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土地購入の注意点とは?事業用の土地購入を検討している人にポイントを解説

土地購入の注意点とは?事業用の土地購入を検討している人にポイントを解説

「事業用に土地を購入しようと思っているが、土地の探し方や相場がわからない」、そんな人のために土地購入における注意点やポイントを解説します。

目次

土地購入前に気をつけることとは?

土地購入前に気をつけることとは?

こちらでは、事業用に土地を購入するのなら気をつけておくべき3つのポイント、「土地の価格の決め方」「都市計画法」「建ぺい率と容積率」についてお伝えします。

土地の価格の決め方について

土地の価格の決め方には、大きく分けて2つあります。土地売買の取引をする中で決められる「実勢価格」と、売買の取引とは関係なく「公的機関によって決められる価格」です。

実勢価格とはいわば時価のようなもので、売る側の求める価格と買う側の求める価格がちょうど釣り合う金額のことを指します。

ただ、買う側としては提案された価格が適正かどうかを自力で判断するのは難しいです。そこで活用できるのが「公的機関によって決められる価格」です。ここでは代表的なものを3つ紹介します。

 <<3つの価格>>

公示地価 基準地価 路線価(相続税路線価)
対象地点 都市計画区域内 都市計画区域外も含まれる 全国の標準宅地数約34万
算出方法 不動産鑑定士
2名以上による
鑑定評価を元にする
不動産鑑定士1名以上による
鑑定評価を元にする
公示地価や実例価格
不動産鑑定士等による
鑑定評価などを元にする

※:「公示地価・基準地価・路線価の違い、それぞれの用途などをまとめました」(東急リバブル株式会社)https://www.livable.co.jp/baikyaku/fudosan-baikyaku-faq/souba-016/

・基準地価
基準地価とは、各都道府県知事によって毎年公開されていると土地の価格です。

公示地価との違いとしては、鑑定する不動産鑑定士が2人以上ではなく1人以上である点、都市計画区域以外の土地も対象にしている点が挙げられます。

ちなみに公示地価の公開時期と約半年のタイムラグがあるため、同じ土地が評価されている時は、半年で評価がどう変わっているのか、評価の変遷を調べることもできます。

・公示地価
公示地価は別名「公示価格」とも言い、国土交通省の土地鑑定委員会が毎年公開している土地の価格です。

都市計画区域内が対象であり、2名以上の不動産鑑定士が土地を鑑定し、その結果を元に価格が決められます。

目的の1つとして「一般の土地取引価格に対する指標となること」が定められていて、売買取引において貴重な参考材料となるのです。

しかし、対象となる土地は主に都市計画区域内に限られてしまうため、売買取引においては全国の土地を対象にしている「路線価」の方が評価基準として使われる傾向にあります。

・路線価(相続税路線価)
路線価とは、国税庁が毎年「財産評価基準書」を通じて発表している土地の価格です。
価格帯の目安としては、公示地価の約8割とされています。

また、路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類があります。

「相続税路線価」は相続税や贈与税を計算する際に用いられるもので、「固定資産税路線価」は土地の固定資産税評価額を決める基準となるものです。

一般的に「路線価」と表現されている時は、相続税路線価を指している場合がほとんどであり、土地を購入する際の重要な指標となっています。相続税路線価は全国の土地約34万地点を対象としているため、土地購入の際も相場価格を調べるのに便利なのです。

具体的には国税庁が公開している路線価図を使い、土地の前面道路の路線価を調べれば、その土地の相場価格を導き出すことができます。

都市計画法について

都市計画法は、都市の健全な発展を目的としてつくられた日本の法律です。

都道府県が指定した「都市計画区域」内で建てる建築物は、全てこの都市計画法のルールに則って建てられなければいけません。

区域によっては建てたい建築物の建築許可が出ない場合もあるため、土地を購入する際はまず都市計画法の対象区域か否かを確認しましょう。もし対象区域であれば、どのようなルールがあるのかを事前に把握しておくと良いでしょう。

建ぺい率と容積率について

土地購入をする上で押さえておくべき最低限の建築用語として、「建ぺい率」と「容積率」があげられます。

前述の都市計画法との関係性も深く、都市計画区域では区域ごとに建ぺい率や容積率の基準が定められているのです。

建ぺい率とは?

建ぺい率とは、土地の面積に対する建築面積の割合のことを言います。建築面積とは土地を真上から見たときに、建物が占めている面積のことです。

建築面積が土地に対してどの程度の割合を占めているのか、それを示すのが建ぺい率になります。

例えば、「建ぺい率は65%まで」と指定された区域において、100平方メートルの土地があったとします。この場合、建築面積が65平方メートルまでなら建物を建築して問題ないということです。

容積率とは?

続いて容積率とは、土地の面積に対する延床(のべゆか)面積の割合です。延床面積とは、建物の各階の床面積を合計した面積になります。

例えば、容積率100%と指定された区域において、100平方メートルの土地があったとします。この場合は建築物の延床面積が100平方メートル以下であれば問題ありません。

仮に1階の床面積が60平方メートルだとすれば、2階の床面積が40平方メートル、合計100平方メートルの建物を建築可能です。

事業用の土地購入の流れとポイント

事業用の土地購入の流れとポイント

こちらでは、事業用の土地購入の流れとポイントを解説します。住宅用の土地購入との違いについても触れていますので、合わせて確認してみてください。

事業用の土地購入の流れとポイント

事業用不動産を購入する場合、一般的な流れは以下のようになっています。

土地購入の目的を明確化する

事業計画(収支シミュレーション)を作成する

不動産業者に相談する

提案された土地を視察する

買付証明書を提出する

ローンの事前審査を受ける

売買契約を結ぶ


ローンの本審査を受ける

決済&引き渡し

では、それぞれのポイントを見ていきましょう。

・土地購入の目的を明確化する
まずは土地を購入する目的を明確にしましょう。事業用に土地を購入するのであれば、賃貸アパート・マンション経営、オフィスビル経営、店舗・テナントビルの経営などの用途が考えられます。

・事業計画(収支シミュレーション)を作成する
次に、目的に沿った事業計画を立て、収支のシミュレーションをおこないましょう。月々の売上や利益、負債、キャッシュフローなどを数字に落とし込みます。

土地の購入や建物の建設にかかる費用だけでなく、事業を開始してからかかる維持費や税金、ローン返済などを含めた具体的なシミュレーションをしてみてください。

またこの時に立てた事業計画は、金融機関でローン審査を受ける際に融資の可否を決める参考材料になることもありますので、入念に作りましょう。

・不動産業者に相談する
事業の目的と事業計画が固まったら、次は不動産業者に声をかけてみましょう。その際、きちんと事業用の土地や事業用不動産の取り扱いをしている業者を探して下さい。

というのも、事業用の土地探しは住宅用の土地探しと違い、専門的なヒアリング力やビジネスセンスが求められます。依頼主の事業計画をしっかり理解した上で、適切な土地の提案ができる不動産業者がベストです。

事前に会社のホームページをチェックするなどして、事業用の土地や不動産の取り扱いがあるかを確認しましょう。

・提案された土地を視察する
不動産業者に提案された土地を視察しに行きます。土地を視察する時は複数のチェック項目があるのですが、長くなってしまうため詳しくは記事の後半で解説します。

・買付証明書を提出する
視察した土地を購入したい場合、売主に対して書面で購入の意思表示をする必要があります。その際、提出する書類が「買付証明書」です。

・ローンの事前審査を受ける
購入する土地が決まったら、不動産会社の担当者を通じてローンの事前審査に入ります。あくまでも事前審査のため、ローンの承認の可能性を確認するための審査です。

・売買契約をする
売主が買付証明書の内容を承諾してくれたら、売買契約に進みます。契約書には、売買代金や手付金の額、支払日、引き渡し条件、固定資産税の負担に関する取り決めなど、重要事項が多数記載されています。専門用語が多く並ぶ難解な書類ですが、隅々までチェックしましょう。

・ローンの本審査を受ける
契約が締結したら、最後はローンの本審査です。一般的に事業用ローンはある程度の日数を要するため早くて2週間前後、場合によっては2カ月前後かかることもあります。

・決済&引き渡し
ローンの承認がおりたら、決済をし、土地の引き渡しがおこなわれます。この時、不動産業者に仲介手数料を支払うのですが、売買契約が締結した時に半額分、決済時にもう半額分を支払うのが一般的です。

住宅用の土地購入との違い

購入する土地が「住宅用」でも「事業用」でも、大まかな流れに違いはありません。強いて言えば、事業用の方が土地の購入前後でやるべき作業が増えるくらいです。

購入前におこなう作業としては、「事業計画」があげられます。住宅用と違い、購入した土地を使って事業活動をおこない利益を出さないといけないため、予算や収支のシミュレーションなどの綿密なプランが必要です。

次に、購入後に発生しうる作業としては「建築の依頼」や「管理会社選び」「リーシングの準備」などがあげられるでしょう。

更地のまま第三者に貸し出す場合、建築の必要はないですが、新たに建築物を建てる場合は建築プランを立てて、施工会社に工事を依頼します。

また、土地の状態管理や整備、問い合わせへの対応などをやらない場合は、そういった管理業務を代行してくれる管理会社を見つける必要があります。

最後に「リーシング」ですが、リーシングはその名の通り「土地を第三者に貸し出すこと」です。

事業用の土地ですので、借主は基本的に企業となります。どのようなテナントを募集するのか、またどういう方法でテナントを募集するのか、早めに計画を立てておきましょう。

土地購入における注意点

土地購入における注意点

こちらでは、購入する土地を視察する際に何に注意すればいいのかを解説します。

土地自体のチェックはもちろん、土地周辺のチェックや土地の取得に伴う納税義務についても合わせて確認してみてください。

土地のココに注意しよう!

・インフラ工事が必要か否か
水道や電気などが整備されていなかったり、何かしらの不備がある場合はインフラ工事が必要です。水道や電気は引き込む場所によって工事費用が変わりますが、最低でも数十万円ほどはかかってしまいます。

・土地の造成が必要か否か
土地は、必ずしも購入後すぐに活用できるわけではありません。周囲の地面との高低差があったり、地盤が悪かったりすると「造成工事」が必要になります。

造成工事とは、土地の状況に応じて埋め立てや地盤の改良をすることで、建てたい建築物を建てられるよう環境を整えることです。

・土地の位置
買おうとしている土地が、周囲の土地より低い位置にある場合、天候次第では雨水や地下水が流れてくる可能性があります。それを防ぐためには造成工事や排水設備を整える工事が必要です。土地の購入費用とは別に費用が発生してしまうので、事前に注意しておきましょう。

・災害の受けやすさ
購入を検討している土地が、災害を受けやすいか否かは十分に注意しましょう。国土交通省のサイト内で公開しているハザードマップを活用すれば、全国の土地における洪水、土砂災害、高潮、津波などのリスク情報を確認できます。

・消火栓の有無
土地の目の前の道路に消火栓があるかどうかを確認しておきましょう。そのような土地では、道路交通法によって「消火栓から半径5メートルの範囲には駐車スペースをつくってはいけない」という決まりがあるからです。

・セットバックの有無
セットバックとは、建築物を道路や隣地などの境界線から一定距離後退させることをいいます。建築基準法において、原則道路は4m以上の幅が必要であり、場合によっては6m以上の幅を指定されていることもあります。

そのため、指定の幅に満たない道路に面している土地は、幅の不足分だけ土地の境界線を後退させなければいけません。そして、後退させた分の土地には建築物を建てることはできないのです。

さらに、セットバックの対象となる箇所の面積は「敷地面積」としてカウントされません。そのため建ぺい率や容積率を計算する時も、敷地面積に含めずに計算されます。

もしもセットバックの対象となる面積が大きい場合、建築プランに影響が出る可能生があるので、土地を購入する前には必ずセットバックの有無を確認しましょう。

ちなみに大手の物件情報検索サイトだからといって、必ずしもセットバックについて記載があるわけではありません。セットバックが必要な土地にも関わらず、物件情報内に一切記載がないこともあります。気になる土地を見つけたら、都度担当者に確認を取るようにしましょう。

土地以外のココに注意しよう!

土地以外のココに注意しよう!

土地購入をする際は、土地そのものをチェックするだけでなく、土地周辺の環境、法的な制約、納税義務についても細かくチェックしておきましょう。

・交通アクセスについて
事業用に土地を購入する場合、交通アクセスの良し悪しは事業に直接的な影響を与えます。
例えば、オフィス用や商業施設用として活用する場合、最寄り駅からアクセスしやすいことは重要です。

また工場や倉庫として活用する場合、駅近である必要はないですが、搬入出用のトラックが
出入りしやすいかどうかをチェックしておく必要はあります。

・抵当権の有無について
抵当権とは金融機関が行使できる権利で、融資をする際に土地や建物などを担保にすることです。この権利があれば、金融機関は借主の返済が滞った時に借り入れ金を回収する代わりに土地を手に入れることができます。

万が一抵当権が抹消されていない土地を購入したとして、前所有者による支払いが不可能となった場合、現所有者は土地の所有権を失い、立ち退かなければいけないのです。

そういったトラブルを避けるためにも、抵当権が抹消されるまでは絶対に土地を購入しないよう注意しましょう。

・土地の取得時にかかる税金について
土地を購入すると、土地の購入費用以外に印紙税、不動産取得税、登録免許税の3つの税金支払いが発生します。

印紙税…契約金額に応じて、契約書に収入印紙を添付しなければいけません。その際に発生するのが印紙税です。印紙代は契約金額によって数百円から数十万円まで変わってきます。

不動産取得税…土地を取得した時に課される地方税です。金額は以下のように計算されます。
      不動産取得税=土地の価格(課税標準額) × 4%

ここでいう土地の価格とは「購入価格」のことではありません。課税標準額と言い、市町村の固定資産課税台帳に登録されている価格が土地の価格となります。

ちなみに固定資産課税台帳とは、各市町村が固定資産の価格を明らかにするために備えることを義務付けられた台帳のことです。

登録免許税…土地を購入したら、売主から買主へ所有権を移転させるため、登記を行う必要があります。その際に発生する税金が登録免許税です。金額は以下のように計算されます。

登録免許税額=土地の価格(固定資産税評価額) × 2%

固定資産税評価額とは、前述の課税標準額とは別のもので、各市町村が定める固定資産税の基準となる価格のことを言います。

・土地の取得後にかかる税金について

固定資産税…土地や建物の所有者に対して課される地方税で、一般的に標準税率の1.4%であることが多いです。

都市計画税…都市計画法によって、市街化区域に定められた土地に対して課される税金です。税率は0.3%が上限とされています。

まとめ

土地の購入は、事業計画の組み立てから始まり売買契約の締結、土地の引き渡しに至るまでとにかく工程が多いです。その分必要とされる専門知識や注意点も多く、思わぬ落とし穴がたくさんあります。

とくに建築基準法や都市計画法に基づく規制については、事前にある程度把握しておかないと事業計画自体が途中で破綻しかねません。後々大きなトラブルに発展する可能性もあります。

そのため事業用の土地を購入する際はできるだけ独断で取り組まずに、建築士や設計士、商業用不動産コンサルティングなどのプロに相談しながら、慎重に話を進めていきましょう。

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