【平均年齢55.7歳】コロナを機にデジタル化を目指した老舗不動産会社

【平均年齢55.7歳】コロナを機にデジタル化を目指した老舗不動産会社

目次

「いやです」3年間断り続けた社長からのスカウト

指定された場所に行くと、大きなサングラスをかけたおじさんが、裸足でハンモックチェアに揺られていました。おじさんは「お。君が岡部くんかね。」と挨拶もほどほどに、初対面の私に対して流暢に自分の夢を語り始めたのです。それが弊社の代表、米良との出会いでした。

当時の私は、経営していた飲食店を手放し、のんびりと今後の生き方を考えながら石垣島での暮らしを楽しんでいました。そんな折、知人から「どうしても会って欲しい人がいる」と懇願され、仕方なく米良と会うことになったのです。その頃の米良の夢は、石垣島で自身初の「宿泊施設の経営」を始めること。物件はすでに取得済みで、自分の代わりに現場で指揮をとれる人間を探していました。そこで私、岡部に白羽の矢が立ったのです。飲食店経営時代に人材採用や教育・マネジメントをおこない、ある程度の実績を残していたため、適性があると判断したようです。

少年のように目を輝かせて「一緒にやろう!」と誘う米良に対し、私は「いやです」と即答しました。まさか断られると思っていなかったようで、米良はとにかく理由を尋ねました。生意気な言い方になりますが、断った理由の1つは、事業計画に少なからず不安を感じたからです。市場規模、立地、投資効率、経験不足等、やらない理由を説明するには十分過ぎるほどの根拠を提示しました。

ただ、私にとって想定外だったのは、真正面から断り、事業計画の欠点をとつとつと説明したことで、逆に米良の信頼を獲得してしまったことです。以後、私は3年弱にわたり、米良が石垣島を訪れるたびに熱烈なスカウト行為を受けることになりました(もちろん今では感謝しています)。

米良の凄いところは、一度断られても簡単に諦めない辛抱強さです。最終的には「宿泊施設の運営じゃなくてもいいから、ぜひうちの会社を手伝ってくれ」と打診され、2020年の1月、ついに私は近畿住宅流通への入社を決意しました。

コロナが教えてくれた近畿住宅流通の弱点

弊社のメイン事業は、ロードサイド物件をはじめとする土地活用です。自社でロードサイドの土地を購入・所有し、テナント誘致をおこなったり、仲介業務に携わったりしています。近年は関西エリア意外にも活動の幅を広げ、計15の都道府県に50軒弱の物件を所有しています。

ちなみに私が入社する以前の社員の平均年齢は55.7歳、人数は7名ほどでした。代表の米良はほとんどオフィスにおらず、自分の車に乗り、常に日本全国を走り回っていました。

通りかかった地域に気になる物件があれば、フラッと立ち寄って現地の方と親交を深め、そのまま商談をすることもしばしばあります。良くも悪くも米良の営業力のおかげで優れた業績を残し続けている、そんな印象でした。だからこそ、入社してすぐに危機感を感じたのです。

「もしも社長が倒れたら、この会社は止まってしまう。社長が稼働しなくても売上が立つようにしなくては」と思い、まずは私自身が売上を立てられるように精進しました。宅建業の資格を取ったり、積極的に現場に足を運んだりすることで、少しずつできることが増え、会社の売上に貢献できるようになっていきました。

コロナの猛威が日本を襲ったのは、ちょうどその頃です。それまで弊社が得意としていた積極的な訪問営業が難しくなり、非接触型の営業方法を模索することが長期的な課題となりました。人と極力会わずに物件情報を収集し、交渉を進め、売上を立てる・・・そのためにデジタルツールの活用が不可欠であることは疑いようがありませんでした。長年後回しにし続けてきた(と思われる)「業務のデジタル化」に向けて、いよいよ動き出すことになったのです。

創立33年目で初の「リモートチーム」を発足

業務のデジタル化と言っても、いきなり全ての業務をデジタル化できるわけではありません。そもそも私が入社した時点で、物件情報のやり取りがFAXベースだったり、情報共有や文書保存のほとんどが紙媒体だったりと、デジタル化とはほど遠い状況でした。平均年齢が高いこともあり、デジタルに詳しい人間は皆無だったのです。

この先デジタルツールを駆使した施策を積極的におこなうためには、人材もノウハウも明らかに不足していました。かくいう私自身も、デジタルの分野については最低限の知識しかなく…。そこで思いついたのが、ウェブ周りの業務を専門に担う「リモートチーム」の発足です。

近畿住宅流通が10年先、20年先の変化にも対応できるような企業となるためには、座組みの調整が必要でした。要するに、デジタルに疎い人間ばかり集まって悪戦苦闘するよりも、経験豊富な外部の人材を採用する方がはるかに効率的だと思ったのです。社会的にリモートで働く人が増えてきたタイミングでもあったので、「どうせならリモートでないと作れないような夢のチームが作れないだろうか?」と考えました。各々の道のスペシャリストたちが、物理的な距離を超えて、互いにアイデアを出し合い、高め合えるようなチームを作りたい、そう思いました。

早速代表に提案したところ、「やってみよう!」と背中を押していただき、創立33年目で初のリモートチームを立ち上げることになりました。こういう米良の思い切りの良さ、そして新しいことに挑戦させてくれる社風は、近畿住宅流通の強みの1つだと思います。

応募が殺到!オンライン面接漬けの日々…

「3~5名ほどのチームを作りたい。しかし、部下を必要としているわけではない。全員自分よりも優秀で、互いを尊敬し合えるようなチームがいい」、これが当初私が抱いていたリモートチームのコンセプトです。とはいえ、デジタルに強い人材をオンラインで探すのは初めての経験でした。飲食店経営時代にアルバイトスタッフの採用面接をした経験は何度もありましたが、ウェブ面接は初めて。

どのようなプラットフォームで募集すればいいのか?報酬形態はどのような形式がいいのか?面接ではどのような質問をするべきか?全てが手探り状態の中、孤独な人材探しがスタートしました。ありがたいことに求人への応募は数週間で数百名にのぼり、30件以上のオンライン面接をさせていただきました。日々の通常業務をこなしながら、書類審査や面接をおこなうのは少々大変でしたが、その甲斐あって優秀な人材と出会うことができました。

現在は4名の方と契約をさせていただいています。みなさん年齢もキャリアも、住んでいる場所も全く異なりますが、1つのチームとしてきちんと機能しています。ちなみに毎週のようにオンラインで顔を合わせていますが、まだ一度もリアルな場で会ったことはありません。自分から提案して始めたことではありますが、非常に不思議で、貴重な経験をしているなと感じます。

『トチカツプロ』をリリース

コーポレイトサイトのリニューアル、サービスサイトの制作、記事制作、SEO対策、SNS運用、広告運用など、リモートチームがおこなう業務は多岐に渡ります。中でも最も重要だったのが『トチカツプロ』のリリースです。

トチカツプロとは、簡単に言えばこれまで弊社がオフラインでおこなってきたサービスのオンライン版です。キャッシュバック型の不動産の売却・買取サービスで、土地活用のプロに無料で相談ができ、最善の提案を受けることができます。サービスサイト内では定期的に記事の更新をおこなっており、記事を通して新規顧客との接点を作る試みを継続中です。私自身わからないことだらけで亀の歩みではありますが、徐々に反響をいただけるようになってきました。あらためてこの挑戦をして良かったと感じる次第です。

正直に申し上げると、サービスの認知拡大に向けてまだまだ課題が残っています。しかしそれ以上に、古い慣習が根強く残る不動産業界で、思い切ってデジタル化に舵を切れたのは大きな一歩と言えます。少しだけ自分を褒めてあげたいです(笑)
これからも年齢や環境を言い訳にせず、常に挑戦し続ける会社でありたいと思います。コロナを機にデジタル化を目指す老舗不動産会社の奮闘に、今後も是非ご期待ください。

【会社概要】
名称:株式会社近畿住宅流通
代表:米良 久仁弘
住所:〒564-0027 大阪府吹田市朝日町13番2号
URL:https://kinki-jr.com