「土地活用にはどのようなリスクがあるのか?」
「リスクを回避するには具体的にどうすればいいのか?」
今回、こちらの記事ではこのような疑問に答えていきます。
いま所有している土地を活用したいけど、リスクが気になって踏み切れないという方は、ぜひ参考にしてみてください。
土地活用の際、どういったリスクがある?
まずは、土地活用において考えられるリスクを5つ紹介します。
- 土地を管理し続けるリスク
- 経営に関するリスク
- 金利や市場価値などの市場リスク
- 売却や相続の際の流動性リスク
- 資金面に関するリスク
の順番で解説していきます。
土地を管理し続けるリスク
土地をただ所有しているだけの状態だと、もったいない事象や持ち主の負担が増えることになるでしょう。
1つは、土地を管理する手間が発生する点です。
仮に更地の状態だったとしても、定期的に清掃や草刈りをする必要があります。そういった管理を業者に依頼すれば、相応の固定費がかかってしまうのです。
清掃や草刈りをするためには、電気や水が必要ですので、電気代や水道代も払い続けることになります。たとえ使用頻度が少なくても、基本料金が発生してしまうため、それなりに負担がかかるでしょう。
さらに、不法投棄にも注意が必要です。
更地には人が常駐しているわけではないため、不法投棄の温床となる可能性があります。不法に投棄されたものだとしても、所有する土地にあるゴミは、オーナーが対応する義務があるので、定期的なチェックなどもおこなわなければなりません。
また、土地を所有していれば毎年固定資産税や都市計画税の支払いが発生します。
更地の場合は、賃貸用の建築物がある場合と比べて固定資産税が最大6倍も高くなるので、
やはり所有しているだけだと、リスクは高くなります。
経営に関するリスク
建物の賃貸業をおこなう場合、さまざまな経営上のリスクを想定する必要があります。
例えば、
- 空室が発生して賃貸収入が減るリスク
- 建物が老朽化するリスク
- 災害によって建物が被害を受けるリスク
などです。
とくに、空室リスクは賃貸業の売上に直結するので、事前にしっかりと戦略を練っておく必要があります。
また、長期的に賃貸業をする以上、建物の老朽化は避けられません。
さらに、地震や火災、水害によって建物が被害を受ける可能性もあります。被害レベルによっては、修復不可能となるケースもあるのです。
すでに建物のローンを完済しているのなら、まだダメージは小さいと言えますが、未完済の状態だと、ただ借金だけが残ることになってしまいます。
建物の賃貸業をおこなうのなら、どれも確実に向き合わなければならないリスクです。
金利や市場価値などの市場リスク
一般的に、土地活用は数十年規模の長期にわたっておこなわれます。良くも悪くも、景気変動や社会情勢の影響を受けてしまうでしょう。
そのため、初期段階の収支のシミュレーションと実際の数値とが乖離してしまう「市場リスク」を想定しておく必要があります。
たとえば、人口の増減や周辺環境の変化(学校や大型ショッピングモールの建設、新たな交通網など)によって、市場のニーズが変化してしまう可能性があるのです。
実際、人口減少が賃貸アパート・マンションに与える影響は大きく、総務省の調べによると、国内の空き家率は年々上昇傾向にあります(※1)。
ニーズに合わない物件が市場から淘汰されていたり、人口減少によって供給過多になっていたりするのです。
また、近年起こった「ウッドショック」のように、一部の材料費が高騰して建築費が上がってしまったり、借入金の金利が上昇してしまったりする可能性もあります。
このような市場リスクを完璧に回避する術はないですが、常に経営者として適正な判断ができるよう、冷静に大局を見極める必要があります。
※1:「総住宅数、空き家数及び空き家率の推移-全国」(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/info/today/083.html
売却や相続の際の流動性リスク
資産運用の世界で、「流動性」という言葉が使われることがあります。
ある資産を別の資産に替える場合、たとえば「現金」のように替えやすいものを「流動性が高い」と言うのです。その点、土地や建物は流動性が低いです。
今所有している土地や建物を売却し、現金に替えたいと思っても、すぐに買い手がつかなかったり、希望する金額で取引できなかったりするのです。
よくあるのは、土地や建物を相続したものの、相続税を支払う経済的な余力がなく、土地や建物を売却して現金に替えようとする場合です。
納税の支払い期限が迫っているのに、買い手が見つからず、手放せないという状況になります。
更地のほうが買い手にとっては使い勝手がいいのですが、売り手としては、建物を解体するにはコストがかかりますし、固定資産税も高くなってしまいます。
引く手数多の好立地であれば、少しは流動性が高くなりますが、ほとんどの場合、流動性は低いです。将来的に売却を検討しているのなら、余裕のある売却スケジュールを立てるようにしましょう。
資金面に関するリスク
土地の整備や建物の建築にはそれなりのコストがかかるため、一般的には金融機関で資金を調達することになります。
融資枠や金利次第で収支計画は大きく変わりますし、そもそも融資を受けられなければ、活用自体ができない可能性もあります。
とくにアパート・マンションの場合は、借入額が大きいですし、返済期間も長期に渡るので、綿密に収支のシミュレーションをおこなう必要があるでしょう。
また、土地活用で融資を受ける場合、土地や建物を担保とするのが主流です。
それらを担保にすれば、低金利で融資を受けられる可能性が高まりますが、一方で一度担保に入れると、あとから担保を外すのが困難となります。
他にも、建物の大規模修繕をするために、追加で融資を受けるケースもあります。いつ、どのような出費が発生するか、事前に把握しておく必要があるでしょう。
それぞれのリスクの回避方法について
続いて、前項で紹介したリスクの回避法について、それぞれ解説します。
土地を管理し続けるリスクの回避法
・管理のリスクを回避するには
管理し続けるリスクを回避するために、最も手っ取り早い方法は、少しでも早く土地を使って事業を始めることです。
第三者に貸し出せば、管理も任せられますし、賃料収入も得られます。
適切な活用方法が見つからなかったり、積極的に活用するつもりがないのなら、売れるうちに売却するのが得策でしょう。
・不法投棄のリスクを回避するには
不法投棄のリスクに関しては、完全に回避することは難しいと言えます。定期的に巡回しに行ったり、ダミーの監視カメラや注意書きの看板を設置したりなど、何かしらの対策が必要です。
・税金のリスクを回避するには
固定資産税や都市計画税のリスクに関しては、「更地の状態」を避けることで、回避が可能です。
誤って既存の建物を解体してしまえば、固定資産税の金額は一気に6倍に膨れ上がってしまいます。建物が半壊していて近隣住民に危険が及ぶ可能性があるなど、解体を必要とする切実な事情がある場合を除いて、建物は壊さずにそのまま残しておくことをオススメします。
経営に関するリスクの回避法
・空室が発生して賃貸収入が減るリスクを回避するには
アパート・マンションにおいて空室リスクを回避するには、とにかく早めに入居者募集の施策をおこなうことです。
新築物件の場合は、新築というだけで人気があるので募集しやすいですが、築年数が経ってくると募集のハードルは上がっていきます。
時には賃料を下げたり、不動産仲介会社に広告費を渡して、積極的に営業してもらったりといった工夫が必要となるしょう。
・建物が老朽化するリスクを回避するには
建物の老朽化リスクについて考える上で、まず押さえておきたいことは、建物の「耐久年数」です。
耐久年数とは、各住宅メーカーが独自に算出した検証データで、建設した建物がどの程度の期間利用できるかを表したものです。
一般的に、木造建築の耐久年数は22年、鉄筋コンクリート造(RC造)は34年とされています。
ただし、耐久年数はあくまでも1つの指標に過ぎません。実際は、建物が建っている場所や気候、生活スタイルによって、老朽化のスピードが異なります。
建物の老朽化を少しでも和らげるためにできることは、主に2つあります。
1つは、入居者に対して「適切な利用方法を徹底させること」です。
たとえば、「床の劣化を防ぐためにペットの飼育を禁止する」、「室内の臭いや壁紙のシミなどを防ぐために禁煙にする」などです。
もう1つの方法として、「入居人数に制限を設ける」ことがあげられます。室内の劣化スピードは、入居者の人数に比例します。
実際、シェアハウスのように複数人が共同生活を送る環境では、水回りなどの共用部分は、とくに劣化スピードが早い傾向にあります。利用頻度が高い上に、責任意識も薄れがちで管理がおざなりになりやすいためです。
入居者の募集対象は狭まってしまいますが、カップルやファミリー層など、複数名による同居を禁止することで、利用人数が制限でき、劣化スピードを軽減できるでしょう。
また、劣化を予防するという点では、定期的な点検作業も重要です。
外壁材やエレベーター、階段などの共用部分のほか、各部屋のドア・窓の建て付けなど、
定期的に点検し、細かくメンテナンスすることで、酷い劣化の予防に努めましょう。
・災害によって建物が被害を受けるリスクを回避するには
災害のリスクを回避するためにできることは、主に2つあります。
1つは、「建物の防災力を高めておくこと」です。
建物本体の耐震強度を高めるのはもちろんのこと、規模次第では水道ポンプや受水槽などの設備にも、耐震補強をしておくと良いでしょう。
受水槽とは、水道局から供給されてきた水を一時的に備蓄しておくための容器のことです。
被災時は水が重要なライフラインですから、受水槽の強度は高めておきたいものです。
地震で激しい揺れが生じる時は、水槽内の水がうねって水槽本体を痛めたり、破壊してしまうこともあります。そのような水のうねりを抑制する装置を導入するという手もあるでしょう。
被災時は、水だけでなく「電気」の確保も重要です。
電気設備自体に破損や異常がなくても、地域一帯で送電が止まることもありますから、最近では非常用として自家発電機を常備するマンションも増えているようです。
もう1つの方法は「災害保険に加入すること」です。
火災保険や地震保険、賠償責任保険などに加入しておくことで、被災時の損失を少しでも軽減できるようにつとめましょう。
建物の防災力は、入居者にとって暮らしの安心を担保してくれる重要な要素です。
予算の都合もあるので、どこまで防災に費用を割くかはオーナー次第でしょう。立地や地形、周辺環境の特徴から災害時の被害レベルをできる限り調査し、どの程度の予算を割くべきか検討してみて下さい。
金利や市場価値などの市場リスクの回避法
・市場のリスクを回避するには
市場リスクを回避するには、事前の市場調査が肝要です。
先述のように、人口減少によって年々空き家が増加傾向にあるため、「賃貸アパート・マンション経営は不利だ」と考えるる人も多いでしょう。
しかし、全国一律で人口が減少しているわけではありませんし、駅近以外でも入居者が入っている物件はいくらでもあります。
市場リスクは、細かく不動産マーケットをリサーチし、賃貸需要がある場所を探し出すことで回避できるのです。
そう言える根拠として、そもそも空室が発生する原因は立地以外にもあるからです。
- 賃料設定が高すぎる
- 仲介業者が物件を紹介する際に使用する資料(通称マイソク)が魅力的ではない
- 敷金や礼金などの初期費用が高い
- Wi-Fiなどのインターネットの設備が乏しい
等々、マーケット以外のことが原因となり、集客に失敗している可能性があります。
ただし、これらのリスクは事前に回避することが可能です。事前に周辺にある物件を調べれば、賃料の相場はわかりますし、室内の写真にこだわってマイソクを魅力的に作り込むこともできます。
入居者に自分の物件を選んでもらうために、1つでも多く、他の物件と差別化できるポイントをつくりましょう。
もしも、家賃設定が適正であるのに、なかなか入居者が入らないという場合は、仲介会社や管理会社への働きかけ方を見直してみてください。状況によっては、仲介会社へのキックバック(紹介料)の増額が必要なこともあります。
いずれにしても、市場リスクを回避するには、事前にどれだけ細かく市場調査ができているかにかかっています。
「似ている物件は他にもあるけど、しいていえばこっちの方がいい」と思ってもらえるような、差別化ポイントを見つけて、仲介会社にもそこを重点的に訴求してもらいましょう。
・金利のリスクを回避するには
「金利の上昇リスク」に関しては、回避は難しいですが、軽減する方法はあります。
というのも、不動産投資用のローンの場合、変動金利だとしても、必ずしも市場の金利変動とリンクするわけではないのです。その場合、金利の見直しをする際、個別に審査がおこなわれ、オーナーの返済実績に応じて金利が調整されます。
なお、各金融機関によって金利の数値は変わるので、事前にしっかり比較検討しましょう。
そもそもの話をすれば、未来の金利を予測することは誰にもできないので、変動型と固定型のどちらを選んでもある程度のリスクはあるものと解釈し、自分に合った金利のタイプを選ぶといいです。
資金にある程度の余裕があり、借入金額が少なく、借入期間も短い人は、変動金利のほうがメリットを感じやすいでしょう。逆に、資金に余裕がなく、借入金額が多く、借入期間も長いという人は、固定金利のほうがメリットを感じやすいです。
売却や相続の際の流動性リスクの回避法
流動性リスクを回避する方法はいたってシンプルです。簡単に資産の置き換えができないことを理解し、余裕を持って手元に現金を残しておきましょう。
「現金に余裕があるので所有し続けてもいいし、売却してもいい」という状況に比べて、
「1日でも早く売却しなければならない」という状況は、売り手にとってかなり不利に働きます。
買い手に足元を見られてしまう可能性もありますし、切迫した状況では、満足のいく金額でなくとも売らざるを得なくなります。
相続の場合も、とりあえず相続税の支払いさえ済んでしまえば、経営を続けながら売却に向けて戦略を練ることも可能です。
そして、流動性リスクを考慮する上で、最も避けたいパターンは「物件購入時に相場より高く買ってしまう」ということです。
相場より高く買っていた建物を売却する場合、最悪赤字になる可能性もあります。売却益よりも、ローンの残債の方が多くなってしまいます。そのような失敗を防ぐためには、やはり事前の市場リサーチが大切です。
類似物件の取引価格や、競合の家賃相場を調べた上で、入念に収支のシミュレーションをおこないましょう。相場と大きな乖離がない家賃設定にし、将来的に賃料が下がることも想定しておきます。
その上でシミュレーションがうまくいかないのであれば、そもそも購入価格が高すぎる可能性があります。
また、「買い時の見極め」も大事です。
不動産市場には波がありますし、地域によっても買い時は異なります。弊社は全国各地の土地を取り扱っていますが、地域によっては最初から対象外にしている地域もあるのです。
相場が上がっているため、今その地域で土地や建物を購入すると、売却時の利益を最大化できないからです。不動産市場は地域ごとに状況がかなり異なるため、これから購入する場合はぜひ現地について詳しい人に意見を求めてみてください。
資金面に関するリスクの回避法
資金面に関するリスクを回避するには、あらかじめ事業全体で発生するコストを把握しておく必要があります。
そこで、今回はアパート・マンション経営を例に、初期費用とランニングコストを一覧にしましたので、確認してみてください。
初期費用 | ランニングコスト |
建物の建築費用 | 固定資産税、都市計画税 |
不動産取得税 | 不動産ローンの金利 |
不動産登録免許税 | 火災保険や地震保険などの保険料 |
印紙代 | 不動産管理会社への委託料 |
不動産ローンの手数料 | 定期的な修繕費用 |
司法書士への委託報酬 | 大規模な修繕・リノベーション費用 |
不動産会社への仲介手数料 | 不動産会社への広告料 |
実際にどのような活用をするかによって詳細は異なりますが、いつどのようなコストが発生し、総額でいくらくらいの出費があるのかは、できるだけ正確に把握しておきましょう。
低リスクで土地活用を始めるには
土地活用にはさまざまなリスクがありますが、中にはリスクがそこまで大きくない活用方法も存在します。
- 売却
- 定期借地
- 駐車場経営や資材置き場
以上の3つを紹介しますので、参考にしてください。
売却を視野に入れるとリスクを減らせる
市場リスクや流動性リスクを考慮するのであれば、はじめから出口戦略として「売却」を計画に入れておくのもありです。
厚生労働省が調査した「世帯数と世帯人員の状況」によると、近年結婚しない人や子供をもたない人が増えていることもあり、2050年には42.5%が単身世帯となると言われています(※2)。
つまり、物件購入時と数十年後の売却時とで、市場の需要が大きく変化している可能性があるのです。
このデータを参考にするなら、仮にいまファミリー向けのアパート・マンションを建てても、売却時には需要がほとんどなく、物件の市場価値が大きく下落している可能性があるということです。
しかし、だからといって、今アパート・マンションを建てるなら、単身世帯向けの「ワンルーム1択」というわけではありません。
長期保有をするつもりなら、ワンルームがいいかもしれませんが、家族世帯が完全にゼロになるわけではないので、ファミリー向けの住居も一定の需要は残るでしょう。
であれば、短期または中期保有で売却することを目的に、ファミリー向けのアパート・マンションを建てるという選択肢もあります。需要があり、利回りも良ければ、買い手を見つけるのは難しくないでしょう。
このように、世帯数や世帯人員の予測をもとに、将来の需要の変化を見極め、ターゲット層や売却のタイミングを決めるという方法もあります。
※2:「平成27年 国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa15/index.html
定期借地などの土地貸しをすれば、安定した収入が確保できる
「土地を管理するリスク」「経営リスク」「資金面に関するリスク」を回避するのであれば、「定期借地」という活用方法がオススメです。
定期借地とは、所有している土地のみを貸し出し、地代を得るという活用方法です。オーナー自身が借金をして建物を建てる必要がないので、低リスクで土地活用を始められます。
土地の管理も借主がおこなってくれますし、建物の稼働率に関係なく毎月安定した地代を得られるのも利点です。
なお、土地の貸し出し期間は、借地の種類によって異なります。以下の表を参考にしてみてください。
借地権の種類 | 貸し出し期間 | 特徴 |
一般定期借地権 | 50年以上 | 契約更新がなく、更地の状態で返還される |
建物譲渡特約付借地権 | 30年以上 | 契約更新がなく、期間満了時に建物を買い取る必要がある |
事業用借地権 | 10年以上50年未満 | 契約更新がなく、更地の状態で返還される。ただし、住宅は建設できない。 |
定期借地は長期間土地を自由に使えないという制限がうまれますが、低リスクで手間がかからず、安定して収益をあげたい人にはオススメです。
駐車場経営、資材置き場など初期費用の少ないものを選ぶ
初期費用を抑えやすい活用方法を選ぶことで、「経営リスク」や「資金面に関するリスク」を軽減することもできます。
代表的なものが駐車場や資材置き場です。順番に説明します。
・月極駐車場
最低限、土地の整備さえすれば、すぐにでも始めることができます。
土地が荒れておらず、駐車可能な状態であれば、簡易的な看板の設置やロープで仕切るだけでよいでしょう。更地の活用方法で悩んでいる方には、次の活用方法が決まるまでの繋ぎとしてもオススメです。
ただし、駐車台数次第では、オーナーが1人で借り手を探すのは難しいでしょう。不動産会社へ紹介や営業を依頼することも念頭においておきましょう。
・コインパーキング
コインパーキングは、設備を自分で用意しようとすれば200万円前後の費用がかかります。
しかし、専門業者に借地として貸し出せば、初期費用の負担もほぼゼロで始めることが可能です。
パーキングの運営や顧客の問い合わせ対応なども業者がおこなってくれるため、手間もかからず毎月安定した地代を得ることができます。
ただし、得られるのは地代だけなので、オーナー自身がコインパーキングを経営する場合と比較すると、収益性はかなり下がります。
月極駐車場と同様、「土地を放置しているのは機会損失なので、一時的に活用したい」という方にオススメです。
・資材置き場
資材置き場も、駐車場と同じくらい、初期費用がかからない活用方法です。
建設業者など、資材置き場を必要としている企業に対して、場所を貸すことで地代を得るのです。土地が極端に荒れていないなら、整備をする必要すらないので、始めるハードルはかなり低いといえます。
いずれも初期費用を抑えるには優れた活用方法と言えますが、原則として「固定資産税や都市計画税などの軽減措置がない」というデメリットがあります。
それを加味した上で、極力低リスクで活用したいという方は検討してみてください。
ある程度のリスクは許容して収益を多くすることが重要!
こちらでは、土地活用のリスクとの適切な向き合い方について解説します。
低リスクの土地活用を選ぶとリターンが小さい
土地活用において、リスクに備えることは大事ですが、一方でリスクの高さはリターンの高さを表しているとも言えます。
そのため、低リスクの土地活用を選んでしまうと、リターンもまた小さくなるのです。
たとえば、オーナー自身がローンを引いて建物を建てるのは、「ハイリスク」になります。しかし、同じ土地を活用するのでも、土地だけを貸し出して地代を得るのと、建物を貸して家賃を得るのとでは、リターンにかなり差がでるのです。
実際、弊社が所有している土地の場合、土地のみを貸す時と、建物を建てて複数のテナントに貸す時とで、収益が5倍ほど変わることもあります。
- リスクを取ってでも大きなリターンを狙いにいくか
- それとも低リスクで小さなリターンを狙うか
土地のポテンシャルをきちんと理解した上で、検討してみてください。
需要に合った土地活用をおこなうことで収益を増やす
土地活用において、リスクを完全に回避することは難しいと言えます。
ビジネスである以上、リスクはつきものですので、ある程度のリスクは許容し、収益を多くすることに知恵を絞る方が合理的と考えます。
その上で、欠かせないのが「需要(ニーズ)を汲み取る」ということです。
極端な言い方をすれば、やりたい活用方法があっても、需要がなければやらない方がいいと言えます。同時に、あまり気の向かない活用方法であっても、需要があるのならそれを始める方がいいのです。
たとえば、「マンションを建てて、家賃収入を得たい」と思っていたとしても、地域によってはすでに供給過多であり、「駐車場であれば需要がある」というケースもあります。
同様に、どれだけコストをかけて立派な建物を建てても、需要がなければ土地活用は成立しません。逆に需要があれば、立派な建物でなくとも、土地活用が成立することもあるのです。
- 人口の増減
- 世帯バランスの変化
- 新型コロナウイルス感染症の影響による行動変容など
さまざまな社会の変化に対してアンテナを立て、需要の有無を見極める必要があるでしょう。
土地活用について不安があれば専門家に相談する
インターネット上で得られる情報だけでも、土地活用のリサーチはある程度できるでしょう。失敗事例や成功事例を調べて、参考にすることはできると思います。
しかし、それだけで活用方針や具体的な活用方法を決めてしまうのは早計です。過去に土地活用の経験がないのなら、なおさらリスクが高いと言えます。
土地活用を成功させたいと願うのであれば、多少コストがかかってでも専門家や業者の力を借りることをオススメします。
賃貸経営について相談するならハウスメーカーや不動産会社に、駐車場経営について相談するなら専門業者に相談してみましょう。
そもそも活用方法を決めるところから相談したい場合は、弊社のような土地活用の専門業者やコンサルタントを頼ってみてください。
可能であれば、活用方法を決める前に専門業者やコンサルタントに相談しましょう。
なぜなら、ハウスメーカーや不動産会社は商品の販売や紹介が仕事ですので、客観的なアドバイスが難しいケースもあるからです。
例えば、客観的に見ればアパートを建てるより土地を売却した方が良いという場合でも、メーカーや不動産会社としてはアパートを建ててもらえたほうが売上につながるので、本音を言いにくくなります。
また、オーナー側が土地活用の経験や知識に乏しければ、メーカーや不動産会社からの提案の妥当性を判断するのも難しいでしょう。
活用方法を柔軟に選択できる状態で、中立的かつ客観的な意見をもらうようにしましょう。
土地活用を始める際のポイント
最後に、これから土地活用を始める上で、押さえておいてほしいポイントについてお伝えします。
土地に関するリサーチや分析に時間をかける
どのような活用方法を選ぶにしても、リサーチや分析は大切です。まずは自分の所有している土地の特性や特徴をしっかり理解しましょう。
- 都市計画法上ではどの区域に属しているのか
- 用途地域ではどの地域に属しているのか
- どのような建物を建設できて、
- どのような建物の建設が禁止されているのか
- どのような建築上の制限があるのか
- 建物を建てにくい土地ではないか
など、必要に応じて自治体に確認を取りましょう。
また、アパート・マンションや店舗を経営する場合は、土地周辺のリサーチも欠かせません。
- 単身世帯や家族世帯など、世帯の偏りはないか
- 若者や学生が多いのか、それとも高齢者が多いのか
- 大学はあるのか?それは共学か、女子大なのか
- 近隣にはどのようなアパート・マンションがあるのか
- 店舗経営で成功している店と失敗している店の違いは何か
- 交通の便はいいか
- 駐車場は充実しているか
など、足を使って徹底的に分析してみてください。
どのような人々がどのような暮らしを送っているのかを知るだけでも、狙うターゲット層のイメージが湧いてくるはずです。
ロードサイドの土地であれば、実際に運転してみて、車の入りやすさを確認したり、看板の見やすさを確認したりするのもいいでしょう。
泥臭くて面倒な作業かもしれませんが、こういった地道なリサーチ作業が、その後の活用方針を決める際の貴重な判断材料となります。
収支に関してのシミュレーションを事前にしておく
収支に関するシミュレーションは、できる限り細かくおこないましょう。
建設費用は建物の構造や坪単価によって変わりますし、賃料も立地や相場によって異なります。
そのため、今回は100坪くらいの土地で、鉄筋コンクリート造(RC造)のアパートを経営すると想定して、シミュレーションの例を紹介します。
<土地や建物の仮定条件>
- すでに所有している100坪の土地
- 建蔽率は60%(60坪部分までは建物の建設が可能)
- 容積率は150%(延床150坪分までは建築が可能)
- アパート、RC2階(ワンルームタイプ)
- 1部屋7.5坪弱(約25㎡弱)を1F、2F合わせて計8部屋(7.5坪 × 4部屋=30坪 で計算)
※実際には廊下、階段部分が必要のため22㎡ほど
<賃料設定・建築費>
月々の家賃収入:1部屋5万円(家賃共益費込み)×8部屋 =40万円/月
満室時の想定年間家賃: 480万円
空室率: 5% (▲24万円)
諸経費率: 15% (▲72万円)
実質の想定年間家賃:480万円 – 96万円=384万円
アパート建築費を1坪単価75万円(設計費などの諸経費含む)と仮定すると、
75万円×60坪 = 総額4500万円
<収支のシミュレーション> ※簡易シミュレーションです
自己資金:10% 450万円
借入金額:90% 4050万円(借入期間20年、金利2%と仮定)
借入金額をもとにした毎月のローン返済額:20万4882円
借入金額をもとにした年間のローン返済額:245万8584円
借入期間のローン返済総額:4917万1860円
合計支払利息:867万1860円
以上の数字を、表面利回り=【満室想定時の年間家賃収入】÷【物件価格】×100%=○○%の計算式に当てはめると、
表面利回り:年間家賃480万円 ÷ 投資総額4500万円 = 10.66%
年間想定年間家賃:480万円 - 年間の返済額 245万8584円
税引き前の年間収支:234万1416円
税引き前の月間収支:19万5118円
以上の数字を、実質利回り=(【年間家賃収入】-年間運営経費)÷(【物件価格】+建築にかかる諸経費)×100%=○○% の計算式に当てはめると、
実質利回り:実質の年間家賃384万円(480万円 ー 96万円) ÷ 4500万円=8.53%
実質の年間家賃:384万円 - 年間の返済額 245万8584円
税引き前の実質年間収支:138万1416円
税引き前の実質月間収支:11万5118円
ポイントは、表面利回りだけでなく、諸経費や支出を含めた実質利回りをしっかり計算することです。ハウスメーカーや不動産会社から提案される資料の中には、表面利回りしか掲載されていないこともあるので、注意してください。
知識がなければ専門家に頼る
最後に繰り返しになりますが、土地活用に関する知識に自信がない方は、できるだけ弊社のような土地活用の専門業者や専門家を頼るようにしましょう。
土地活用における最適解は、土地によって異なり下手に事業をおこなうより、売却して現金化した方が良い場合もあります。重要なのは、客観的なアドバイスをもらうことです。
弊社は昭和63年の創業以降、全国各地で土地活用に取り組んできました。賃貸用住居や駐車場はもちろん、医療モールやガソリンスタンド、コンビニ、オフィスビルや宿泊施設など、多様な土地活用を成功させてきた実績があります。
弊社が培ってきたノウハウや知識、経験を総動員してお手伝いしますので、土地活用について悩んでいる方は、ぜひお気軽に近畿住宅流通までお問い合わせください。