同住宅は同じ間取りの周辺物件に比べて、1.5倍〜2倍程度の家賃にしている物件が多いです。家賃収入は一般的な共同住宅よりは劣るものの、設備費や工事費を下げることにより収益性を高めることもできます。
ガレージハウスを経営するメリット・デメリット
ガレージハウスを経営するメリット・デメリットは戸建住宅と共同住宅では大きく異なります。戸建住宅の場合であれば、ビルトインガレージにしないと駐車スペースを確保できないのか、車やバイクを楽しむ場所としてビルトインガレージを作るのかでは目的が大きく異なってきます。
ガレージ付き戸建賃貸とガレージ付き共同住宅それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。
メリット
- 狭い土地でも活用できる(戸建賃貸)
- 駐車スペースを確保できる(戸建賃貸)
- 駅から遠くても高い入居率が見込める(共同住宅)
- 入居者の入れ替わりが激しくない(共同住宅)
戸建賃貸であればビルトインガレージにすることにより、狭い土地でも駐車スペースを確保できます。駐車場代が高いエリアであれば、家賃と駐車場代を負担するのは借り手にとっては大きな負担です。
その点、ビルトインガレージ付きの戸建賃貸であれば、一階部分を駐車スペースに活用することにより、狭い土地でも駐車スペースを確保しながら建物を建てられます。
共同住宅にガレージを付ける場合は、車やバイクが好きな一定層をターゲットとしています。そのため、車やバイクの保管スペースなどに困っている人であれば、多少駅から離れているような場所であってもガレージがあれば借りたいという人は多いです。
また、ガレージ付きの共同住宅はまだまだ供給が少ないため、入居者の入れ替わりも激しくなく、例え退去してもすぐに入居者が決まりやすいというメリットがあります。
デメリット
- 建築費が高くなりやすい(戸建賃貸)
- ガレージ部分が狭くなりがち(戸建賃貸)
- 一般的な共同住宅より収益性が劣る(共同住宅)
- 近隣と騒音トラブルになる可能性がある(共同住宅)
戸建賃貸にビルトインガレージを作る場合には、鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC)にすることが多く、木造住宅に比べて建築費が高くなりやすいです。
また、狭い土地にビルトインガレージ付きの戸建賃貸を建てる場合には、ガレージ部分が狭くなりやすく、車によっては駐車ができなかったり、荷物の出し入れがしにくくなったりする場合もあります。
共同住宅の場合は駅から近いような好立地の場所であれば、ガレージハウスより戸数の多い1Rアパートなどの方が収益性は高くなります。
また、ガレージハウスに住む方は車やバイクが好きな方が多く、エンジン音が大きい車やバイクを所有していることもあるでしょう。シャッターが付いている物件であればシャッターの開閉音も気になるため、建築前に近隣住民にも許可をとっておくなど事前準備が重要です。
ガレージハウス経営を始める際の流れ
ガレージハウス経営を始める際の大まかな流れは下記の通りです。
- 土地活用のプロに相談する
- ガレージハウスの専門業者に見積り・調査を依頼する
- 銀行融資の打診を行う
- 請負契約
- 着工〜完成、引渡し(3〜6ヶ月)
- 入居開始
ガレージハウス経営では、まず所有している土地がガレージハウスに適した土地なのかを見極めることが重要になります。所有している土地では、どんな土地活用が適しているのかを土地活用のプロに相談してから決めましょう。
ガレージハウス経営が適しているのであれば、ガレージハウスの専門業者に見積りや図面作成をしてもらい、収支計画を立てます。また、借入れも必要になってくるので、併せて銀行融資の打診もおこないます。
工事期間は建物の規模によっても異なりますが、おおよそ3ヶ月から6ヶ月程度は見込んでおき、建物が完成したら引き渡し、入居開始となります。
ガレージハウス経営で注意するポイント
一口にガレージハウス経営といっても、さまざまな活用方法があり、戸建住宅と共同住宅では同じガレージハウスでも注意するポイントが全く異なってきます。
地域によってはガレージハウスの需要が高く、多くの入居待ち顧客を抱えているガレージハウス専門業者も存在します。しかし、ガレージハウスの経営にはいくつか注意点もあります。詳しく紹介していきましょう。
戸建賃貸と共同住宅どちらが適しているかを考える
ガレージハウスの経営は、戸建住宅の場合は一般的な住宅よりも建築費が高くなりやすく、共同住宅の場合は一般的な共同住宅よりも家賃収入が低くなりがちです。
ガレージハウスにしなくても高い入居率や家賃収入が見込めそうな場合は、無理にガレージハウスにする必要はありません。最寄り駅から遠くて入居率が低くなりそうな場合や、狭い土地や傾斜地で一般的な住宅の建築が難しい場合には、ガレージハウスの建築を検討するといいでしょう。
業者選びに気をつける
ガレージハウス経営はまだまだ供給が少なく、建築・管理できる専門業者が少ないのが現実です。ガレージハウス経営を行うためには、依頼する業者の選別が必要になってきますが、どこを選べばいいか見極めるのはなかなか難しいでしょう。
また、始めからガレージハウスの専門業者に依頼すると、活用方法がガレージハウスに限定されてしまい視野が狭くなりがちです。
まずはさまざまな土地活用を行っている土地活用のプロに相談してアドバイスをもらいながら経営計画を立てていきましょう。
節税効果が見込めるのか
市街化区域の土地を更地にしておくと、固定資産税や都市計画税の負担は大きいものです。しかし住宅を建てることにより、固定資産税や都市計画税の税額の軽減措置が適用され、更地に比べ税額を抑えることもできます。
ガレージハウスではガレージの種類によっても、固定資産税は異なってきますので、一般的な住宅より固定資産税が安くなるとは限りません。税額の軽減措置については各自治体によっても異なるため、建物を建てる前にしっかりと確認することが必要です。
土地活用でお悩みの方は近畿住宅流通へ
ガレージハウス経営といっても、戸建住宅にガレージを付けるのか共同住宅にガレージを付けるのかでは、土地活用の方法としては大きく異なってきます。
また戸建住宅の場合であれば土地の広さによって、ビルトインガレージと独立型ガレージのどちらが適しているのかも異なるでしょう。
ガレージ付きの共同住宅はまだまだ供給が少なく、立地条件が悪くても高めの家賃設定をすることができます。だからといって安易に建築するのではなく、本当にガレージハウスに向いている土地なのか見極めることが重要になります。
しかし、自分で最適な土地活用の方法を見極めることは難しいでしょう。トチカツプロを運営する近畿住宅流通では、これまでに多くのお客様に対して土地活用のご提案をしてきました。また自社でも関西地区を中心に全国の収益不動産を開発・保有しています。
土地活用や売却でお困りの方はぜひトチカツプロを運営する近畿住宅流通にご相談ください。