土地は所有しているだけで維持費がかかります。その1つが固定資産税であり、年間で数万円から数十万円ほどの支払いが必要です。そこで今回は、その固定資産税を安くするためのコツや計算方法を解説します。これから土地を所有する予定がある方は参考にしてください。
土地の固定資産税とは
土地や家を所有した経験がない方にとって、固定資産税は馴染みがないものでしょう。固定資産税とは、地方自治体に納める税金の1つです。
土地の面積、形状、利用目的、立地など、土地の価値に基づいて計算されるため、税額は土地によって異なります。具体的には地方自治体が土地の評価額を算出し、その評価額に対する税率を適用することで固定資産税の金額が決まるものです。
土地の評価は3年ごとに見直されるので、その都度税額も変動します。なお、土地の固定資産税は所有者がどこに住んでいるかにかかわらず、土地を管轄する地方自治体に支払うものです。金額が大きいため、地方自治体にとって大きな収入源の1つとなっています。
土地の固定資産税の計算方法
土地の固定資産税を調べるには、いくつかのプロセスがあります。
- 宅地か否かを調べる
- 固定資産税評価額を調べる
- 課税標準額を計算する
の順に紹介するので参考にしてください。
宅地か否かを調べる
土地の固定資産税を計算するには、まずその土地が宅地か否かを調べる必要があります。理由は宅地かそうでないかによって、固定資産税の税率が大きく変わるからです。一般的に、宅地は商業地や工業地などと比べて税率が低く設定されており、住宅用地であれば特例措置が適用されます。
固定資産税評価額を調べる
次に調べたいのが固定資産税評価額です。固定資産税評価額とは各市町村の長が総務大臣の定めた基準に基づいて資産を評価したものです。
固定資産税の税額は固定資産税評価額を基に算出されるので、評価額がわかれば正確な税額を調べられます。固定資産税評価額の調べ方は以下の通りです。
- 公示地価を基に計算する
公示地価とは国土交通省が毎年公表している土地売買の指標となる価格のことです。固定資産税評価額は公示地価から概算できます。計算式は以下の通りです。
固定資産税評価額=公示価格 × 70%
例えば、公示地価が2000万円の土地であれば、約1400万円が固定資産税評価額となります。
- 固定資産税路線価から計算する
固定資産税路線価とは都や市町村が算出する価格のことで、1㎡あたりの土地単価が設定されています。たとえば、路線価が10万円で土地の面積が300㎡の場合、固定資産税評価額は3000万円となります。
なお、固定資産税路線価は一般財団法人資産評価システム研究センターが運営する『全国地価マップ』というサイトで確認可能です(※1)。
- 計算済みの固定資産税評価額を調べる
先述の2つのように参考となる情報から計算するのではなく、計算済みの固定資産税評価額を直接調べる方法もあります。
1つ目は課税明細書の価格を確認する方法です。課税明細書は各市町村から届く書類の1つで、固定資産税の納税通知書に添付されています。書類の「価格」の欄を見れば、固定資産税評価額を確認できます。
2つ目は固定資産税評価証明書を取得する方法です。市区町村の役場で固定資産税評価証明書を取得すれば、所有者の情報や土地の情報のほか、固定資産税評価額も確認できます。
※1「全国地価マップ」(一般財団法人 資産評価システム研究センター)
課税標準額を計算する
課税標準額とは、固定資産税の税額を決める際に使われる数値の1つです。建物の場合は「固定資産税評価額=課税標準額」であり、土地の場合は「固定資産税評価額×特例率=課税標準額」となります。
こちらの特例率は、200平米以下の部分だと「×1/6」、200平米を超える部分だと「×1/3」です。そのため、土地の場合は課税標準額と固定資産税評価額とが一致しません。
例えば、土地の固定資産税評価額が8,000万円、面積が250平米の場合を考えてみましょう。上述した特例率に基づき、200平米以下の部分と200平米を超える部分で計算をおこないます。
- 200平米以下の部分の課税標準額の計算
( 8000万円 × 200平米/250平米 ) × 1/6 = 640 万円
- 200平米を超える部分(50平米)の課税標準額の計算
( 8000 万円 × 50 平米/250 平米 ) × 1/3 = 320 万円
合計の課税標準額は、640万円 + 320万円 = 960万円となります。
このようにして計算された課税標準額が土地の固定資産税の基準となります。なお、課税標準額が30万円未満の土地の場合、固定資産税はかかりません。
同様に課税標準額が20万円未満の建物の場合も、固定資産税はかからない決まりになっています。ただし、同じ地域内で複数の建物や土地を有している場合は、合算した標準額を基に課税対象か否かが決まります。
土地の固定資産税の軽減措置とは
土地の固定資産税は、特例や軽減措置を活用することで負担を抑えられる場合があります。こちらでは2つの事例を紹介します。
住宅用地の特例
住宅用地の特例とは、人が家屋に居住するために利用されている土地に適用される、税金の軽減措置です。住宅用地の特例は、土地の広さによって減額される割合が変わります。詳細は以下の通りです。
敷地面積 | 固定資産税 |
200㎡以下の部分 | 固定資産税評価額×1/6 |
200㎡を超える部分 | 固定資産税評価額×1/3 |
また、アパートやマンションのような集合住宅の場合は「戸数×200平米」までの土地が「小規模住宅用地」とみなされるため、課税標準額が1/6となります。
さらに、併用住宅の場合も住宅用地の特例が適用されます。併用住宅とは、同じ建物の中に居住目的の部分と事業目的の部分が両方ある住宅のことです。併用住宅に関する住宅用地の特例の詳細は以下の通りです。
- 地上5階以上の耐火建築物である併用住宅
居住部分の割合 | 減額率 |
1/4以上1/2未満 | 0.5 |
1/2以上3/4未満 | 0.75 |
3/4以上 | 1 |
- 上記に該当する家屋以外の併用住宅
居住部分の割合 | 減額率 |
1/4以上1/2未満 | 0.5 |
1/2以上 | 1 |
新築住宅の軽減措置
新築住宅も、固定資産税の軽減措置があります(※2)。具体的には固定資産税の支払い額が3年間にわたって1/2になります。ただし、無条件に半額となるわけではなく、対象となるのは床面積120㎡以下の部分だけです。それ以上の部分は軽減措置の対象とはなりません。
土地の固定資産税を払うタイミング
土地の固定資産税の支払うタイミングが遅れると、金銭的なペナルティを受ける可能性があります。そこでこちらでは固定資産税を支払うタイミングについて解説します。
固定資産税の支払いは4月〜6月
固定資産税を支払うタイミングは、毎年4月〜6月です。自治体から納税通知書が届くので、一括で払うか4回に分けて納付します。
通知書に納付期限が書いてあるので、必ずその期限を守って納付しましょう。なお、市街化区域内に土地や家屋がある場合は、固定資産税だけでなく都市計画税の支払いも必要です。
延滞金に要注意
固定資産税を期限内に支払わないと、ペナルティとして延滞金が発生します。金額は期限の翌日から1ヶ月を経過するまでは納税額の2.4%、1ヶ月を過ぎたら税額の8.7%となっています。
督促状が届いても対応しなかった場合、まずは給与や預金が差し押さえとなり、その後土地や建物が差し押さえられます。最悪の場合、土地や建物が公売にかけられることになるので、支払い期限には十分に注意してください。
土地の固定資産税が高くなる2つのケース
土地の固定資産税は高くなることがあります。こちらでは2つのケースを紹介します。
建物を解体した場合
建物を解体すると、その土地は更地となり、住宅用地としてみなされなくなります。つまり、固定資産税の軽減措置の対象外となるのです。
そのため、特に急いで解体する理由がないのであれば、建物を残しておいた方が税負担は軽減されます。事情が解体するのであれば、できるだけ翌年の1月2日以降にするといいでしょう。
なぜなら、固定資産税の金額は毎年1月1日の時点の状態を基準として決められるからです。いずれにしても、建物の解体は固定資産税の金額に大きな影響を与えるので、時期は慎重に見極めましょう。
特定空き家に指定された場合
特定空き家とは、放置され続けて老朽化した空き家に対して各市町村が指定するものです。こちらに指定されると住宅用地の特例が適用されなくなるため、固定資産税の負担が最大で6倍になります。
また、空き家自体に対しても固定資産税が課されるので、更地の状態よりも固定資産税の負担が増えます。最悪の場合、50万円以下の過料が徴収されることもあるので十分に注意してください。
土地の固定資産税の支払い方法
最後に土地の固定資産税の支払い方法をシェアします。主に有効な支払い方法は以下の通りです。
- クレジットカード支払い
- 口座振替
- コンビニ支払い
- スマホ決済
- ペイジー
- 金融機関(市税を取り扱う機関に限る)
ちなみに、クレジットカードで固定資産税を払えば、カードによってはポイントがつくこともあるのでお得です(※3)。
※3「固定資産税はクレジットカード納付できる?メリットや納付方法を解説」(三井住友カード)
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