「土地をコンビニに貸したいけど、賃料の相場はいくらくらい?」
「コンビニに土地を貸す上で注意した方がいいことはある?」
こちらの記事ではこのような疑問に回答します。コンビニに土地貸しをしたい方は参考にしてください。
コンビニへの土地貸しの種類
コンビニへの土地貸しの賃料相場を解説する上で、まず理解しておきたいのが、土地の貸し方には大きく2つの方式があることです。こちらでは、
- リースバック方式
- 事業用定期借地方式
の2つを紹介します。
リースバック方式
リースバック方式とは、地主自身が費用を出してコンビニ店舗を建設し、土地と建物をセットにしてコンビニ業者に貸す方法です。土地のみを貸す場合と比べて、賃料を高く設定しやすいのがメリットです。
また、レジや冷蔵庫、陳列棚などの設置は基本的にコンビニ業者が負担しますが、一部の契約では地主側が負担するケースもあります。
事業用定期借地方式
事業用定期借地方式は、店舗の建設費用などを含め、基本的にすべての初期費用をコンビニ業者が負担する方法です。
地主は土地だけを貸すので、リースバック方式よりも賃料相場は低くなります。契約期間は10年以上50年未満と定められており、契約満了時に建物が解体された更地の状態で返還するのが決まりです。
コンビニに土地を貸す場合の賃料相場
コンビニの賃料は、コンビニのブランドごとに決まっているわけではありません。立地や周辺環境、固定資産税路線価などを基準に1坪あたりの単価が算出され、コンビニ業者側から提示されるのが一般的です。
なお、リースバック方式で貸す場合は、建物の建設費用が考慮されるため、事業用定期借地方式と比べて賃料は高い傾向があります。坪数ごとの大まかな相場は以下の通りです。
坪数 | 事業用定期借地 | リースバック |
200坪 | 20万円台前半〜30万円台前半 | 30万円台後半〜50万円台前半 |
300坪 | 30万円台後半〜40万円台前半 | 50万円台前半〜60万円台後半 |
500坪 | 60万円台前半〜70万円台前半 | 70万円台前半〜90万円台後半 |
700坪 | 80万円台前半〜100万円台前半 | 90万円台後半〜120万円台後半 |
コンビニに土地を貸す場合の費用相場
大前提として、一切の出費なしで土地をコンビニ業者に貸すことは現実的に難しいでしょう。リースバック方式にしても、事業用定期借地方式にしても、何かしらの出費が発生します。そこで、こちらではコンビニに土地を貸す場合の費用相場を紹介します。
リースバック方式の場合
リースバック方式で発生する主な費用は「店舗の建設費用」と「整地費用」です。一般的なコンビニ店舗の広さは約60坪ですので、建物だけでも1,500万円から2,400万円の建設費用がかかります。
さらに、店舗内装の費用として1坪あたり10万円から20万円ほどかかると想定すると、60坪の建物では600万円から1,200万円が必要です。建物の建設費用と内装費用を合わせ、さらに土地の整地費用を加えた坪数ごとの目安金額は以下の通りです。
土地の面積 | 費用 |
100坪 | 2,600~4,000万円 |
200坪 | 2,600~4,200万円 |
300坪 | 3,000~4,500万円 |
500坪 | 3,200~4,800万円 |
事業用定期借地方式の場合
事業用定期借地方式で発生する主な出費は、「土地の整地費用」です。アスファルト舗装の駐車場を整備する場合、水道や電気などのインフラの引き込み費用を含め、1平方メートルあたり約5,000円の費用がかかります。
事業用定期借地方式における、土地の面積ごとの主な整地費用の目安は以下の通りです。
土地の面積 | 費用 |
100坪 | 400~600万円 |
200坪 | 600~750万円 |
300坪 | 750~950万円 |
500坪 | 1000~1,300万円 |
コンビニに土地を貸すメリットとデメリット
続いて、コンビニに土地貸しをするメリットとデメリットを紹介します。
【メリット】
- 駐車場経営や飲食店経営などに比べて収益性が高い
- 市街化調整区域内でも出店可能
- 住宅地から多少離れていても出店可能
- 建設協力金が提供されれば、自己資金なしで出店が可能
【デメリット】
- 経営不振による撤退リスクがある
- リースバック方式では高額な初期投資が必要
- 契約期間が長いため、自由に活用・売却ができない
土地貸しをする相手にはさまざまな選択肢がありますが、コンビニはその中でも賃料が高いことで有名です。
しかし、先述のように賃料の減額交渉をされることは珍しくありません。弊社のように事業として複数の土地貸しをしている場合は、多少の減額があってもそこまで深刻ではありませんが、個人の方の場合は違います。
契約時に設定した賃料が将来的に減額され、経営が急に傾く可能性は十分にあるので、注意が必要です。
コンビニへ土地貸しをする流れ
こちらでは、コンビニへ土地貸しをする大まかな流れを
- ⑴適性をチェックする
- ⑵コンビニ業者に打診する
- ⑶賃貸借契約を結ぶ
の順に解説します。
⑴適性をチェックする
まず、自身が所有する土地がコンビニ経営に適しているかどうかを確認しましょう。コンビニ経営に適した土地の主な特徴は以下の3つです。
人通りの多い場所にある土地
駅の近くや市街地の中心部など、人通りの多い地域にある土地はコンビニ経営向きです。こうした場所では、自動車での来客が比較的少ないため、大規模な駐車場を確保する必要がありません。
60~100坪ほどの土地でも、コンビニ経営には十分なスペースと言えるでしょう。さらに、1階部分はコンビニ業者に貸し、2階以上を賃貸物件にすることで、さらなる収益性を見込めます。
幹線道路沿いにある広めの土地
幹線道路に面した、広大な土地もコンビニ経営と相性が良いです。ただし、市街地と違って自動車での来客がメインであるため、十分な駐車スペースが必要です。300坪以上の土地が望ましいでしょう。
また、トラックの出入りが頻繁な場所では、1,000坪程度の土地が必要となることもあります。さらに、出入り可能な入り口が複数ある角地、中央分離帯がなくどちらからも進入可能な土地や、交差点に面した土地なども、コンビニ経営向きです。
競合コンビニの少ない地域
土地の周辺に競合するコンビニ店舗が少ない場合、コンビニ経営に適した土地と言えます。たとえ競合店があったとしても、特定のコンビニ業者がそのエリアに店舗を持っていなければ、出店に興味を示す可能性があるでしょう。
特に郊外や農村地域では、コンビニATM、公共料金の支払い、宅配の受け取りといったサービスが地域住民に重宝されます。以上の条件を満たす土地は、コンビニ業者にとって魅力的であり、コンビニ経営の適性が高いと言えるでしょう。
⑵コンビニ業者に提案する
地主側からコンビニ業者に土地貸しの打診をすることが可能です。
たとえば、大手コンビニチェーンのセブンイレブンでは、物件募集の専用WEBサイトを用意しています。そちらのサイトで必要な情報を入力し、送信することで、担当者からのメールや電話連絡を受けることが可能です。
サイト内では過去に出店した地主の体験談を読むこともできるので、参考にしてください。
⑶賃貸借契約を結ぶ
コンビニ業者に打診した後、話がまとまったら賃貸借契約を結びます。
コンビニに土地を貸す場合の注意点
コンビニ業者から「月額100万円で土地を貸してくれませんか?」という提案を受けた場合、つい魅力を感じてしまうかもしれません。しかし、コンビニとの契約は短くても10年以上に及び、その間に土地の活用が制限されることは重々理解しておく必要があります。
また、コンビニの収益は売上に大きく依存するため、契約期間中に途中撤退するリスクもあるのです。さらに、途中撤退に際して、初期投資費用の回収が難しくなったり、残された建物の撤去費用の問題が生じたりする可能性もあります。
こうしたリスクを最小限に抑えるために、コンビニ業者との契約時に確認しておきたい重要事項として、以下の3つを紹介します。
- 途中撤退時の免責条件
- 賃料が発生するタイミング
- 保証金の返還条件
途中撤退に関する取り決めは、契約書の特約事項に必ず明記しておきましょう。
また、賃料の支払いタイミングについても、契約前に徹底的に確認しておくことが重要です。コンビニとの賃貸契約を結んだ後に、土地の整備や店舗建設に着手する場合、いつから賃料の支払いが発生するのか、スケジュールを明確に決めておきましょう。
保証金の返還条件も、撤退期間に応じて明確に定めておくことをオススメします。たとえば、「3年未満は30%返還」、「5年未満で50%返還」などです。
契約書は通常業者が用意してくれますが、上記のような事項が含まれているか確認し、必要に応じて追加事項を提案することも大切です。特に譲れない項目がある場合は、それを交渉の対象にすることも検討しましょう。
土地売却のご相談なら近畿住宅流通へ
コンビニ業者によっては、土地の買取制度を設けているところもあります。実際、セブンイレブンの公式ウェブサイトには、買取、リースバック、定期借地という3つの選択肢が示されています。
ただし、土地を買い取ってもらう場合、通常は「条件が良い土地」に限定される傾向があるので注意が必要です。なお、土地を買い取るのはコンビニ業者だけではありません。弊社のような土地活用の専門業者が買い取ることも可能です。
地主側は土地を売りたいのに、コンビニ業者側は土地を貸して欲しいというミスマッチが起きることは珍しくありません。そのような場合、弊社にご相談いただければ、弊社で土地を買い取らせていただき、コンビニ業者に貸すことが可能です。土地売却を検討されている場合は、近畿住宅流通までお気軽にご相談ください。