一般的な土地の現地調査は、以下のような流れでおこなわれます。
⑴問い合わせ
不動産業者のサービスサイト内にある問い合わせフォームか、一括査定サービスを介して、土地の簡易査定を申し込む
⑵簡易査定
問い合わせを受けた業者が、問い合わせ時に受け取った物件情報を基に、簡易査定をおこなう
⑶メールか電話で連絡
不動産業者からの簡易査定の結果をメールか電話できく
⑷現地調査
必要に応じて、不動産業者が現地調査をおこなう
「不動産業者と契約をしないと現地調査をしてくれないのではないか?」「契約をしない状態で現地調査をしてもらうにはお金がかかるのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、そのようなことはありません。
現地調査は基本的に契約前の段階でおこなわれ、無料で対応してもらえる場合がほとんどです。もちろん、当社も現地調査をおこなうと判断した場合、すべて無料で承っています。立地次第では最短翌日には現地調査をしておりますので、事業用地の売却を検討中でしたら、お気軽にお問い合わせください。
このように、現地調査の費用はかからないことが一般的です。しかし、インターネット上で調べると「〜万円かかる」と書かれた記事も散見されます。そこでこちらの記事では、現地調査の費用がかかる場合は何の費用がかかるのか、より細かな実態を解説します。
土地の現地調査の費用
ここでは、土地の現地調査に費用が発生する場合、どれくらいの費用がかかるのかを解説します。
現地調査=測量ではない
現地調査と一言に言っても、実際には複数の調査を含むことが一般的です。具体的には「境界の調査」「地勢の調査」「前面道路の調査」「図面の調査」「用途や利用状況の調査」「劣化状況の調査」などです。
このうち、境界の調査のことを「測量」と言うことがあります。測量とは、土地面積や高低差などを測って、図面に表すことです。土地家屋調査士の資格を持つ専門家に依頼することで、有料でおこなわれます。
測量費用は土地の規模や特徴によってさまざまですが、およそ30万円〜60万円が相場と言われています。なお、土地売却において測量費用は売主側が負担するのが一般的です。
ここで注意したいのは、「現地調査=測量」ではないということです。過去に測量を済ませており、当時と土地の状態が大きく変わっていなければ、新たに測量をする必要はありません。
なお、当社が買取対象であると判断させていただいた土地に関しては、基本的に測量費用をすべて当社で負担しています。売主様が測量費用を負担する必要は基本的にありませんので、ご安心ください。
お問い合わせから現地調査、売買契約、引き渡しまでしっかりサポートさせていただきますので、事業用地の売却をご検討中でしたら、お気軽にお問い合わせください。
調査方法によって異なる
土地の調査費用は、調査方法によって異なります。たとえば、住宅の地盤調査では「サウンディング試験」といった簡易的な試験が一般的で、費用相場は5万円〜10万円ほどです。
しかし、公共施設や大規模な建設では「ボーリング調査」によってより高度な調査がおこなわれます。ボーリング調査の費用相場は25万円〜30万円ほどです。
このように、専門業者に依頼して本格的な調査をおこなう場合は、相応の費用がかかります。
契約しなければ費用はかからない
先述のように、現地調査にはさまざまな方法があり、不動産業者が現地を訪問しておこなう調査だけの場合、基本的には契約しなければ費用はかかりません。ただし、サウンディング試験やボーリング調査など、特殊な機材の使用や詳細な図面の作成が必要な場合は、例外的に費用が発生することもあります。
また、出張を伴う調査では、交通費や宿泊費などの出張費が請求されることがありますので、事前に確認しましょう。ほとんどの業者は現地調査に費用が発生する場合、事前に通知してきますが、念の為に確認しておくことをオススメします。
土地の現地調査におけるチェック項目
続いて、土地の現地調査では具体的にどのような項目をチェックされるのか、「敷地」「建物」「リフォーム」の3つに分けて解説します。
敷地に関するチェック項目
敷地の現地調査におけるチェック項目は以下の通りです。
境界
敷地の現地調査では、境界の確認(測量)が不可欠です。これは土地の境界線を明確にする作業であり、地盤や役所調査と並ぶ重要な調査です。
特に長年利用された土地では境界線が不明瞭になっていることも多く、将来的にトラブルの原因になる可能性があります。そのため、測量をおこなう際は隣地の所有者に立ち合いの協力を求めることをオススメします。
地勢
地勢とは、土地の地形や海面との位置関係など、その土地の総合的な状態のことを言います。なお、地勢には周辺環境や、過去に起こった自然災害の影響なども含まれます。特に重要なのが土地の高低差であり、それを把握しておけば、建物を建てたときの光の入り方などを予測できるようになります。
前面道路
敷地調査では、前面道路や門塀の状態も見ておく必要があります。なぜなら、敷地と前面道路が2メートル未満で接していないと、建物の建設が認められていないからです。これを建築基準法では「接道義務」と言います。また、資材や機材の搬入に影響する門塀の状態をチェックすることも重要です。
建物に関するチェック項目
建物の現地調査におけるチェック項目は以下の通りです。
図面
新築、建て替え、リフォームの際に元の設計図面がない場合があります。設計図面がないと、新たに建物を建てるための計画を建てにくくなります。
なぜなら、元の設計図がないと、どこに建物の杭基礎(くいきそ)が埋まっているかわからないからです。杭基礎とは、建物を支えるために地面に埋め込む杭のことを言います。図面があれば、建物の正確な構造を把握し、今後の工事や改修に必要な情報を得ることが可能です。
用途や利用状況
建物の用途を建築確認済証で確認することも重要です。建物の内外部、駐車場、避難通路などの現在の使用状況を把握する必要があるからです。
もし建築確認済証が手元にない場合は、役所で建築証明書を取得し、それと照合することをオススメします。また、物件が第三者によって占有されていないか、賃貸や使用貸借の状況についても確認しましょう。
劣化状況
建物の調査では、経年劣化や損耗状態の確認が欠かせません。なお、時間の経過と共に自然に起こる劣化は「経年劣化」と呼ばれ、日常の不注意による損傷は「通常損耗」とされます。
これらの状態は現地で確認しなければ把握できないため、見過ごした状態で売却すると追加費用が発生したり、責任問題に繋がったりする可能性があります。
リフォームに関するチェック項目
リフォームの現地調査におけるチェック項目は以下の通りです。
寸法や構造
リフォーム時の現地調査では、改修予定箇所のサイズや構造を確認することが重要です。これにより、希望するリフォームが可能かどうかを把握することができます。
建築構造
採寸後は、リフォーム箇所だけでなく、下地の有無や配管位置など、その周辺構造も把握する必要があります。施工方法の検討には建築構造の理解が必須であり、リフォーム計画に大きく影響するためです。特に床下などの隠れた部分は念入りに確認が必要となります。
天井裏やブレーカー
リフォーム時の現地調査では、リフォーム予定の箇所だけでなく、天井裏や電気ブレーカーなどの確認も必要です。特に新しい配線を設置する際は、それらの部分に問題が起きていないかをチェックしましょう。
搬入経路
リフォームをおこなうには、資材や機材の搬入が欠かせないため、事前にそれらの搬入経路を確認する必要があります。特に、マンションなどの集合住宅の場合はエレベーターのサイズを把握しておくことが重要です。また、大型の家具や設備などは、搬入経路のサイズに合わせて調整が必要なケースもあります。
なお、当社の場合はロードサイド物件をメインで取り扱っているため、まず建物の前の道路の交通量・視認性・入りやすさを確認しています。それらの条件をクリアしていれば、さらに以下の項目をチェックしています。
- 更地であればそのまま使えるのか
- 周囲に擁壁や高低差があるのか
- 擁壁や高低差があればそのまま使えるのか
- 盛土や整地の必要があるか
- 周囲にどんなロードサイド物件があり、どんなテナントが不足していそうか
- 近隣との境界は明確か
- 電気ガス水道は通っているか
- 測量資料があれば現地と一致しているか(メジャーなどで確認)
このように、当社の現地調査はかなり細かくおこなっており、調査の精度には自信があります。事業用地の売却をご検討中でしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
土地の現地調査以外の調査とその費用
続いて、土地売却における現地調査以外の調査と、その費用について解説します。
役所調査
法務局調査とは、土地や建物に関する書類を法務局や役所で取得し、土地の形状、境界、所有権などの公的な情報を確認する作業です。
既存の建物がある場合は、その建物が建築確認や検査済証の要件を満たしているかも確認する必要があります。これらの情報は、いずれも土地の買主が必要とするものになります。具体的には以下のような情報です。
- 物件の現在の所有者
- 売主と登記上の名義人が一致しているか
- 抵当権などの担保額が売買価格を超えていないか
- 境界の確定時に隣接地の所有者との間でトラブルが発生していないか
- 物件が接する道路との間に第三者の土地が挟まれていないか
- 物件が建築可能な地域に位置しているか
- 建築時にセットバック(後退)が必要か
- 物件が建築基準法に基づいた道路に接しているか
- 未だに滅失登記が行われていない建物の登記が残っていないか
- 差押えなど、所有権の行使を妨げる事項が登記されていないか
- 水害歴や土壌汚染の報告があるか
なお、法務局で取得できる書類には、不動産登記事項証明書、公図、地積測量図などがあります。これらは基本的にオンラインで取得が可能ですが、測量図は法務局ではなく自治体で取得する必要があります。
市場調査
市場調査は、物件の販売価格を決める上で必要な調査です。この調査では、対象物件の周辺にある同類の物件価格を調査し、市場価値を把握します。周辺物件の価格だけでなく、それらが市場にどの程度の期間出されているか、価格調整がどのようにおこなわれているかも重要な指標です。
近年、不動産ポータルサイトを通じて一般消費者も簡単に物件情報を得られるようになりました。そのため、市場価格と大きく乖離した価格設定をすると、買い手に敬遠される可能性があるので注意しましょう。
インフラ調査
インフラ調査とは、住宅やビルなどの生活基盤となる水道、電気、ガス、下水などのインフラ状況を検証するものです。この調査によって、物件が安全かつ快適に利用できるかどうかを確認できます。具体的な調査方法は以下の通りです。
水道調査
水道局から提供される資料を基に、物件に引き込まれている水道管の口径や配管状況を確認します。配管が未接続である場合、工事をして水道をひく必要があります。
電気調査
物件の電力供給状況を確認するため、ブレーカーのアンペア数や電柱からの電線引き込み状況を調査します。
ガス調査
都市ガスの利用が可能か、またはプロパンガスを使用する必要があるかを確認します。具体的にはガスメーターの設置状況や、ガス会社から提供される埋設図面で配管状況を確認できます。
下水道施設調査
下水道の接続状況を確認するため、下水道局から提供される平面図を基に調査をおこないます。浄化槽が設置されている場合は、その状態や点検記録を確認し、適切な管理がおこなわれているかを検証します。
取引事例調査
取引事例調査は、周辺地域で近い時期に取引された類似物件の成約情報を収集・分析することです。この調査をしておくことで、対象物件の市場価値をより正確に把握できるため、適切な販売価格を設定したり、価格交渉時の基準にできたりします。具体的な調査内容は以下の通りです。
成約価格
過去に近隣で取引された物件の成約価格を調べ、現在の市場価格を推定します。実際に成約に至った価格であるため、価格設定の重要な指標となります。
物件の特性
土地の形状や建物の延床面積など、物件の特性を比較し、対象物件との類似点や違いなどを明確にします。
市場動向
取引事例を時間軸に沿って分析することで、市場の動向やトレンドを把握します。なお取引事例調査では、国土交通省が提供する「土地情報総合システム」など、公的なデータベースの活用がオススメです。
事業用地の現地調査なら近畿住宅流通へご相談ください
土地の現地調査では、専門的な知識を持ったプロフェッショナルによる支援が不可欠です。特に事業用地は一般的な住宅地と勝手が異なるため、適切な価格で買い取ってもらうためには、仲介業者にも専門的な知識や経験が求められます。
その点、当社は全国で100件以上の事業用地買取をおこなってきました。豊富な経験と実績を持つ専門スタッフが、土地の特性や法規制を熟知した上で、細部にわたる調査をおこないます。事業用地の現地調査に関するご相談がございましたら、近畿住宅流通までお気軽にお問い合わせください。