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事業用定期借地権を巡るトラブルとは?注意点も解説

事業用定期借地権をめぐるトラブルは、企業が土地を借りて事業を展開する際に生じる問題です。具体的には契約不履行や賃料交渉の不一致、使用目的の変更による紛争などが挙げられます。

そこでこちらの記事では、事業用定期借地権に関わる注意点を解説し、トラブルを予防するポイントを紹介します。

目次

事業用定期借地権とは

事業用定期借地権を巡るトラブルについて解説する前に、そもそも事業用定期借地権とはどのようなものなのか、地主にどのようなメリットがあるのかを解説します。

事業用定期借地権の概要

事業用定期借地権とは、土地を一定期間借りて事業をおこなう権利のことです。この権利を持つ借地人は、借地契約に基づき土地を使用し、収益を得られます。

事業用定期借地権の特徴は以下の通りです。

まず、契約期間が比較的長い点が挙げられます。一般的には30年以上の長期契約となりますが、契約内容によってはそれより短いものもあります。次に、借地人は土地を利用するために、地主に賃料を支払います。賃料は契約内容や土地の価値に基づいて決められますが、一定期間ごとに見直しの可能性があるでしょう。

また、借地人は土地を事業目的で使用できますが、使用目的や使用方法については契約書や法律に従う必要があります。なお、事業用定期借地権は所有権ではないため、借地人は土地を売却できません。

しかし、契約によっては転貸や借地権譲渡の制限が緩和されている場合もあるので注意が必要です。事業用定期借地権は、土地の活用や事業展開の柔軟性を持つ一方で、契約内容や注意事項については慎重に確認する必要があります。

事業用定期借地権の4つのメリット

地主側にとっての事業用定期借地権のメリットは、以下のような点が挙げられます。

安定した収入の確保

事業用定期借地契約により、地主は定期的な賃料を安定して受け取れます。契約は一般的に長期的なものであるため、地主は安定した収入を期待できるでしょう。定期的な収入を得られることは、地主の経済的な安定にも寄与します。

土地資産の有効活用

事業用定期借地によって、地主が所有する土地を有効に活用できます。借地人が建物や設備を設置することで、土地の潜在的な価値を最大限に引き出せるからです。このような活用により、土地の価値が向上し、将来的に土地を売却する際はより多くの収益を上げやすくなるでしょう。

長期的なパートナーシップの構築

事業用定期借地契約は契約期間が長いため、地主と借地人との間には長期的なパートナーシップが築かれます。このような長期的な関係は、お互いの信頼を深めることに繋がります。地主は借地人に土地の管理や維持を委ねられるため、手間を減らしやすくなるでしょう。

土地価値の増加

事業用定期借地によって建物や設備が整備されることで、土地の付加価値が向上する可能性があります。事業が成功し、周辺の地域が発展すれば、土地の需要や価値も上昇するでしょう。このような状況下では、地主はさらなる収益を期待できます。

以上のように、事業用定期借地権は地主にとっても魅力的な選択肢となります。

地主は土地を有効活用し、安定した収入を得られる一方で、借地人と長期的なパートナーシップを築きながら土地価値の成長にも期待できるのです。

事業用定期借地権のトラブル事例

地主にとってメリットが大きい事業用定期借地権ですが、一方で思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。そこで、こちらでは事業用定期借地権を巡るトラブル事例を6つ紹介します。

賃料の適正さに関して

事業用定期借地権において、賃料の適正さに関して異議申し立てがおこなわれることがあります。契約当初は双方が合意していた賃料でも、時間の経過とともに土地の需要や地域の価値が変動したり、経済状況が変わったりすることで、借地人が現在の賃料は適正ではないと感じるケースなどです。

それに対して地主は、契約当初の条件を維持しようとする立場にあるため、結果的に双方の間で賃料の見直しや交渉がおこなわれることがあります。

両者が納得できる妥協点を見つけられれば理想的ですが、そのような場合でないとトラブルが発展する可能性もあります。

トラブルを未然に回避するためには、契約を締結する際に明確な賃料見直しの条件を盛り込むことが大切です。市場相場の変動や物価上昇などを考慮した長期的な契約設計をおこない、双方が納得できる基準を持つようにしましょう。

さらに、専門家の助言を仰ぎながら、公平かつ適正な評価をおこなう第三者の意見も参考にすることで、賃料に関するトラブルを最小限に抑えられるでしょう。事業用定期借地権においては、賃料の適正さは双方にとって重要な要素であり、慎重な契約設計と相互理解を持つことが、円満な契約を維持するために欠かせないポイントです。

契約期間の延長に関して

契約期間が終了の時期を迎えると、借地人が契約の延長を求めるケースが増えています。事業が順調に成長しており、引き続き土地を利用したいという要望が背後にあることが多いです。一方で地主としては、契約期間が満了すれば土地を他の目的に活用したい、または賃料の見直しを検討したいと考えるのは自然なことでしょう。

このようなトラブルを未然に防ぐために、契約書を締結する際、期間延長に関する明確な条項や条件を盛り込むことが重要です。また、期間延長の交渉に際しては、互いの利益や将来の事業展望を共有し、双方が満足できる解決策を模索することをオススメします。

借地権の変更・譲渡に関して

事業の成長や変化により、借地人が借地権を他の事業者に変更・譲渡したいというケースが増えています。特に、事業の売却や合併が発生した際にこのような希望が生じることがあります。

しかしながら、借地権の変更・譲渡には地主との合意が不可欠であり、その際、交渉や合意形成がスムーズに進むとは限りません。このようなトラブルを防ぐためには、借地権の変更・譲渡に関する明確な条項や条件を契約締結時に事前に定めておくことが肝要です。

また、借地人側も事業展開に変更が生じた場合に備え、円滑な変更・譲渡手続きを考えておく必要があります。最終的には、地主と借地人が協力し合い、相互の利益を考慮した解決策を見つけ出すことが、円満な変更・譲渡につながるポイントです。

資産区分や原状回復に関して

事業用定期借地権では、地主は土地を更地の状態で貸し出すことが一般的です。従って、地主の建物(資産)は土地上に存在せず、地主は単に土地を貸し出す立場にあります。しかしながら、一部の事業者は土地のアスファルト舗装について、地主にその負担を求めるケースが見受けられるのです。

具体的には、事業者側が建物の建築費用を負担する代わりに、アスファルト舗装費用に関する要求を提起することがあります。このように、地主がアスファルト舗装費用を負担した場合、アスファルト舗装自体が地主の資産となるのです。したがって、将来的にアスファルト舗装の補修が必要になった場合、その費用は地主が負担することになります。

注意したいのは、地主がアスファルト舗装をおこなった場合、事業者が撤退後もアスファルト舗装が残る点です。このようなケースでは、アスファルト舗装を除去するための工事費用が地主の負担となります。

さらに、契約内容に誤解が生じることで、事業者側が敷地内の一部の工事を地主に負担させる場合もあります。ただし、地主がおこなった工事に関しては地主が所有するものとなるため、その後の修繕や原状回復を事業者に対して求めることはできません。

このようなトラブルを未然に防ぎ、完全な更地の状態で返還を望む場合は、契約書において地主側で修繕工事を行わず、全て借地人である事業者に負担させる旨を明確に記載する必要があります。透明性のある契約内容によって、双方の利益を考慮し、円満な関係を築くことが重要です。

事業者の破綻後に残った建物に関して

事業用定期借地権では、事業者が倒産した際に建物が残ったままになる問題が生じることがあります。建物は事業者側の所有物であるため、地主は単独でその解体を実行できません。建物の撤去には、契約解除を求める訴訟手続が必要となります。訴訟によって裁判所が契約解除を認めると、借地人が建物の撤去に責任を負うことになります。

しかしながら、倒産といった状況では、借地人による建物の撤去は金銭的にほぼ不可能と言えるでしょう。このような場合、裁判所は代替執行として、第三者に建物の撤去を実施させることがあります。代替執行の際には通常、地主が建物の再建費用を負担しますが、借地人からの費用回収は困難な場合がほとんどです。

なお、事業者が倒産するようなケースでは、地代の支払いが遅延するなどの前兆が現れることが一般的です。滞納が長期化する場合、事業者が経済的に余力があるうちに契約解除を要求する方が賢明です。早めの対応により、事業者が負担し建物を撤去し、更地での返還を受ける可能性が高まるでしょう。

事業用定期借地権においては、地主と借地人の双方が円満な関係を築くためにも、慎重かつ適切な対応が必要です。このような事態に備えて、契約書の条項や条件を明確に定めることで、トラブルを未然に防ぐことが大切です。

保証金の預かり過ぎに関して

地主側が多額の保証金を預かり過ぎるることで、事業者に対して保証金を返却できない状況が生じることがあります。保証金とは、事業者が倒産した場合、建物の取り壊し費用を地主が負担することになるため、事業者から建物の解体費用に相当する金額を預かっておくものです。

ただし、保証金を過剰に預かると、契約終了前に相続が発生した場合に問題が生じることがあります。まず、相続が発生すると、保証金の返還義務は相続人に引き継がれます。

例えば、契約当初に事業者から現金として保証金を保証金を親が預かり、これを相続した子に保証金を返還する必要が生じるなどのケースです。相続人は直接現金を受け取っていないため、返還に必要な現金を所有していない可能性があります。

借地契約は借家契約と異なり、長期の契約であるため、契約期間中に相続が発生し、このように保証金の預かりや返還に関する問題が生じる傾向があるのです。このような問題を回避するためには、「保証金を過剰に預からないこと」「信頼性の高い事業者を選ぶこと」、以上の2つの対策が重要です。

通常、事業用定期借地権における保証金は約6ヶ月分程度が一般的ですので、そちらを目安にするといいでしょう。また、信頼性の高い事業者を選ぶことで、倒産リスクを低減することが肝要です。事業用定期借地は長期的な取引であるため、双方が信頼を持って取引を進めることが、円満な関係を気づく上で重要です。

事業用定期借地権の注意点と対策

こちらでは、事業用定期借地権を巡るトラブルを回避するための注意点や対策を解説します。

契約書の内容確認と専門家の助言の重要性

事業用定期借地権を取得する際には、契約書の内容を十分に確認することが重要です。契約書には借地期間や賃料、使用目的などの詳細が明記されているので、しっかり熟読しましょう。

また、契約書の内容や法的な規定については、専門家の助言を受けることがおすすめです。弁護士や不動産の専門家に相談することで、契約書の解釈やリスクについて正確な情報を得られます。

賃料の見直しと相場の把握

事業用定期借地権では、賃料の支払いが発生します。契約時点での賃料は、その時点での市場相場に基づいて決定されますが、定期的に見直すことが重要です。賃料の見直しでは、市場相場を把握することが大切です。土地の需要や周辺の賃料水準を調査し、公正な賃料を把握しましょう。

また、不動産業者や地元の不動産市場の情報を活用すると良いでしょう。もし賃料の見直しについて問題が生じた場合は、交渉の際にも専門家の助言を受けることが重要です。

借地権の変更・譲渡に関する規定の把握

事業用定期借地権では、借地権の変更や譲渡に関する規定が存在します。借地人が事業を他の事業者に譲渡したい場合や、借地権を他の目的に変更したい場合には、地主との合意が必要です。借地権の変更や譲渡に関しては、契約書や法的な規定に基づいて手続きをおこなう必要があります。

規定を把握し、手続きを適切におこなうことで、トラブルを回避できるでしょう。

事業用定期借地権を活用した成功事例

こちらでは参考までに弊社が過去におこなった事業用定期借地権の事例を紹介します。

大阪府のロードサイド店舗

買取価格:

37万円/坪あたり

購入時期:

平成28年(2016年)

土地の特徴:

倉庫などの建設予定地であったものを購入。元々、土地の傾斜部分や隣地との間に崖があり、整形地にするまで長期間を要した。現在はスーパーマーケットとして活用中。

東京のロードサイド店舗

買取価格:

120万円/坪あたり

購入時期:

平成30年(2018年)

土地の特徴:

従来よりSS(サービスステーション)を営業していた土地(SSとは石油製品販売業に関する店舗およびこれに付随する施設・事務所のこと)。既存建物の解体撤去、リニューアル工事のタイミングで購入。

大阪のロードサイド店舗

買取価格:

約13万円/坪あたり

購入時期:

平成26年(2014年)

土地の特徴:

現在はコンビニエンスストアとして活用中。コンビニエンスストアは建物や内装等の型がある程度決まっているため、工期は4ヶ月ほどで完了。

土地活用のご相談は近畿住宅流通へ

弊社はこれまで100件以上の土地買取をおこない、多くの土地で事業用定期借地権の契約をおこなって参りました。

トラブル対応を含め、事業用定期借地権の経験は豊富にありますので、お悩みがありましたらお気軽にご相談ください。

また、弊社では全国を対象に随時土地の買取をおこなっています。買取希望の方からのご相談も積極的に受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。

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